平ヶ岳 鷹の巣登山口 こんなにもドラマティックな登山はない
- GPS
- 11:19
- 距離
- 22.3km
- 登り
- 1,749m
- 下り
- 1,731m
コースタイム
- 山行
- 10:22
- 休憩
- 0:57
- 合計
- 11:19
天候 | はれ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
今回の「車中泊で2座」は越後駒ヶ岳と平ヶ岳。
ちなみに8月に燧ヶ岳と会津駒ヶ岳
9月は妙高山と火打山に行っている。
今回の平ヶ岳、今までの山とは比べ物にならないほど、アチキはビビっていた。
それはレポでみる「日帰り最難関」と「ヤセ尾根」の2つのワードだ。
アチキ達はコロナ以降、山小屋の使用は控えているため、全て日帰りだ。
昨年のロングコースは空木岳と鳳凰三山(青木鉱泉からの周回)
累積標高は全然この2座のほうが高いものの、アクセスはいいし、危険ポイントはなかったんだよ。
それが今回は「ヤセ尾根」オプション付きだったため気持ち的に難易度が上がる。
数日前から「ヤセ尾根」が頭の中をぐるぐる回っていた。
しかも前日に寝ないで越後駒ヶ岳に登り、復活したとはいってもCCちゃんの体調不良もあって不安しかなかった。
***
前日
越後駒ヶ岳下山後は、銀山平温泉 白銀の湯(650円)
におじゃまさせていただいた。
露天風呂からはさっきまで登っていた越後駒ヶ岳がドーンだ。
休憩所の和室で18時までゴロゴロさせてもらってから平ヶ岳鷹の巣登山口に向かう。
この新潟県と福島県をつなぐ樹海ライン国道352号線は「酷道」と呼ばれるほど、奥只見湖に沿ってクネクネの道が続いている。
白銀の湯から30キロもクネクネなんだよ。
しかもこの道も鷹の巣登山口も携帯の電波が入らないから、何かあっても連絡の手段がないのだ。
20時過ぎに寝て2時過ぎに起きる。
2:53頃に登山口をスタートした。
3時スタートの予定だったが、わずか7分でも早くスタートできたことが余裕をもたらしてくれる。こーいうことって以外と大事よ。
【パート1】核心部パート
鷹の巣登山口(837m)→下台倉(1604m)
登山口からの距離3.19キロ
累積標高767m
いよいよだ。
アチキ達はついにに平ヶ岳登山口に立ったんだ。でもホントに登れるのか?
登山開始直後からビビリマックスでお互いに口数も少ない。
ゆるい樹林帯を抜けるとすぐに岩肌が露出した狭い登山道になる。
夜明け前だけど寒さは感じることはなかった。
てか、むしろ暑い。1キロも歩いてないのに汗がまとわりつく。
水は2.5リットル持ってきたが足りなかったらどうしようとか、ネガティブなことばかり考えてしまうキャンペーンに入る。
と、ライトにぼんやり照らされた前方に細くて白い道が現れた。
あ、もう来たのか。
これがヤマレコなどで見たヤセ尾根か。
地図では前坂を過ぎて「ヤセ尾根」と出ているが、実際は前坂手前で出てくる。
ヤバイ、それは想像以上にヤバイ道だった。
ライトに照らされたその道は細く長く続き、終わりが見えない。
まるで龍の背中を歩くようだ。
しかも、道の両側はザレていて木がなく、万一足を踏み外したら奈落の底まで落ちて生きては帰らなそう。
バランスを崩さないよう、首さえ動かさず目だけで周りを確認する。
後ろのCCちゃんに声をかけながら、もしCCちゃんが落ちてしまったらと最悪の状況を考える。
そう、妄想のなかではなぜか落ちるのはCCちゃんだ(笑)
ロープは持ってない。
いや、持っていてもアチキの力と技術じゃ無理だ。
とにかく助けを呼ばなくちゃ。
携帯の電波が繋がらないので清四郎小屋まで走るんだ。
こんな最悪な事態を想像しながら慎重に慎重に進んで行く。
この龍の背中、復路はいなくなるんだけど、この時はまだそれを知らない。
ヤセ尾根地帯が過ぎるロープ地獄が待っていた。
もうなんだかわからないけど、次から次にロープが出てくる。
下山時に数えたら19地点に設置してあった。
ただ、補助的なロープであって、ロープがないと登れないような石稜帯というわけではないので難易度が高いわけじゃない。
なんとか登りきり下台倉山に到着した。
【パート2】アメちゃんパート
下台倉山(1604m)→台倉山(1695m)
登山口からの距離4.95キロ
累積標高91m
アメとムチが交互にやってくる平ヶ岳。
ここのパートはアメだ。
アップダウンはあるものの、手を使うようなところはなく、普通の登山道。
パート1のおっかないところを命からがら越えてきたので(大げさ)これだけでありがとう!って気持ち。
しかもだよ、左手に燧ヶ岳がずーっと見えてる。
アチキにゃ天国の道だったよ。
【パート3】ゆるいアップダウンの樹林帯パート
台倉山(1695m)→白沢清水(1725m)
登山口からの距離6.93キロ
累積標高30m
樹林帯に入るとひたすらアップダウンを繰り返す。
眺望はないし、周りは笹だから変わり映えがない。安全だとついつい退屈って思っちゃう。
ここは樹林帯を抜けた時の景色を楽しみに進んだよ。
【パート4】ニセピークに騙されつつ岩肌の露出した石稜を登りきるパート(タイトル長いな)
白沢清水(1725m)→池ノ岳(2075m)
登山口からの距離9.02キロ
累積標高350m
最後の急登に備えてしっかり休憩、補給後に出発。
しばらくは穏やかな樹林の道を進むが、正面にそびえる山のお腹に入ったら一転して急登になる。
ニセピークに2回騙されつも池ノ岳に到着。
急登だけど、パート1に比べればへっちゃら。
登り切った後の見事な池塘が点在する美しい姫池は感動もんだよ。
【パート5】そして山頂へパート
池ノ岳(2075m)→平ヶ岳三角点(2139.6m)
登山口からの距離10.12キロ
累積標高64m
ここから先は平ヶ岳山頂に向けてのビクトリーロードだ。
見たことのない規模の湿原と池塘を見ながら木道を進んでいくよ。
プリンスルートのみなさんが大勢いらっしゃる。
それにしても、今ここを歩いていることが夢のようだよ。
深田久弥先生の「日本百名山」
「平ヶ岳は、日本百名山を志した最初から私の念頭にあった。あまり人に知られていないが、十分にその資格がある。」その理由のひとつとして、その独自な山容であることを挙げています。曰く「長く平らな頂上は甚だ個性的である。遠くから望んでも一目でわかる。苗場山も平らではあるが、少し傾いている。平ヶ岳はほとんど水平である。会津駒から、燧から、至仏から、武尊から、この平らな頂上を眺めて、私はいつかはその上に立ちたいと願っていた。」
【パート5】玉子石パート
平ヶ岳三角点(2139.6m)→玉子石(2040m)
登山口からの距離12.2キロ
累積標高99m
玉子石に向かう道は全て木道。
しかも木道が設置されたのが平成27年から30年と最近なんだよ。
ありがたいねー。
ここの木道から見る平ヶ岳、アシカが横たわっているような穏やかな山容を楽しめる。
玉子石からは、鹿島槍ヶ岳、五竜岳、白馬などの北アルプス、
紅葉に染まる妙高山から火打山、
そして八海山、中ノ岳、越後駒ヶ岳の越後三山が見えて、夢のようだった。
【パート7〜9】気をつけて下山しようパート
復路は往路と同じ道を辿って降っていく。
俎グラと柴安グラの二つの双耳峰が特徴的な燧ヶ岳に見守られながらね。
燧ヶ岳を親しみをこめて、「ぐりぐら」と呼んでいる。
で、歌も歌ってみた。
♩ぼくらの なまえは ぐりと ぐら
このよで いちばん すきなのは
おりょうりすること たべること
ぐり ぐら ぐり ぐら
CCちゃんの反応はなかったm(__)m
同じ道でも時間と方向が違うと違う景色になるのが面白いよね。
転倒などの怪我は下山の時が多いから集中していこ。
普通ならピストンの下山はどうしても消化試合になりがちだけど、パート1のロープ&ヤセ尾根パートを残しているから気は抜けない。
登山口に着くまで集中力を保ったままいこ。
「さぁ、泣いても笑っても最後だよ。キツくても笑っていこうね」
と、ベタ丸出しのことを伝え、最後の試練に立ち向かった。
【パート10】龍の背中がなくなった?パート
ロープがある箇所を数えながら慎重に降りていく。
設置数は19箇所。
登りは夢中だったけど、結構多いね。
最後は龍の背中を歩くヤセ尾根を残すばかり。
龍の背中以外のヤセ尾根はすでに通過している。
ヤセ尾根に違いはないけど、取り立てて大騒ぎするような箇所はなかった。
龍の背中はここじゃない。まだ先か。
だってもっと細くて長くておっかなかったんだよ。
CCちゃんも同じ気持ちで、いまかいまかと待ち構えていたのだが、結局出現しないまま登山口に着いた。
え?マジすか?
なんとまぁ、キツネにつままれたアチキ達。
CCちゃんなんて、もう一回戻って確かめてみたいというほど不可解な出来事。
我々の恐怖心が暗かったこともあって現実のそれをデフォルメして誤認識してしまったのだろうか。
それとも。。
早番で帰ったのか。。
**
登山口でCCちゃんと喜びを分かち合う。
まるで戦友のようだったよ。
日帰りだけど、こんなにもドラマティックな登山はない。
憧れの平ヶ岳に登った喜びは3日経った今もまだ色褪せないでいる。
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