記録ID: 3389054
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
日高山脈
カムイエクウチカウシ山
2021年07月18日(日) 〜
2021年07月19日(月)
体力度
7
1〜2泊以上が適当
- GPS
- 29:47
- 距離
- 33.5km
- 登り
- 1,779m
- 下り
- 1,775m
コースタイム
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
★コース状況 札内川ダムの流入水量は約2.5m^3/sの最低ライン。 (※ 2021/8/8は約1.4m^3/s 2021年夏の北海道は極端に雨が少ない) ★山頂パノラマ動画 https://youtu.be/9ggFfC40EjU ★活動ログ ※日記から書き起こしており、若干読みにくいのはご了承ください。 ・2021/07/18(日) ゲート前には車が何台も駐車してた。この中で明日登る人間は自分だけ…。心細いけど、他に選択肢は無く、行くしかない。折りたたみ自転車にテン泊ザックとヘルメットを装備して出発したのが12:30頃。途中、釣り人のおじさんとすれ違ったけど、彼の驚いた顔が忘れられない。一般人から見たら異常行動なんだろうな…。七ノ沢までは約一時間、13:30着。チャリをロックしてトレランシューズから沢靴に履き替える。13:45頃出発。重いザックと底の薄い沢靴で歩くたびに足の裏が痛い。ゆっくりしか進まないし、道が全然わからない。トレースたどっても藪だった。幸い水量が最低限に近いので、沢のフチをちまちま歩く。周りに人の気配が無いので、電子ホイッスルを鳴らしながら歩く。精神的にも疲れる。ここはヒグマのシマでどこにでもいる。常に自分の居場所を知らせる努力を怠ってはならない。一人だし。途中、日帰りで三股まで一人で偵察に来た人とすれ違った。登りたいけど明日仕事だから帰るそう。遠方から来たそう。帰りの運転が約5時間かかるらしい。次は三人組のテント泊の人。その次にすれ違った人は一人でテン泊した人。今朝の眺めは素晴らしかったらしい。ニコニコ顔でした。自分も明日その笑顔になりたい…。バテバテで八ノ沢についた。水は1.5リットル消費。少し進んだ右側に黄色のテープが巻かれた木を見つけた。ヤマレコで見た木。ようやくテン場に着いた。15:45くらい。疲れた。テントを設営して、浄水器で水を作ろうとする。が、浄水器に繋がるホースが緩くて抜けてしまう。手で抑えると使えるけど面倒。タイラップを持ってきてるのを思い出して、縛ってみた。上手く動いた。やったね。タイラップと小さなハサミは必ず持っていこう。プラティパス二本5リットルとボトルあわせて5.5リットルの水を確保。食料とゴミは明日のテントに残しておけないので、なるべく食べて減らすことにする。オニギリ一個、マフィン一個、アルファ米とフリーズドライの卵とじを食べた。お腹いっぱい。16:30ごろに日帰りの二人が通り過ぎた。彼らの無事を祈る。今日のテント泊と明日の登山は一人だけ。テント場で騒々しくしたほうが良いのでサブ機のスマホで音楽を最大音量で鳴らす。ヘルメットの内側において音量もあげてみた。自然音だけだで不安になったのは初めてで、音楽を鳴らすとかなり安心した。 簡単に明日の準備をした。日没は19時でそれまでクソ暑く、テントの中はサウナみたいだったのに、日が落ちると急に涼しくなった。いつもの睡眠導入剤を忘れた。残念。すれ違った人たち曰く、クマは全く見かけなかったらしい。この週末は登山者がたくさんいて、クソ暑かったからだと思われる。明日は音楽と電子ホイッスル鳴らしながら登ろう。この電子ホイッスル(1,500円、単4電池2本で77g)は大活躍。防水機能は無いけど、軽くて使い易い。 ・2021/07/19(月) 朝4時に出発するべきだったが、ヒグマにビビって出発したのは5時前。寝れなかったけど、体は動いた。最初の一時間で高度100mしか上がらなくて非常に焦った。一時間経過すると寝不足で体の動きが鈍くなってきた。が、そんな泣き言言ってたのは最初だけで、標準コースタイム(以下CT)の遅れを挽回しようと体の不調は無視して必死に動かした。CTから15分遅れに抑えて三股へ。登る前に心配していた三股の雪渓は簡単だった。ひたすら左岸を登る。途中チェーンスパイクが壊れるが、タイラップで治す。三股からは激坂を登って八ノ沢カールへ。とにかく異常に暑かった。登りの体温上昇と強烈な日差しで身体が止まってしまいそうだった。沢の冷たい水を脚、頭、上半身にかけて体を冷やしながら登った。 八ノ沢カールは美しい景色と静かな場所で天国で、ヒグマの恐怖のある恐ろしい所だった。沢靴からトレランシューズには変えなかった。手間と時間が惜しい。八ノ沢カールから山頂まで約2時間で登らなければならない。ザックが重くてあと2時間もこれを続けなければならないのかと考えると、脚が止まってしまいそうだったので、えびぞうさんの「コツコツ少しずつ」を唱えながら、目の前の足さばきだけを考えて淡々と登っていった。稜線に出るまで風がなくて暑くてたまらなかった。沢登りのように沢の水をかぶってクールダウンも出来ない。我慢するしかない。熱中症が心配だったが、こまめに水を口に含むようにした。稜線の反対側に出るときも超えた先に熊が居ないように、電子ホイッスルを鳴らしながら稜線を超えた。超えた先には1つ目のテン場が有った。山頂まで凸凹のアップダウンが見え、先は長そうだった。ただ、稜線上はそよ風が有ったので、体温的には危険な状態にならずに済んだ。 登るときのハイマツは逆手なので登りにくくて仕方がない。そこで、自分に向かって生えてるハイマツを手で掴みながら登る。手に松ヤニが着くときもあったが、次第に気にしなくなった。早く、一秒でも早く山頂に着いて楽になりたい。この苦しみから開放されたい、最後はそれだけ考えて登った。鼻呼吸では間に合わなくて、口呼吸で「ゼー、ハー、」言いながら登った。本気で辛い状態で山頂へ。山頂に着いた瞬間、雄叫びを上げて座り込んだ。座ったら動けなくなった。軽い熱中症になってたと思う。(水を約5L飲んだのに、下山後は体重が約3.5Kg減ってた)山頂標識を撮って、家族やツイッターに投稿したあと、「もうこれで終わりだ」って、気持ちになってた。下山もあるのに。何も考えられない、何も考えたくない。ミニ三脚持ってきてたのに、自撮りをしなかったし、自撮りしようという発想も無かった。ヤバい。山頂は凄く虫が湧いてた。山頂に着いてしばらくすると雲が湧いて日陰になった。「日陰になって涼しくてラッキー」と、思ったたけど、ヒグマがここ数日八ノ沢カールで見かけないのは人の気配と猛暑のせいだと仮説を立てていた。だったら日陰になり涼しくなるのはマズい。ヒグマが出てくる。そう思うと、即刻下山して八ノ沢カールの下まで行かないと。今八ノ沢カールにいる人間は自分一人だけで、もし登山道にヒグマが現れたら足止めを食らってしまうし、近距離で襲われたら間違いなく死ぬ。時間的にギリギリなのに。雲に覆われて灼熱地獄から涼しくなる八ノ沢カール。涼しくなるほど八ノ沢カールを通り過ぎたい気持ちは焦る。しかし体が普段の7割くらいの力しか出ない。結局一時間かけて八ノ沢カールを脱出した。この区間が一番ヒヤヒヤした。沢に出ると水が底をついてたので浄水器で水を1.8リットルほど作る。雪解け水で冷たくて美味い。作業ミスで浄水器の短いホースを落としてしまう。脳みそも動いてないし、体も動かしたくない。動作が雑になる。クマザサが刈られた急な道を下るときに顔に切り口が当たった。あとでサングラスを見てみると削れた跡が有った。あそこで目を怪我してると行動不能になってしまう。体力が無くなって注意力と思考力が下がり、動作が雑になってた。雑になると怪我をしないところで怪我をする。午後1時ぐらいに、八ノ沢カール〜三股までの約真ん中で二人組のパーティ(ご夫婦?)とすれ違った。今朝下から上がってきたらしい。今夜は八ノ沢出会いのテン場でテント泊らしい。黙々と下り、三股の雪渓超えたら少し安心した。八ノ沢出会いのテン場まで早く戻りたい。沢渡りが本当に歩きにくい。底の薄いシューズも合ってないけど、自分でルーファイしないといけないのがキツイ。下りなのに心拍数は約150ほどあって辛い。結局2時間かかって午後3時に八ノ沢出会いのテン場に着いた。ボトルが空だったので残していた水を飲んだ。隣にはスライドしたご夫婦のテント。アタックザックをテン泊ザックにそのまま入れようかとも考えたが、入らなそうなので中身をテン泊ザックに入れ替え。雑なパッキングだが全部入ってくれた。60Lで良かった。ラッキー。テン場の虫がウザい。七ノ沢の自転車に向かって進む。行きよりはザックが軽く感じた。雑草で隠れて斜めになった岩を踏んで滑って左手首をくじいた。この怪我が長引いたらどうしよう。テンション下がりつつ進む。(数日後に違和感は消えてたのでラッキー)ピンクの巻道を通って進む。あとGPS軌跡が行きとズレてて参考にならなくて困惑しつつ帰った。七ノ沢出会いに帰った頃にやっと安心した。反対側から見た七ノ沢出会いは記憶の印象とは違ったが、GPSのおかげでたどり着いた。沢靴から靴下履いてトレランシューズ履いたときの快適さに感動した。しばらく沢靴は履きたくない。トレランシューズは神。自転車は最初の砂場道&登りをおしながら進む。途中からは半分下りでペダルを回しつつ、尖った石を避けながら戻る。夕方6時ぐらいに車に戻った。荷物を積んで着替えたらポツポツ雨が降ってきた。この瞬間、カムイエクウチカウシ山への長くて辛い挑戦は終わった。山頂踏めて帰ってこれたけど、運が悪い方向に転べば帰還が一日遅れたり、熱中症や目の怪我で倒れてたかもしれない。運も良かった。反省点は多い。 ★反省点 .水分と塩分をもっととるべきだった .プロテクションの多い沢靴にすべし。自分の場合、コースと沢靴が合ってなかった。 .アタックザックに使わない荷物が多すぎ(約1.9Kg, アイゼン、トレランシューズ、猛暑なのにカッパ、バラクラバと手袋) .体力が足らない 体重を減らさないと ★事前に準備ておいて良かったこと ・浄水器、電子ホイッスル、タイラップ&小さなハサミ、マスキングテープは非常に役に立った ・電子ホイッスルと熊スプレーはダイソーのスパイラルコードでザックに繋ぎ、すぐに取り出せるようにしてた |
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