中越の山々(御神楽・粟ヶ岳・守門岳・浅草岳・燧ヶ岳・八海山・巻機山・仙ノ倉山・苗場山）を登る

記録ID: 345337

全員に公開

無雪期ピークハント／縦走

甲信越

中越の山々(御神楽・粟ヶ岳・守門岳・浅草岳・燧ヶ岳・八海山・巻機山・仙ノ倉山・苗場山）を登る

2013年08月10日(土) ～ 2013年08月29日(木)

kariogaryu その他2人

過去天気図（気象庁）	2013年08月の天気図
コース状況／危険箇所等	2ヶ月ぶりの投稿。はじめに　ここ10年近く、夏になると3週間前後にわたって県外の山に出かけている。今年も8月10日（土）から30日（金）までの20日間（往復に4日間費やしているため実質行動可能日は16日間）にわたって新潟県と福島県および新潟県と群馬県との境の山を9つ（30日間位滞在して最低でも15登るつもりであったが、移動に時間がかかったり、体力や気力が伴わなかったりさらには後半天候が崩れたりしたため予定を大幅に下回った）ほど登ってきたのでそれぞれの山を簡単に紹介してみたい。 8月12日（月）晴れ　　新潟県　御神楽岳(1396.5) 　　新潟県の中西部にあって福島県との県境近くにある山。福島県からも登れるが今回は新潟県の室谷（むろや）から登る。標高はわずか1400mにも満たないが、巨大な岸壁と鋭く深い谷に囲まれ会越（かいえつ）の谷川岳とも呼ばれる。今回最初の山だが、暑さのためかバテバテとなり、荷物を取り替えてもらってようやっと山頂までたどり着けた。　この山の最大の魅力は、雨乞峰から山頂までの周囲の山々の景観である。巨大な岸壁と鋭くえぐり取られた谷、とくに目の前に迫る湯沢ノ頭の岸壁は圧巻そのもの。所要時間　上り　約3時間30分　下り　約2時間50分　　さらに登山口までの林道が崩壊していたため　上り、下りをあわせて　70分ほど余計に歩かされたのがバテの一つの原因にもなった。 8月13日（火）晴れ時々曇り　新潟県　粟ヶ岳（1292.7) 　御神楽岳に西隣にある山。登山口近くには漢学者　諸橋轍次の生地ににちなんで道の駅　漢学の里　しただ（下田）がある。北五百（いも）川から粟薬師を経て山頂往復。登山口がわからず集落内をぐるっと回り30分のロス。登山口の標高は107mとのことで高度差1200m近く登らなければならない。5合目手前に水場があったのは助かったが、全体として印象の薄かった山。その中でとくに印象に残ったのは5合目の奥の院と呼ばれる粟薬師を前後としたブナ林と8合目の先の岩場のヤセ尾根である午（うま）の背。ブナ　の幹は細いものの灰色がかったブナの純朴林は見事そのものだった。また午の背は短く両側は切り立っていないので高度感はさほど感じなかった。所要時間　上り　約3時間40分　　下り　約2時間45分 8月15日(木）　晴れ　新潟県　守門岳(1537,3) 　　　魚沼市営大原スキー場から守門岳登山口を経てエデシ経由山頂往復(大白川コース）。道路工事のため車道を1時間歩かされてやっと登山口にたどり着く。登山口からはブナ林の中の急登が続き、稜線に出ると痩せた露岩帯の急登でロープが頻繁に現れる。露岩帯を終え、木陰で一息つていると下山してきた登山者からちょっと先に水場がありますよと言われ、飛んで行く。すると紛れもなく沢から水がザーザーあふれ出て、思い切り水を飲んだり、頭から水を浴びたりしてまさに生き返った思い。これほど山深い所に水が流れているなんて思いもよらなかった。その後、山頂に繋がる稜線に出ると所々お花畑が現れ、緩やかなアップダウンを何回か繰り返していると山頂に。山頂は余り広くはないが360度の大展望ですでに7～8人の登山者が休んでいた。　登山道そのものに変化があり、それなりに楽しめた山。また露岩帯に出ると右手（東側）下の鋭く切れ込んだ沢に目を向けると、未だに雪渓が残っていたのでびっくりした。所要時間　上り　守門岳登山口～守門岳（袴岳）　約3時間40分　　　　　下り　守門岳～守門岳登山口　　　　　約2時間25分さらに車道歩きが上り、下りとも約1時間追加。 8月17日（土）　晴れ　　新潟県　浅草岳(1585.5) 　田子倉湖の北面に聳える山。福島県側からも登山道はあるが、守門岳との兼ね合いから新潟県より登る。ここも林道崩壊のため片道30分歩かされるが、今まで登った山の中では一番楽だった。それに山そのものにあまり大きな特徴もなく、強いて言えば山頂手前の草原状のお花畑位。コースは三角形の底辺の端を右から出発して右回りにぐるっと回りその頂点の先に浅草岳の山頂があると言った感じである。上りは比較的緩やかであったが、下りは結構急で、右回りに登ってよかったと思うことしきり。所要時間　上り　ネズモチ平駐車場～桜ソネ～浅草岳　　　約2時間30分　　　　　下り　浅草岳～ブナソネ～ネズモチ平駐車場約1時間45分さらに上り、下りとも林道歩行それぞれ30分（ただし林道工事が終われば必要なし） 8月18日（日）晴れ後曇り　　福島県　会津朝日岳(16724.2)を目指すが… 2年前の夏に訪れた時は、集中豪雨のため林道が崩壊して入山できず。そして昨年も今年も崩壊したまま。ところがネットで調べてみると、何人かが登っている。それならと思って挑戦。登山口までの林道が崩壊していたものの、車が入らないだけ。工事現場の手前に車を駐めて歩く。登山口から渡渉して山道に入る。いくつかの枝沢を渡りながら本沢に沿って左岸を歩くが、踏み跡はしっかりしているものの登山者が入っていないせいか、ブッシュだらけ。足下の見えない藪をかき分けながら歩むが、時として足をとられ中々思うように進めない。おまけに夏の暑い太陽が情け容赦なく照り続ける。最初の渡渉地点から1時間歩いた所で体力・気力を使い果たし、とても山頂までは無理と判断して引き返す。　結局　会津朝日岳はまたまた遠のいてしまった。所要時間　上り　工事現場手前～（25分）～いわなの里～（70分）～引き返し地点　下り　引き返し地点～工事現場手前　約1時間30分 8月19日（月）晴れ後曇り　福島県　燧ヶ岳（2356) 　昨年初めて尾瀬ヶ原に訪れたのは、群馬県の片品村から。山のまた山の中の高い所によくもまあこれほどまで広大な湿原があったものだと感心しつつ至仏山に登ったが、今回はその裏側の福島県の檜枝岐村から登る。御池(みいけ)駐車場で仮泊し、翌朝（19日）6時50分出発。駐車場の一番奥が燧ヶ岳の登山口と尾瀬ヶ原の入り口。この登山口から木道をわずか1分足らず下ると道は二分し、右の直進路を下ると尾瀬ヶ原へそして左に折れると燧ヶ岳へと向かう。燧ヶ岳へははじめ下り気味だがそのうち上りとなる。滑りやすい石のつまった暗い窪地の急登が続くと木の階段やら木道に変わり、登山口から約50分登った所に池塘が散在する広大な湿原、広沢田代が現れた。続いてさらに1時間近く登った山の上にもっと広い湿原、熊沢田代も現れた。3年前に登った田代山（自転車で登っていたのには驚いたが）もそうであったように、よくもこれほどまで高いところに湿原があったものだと感心する。熊沢田代からさらに1時間15分登ると燧ヶ岳の一つの山頂である俎嵓（まないたぐら）に。山頂は樹木のない岩のゴロゴロする裸の山で尾瀬沼と尾瀬ヶ原を見下ろすことが出来た。しかし燧ヶ岳の最高峰は向かいの岩山、柴安嵓。ちょうど由布岳の双耳峰みたいで岩場を一旦下ってまた登る。この間約20分、最後に巨岩を登りきると俎嵓より広い山頂に。ここも360度の大展望で広大な尾瀬ヶ原が一目で見渡せた(15時03分着）。所要時間　上り　御池登山口～柴安嵓（燧ヶ岳最高峰）　約3時間20分　　　　　下り　柴安嵓～御池登山口　　　　　　　　　約3時間 8月22日（木）　曇り後晴れ出発時小雨　　新潟県　八海山（大日岳　1702) 　六日町の東に聳える霊峰。清酒の銘柄にも採用されている。里に近く山麓にはスキー場（そう言えばこのあたりはスキー場だらけ）もあり、夏にはロープゥエイも運行している。今回は家族3人で出かけたが、今日は初めての単独行(危険場所が多いため）。八海山は山頂一帯に岩峰が続く八ツ峰まではとくにこれといった特色のない山である。やはり八海山が八海山たる所以は八ツ峰と呼ばれる岩峰群。したがってこれらの岩に登らない限りは八海山に登りましたと言えないと言っても過言ではなかろう。　ところが自分自身について言えば登ったのは八ツ峰の最高峰である大日岳だけ。なぜかと言えば雨上がりの上にガスって八ツ峰の岩峰群が全く見えない。初めての山でもあるし、しかも周囲には全く人の気配がない。慎重を期して岩場の下部をへつっている巻き道（迂回ルート）を使って行けるところまで行くことにした。あるパンフレットによれば初心者コースと記されていたが、実際取っ付いて見るとそんなものではなかった。始めのうちは岩場下部のトラバースで鎖が延々と続き（長さは50㎝以上あると思われる鉄の杭を岩の中によくも打ち込んだものだと感心する）、また時には鎖に頼っての岩場の上りや下りもあるので決して軽い気持ちで登らぬことだ。　迂回ルートの最後は大日岳と五龍岳との分岐。ここから主稜線に向かって直登するが、アルミの梯子が7～8ヶ続き、途中「落石危険」（注意ではなく危険）の標識が現れ、最後と思われるアルミの梯子は70～80段（あるいはそれ以上）も続き,10分近く登った所でようやっと主稜線に出た。そして左に折れると目の前には高さ15m位の巨岩が立ちはだかる。まさかこの岩を登れと言うのではなかろうと思っていると岩の頂上から一本の鎖が垂れ下がっているではないか。長いこと山に登っているがこんなルートは見たことがない（剱の一般ルートさえも見られない）。びっくりするものの同時にこれなら登れそうな気がしてザックを置いて空身で取っ付く。　ところが岩の取っつきには「キケン注意　これから先は鎖場の連続、非常に危険です（中略）転落すれば助かりません。健脚でも充分注意して渡ってください。六日町・大和町」のプレートが埋め込まれていた。「転落すれば助かりません」という注意書きを見るのも初めて。　垂れ下がっている一本の鎖に全身を預けて巨岩を登るがまさに岩登りの世界。岩登りの経験があったから簡単に登れたものの、なければ一苦労すること間違いなし。この岩峰を登りきるとまた同じような岩峰が立ちたちはだかった。頂上を見ると何やら標柱みたいなものが見えたので大日岳に違いないと思ってあらためて挑戦。高さもほぼ同じ位で鎖のみを使って登ると紛れもなく大日岳だった。　下りはそのまま引き返すが、まるで懸垂下降の世界。ザイルでもあれば簡単に下れるが今回は鎖に頼っての下降。最初の大日岳の下降は足場もしっかりして見つけやすかったのでわりとすんなりと下降できたが、次の下降は足場を見つけにくかったので多少時間がかかった。　いずれにしても今回は巻き道（迂回ルート）を使って大日岳を登ったが、晴れてはきたもののガスったままで八ツ峰の概念が掴めなかったのは残念だった。しかし誰もいない岩場を快適に登れたのも岩登りの経験のたまものだった。機会があれば、岩峰を縦走してみたいものだ。所要時間　上り　ロープウェイ山頂駅～千本檜小屋　　約2時間5分　　　　　　　　千本檜小屋～迂回路～大日岳約50分　　　　　下り　大日岳～迂回路～千本檜小屋　　　　約1時間　　　　　　　　千本檜小屋～ロープウェイ山頂駅　　約1時間45分　なおロープウェイは標高差771m所要7分、往復1800円 8月24日（土）登山中はほとんど雨とガス　新潟県　巻機山(1967) 　雨とガスで巻機（まきはた）山の全体像を掴むことが出来なかったが、時たま切れるガスの間から見えた景色は、標高の割には大きく聳える山でそのスケールから判断すると南アルプス級の山と決して見劣りしないと思った。　ニセ（前）巻機山から見下ろすいくつかの谷は鋭く切れ込み、所々見える滝は雨のせいか水量を増して真っ白な泡とともに轟音をとどろかせながら豪快に落下していた。さらにその上の尾根筋には鮮やかな緑の絨毯が広がり、まばゆいくらい美しかった。7合目より上はほとんど笹と低灌木の斜面となり、お花畑は9合目であるニセ巻機山から上であった。また湿原（あまり広くはない）と池塘が現れたのはニセ巻機山と巻機山との鞍部にある避難小屋と巻機山との中間点あたりだった。ガスのため湿原そのものの規模は掴めなかったが、湿原やお花畑より山の大きさに圧倒された。　ところで我々が登った山は、本当を言えば巻機山ではなかったようだ。避難小屋で休んでいる人から尋ねると20分登れば山頂ですと言われ、実際20分登った所に山頂標識があったので間違いないと思っているとわずかなガスの切れ間からもう少し高い山が見えた。足を伸ばして見ようかと出かけるものの、同伴の家族は寒さに震えてそれどころではない。声をかけても勝手にガスの中を下山している。おまけに姿は見えない。ここでバラバラな行動をとると遭難事故にも繋がりかねないのであきらめて下山することにした。それにしても罪深い標識である。この標識さえなかったら本当の頂上まで登っていたはずである。　下山後、登山口である桜坂駐車場でカッパや泥んこになった靴を脱いでいると1台の車が近づいてきた。管理人が駐車料金の徴収に来たのかと思っていたら大宮ナンバーの車でしかも身障者のマークが着いていたので違うことがわかった。するとその車から夫婦らしき二人が近づいてくると登ってきたばかりの巻機山についていろいろと尋ねてきた。上りにどれくらい時間がかかり下りはどうだったかいろいろと時間計算などしている内に「広島からやって来ました」と言うと「そうですか、実は私も広島の出身で庄原のYなんです」と、さらに話を続けるとなんと「私はM高校の第1期生です」と言われびっくり。年齢的には私と余り変わらないが、実は私も10数年間M高校でお世話になったことがあり、まさかこんな山の中でM高校の卒業生に出会うなんて奇遇でしかなかった。それにしても私自身、全国の山をいろいろと渡り歩いているが今日みたいなことは初めてだった。所要時間　上り　桜坂駐車場登山口～御機山（巻機山と思った山）　約3時間50分　　　　　下り　御機山～桜坂駐車場登山口約3時間30分　　　（注）御機山より巻機山までは往復20分足らず　 8月26日（月）　晴れ後曇り　平標（たいらっぴょう）山(1983.7) 及び仙ノ倉山(2026.2) 国道17号線沿いの平標駐車場登山口から松手山を経て平標山に至り、平標山から仙ノ倉山まで往復した後、平標山の家を経て平元新道を下り、出発点の平標駐車場登山口に戻る時計回りのコース。　平標山は「花の百名山」に選定されているものの、お花畑は山頂手前の長いガレ場付近。8月下旬にもかかわらず、多種多様な花が登山道脇に咲いていたが、緩い傾斜地か平坦地に湿原や池塘が点在するのではないかと予想していただけに少しばかり当てが外れた。　平標山まではお花畑よりむしろ展望の方が優れているのではないかとも思った。始めブナを主体とする樹林帯の急登を終え、明るい尾根道に出て後ろを振り返るとかの有名な苗場のスキー場の全貌が見渡せる（苗場と言っても苗場山とはかなり離れている）。さらに高度を上げれば上越の山々がどんどん姿を現し、平標山の山頂からは360度の大展望。　平標山から仙ノ倉山までは草原とお花畑が混在するたおやかな山並みが続き、仰向けになっていつまでも寝っ転がりたいような気持ちに駆り立てられる。仙ノ倉山の山頂も平標山と似ているが、それほど広くはないがここも360度の大展望で目の前に谷川岳が迫る。往路をそのまま引き返し、平標山から南へ草原の中の木の階段を長々下れば平標山の家。ここは冷たい山水をホースで引いており、誰でも自由に飲めるのでまさに恵みの水で、疲れを一気に吹き飛ばしてくれる。山の家から林道（一般車通行禁止）終点まで下りは大部分が木の階段で周囲はどこでも見られるようなブナ林やカラ松林が続き、お花畑は一切見られなかった。やはり花を期待するのなら松手山と平標山との間であろう。林道は平坦な砂利道で1時間余り(最後は川沿いの山道）歩くと出発点の駐車場登山口に戻った。所要時間　上り　駐車場登山口～松手山～平標山　　　　約3時間15分　　　　　下り平標山～山の家～林道～駐車場登山口約2時間40分　　　　　さらに平標山から仙ノ倉山を往復すると　約2時間追加 8月28日（水）　雨後曇り　登山中はずっとガス　　新潟県　苗場山(2145.3) 　　　祓川コース、第2リフト町営駐車場より登る。スキー場がある山だから簡単に登れるのっではないかと思っていたら飛んでもなかった。町営駐車場から30分歩いた和田小屋のある登山口（かぐらゴンドラリフト降り場）からでも上り4時間、下り2時間30分の標示があり、大きな山であることを思い知らされた。　上りと下りに大きな時間差があるので結構勾配がきついのではないかと心配したが、それは神楽ヶ峰（2029.6)から先であった。登山口から神楽ヶ峰までは2時間30分近く緩い上りが続き、木道を除くとほぼ石の上を歩いた（大小の石が詰まった窪んだ道が延々と続いた）。このまま頂上まで続くのならいくらでも歩ける楽なコースだと思っていたら神楽ヶ峰から思いがけない下りが続いた。あまりにも下りすぎるのでどこか他の登山道でも下っているのではないかと不安に思い（ガスって山の概念が全く掴めなかった）、雨の中をブッシュに身を隠しながら地図を広げてみると間違っていないことがわかった。　じきわずかな水が湧き出る雷清水を通り過ぎてもさらに下った。すると稜線の小鞍部に達したのでここから上るのかなと思っていたら、左に折れてさらに下った。一体どこまで下るのか不安になったが、そのうちじき最低鞍部である「お花畑」に達した。ここからしばらく緩い上りが続いたが9合目からは急になり、「雲尾坂」の標示が出るともっと急になり、周りは笹の急斜面からヤセ尾根の急登に変わった。そのうち小さな岩場をロープを頼りに登り終えると、道は平坦となり湿原が現れ始めた。実に登山口から4時間近く登った所に湿原があったのでびっくり。湿原の中の木道を歩いていると数人の若者がガスの中を黙々と働いていた。それは木道を取り替えるための工事であるものは大きな木槌で杭を打ち込んでおり、まったく頭の下がる思いがした。　ガスったままで近くの湿原や池塘しか見えないまま道標に導かれて緩やかに上っているといつの間にか苗場山の山頂にたどり着いた。山頂は、周囲の湿原から少し離れ狭いながらも明るい砂地であった。雨も上がったので小岩に腰をかけて昼食としたが、すぐそばには木道を整備している人たちの仮の宿舎が建っていた。　帰途、山頂少し下の湿原を散策するが、山頂一帯は4㎞四方に渡り湿原が広がり池塘の数は大小あわせて1000余りあると言われている。午後から晴れると言っていた天気予報に期待していたが、晴れる気配は一行になく結局ガスの中でそのごく一部しか見ることが出来なかったのは残念でたまらなかった。機会があればもう一度天気の良い日に登って見たいものだと、そんなことを思わせるような山だった。所要時間　上り　和田小屋登山口～苗場山　　約4時間　　　　　下り　苗場山～和田小屋登山口　約2時間45分さらに町営駐車場登山口から和田小屋までの往復50分を追加する必要あり（和田小屋まで車で行けるが宿泊者等の利用者でないと進入禁止）おわりに　今回の登った山は燧ヶ岳を除くと殆どが里に近く新潟から群馬そして東京を結ぶ国道17号線からでも見える里山。しかし里山と言っても山は大きくほとんどが上り、下りをあわせて6時間から8時間かかった。　八海山のように人を寄せ付けないような岩峰があったり、苗場山のように4時間かけて登った山頂一帯に広大な湿原があったりして非常に変化に富み登山意欲をくすぐったが、安易な気持ちでは中々登れないことがよくわかった。当初の計画では平ヶ岳や荒沢岳それに越後駒ヶ岳などを登るつもりであったが、体力的なことや移動日のことなどが絡んで登ることが出来なかった。今後果たして登れるかどうか課題を多く抱えてしまったのが今回の山行であった。

過去天気図（気象庁）

2013年08月の天気図

コース状況／
危険箇所等

2ヶ月ぶりの投稿。

はじめに

　ここ10年近く、夏になると3週間前後にわたって県外の山に出かけている。今年も8月10日（土）から30日（金）までの20日間（往復に4日間費やしているため実質行動可能日は16日間）にわたって新潟県と福島県および新潟県と群馬県との境の山を9つ（30日間位滞在して最低でも15登るつもりであったが、移動に時間がかかったり、体力や気力が伴わなかったりさらには後半天候が崩れたりしたため予定を大幅に下回った）ほど登ってきたのでそれぞれの山を簡単に紹介してみたい。

8月12日（月）晴れ　　新潟県　御神楽岳(1396.5)

　　新潟県の中西部にあって福島県との県境近くにある山。福島県からも登れるが今回は新潟県の室谷（むろや）から登る。標高はわずか1400mにも満たないが、巨大な岸壁と鋭く深い谷に囲まれ会越（かいえつ）の谷川岳とも呼ばれる。今回最初の山だが、暑さのためかバテバテとなり、荷物を取り替えてもらってようやっと山頂までたどり着けた。
　この山の最大の魅力は、雨乞峰から山頂までの周囲の山々の景観である。巨大な岸壁と鋭くえぐり取られた谷、とくに目の前に迫る湯沢ノ頭の岸壁は圧巻そのもの。

所要時間　上り　約3時間30分　下り　約2時間50分　
　さらに登山口までの林道が崩壊していたため　上り、下りをあわせて　70分ほど余計に歩かされたのがバテの一つの原因にもなった。

8月13日（火）晴れ時々曇り　新潟県　粟ヶ岳（1292.7)

　御神楽岳に西隣にある山。登山口近くには漢学者　諸橋轍次の生地ににちなんで道の駅　漢学の里　しただ（下田）がある。北五百（いも）川から粟薬師を経て山頂往復。登山口がわからず集落内をぐるっと回り30分のロス。登山口の標高は107mとのことで高度差1200m近く登らなければならない。5合目手前に水場があったのは助かったが、全体として印象の薄かった山。その中でとくに印象に残ったのは5合目の奥の院と呼ばれる
粟薬師を前後としたブナ林と8合目の先の岩場のヤセ尾根である午（うま）の背。ブナ　の幹は細いものの灰色がかったブナの純朴林は見事そのものだった。また午の背は短く両側は切り立っていないので高度感はさほど感じなかった。

所要時間　上り　約3時間40分　　下り　約2時間45分

8月15日(木）　晴れ　新潟県　守門岳(1537,3)
　　　
魚沼市営大原スキー場から守門岳登山口を経てエデシ経由山頂往復(大白川コース）。道路工事のため車道を1時間歩かされてやっと登山口にたどり着く。登山口からはブナ林の中の急登が続き、稜線に出ると痩せた露岩帯の急登でロープが頻繁に現れる。露岩帯を終え、木陰で一息つていると下山してきた登山者からちょっと先に水場がありますよと言われ、飛んで行く。すると紛れもなく沢から水がザーザーあふれ出て、思い切り水を飲んだり、頭から水を浴びたりしてまさに生き返った思い。これほど山深い所に水が流れているなんて思いもよらなかった。その後、山頂に繋がる稜線に出ると所々お花畑が現れ、緩やかなアップダウンを何回か繰り返していると山頂に。山頂は余り広くはないが360度の大展望ですでに7～8人の登山者が休んでいた。
　登山道そのものに変化があり、それなりに楽しめた山。また露岩帯に出ると右手（東側）下の鋭く切れ込んだ沢に目を向けると、未だに雪渓が残っていたのでびっくりした。

所要時間　上り　守門岳登山口～守門岳（袴岳）　約3時間40分
　　　　　下り　守門岳～守門岳登山口　　　　　約2時間25分
さらに車道歩きが上り、下りとも約1時間追加。

8月17日（土）　晴れ　　新潟県　浅草岳(1585.5)

　田子倉湖の北面に聳える山。福島県側からも登山道はあるが、守門岳との兼ね合いから新潟県より登る。ここも林道崩壊のため片道30分歩かされるが、今まで登った山の中では一番楽だった。それに山そのものにあまり大きな特徴もなく、強いて言えば山頂手前の草原状のお花畑位。コースは三角形の底辺の端を右から出発して右回りにぐるっと回りその頂点の先に浅草岳の山頂があると言った感じである。上りは比較的緩やかであったが、下りは結構急で、右回りに登ってよかったと思うことしきり。

所要時間　上り　ネズモチ平駐車場～桜ソネ～浅草岳　　　約2時間30分
　　　　　下り　浅草岳～ブナソネ～ネズモチ平駐車場約1時間45分
さらに上り、下りとも林道歩行それぞれ30分（ただし林道工事が終われば必要なし）

8月18日（日）晴れ後曇り　　福島県　会津朝日岳(16724.2)を目指すが…

2年前の夏に訪れた時は、集中豪雨のため林道が崩壊して入山できず。そして昨年も今年も崩壊したまま。ところがネットで調べてみると、何人かが登っている。それならと思って挑戦。登山口までの林道が崩壊していたものの、車が入らないだけ。工事現場の手前に車を駐めて歩く。登山口から渡渉して山道に入る。いくつかの枝沢を渡りながら本沢に沿って左岸を歩くが、踏み跡はしっかりしているものの登山者が入っていないせいか、ブッシュだらけ。足下の見えない藪をかき分けながら歩むが、時として足をとられ中々思うように進めない。おまけに夏の暑い太陽が情け容赦なく照り続ける。最初の渡渉地点から1時間歩いた所で体力・気力を使い果たし、とても山頂までは無理と判断して引き返す。
　結局　会津朝日岳はまたまた遠のいてしまった。

所要時間　上り　工事現場手前～（25分）～いわなの里～（70分）～引き返し地点　
下り　引き返し地点～工事現場手前　約1時間30分

8月19日（月）晴れ後曇り　福島県　燧ヶ岳（2356)

　昨年初めて尾瀬ヶ原に訪れたのは、群馬県の片品村から。山のまた山の中の高い所によくもまあこれほどまで広大な湿原があったものだと感心しつつ至仏山に登ったが、今回はその裏側の福島県の檜枝岐村から登る。御池(みいけ)駐車場で仮泊し、翌朝（19日）6時50分出発。駐車場の一番奥が燧ヶ岳の登山口と尾瀬ヶ原の入り口。この登山口から木道をわずか1分足らず下ると道は二分し、右の直進路を下ると尾瀬ヶ原へそして左に折れると燧ヶ岳へと向かう。燧ヶ岳へははじめ下り気味だがそのうち上りとなる。滑りやすい石のつまった暗い窪地の急登が続くと木の階段やら木道に変わり、登山口から約50分登った所に池塘が散在する広大な湿原、広沢田代が現れた。続いてさらに1時間近く登った山の上にもっと広い湿原、熊沢田代も現れた。3年前に登った田代山（自転車で登っていたのには驚いたが）もそうであったように、よくもこれほどまで高いところに湿原があったものだと感心する。熊沢田代からさらに1時間15分登ると燧ヶ岳の一つの山頂である俎嵓（まないたぐら）に。山頂は樹木のない岩のゴロゴロする裸の山で尾瀬沼と尾瀬ヶ原を見下ろすことが出来た。しかし燧ヶ岳の最高峰は向かいの岩山、柴安嵓。ちょうど由布岳の双耳峰みたいで岩場を一旦下ってまた登る。この間約20分、最後に巨岩を登りきると俎嵓より広い山頂に。ここも360度の大展望で広大な尾瀬ヶ原が一目で見渡せた(15時03分着）。

所要時間　上り　御池登山口～柴安嵓（燧ヶ岳最高峰）　約3時間20分
　　　　　下り　柴安嵓～御池登山口　　　　　　　　　約3時間

8月22日（木）　曇り後晴れ出発時小雨　　新潟県　八海山（大日岳　1702)

　六日町の東に聳える霊峰。清酒の銘柄にも採用されている。里に近く山麓にはスキー場（そう言えばこのあたりはスキー場だらけ）もあり、夏にはロープゥエイも運行している。
今回は家族3人で出かけたが、今日は初めての単独行(危険場所が多いため）。
八海山は山頂一帯に岩峰が続く八ツ峰まではとくにこれといった特色のない山である。やはり八海山が八海山たる所以は八ツ峰と呼ばれる岩峰群。したがってこれらの岩に登らない限りは八海山に登りましたと言えないと言っても過言ではなかろう。
　ところが自分自身について言えば登ったのは八ツ峰の最高峰である大日岳だけ。なぜかと言えば雨上がりの上にガスって八ツ峰の岩峰群が全く見えない。初めての山でもあるし、しかも周囲には全く人の気配がない。慎重を期して岩場の下部をへつっている巻き道（迂回ルート）を使って行けるところまで行くことにした。あるパンフレットによれば初心者コースと記されていたが、実際取っ付いて見るとそんなものではなかった。始めのうちは岩場下部のトラバースで鎖が延々と続き（長さは50㎝以上あると思われる鉄の杭を岩の中によくも打ち込んだものだと感心する）、また時には鎖に頼っての岩場の上りや下りもあるので決して軽い気持ちで登らぬことだ。
　迂回ルートの最後は大日岳と五龍岳との分岐。ここから主稜線に向かって直登するが、アルミの梯子が7～8ヶ続き、途中「落石危険」（注意ではなく危険）の標識が現れ、最後と思われるアルミの梯子は70～80段（あるいはそれ以上）も続き,10分近く登った所でようやっと主稜線に出た。そして左に折れると目の前には高さ15m位の巨岩が立ちはだかる。まさかこの岩を登れと言うのではなかろうと思っていると岩の頂上から一本の鎖が垂れ下がっているではないか。長いこと山に登っているがこんなルートは見たことがない（剱の一般ルートさえも見られない）。びっくりするものの同時にこれなら登れそうな気がしてザックを置いて空身で取っ付く。
　ところが岩の取っつきには「キケン注意　これから先は鎖場の連続、非常に危険です（中略）転落すれば助かりません。健脚でも充分注意して渡ってください。六日町・大和町」のプレートが埋め込まれていた。「転落すれば助かりません」という注意書きを見るのも初めて。
　垂れ下がっている一本の鎖に全身を預けて巨岩を登るがまさに岩登りの世界。岩登りの経験があったから簡単に登れたものの、なければ一苦労すること間違いなし。この岩峰を
登りきるとまた同じような岩峰が立ちたちはだかった。頂上を見ると何やら標柱みたいなものが見えたので大日岳に違いないと思ってあらためて挑戦。高さもほぼ同じ位で鎖のみを使って登ると紛れもなく大日岳だった。
　下りはそのまま引き返すが、まるで懸垂下降の世界。ザイルでもあれば簡単に下れるが今回は鎖に頼っての下降。最初の大日岳の下降は足場もしっかりして見つけやすかったのでわりとすんなりと下降できたが、次の下降は足場を見つけにくかったので多少時間がかかった。
　いずれにしても今回は巻き道（迂回ルート）を使って大日岳を登ったが、晴れてはきたもののガスったままで八ツ峰の概念が掴めなかったのは残念だった。しかし誰もいない岩場を快適に登れたのも岩登りの経験のたまものだった。機会があれば、岩峰を縦走してみたいものだ。

所要時間　上り　ロープウェイ山頂駅～千本檜小屋　　約2時間5分
　　　　　　　　千本檜小屋～迂回路～大日岳約50分

　　　　　下り　大日岳～迂回路～千本檜小屋　　　　約1時間
　　　　　　　　千本檜小屋～ロープウェイ山頂駅　　約1時間45分

　なおロープウェイは標高差771m所要7分、往復1800円

8月24日（土）登山中はほとんど雨とガス　新潟県　巻機山(1967)

　雨とガスで巻機（まきはた）山の全体像を掴むことが出来なかったが、時たま切れるガスの間から見えた景色は、標高の割には大きく聳える山でそのスケールから判断すると南アルプス級の山と決して見劣りしないと思った。
　ニセ（前）巻機山から見下ろすいくつかの谷は鋭く切れ込み、所々見える滝は雨のせいか水量を増して真っ白な泡とともに轟音をとどろかせながら豪快に落下していた。さらにその上の尾根筋には鮮やかな緑の絨毯が広がり、まばゆいくらい美しかった。7合目より上はほとんど笹と低灌木の斜面となり、お花畑は9合目であるニセ巻機山から上であった。また湿原（あまり広くはない）と池塘が現れたのはニセ巻機山と巻機山との鞍部にある避難小屋と巻機山との中間点あたりだった。ガスのため湿原そのものの規模は掴めなかったが、湿原やお花畑より山の大きさに圧倒された。
　ところで我々が登った山は、本当を言えば巻機山ではなかったようだ。避難小屋で休んでいる人から尋ねると20分登れば山頂ですと言われ、実際20分登った所に山頂標識があったので間違いないと思っているとわずかなガスの切れ間からもう少し高い山が見えた。
足を伸ばして見ようかと出かけるものの、同伴の家族は寒さに震えてそれどころではない。
声をかけても勝手にガスの中を下山している。おまけに姿は見えない。ここでバラバラな行動をとると遭難事故にも繋がりかねないのであきらめて下山することにした。それにしても罪深い標識である。この標識さえなかったら本当の頂上まで登っていたはずである。　
下山後、登山口である桜坂駐車場でカッパや泥んこになった靴を脱いでいると1台の車が近づいてきた。管理人が駐車料金の徴収に来たのかと思っていたら大宮ナンバーの車でしかも身障者のマークが着いていたので違うことがわかった。するとその車から夫婦らしき二人が近づいてくると登ってきたばかりの巻機山についていろいろと尋ねてきた。上りにどれくらい時間がかかり下りはどうだったかいろいろと時間計算などしている内に
「広島からやって来ました」と言うと「そうですか、実は私も広島の出身で庄原のYなんです」と、さらに話を続けるとなんと「私はM高校の第1期生です」と言われびっくり。年齢的には私と余り変わらないが、実は私も10数年間M高校でお世話になったことがあり、まさかこんな山の中でM高校の卒業生に出会うなんて奇遇でしかなかった。それにしても私自身、全国の山をいろいろと渡り歩いているが今日みたいなことは初めてだった。

所要時間　上り　桜坂駐車場登山口～御機山（巻機山と思った山）　約3時間50分
　　　　　下り　御機山～桜坂駐車場登山口約3時間30分
　　　（注）御機山より巻機山までは往復20分足らず　

8月26日（月）　晴れ後曇り　平標（たいらっぴょう）山(1983.7) 及び仙ノ倉山(2026.2)

国道17号線沿いの平標駐車場登山口から松手山を経て平標山に至り、平標山から仙ノ倉山まで往復した後、平標山の家を経て平元新道を下り、出発点の平標駐車場登山口に戻る時計回りのコース。
　平標山は「花の百名山」に選定されているものの、お花畑は山頂手前の長いガレ場付近。8月下旬にもかかわらず、多種多様な花が登山道脇に咲いていたが、緩い傾斜地か平坦地に湿原や池塘が点在するのではないかと予想していただけに少しばかり当てが外れた。
　平標山まではお花畑よりむしろ展望の方が優れているのではないかとも思った。始めブナを主体とする樹林帯の急登を終え、明るい尾根道に出て後ろを振り返るとかの有名な苗場のスキー場の全貌が見渡せる（苗場と言っても苗場山とはかなり離れている）。さらに高度を上げれば上越の山々がどんどん姿を現し、平標山の山頂からは360度の大展望。
　平標山から仙ノ倉山までは草原とお花畑が混在するたおやかな山並みが続き、仰向けになっていつまでも寝っ転がりたいような気持ちに駆り立てられる。仙ノ倉山の山頂も平標山と似ているが、それほど広くはないがここも360度の大展望で目の前に谷川岳が迫る。往路をそのまま引き返し、平標山から南へ草原の中の木の階段を長々下れば平標山の家。ここは冷たい山水をホースで引いており、誰でも自由に飲めるのでまさに恵みの水で、疲れを一気に吹き飛ばしてくれる。山の家から林道（一般車通行禁止）終点まで下りは大部分が木の階段で周囲はどこでも見られるようなブナ林やカラ松林が続き、お花畑は一切見られなかった。やはり花を期待するのなら松手山と平標山との間であろう。林道は平坦な砂利道で1時間余り(最後は川沿いの山道）歩くと出発点の駐車場登山口に戻った。

所要時間　上り　駐車場登山口～松手山～平標山　　　　約3時間15分
　　　　　下り平標山～山の家～林道～駐車場登山口約2時間40分
　　　　　さらに平標山から仙ノ倉山を往復すると　約2時間追加

8月28日（水）　雨後曇り　登山中はずっとガス　　新潟県　苗場山(2145.3)
　　
　祓川コース、第2リフト町営駐車場より登る。スキー場がある山だから簡単に登れるのっではないかと思っていたら飛んでもなかった。町営駐車場から30分歩いた和田小屋のある登山口（かぐらゴンドラリフト降り場）からでも上り4時間、下り2時間30分の標示があり、大きな山であることを思い知らされた。
　上りと下りに大きな時間差があるので結構勾配がきついのではないかと心配したが、それは神楽ヶ峰（2029.6)から先であった。登山口から神楽ヶ峰までは2時間30分近く緩い上りが続き、木道を除くとほぼ石の上を歩いた（大小の石が詰まった窪んだ道が延々と続いた）。このまま頂上まで続くのならいくらでも歩ける楽なコースだと思っていたら神楽ヶ峰から思いがけない下りが続いた。あまりにも下りすぎるのでどこか他の登山道でも下っているのではないかと不安に思い（ガスって山の概念が全く掴めなかった）、雨の中をブッシュに身を隠しながら地図を広げてみると間違っていないことがわかった。
　じきわずかな水が湧き出る雷清水を通り過ぎてもさらに下った。すると稜線の小鞍部に達したのでここから上るのかなと思っていたら、左に折れてさらに下った。一体どこまで下るのか不安になったが、そのうちじき最低鞍部である「お花畑」に達した。ここからしばらく緩い上りが続いたが9合目からは急になり、「雲尾坂」の標示が出るともっと急になり、周りは笹の急斜面からヤセ尾根の急登に変わった。そのうち小さな岩場をロープを頼りに登り終えると、道は平坦となり湿原が現れ始めた。実に登山口から4時間近く登った所に湿原があったのでびっくり。湿原の中の木道を歩いていると数人の若者がガスの中を黙々と働いていた。それは木道を取り替えるための工事であるものは大きな木槌で杭を打ち込んでおり、まったく頭の下がる思いがした。
　ガスったままで近くの湿原や池塘しか見えないまま道標に導かれて緩やかに上っているといつの間にか苗場山の山頂にたどり着いた。山頂は、周囲の湿原から少し離れ狭いながらも明るい砂地であった。雨も上がったので小岩に腰をかけて昼食としたが、すぐそばには木道を整備している人たちの仮の宿舎が建っていた。
　帰途、山頂少し下の湿原を散策するが、山頂一帯は4㎞四方に渡り湿原が広がり池塘の数は大小あわせて1000余りあると言われている。午後から晴れると言っていた天気予報に期待していたが、晴れる気配は一行になく結局ガスの中でそのごく一部しか見ることが出来なかったのは残念でたまらなかった。
機会があればもう一度天気の良い日に登って見たいものだと、そんなことを思わせるような山だった。

所要時間　上り　和田小屋登山口～苗場山　　約4時間
　　　　　下り　苗場山～和田小屋登山口　約2時間45分
さらに町営駐車場登山口から和田小屋までの往復50分を追加する必要あり（和田小屋まで車で行けるが宿泊者等の利用者でないと進入禁止）

おわりに
　今回の登った山は燧ヶ岳を除くと殆どが里に近く新潟から群馬そして東京を結ぶ国道17号線からでも見える里山。しかし里山と言っても山は大きくほとんどが上り、下りをあわせて6時間から8時間かかった。
　八海山のように人を寄せ付けないような岩峰があったり、苗場山のように4時間かけて登った山頂一帯に広大な湿原があったりして非常に変化に富み登山意欲をくすぐったが、安易な気持ちでは中々登れないことがよくわかった。当初の計画では平ヶ岳や荒沢岳それに越後駒ヶ岳などを登るつもりであったが、体力的なことや移動日のことなどが絡んで登ることが出来なかった。今後果たして登れるかどうか課題を多く抱えてしまったのが今回の山行であった。