【奥多摩】倉沢谷 マイモーズの悪場遡行(全滝フリー登攀)


- GPS
- 03:16
- 距離
- 0.6km
- 登り
- 120m
- 下り
- 82m
コースタイム
- 山行
- 1:08
- 休憩
- 2:07
- 合計
- 3:15
天候 | 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
なお、倉沢林道にはゲートが最近新設されたが、施錠はされていないので、自己責任で車を乗り入れることは可能。ただし途中で崩壊しているらしい。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
※この日は多少増水していたと思われる ※滝名は真鍋健一著「日原を繞る山と谷」(1942)に拠るが、マイモウズをマイモーズに改めた。F番号は近年の記録に揃えた。 ・倉沢出合へは、日原川の左岸の斜面を下った。急だが特に難所は無い。落石注意。倉沢バス停から道がついているという情報もある。 ・不動滝(不動瀑/F1):7m程度の樋状滝。通常は釜を泳いで右壁に取り付き、エイドで登られているが、ほぼ同じラインをフリーで登れた。5.10a(VI)程度。 ・F2:50cm程度の段差。よほど増水してなければ特に問題ないはず。 ・マイモーズ下の滝(F3):2m程度の斜瀑。右から小さく巻ける(結構ぬめる)が、平水なら釜に入って左から直登も可能らしい。 ・マイモーズ上の滝(F4):5m程度の樋状滝。通常は左岸のスラブ状壁を登って小さく巻くが、今回は水線右を直登した。ボルダー4級/5.10d/VII程度。水流の両側を使い突っ張りで登っている記録もあり、その方が易しそうだが、増水していないときに限られそう。 |
その他周辺情報 | 【滝及び悪場の名称】 ・最近ではこのゴルジュを「マイモーズの悪場」と呼ぶのが定着しているが、最初の用例を国会図書館デジタルコレクションで検索して確認したところ、宮内敏雄「奥多摩」(1944)であった。 ・この地を初めて詳述したのは真鍋健一「日原を繞る山と谷」で、不動滝こそ巻いているものの、ゴルジュ内の通過の記録が詳しく書かれている。表記は「マイモーズ」ではなく「マイモウズ」。不動滝右岸大巻、マイモーズ下の滝左岸小巻、マイモーズ上の滝左岸スラブ巻。 ・山と溪谷社「東京附近沢歩き」(1956)には、『(昭和)27年の道路工事の結果、谷が埋って以前の記録とは似ても似つかぬ無残な変貌をとげ』とある。現在のマイモーズの悪場も、真鍋・宮内が記した姿とは異なっているのかもしれない。 ・マイモーズの滝という滝は、同じ多摩川流域の越沢にもある。マイモーズは蝸牛を意味し、ゴルジュの屈曲した地形が蝸牛の殻を想起させることに由来するという。 【他の記録(2021年時点でアクセス可能だったウェブ記録全て)】 ・2008.8.9 山登魂 鮎島 https://yama-to-damashii.outdoor.cc/20080809_maimouz/01.html F1エイド(ボルト残置)、F3右巻、F4左岸スラブエイド ・2012.9.13 acc-j茨城 sak https://blog.goo.ne.jp/accj1946/e/b1f0f6fa62272818c903ba7eb13c219d F1エイド、F3右巻エイド、F4左岸スラブエイド ・2015.7.21 サワグルイ https://sawagurui.com/maimo-zunowaruba F1敗退 ・2016.5.5 Lynn_Kato https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-863742.html http://lasfotos.blog5.fc2.com/blog-entry-944.html F1エイド、F3左直登、F4水線左(エイド/フリー不明) ・2016.5.21 がくたん http://blog.livedoor.jp/tomo46144614/archives/1057771343.html F1敗退、死体発見 ・2016.6.25 horit https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-904704.html F1エイド、F3右巻、F4フリー(突っ張り) ・2016.6.26 ぶなの会 N島 https://www.bunanokai.jp/archives/14318 F1エイド、F3右巻、F4左岸スラブ(エイド/フリー不明)(平水未満) ・2016.9.25 トマの風 https://tomanokaze.sakura.ne.jp/top/?p=7851 F1エイド、その先不明(増水) ・2017.7.29 京葉山の会 高山 http://keiyoyama.com/?p=6355 F1エイド、F3左直登、F4フリー(突っ張り) ・2017.10月頃 杉並労山 K峰 https://sv01.sugiro.info/bbs/detail.py?topic_id=713 F1エイド、F3直登、F4フリー(突っ張り) ・2018.6.24 taka02 https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1507880.html F1&F3不明、F4左岸スラブ(エイド/フリー不明) ・2018.9.15 草加山の会 http://soka-yamanokai-m.sblo.jp/article/184428461.html F1敗退 ・2019.7.15 エルゴ https://yamap.com/activities/4081946/article F1エイド、F3敗退 ・2019.9.14 旭雪 https://yamap.com/activities/4523217 F1フリー、F3略、F4敗退 ・2020.7.5 茅ヶ崎山岳会 相原 http://chigasaki-mt.blogspot.com/2020/07/blog-post.html F1エイド、F3右巻、F4左岸スラブエイド(この記録ではF3,F4の番号が1つずれている) ・2020.8.30 fumi https://yamap.com/activities/7510740 下降 |
写真
装備
備考 | ・F1はサワタビでもフリー登攀可能だがクライミングシューズなら多少楽か ・F4は水線右側のみで登る場合はクライミングシューズが必要 ・ハーケン、カムは使用 ・ロープは30mで十分 ・ナッツ、ボールナッツは不使用 |
---|
感想
【計画の経緯】
奥多摩最悪のゴルジュとして名高いマイモーズの悪場には、数年前から行ってみたいと思っていた。しかし、増水すると駄目そうなので、いつでも行ける訳でもない。今回、暑く、増水して無さそうなタイミングで平日休みが取れることになったので、yoriponと行くことに。
【記録】
歩きやすくもないがロープを出すほどでもない斜面を下って倉沢谷出合に降り立つと、すぐにゴルジュ状になって、忽ち不動滝(F1)が立ち塞がる。フリーで登った記録を見ていたので、まずはフリーで挑戦。下部が難しそうなので、とりあえず何も持たずに泳いで取りついてみると、案外3mくらいは順調に登れたので、一旦飛び込んで戻る。次はスリング等を持って取り付き、yoriponがエイド出来るように残置にスリングや鐙をかけながら、自分はフリーソロで登っていく。下から見た印象と異なり、上部も普通に難しかったが、変に中間支点を取って落ちた時に水流中で止まっても大変なので、そのまま支店は取らずに頑張り、何とか落ち口まで。ぎりぎりフリーで登れる、とても良い滝であった。フリークライミングのように星を付けるなら☆☆☆。登りながら設置したエイド用スリング等のおかげでyoriponもスムーズにフォロー。
F2は何でもない段差で、マイモーズ下の滝(F3)もぬめりを磨きさえすれば左岸から問題なく登れた。
マイモーズ上の滝は、左岸スラブから小さく巻くのが一般的だが、水線を登った記録も見ていたので、挑戦。近づいて見ると、岩のフリクションは良いものの、スタンスが細かすぎてサワタビでは乗れず、クライミングシューズに変更。いざクライミングシューズで問題のスタンスにのりこんでみると、しっかり乗れたが、その次の手も悪く、フォール。滝壺でもみくちゃになる。2回目も3回目も失敗し、だんだん体も冷えてきたので、yoriponが持ってきていたホットミルクティーを有難く頂く。その後、結局5度目くらいで、何とか成功。1手ずつ進めていくというフリークライミングのような滝であった。yoriponはハイパーゴボウで順調に突破。
その後も谷はゴルジュ状だが、顕著な滝はなく、美しい渓相に癒されるのみ。少し遡行して、右岸斜面を適当に登って林道に出た。
【感想】
不動滝は、他の多くの記録のようにエイドやむなしかと思っていたが、案外、サワタビでもフリーで登れ、嬉しかった。マイモーズ上の滝も、何度も落ちたが落ちても大丈夫なボルダーのように楽しめ、最終的にはフリーで登れ、とても充実感があった。自分の成長を実感できた山行であった。
【総評】
短いが、登り応えのある滝の登攀と絶嶮なゴルジュの景観を楽しめ、都心からも近いので、かなりお薦めできる。ハマらなければ半日で終わるので、小川の大滝等と併せて計画するのも良い。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する