平池〜大御影山☆小紫陽花の香り漂う古道と杜若の花咲く池に


- GPS
- 04:52
- 距離
- 14.9km
- 登り
- 723m
- 下り
- 719m
コースタイム
過去天気図(気象庁) | 2021年06月の天気図 |
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アクセス |
写真
感想
ビラデスト家族旅行村の近くの平池は杜若の群生で知られるところでもあり、花が咲く時期に訪れたいものだと思っていた。この日は朝に用事があり、短い山行を余儀なくされるので、大御影山とのピストン往復を考えることにした。
酒波寺の門前をすぎてビラデスト家族旅行村に向かうワインディング・ロードへと入ると向こうからは次々と大型のダンプカーが降ってくる。どこかで工事をしているようだ。家族旅行村から先は落合との間で工事のために通行止めとなっており、ダンプカーはこの工事のためのもののようだ。
家族旅行村の駐車場の近くではニッコウキスゲが満開だ。とはいえネットと柵で囲われた狭い保護地の中での話ではあるが。つい最近知ったのだが、ニッコウキスゲは残雪の時期に他の植物に先駆けて雪の中に新芽を出すので、鹿が好んで食べてしまうらしい。かつては百里ヶ岳や白倉岳のあたりにも群生地があったらしいが、鹿のせいで壊滅してしまったとのこと。こうしてネットと柵で保護しない限り花を咲かせることは出来ないのだろう。
まずは登山口となる平池に向かうと、池の向こう側では青紫色の杜若の花が咲いているが目に入る。花を観賞するのは後回しにして、大御影山へと向かう。登山口は植林の中に綺麗な緑のカーペットを敷いたような林道となっており、セラピーロードと名付けられているようだ。
登山道に入るとその両側では小紫陽花の群落が満開であり、樹林の中は香水のような小紫陽花の濃厚な香りに満ちている。最初の登りを過ぎるとアップダウンの少ないなだらかな尾根が延々と続き、やがて尾根にはシャクナゲの群落が次々と現れる。空気の湿度は高いが、終始、涼しい風が吹きあがってくる。尾根の小紫陽花の周囲には多くの蝶や蛾が飛び交っていた。
p847への登りに差し掛かり、古道らしい深い掘割の道が続くようになると、緑のトンネルの中を進む。
抜土(ヌケド)への林道と交差すると、林道沿いには数多くのヒメウツギが咲いている。林道を過ぎるとブナの樹林が続く。樹高の高い樹々の広々とした森はまるで緑の天井を有する回廊の雰囲気だ。東側には大谷山から寒風を経て三国山へと至る高島トレイルの稜線が樹間から垣間見える。
尾根は波打つように緩やかなアップダウンを繰り返しながら緩徐に高度を上げ、大御影山の山頂に着く。山頂からは三重獄の左手に比良の武奈ヶ岳が辛うじて認められる。大御影山の山頂は4月の新緑の季節にもテン泊山行で来たところであるが、周囲はすっかり緑が濃くなっている。
ピストン往復の場合は下山は早く感じられるものではあるが、実際には尾根がなだらかなせいで登りとコースタイムはあまり変わらない。
ca740mのピークを過ぎると尾根は大きく広がり、尾根というよりも平坦な台地を歩いているような感じだ。登山道の右手に池のような開けた場所があることに気がつく。近づいてみると、かつては池だったのだろう、広々とした湿地となっていた。近年の寡雪のせいか、かつては池であったところが急速に失くなっていくのかもしれない。
登山口が近くなると道は尾根ルートと斜面をトラバースするルートの二手に分かれるが、本来の近江坂古道である尾根のルートを辿る。こちらでも道の両側には小紫陽花が満開であり、その濃厚な香りを嗅ぎながら九十九折りの坂道を下った。
再び平池に出ると、池の畔りを辿って杜若を見に行く。工事が行われているのは平池より先の筈だが、既にこの日の作業を終了したのだろうか。ダンプカーが通りがかる気配が全くないのが有難い。
花期の盛りは少し前だったと思われるが、青紫色の花と池面に映る周囲の緑とのコントラストが鮮やかだ。
家族旅行村に戻るべく林道を歩き始めると、満開のエゴノキの花の下にはヒラヒラと優美に舞うアサギマダラの姿を見かける。久しぶりに間近にみるその浅葱色の半透明の羽はなんとも幻想的であり、この平池の印象をますます神秘的なものにしてくれるのだった。
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