塩見岳(越路駐車場からピストン)〜道のりは長いけど格好良かった〜


- GPS
- 11:43
- 距離
- 26.8km
- 登り
- 2,622m
- 下り
- 2,640m
コースタイム
- 山行
- 10:37
- 休憩
- 1:05
- 合計
- 11:42
過去天気図(気象庁) | 2021年07月の天気図 |
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アクセス | |
予約できる山小屋 |
塩見小屋
|
写真
感想
前日土曜日の奥茶臼山に引き続き、日曜日は塩見岳に登ります。
ヤマレコのコースタイムは14時間48分。朝3時に出発して、コースタイムどおりで17時に島倉林道に戻れる計算です。最近、登りはコースタイムよりやや早く歩けるようになったものの、結構早いつもりだった下りがブレーキになることもあり、不安いっぱいのスタートです。
■間もなくこの山に行かれる方へ
<ルート選択>
普通の方は島倉林道からのピストン一択です。タクシーを含む一般車は島倉林道途中の越路のゲートまで、バスはそこから林道を2.3km登った島倉登山口まで行けます。
島倉林道から塩見岳まで歩いていくと、他のルートとも接続しますので調べてみると面白いかもしれません。(塩川ルート、小河内岳からのルート、本谷山へのルート、三峰川からのルート、塩見岳東峰の東側からのもろもろルート)
蛇足ですが、蝙蝠岳へ行くのに、二軒茶屋からの藪漕ぎを嫌って、塩見岳経由にする方もいるそうです。特に今年は二軒茶屋へのバスもないので、余計にこのルートになりますね。
(途中でお会いした方のお友達は、なんと蝙蝠岳まで日帰りピストンとのこと)
<危険個所>
島倉登山口を登って最初のコル(豊口山間ノコル)から三伏峠小屋までは、梯子状の橋を何度も渡りますが、老朽化気味で、なおかつ雨が降ると木製でかなり滑ります。必ずどこか(できれば山側の岩など)に捕まりながら渡ってください。
また、上から突き出していた木の折れ先にぶつけられて頭から出血された方がいましたので、下だけでなく上にも注意です(その方は、私なんかよりはるかに元気に下山されていきました!)。
塩見小屋のちょっと先から塩見岳までは森林限界を越えて岩稜帯になります。かなりの確率で砂礫を落としそうな登山道の直下に登山道が横切っているとところがあり、単なる岩稜帯以上にヘルメットはあった方がよさそうです。とはいえ、ヘルメットを被っていない方の方が多かったかな。トレランの人なんてヘルメットなんて入らないでしょうし。
また、岩をよじ登るのが難しい方は行かない方がよいかもしれません。奥穂高岳へ行く際の難所とされるザイテングラートは手を使わず足だけで登れますが、塩見岳は手で体を持ち上げるところがあります(なんて言っているとどこにも行けないので、気力がある方には行っていただきたいです)。岩稜帯慣れしている方には難易度は高くないです。
<駐車場>
島倉林道途中の越路のゲート前に40台くらい(もっとかも)停められるスペースがあります。土曜日21時頃で8割方埋まっていましたが、ほとんどは前日から三伏峠小屋や塩見小屋に泊まった方の車ではと思います。
<携帯電話電波(断りない限りdocomoです)>
駐車場から山頂までdocomoは入らなかったと思います。
駐車場ではauも基本的に入りませんが、稀に入ることがありました。
他の方の日記を読んでいると、どのキャリアのものか分かりませんが、塩見小屋の崖の方でも入ることがあるようです。
<水場>
越路駐車場のトイレに蛇口がありました。水が出るのか飲用可なのかは未確認です。
三伏峠小屋の少し手前の登山道に面してほとけの清水という水場がありました。他の方の日記を見るとそのまま飲めそうな雰囲気です(お腹が弱めの方は煮沸などされた方がいいと思います)。
三伏峠小屋のテン場に、「水バ」という標識があったので、場所は確認していませんが近くにあったのだと思います。
あとは、三伏山の先にもあるようですが、気付きませんでした。
営業時期は、三伏峠小屋や塩見小屋で購入してもいいと思います。
<トイレ>
越路駐車場、島倉登山口、三伏峠小屋、塩見小屋にあります。
<小屋・テント場など>
三伏峠小屋、塩見小屋
テント場は三伏峠小屋にあります。
<アイゼン・ピッケル等>
アイゼン、ピッケルは不要です。
塩見小屋から上は、ヘルメットがあった方が安心だと思います。
(半数以上の方は被っていなかったように思いますが、被っていても違和感ありません)
<服装>
塩見小屋までは雨のため半袖の上にレインウェアで汗びっしょり。塩見小屋から塩見岳まではその服装で快適でした。
塩見岳で30分ほど滞在している間にその服装で肌寒さを感じましたが、塩見小屋まで降りると日が昇っていることもあり暑く、レインウェアを脱いで半袖に。
島倉登山口まで降りて島倉林道を歩いている間は日差しも強く、半袖でも暑かったです。
■感想
<越路(駐車場)〜島倉登山口>
奇跡的に朝2時半に起きることができて、予定どおり朝3時に出発です。
外は真っ暗で朝9時に止むはずの雨はまだ降っていて、最悪に近いコンディションですが、無事に今日中に降りれるのか、そもそも遥か遥か遠くの塩見岳まで辿り着けるのかという不安感からか、なぜか眠気を感じませんでした。
(前の日にアルコールがまわって21時過ぎに寝落ちしたのもあるかも?)
雨と暗闇の中、久々にヘッドライトを使っての山行です。ですが、ヘッドライトのバンドが緩く、ずるずると落ちてきます。こういうものを山行中に締めることもないので、締め方も分かりません。
そういえば、ヘッドライトを使う山行って、コロナ前の乗鞍岳以来かも。最近は宿でしか使わないので、手に持つか首にかけるかしている間に緩めてしまったのかもしれません。
そんな感じで、ヘッドライトをぶらぶらさせながら林道を進みます。
が、やはり猛者の集う山なのでしょうね。林道を歩き始めて5分ほどで爽やかな挨拶とともに一人目に追い抜かれました。山登りならまだしも、舗装路でも太刀打ちできないとは。。。
暗闇で周りの景色が見えないなか、やみくもに進むと、それまでの舗装路が急に砂利道に変わり、しばらくして広い広場が島倉登山口です。
ヘッドライトに反射して光るものが見えたので、小屋の方の車かな、と思ったら、5台ほどの自転車でした。最近、林道を自転車で行き来するのが流行っているのでしょうか。
この自転車たちに帰りに悔しい思いをさせられることになります。。
ところで島倉登山口も相当広いスペースがあるのですが、なんで一般車両は通行禁止でバスだけOKなんでしょうね。毎日アルペン号もOKとは。
2.4Km程度の差別化なのでまだ良心的かもしれないですが。
<島倉登山口〜三伏峠小屋(さんぷくとうげごや)>
島倉登山口からは登山道になります。
この後も順調に抜かれていきます。主にトレランスタイルの方ですが、普通にザックをしょった方にさえも。
今考えると、追いつかれたときにくっつかせてもらってペースメーカーになっていただければ少しは早く行けたのですが、自分なりのハイペースで行く気力も薄れて、前日に9時間歩いたから体が重いとか(最近毎週歩いているし今さら笑)、アプローチシューズの靴裏が薄いから足裏が痛いんだ(その割に下りではガシガシ歩いたじゃん)、とか適当な理由をつけてさらにペースダウンしてきます。
後でコースタイムを見るとそれほど遅くないのですが(早くもない。。)、やはり日の出前に動く方は尋常ではない方が多いようです。
そういえば、トレランの方はレインウェアを着なくても大丈夫なんでしょうかね。
この区間は、島倉登山口から等間隔に1/10、2/10というような看板が出ていて、三伏峠小屋までの距離?時間?が分かるようになっています。登っているときは、塩見岳に行きたいのに三伏峠小屋までなんて中途半端だなぁ、と思いながら見ていましたが、帰るときはこのカウントダウンを心の頼りにして降りていました。三伏峠より上では主に尾根上を通るので、塩見岳をはじめとする山々が見えて飽きないのですが、三伏峠より下は樹林帯で景色だけだと少し飽きてしまうんですよね。
三伏峠小屋の近くまで来ると、塩川ルートへの分岐があります。塩川ルートはがけ崩れがあり車も人も通行禁止となっていますが、分岐で実際の踏み跡を見てみると、少なからずの人が歩いているように見えます。ヤマレコの地図にGPSトレースが全くないのは、運営さんからNGを出されているんでしょうね。
三伏峠小屋まで200m、の看板を見たら、もう高度は稼ぎ終わっていますので、ほぼ平面移動して三伏峠小屋へ。
三伏峠小屋で玄関口を少し覗き見させていただいていると、男性と女性のスタッフの方が通りかかり声をかけてくださいました。ようやく小雨になってきた外を見ながら「今日は天気に恵まれていますね。」と。ここ数日に比べると、今の小雨でも随分いいそうです。
三伏峠小屋から登山道を先に進むと新館があり、その裏手がかなり広いテント場になっています。雨の中に10張ぐらい張られていましたが、時間の影響かもしれませんがスカスカでした。
ところで、三伏峠は日本一高いところにある峠、だそうです。峠って尾根の低くなっているところを道が乗り越えるところを言うはずだけど、そんな道ってあった?と思って調べてみたら、どうやら塩川から静岡側(三伏山と烏帽子岳の間?)を抜ける伊奈街道というのが昔あって、その峠だったそうです。でも、静岡側のルートはほぼ消滅していて塩川側も崖崩れで人さえも通行禁止ならば、峠という名前が廃止されるのも近いかもしれません(根拠なし)。
<三伏峠小屋〜塩見小屋>
ここからは、私のあまり得意ではないせっかく獲得した標高を下げるコルが2つ続きます。それに伴い、アプローチシューズに守られているはず足裏がいよいよ痛くなり(下りでは我慢できたので、気のせいだったかもしれない)、全くペースがあがらなくなります。この区間はほぼコースタイムどおりで、やはり色々な方に抜かれていきます。
早い方はみなさん紳士で、追いついても「どけどけ」みたいな感じで後ろに詰めては来ず、少し間を空けて歩いてくださいます(自分も紳士ではないけどよくやる。。)。ただ、これっていつ抜かされる方はいつ抜いてもらえばいいか分からず、何度も後ろを確認しなければならないのってやや手間なんですよね。どうするのがいいかは分からないです。
そんな感じで、ゆっくり歩いたからか実はあまり疲れず塩見小屋に到着。
うわさの携帯トイレ専用ブースもありました。携帯トイレは小売りしているし、廃棄場所もトイレ前にあるので、それほど困ることはなさそうです。ちなみに、男性小用は専用の安価なスペースがあります。
<塩見小屋〜塩見岳山頂>
塩見小屋から少しあがると、すぐに森林限界を越えて見晴らしの良い登山道になります。さらに標高を稼ぐと、いよいよ軽い岩登りの道に。岩にペンキで↑(上矢印)を見ると久々の岩稜帯の登山にわくわくします。
ところどころ、岩を手でつかんで登るところも越えて、定番の偽ピーク(山頂の300m手前にある)も越えていよいよ塩見岳山頂へ。
塩見岳は双耳峰で山頂が2つあります。手前の西峰よりも奥の東峰の方が5mほど高く、みなさんも東峰の方で休憩されていました。西峰と東峰の間は100mほどで、あまりえぐれてもいないため、すぐに東峰に到達できます。
東峰の山頂には、とても分かりやすいところに道案内のきれいな標識、そしてピークとなる岩の陰に本物の地味な山頂標識があります。道案内用の標識のところで頑張って記念写真を撮って、終わったところで本物の山頂標識に気付く仕組みでしょうか(笑)
山頂に着くまでにすれ違った方からは、ガスに覆われていたけど時折晴れて稜線が見れた、とお聞きしていたので、それを期待していましたが、山頂では真っ白。
ガスが晴れるのを待ちながら、同じく山頂でのんびりしている若い男女の2人組とやや年配のおじさま(同年代かも)と雑談します。男性が蝙蝠岳に色気を見せていたので、コースタイムを調べると片道1時間48分。みんなで無責任に若い男性に蝙蝠岳行きを強要しますが、ガスガスの中行く気はしない、と至極真っ当なご判断で行かないことに。
下山時に知りますが、この男性の脚力はすごかったので、この方なら余裕で行ってこれたと思います。
<塩見岳山頂〜島倉登山口>
山頂で30分ほど待ったもののガスは晴れなかったため、諦めて下山を開始します。
最近の定番の道間違いでコース復帰時に砂礫を落とし、その後も最近定番の足滑らしてプチ滑落をし、前後の方に迷惑をかけながら塩見小屋へ。
山頂ではお腹が空かなかったものの、標高を下げて暖かくなったからか無償にお腹が空き、塩見小屋前のベンチで軽食をつまみます。このベンチで、山頂で出会ったやや年配のおじさまと再会。このおじさまとは、三伏峠小屋までほぼ一緒に降りることになります。
お腹も膨れ、ふと塩見岳の方を見ると、ガスが晴れて山頂が見えています。
あと30分待っていれば、、、って自分の脚力であれ以上待っていては、下山中に真っ暗になってしまいますね。
その後、本谷山へのややきつい登り返しで、山頂でお会いしたお二人組と再会。このお二人は、とても歩くペースが速く、ペースメーカーとして勝手に着いていかせていただきました。お二人はお話しながらのペースに対して、私はぜーぜー言いながらの下山です。。
時折、その4人で塩見岳や蝙蝠岳を振り返りつつ、よいペースで降りていきます(もちろん、私はぜーはー言いながら)。
おじさまは途中の三伏峠小屋で休憩をとられたためお別れ。三伏峠小屋から先は眺望のない崖沿いの道で、若いお二人はさらにペースがあがっていきます。もちろん、何かお話をしながらだからすごいものです。
途中でそのお二人にアクシデントがあり、それからは先に行かせていただきました。せっかくいいペースで連れてきていただいたので、できればこのまま自力でもいいペースのまま降りたいところです。が、しばらく歩いていると、後ろから今日聞き慣れた2つの鈴の音が。さっきまで後ろには誰もいなかったはずなのに、すごいペースです。
結局、下りはお二人とおじさまに引っ張っていただき、最後は後ろから押していただき、結果的に想定外に早く降りることができました。
その気になればもう少しスピードをあげられると分かったのは、本日の一番の収穫だったかもしれません。
<島倉登山口〜越路(駐車場)>
島倉登山口から駐車場までは、緩い2.4Kmの林道を降ります。
たかだ2.4Kmの、しかもほとんど舗装された林道ですが、微妙に登りの箇所もあり、地味に足が痛みます。島倉登山口少し歩くと深くえぐれた沢越しに駐車場が見えるのですが、そこそこ距離を感じます。
最後の気力を振り絞って林道を歩いていると、後ろから今日、聞き慣れた声が。二人組お姉さんがめちゃ笑顔で「自転車、めちゃ楽」と爽やかに去っていきました。羨ましい。
さらに、下山中に先に行かせていただいたはずの方も「お疲れ様でーす」と余裕の笑みを浮かべて自転車で爽やかに降りていきます。悔しい。
最後に、後ろの方を歩いていたはずのの二人組の男性に、今度は徒歩で追いつかれました。まあ、もう仕方ないです。
というわけで、頑張ればもう少しは早く歩けるかもしれない、と分かった山行でした。
<最後に>
塩見岳の岩稜のピークはとてつもなく荘厳で格好良く、それを見れただけでも長い距離を登った甲斐が十分にありました。
山というと、よく見かけるのは樹林で覆われた山頂ですが、あまりないからこそこのような岩剥き出しのピークがより特別で素敵に見えるのかもしれませんね。
(そういえば、山行中に地元や山でお金を全く使いませんでした。入境料はあってもいいかな、と思います。)
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