ぐんま県境稜線トレイル:野反湖→志賀高原。2時間余の藪漕ぎ苦【野反湖-カモシカ平-大高山-湯ノ沢ノ頭-赤石山-大沼池】
- GPS
- 10:15
- 距離
- 21.3km
- 登り
- 1,382m
- 下り
- 1,404m
コースタイム
- 山行
- 9:12
- 休憩
- 0:58
- 合計
- 10:10
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
13:45 長野原草津口駅 ↓ 六合地区路線バス \1570- 15:01 野反湖バス停 ■復路---------------------------------- 16:20 志賀高原山の駅バス停 ↓ 長電バス 志賀高原線 \1800- 17:31 長野駅 |
コース状況/ 危険箇所等 |
★胸高の藪漕ぎ区間あり注意★ [野反湖〜エビ山〜大高山] 見晴らしの良い樹林帯。笹も刈り払われており快適に歩けます [大高山〜ダン沢ノ頭] 景色はとても素晴らしいですが、この区間の90%以上、股下から胸高まである熊笹(場所によっては笹と草のミックス)の藪漕ぎを強いられるため、CTで歩くことは不可。(CT1:45のところ2:15ほどかかりました) ここ数年間、刈り払われた形跡が全くなくルーファイを強いられる箇所もあるため、刈り払いが完了するまで歩くのはお勧めできません。 またオッタテ峠のエスケープルートも藪に覆われていたため、果たしてエスケープルートとして機能しているか疑問な状況でした [ダン沢ノ頭〜赤石山] ようやく藪漕ぎから解放され快適な山歩き。刈り払われた笹の葉が青いものも多かったため、つい最近行われた箇所もある様子。 またぬかるみが酷い箇所が多く、湯ノ沢ノ頭の手前、県境と登山道が分かれるあたりのぬかるみ帯では、ぬかるみに気を取られルートをロスしやすいポイントがあるため注意。 [水場情報] 五三郎小屋の廃墟の水場は、小屋への分岐を示す道標はあるも背丈ほどある笹に覆われており、小屋方向に踏み入ることは困難な状況で確認できず。 オッタテ峠から分け入った所にある水場も笹に覆われており、水場方向に踏み入るのは困難な状況で確認できず。 |
その他周辺情報 | ■ぐんま県境稜線トレイル 公式HP https://www.gunma-trail.jp/ |
写真
感想
「人の作り上げた登山道なんてものは、歩く人もいなくなれば、これ程簡単に自然に覆われ消えていくものなんだ…」
胸の高さまである熊笹の藪漕ぎをしながら考えていたことです。
2018年に開通した「ぐんま県境稜線トレイル」。今まで群馬の山は殆ど歩いたことがなかったのですが、2013年にスルーハイクした「信越トレイル」をきっかけにロングトレイルに興味を持ち、ぐんま県境稜線トレイルもいつか機会があれば歩いてみたいと思っていたのですが、気候的にも涼しくなるこの時期にチャレンジしてきました。
行程としては、野反湖キャンプ場で前泊し野反湖から志賀高原まで1日で踏破する計画。行程は20km、CT10時間以上と長く、しかもテン泊装備でハードルが上がるため、日の出前に早出。
キャンプ場からエビ山への道は空が開けた緩やかな樹林帯。その白樺と針葉樹が混在した樹林帯を抜けると視界が一気に開け、大展望が広がります。その後も気持ちのいい稜線をつなぎ、笹原が美しいカモシカ平など、素晴らしい景色が紙芝居のように目まぐるしく変わります。
しかし大高山の山頂直下から様相が一変しました。
目の前に立ちふさがったのは股下から胸高まである熊笹の藪。最初のうちはすぐに終わるだろうと思っていたのですが、結局2時間以上藪漕ぎする羽目に…。藪漕ぎの経験は大雪山で軽めの藪漕ぎをしたことがあるくらいでほとんどないと言っていい自分にとって、心身ともにかなり追い込まれ、一時はビバークも頭によぎる状況でした。
薮はここ数年刈り払われた形跡はなし。登山道も全く整備されていないと言っても過言でない状況。しかも水場やエスケープルートも藪の中。安全な山歩きとは程遠い、登山者を危険にさらすルートの整備状況。
「これってトレイルって名乗っていいの?」
そんな疑問を感じながら脳裏に浮かんだのは「信越トレイル」でした。
長野と新潟の県境に設けられた日本のロングトレイルの草分けと言っていい「信越トレイル」。自然環境へのローインパクトを理念としトレイルが整備されており、実際に歩いてみてもその理念を道の端々に感じることができました。
木の成長を妨げないように幹に括り付けられた標識。刈り取られた竹や間伐材で作った土留め。ルート上のスズメバチの巣や水場の状況など登山者に対する細やかな注意喚起。環境へのローインパクトと歩く人への思いやりに溢れたトレイル。
トレイルの景色以上に、そうしたトレイルを作り上げてきた方々の労力と思いに心を動かされる素晴らしいトレイルでした。だからこそ「また絶対歩きたい」と思える道でした。
でも、ぐんま県境稜線トレイルは…。
この道が「トレイル」と名付けられてなければこの状況であっても構いません。藪漕ぎのルートがあってもなんら問題ないと当然思っています。
でも「トレイル」と名乗り、「上越トレイル」でも「上信トレイル」でもなく「ぐんま県境稜線トレイル」と名付け群馬県が旗振り役となり整備を進めている以上、このルート整備の状況には正直疑問を感じてしまいました。
事前に公式HPも確認し、この区間に関する注意喚起は何もされていなかったのにも関わらずこの酷い状況。正直「トレイル」と名付けただけで、肝心のそこを歩く人の事がおざなりになされてしまっていると感じ、「このトレイルの理念はいったい何?トレイルという名前だけの借り物?」と思ってしまい、藪と格闘しながら大人げなくも怒りが爆発してしまった場面もありました。
もしかしたらコロナ禍で整備もままならない状況だったのかもしれません。コロナ禍で歩く人もなく荒廃してしまったのかもしれません。でもそれであれば尚更、HP上で細やかな情報発信だけはして欲しかったと歩いていて感じました。
ただそれと同時に、人の手が入らなければあっと言う間に自然に駆逐されていく登山道の姿を目の当たりにし、登山道を維持することの困難さを感じました。そしてこれまで登山道の維持に尽力されてきた方々への感謝とともに、その労力をあてにしただ漫然と歩く自分の姿勢に対しても、自戒を含む思いに駆られた山行となりました。
豪雪地帯特有の森林限界の低さがもたらす見通しのよい広葉樹と針葉樹の森。そして美しい笹原が延々と続く素晴らしい景観のトレイル。
しかしながら現時点では残念ながら歩くのはお勧めできません。
ただいずれ笹払いが完了し、水場やエスケープルートも機能する状態になり、このトレイルが目指す揺るぎない理念が構築されれば、本当に素晴らしいトレイルになるポテンシャルがあると感じました。
今はその時を楽しみに待ちたいと思います。
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藪漕ぎの様子などの山行動画は↓
https://www.instagram.com/trek_zawa
コメント
この記録に関連する登山ルート
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ぐんま県境稜線トレイルは自分も計画を立てたことがありますが、諸事情で行けず終いでした。
確か、2018年くらいに開拓された新ルートで、まだ登山者の間であまり認知されておらず熟練者向けの厳しいコースという印象を持ったと記憶しています。
コメントの通り、コロナで歩く人も少なく藪が伸び放題だったのでしょう。
テントも焚き火台も担いで歩き切るとはさすがです
ところで、zawadaさんはキャンパーとしての顔も持ち合わせていたんですね。
テン場ランキングで「キャンパーが多くてうるさい」とかで評価を下げられていたので、てっきり目の敵にしてるのかと
自分も北海道に来てキャンパーデビューしました。
キャンプ用のテントは高いので、山用のテントの上にタープを張ってそれなりに雰囲気出してます
モンベルの焚き火台は二次燃焼効果でよく燃えるので、薪の投入が忙しいです
のんびり火を見つめるには普通の焚き火台ですかね〜。
正直なことろ、ぐんま県境稜線トレイルは時期尚早だったんじゃという印象でした。
玄人向きのトレイルであるならば、それをキチンとアナウンスすべきだろうと思ってしまいます。まぁこの区間に初心者が入り込むとは考えにくいですけれど。。
話は変わって、実は山から離れていた時期にキャンパーになっていたのでした😎
昔は確かにキャンパーに対してあまりいい印象は持っていなかったですが、やってみると楽しいですねぇ。まぁ今でも迷惑キャンパーに対しては腹が立ちますし、実は野反湖でも深夜2時まで騒がしいバカップルがいたので一喝しましたけど。。
キャンプ用のテント。僕が使ってるワンポールテントは諭吉2枚半くらいなので、むしろ山岳テントより全然安いですよ。
最近はAmazonとかで中華製の安くて質のいいキャンプ道具もわんさかありますし。
持参した焚き火台はチタン製なので400gぐらいと超軽量で、分解すればまな板サイズくらいになるので登山に持ってくには最適でした。
とはいえ、藪漕ぎの最中で持ってきたの後悔して、ぶん投げで捨ててやろうかと思いましたけど😁
二次燃焼の焚き火台。いいですねぇ。
でも薪代がかかりそう😅
北海道でキャンプ。うらやましいです。
支笏湖とかでキャンプしてみたいなぁと実は思ってるんです。
オススメのキャンプ場とかありましたら、今度教えてください!
サバイバルでしたね
私も何年も前から地図と睨めっこしてきた区間です。
情報も少なく、小屋もなく、距離も長く、アクセスも難
先日岩菅山に行った時も、あのルートあたりをジーっと見てました。
てか、焚火台担いで薮コギしたの?
野反湖から大高山までは絶景だね。
志賀高原から赤石までもイイんだよねぇ。
大高から赤石は積雪期もムズイよね 〜
素直におススメされないので、時を待ちますか…。
日本全国にトレイルが次々と出来ているけど、
今でも信越トレイルは日本を代表するトレイルだと思う
8年前!信越トレイルを紹介してくれたザワダさんに
改めてお礼をするよ。ありがとうございます
やっぱ地元の方はこのルート厳しいと知ってるんですね。。。
自分もなぜココを歩きたくなったのかわからないのですが、無性に惹かれ歩いてみたんですけど、、、まさかまさかでした。
焚き火台担ぎましたが、それがなにか?😅
キャンプ場ついてからレンタル焚き火台があったことを知りましたが、それが何か?
絶景度で言ったら大高山→ダン沢ノ頭が一番良かったかもしれない。でも薮なんだよなぁ。
今回藪漕ぎをしながら、信越トレイルを思い出して、ちょっと目から鼻水出そうになったのは内緒です。
信越トレイルはやはりスペシャルなトレイルだったと。あんな歩いていて温かい気持ちになるトレイルはなかったなと。
なので今回の収穫は改めてそこに気付かされ、トレイルを維持する方々の労力に感謝したいと思えた事かなと思っています。😌
ここ数年、私にとってはいつか歩ければと思っていたので、リアルな実況中継、ありがとうございます! zawadaさんの辛口コメントがおもしろい
笹薮。私も好き好んで歩きたいわけではなく、仮に笹藪が出てくると、歩く前はちょっとだけワクワクするのに、やがてなぜここに来てしまったのだろうと自問自答するタイプです。でもやっぱり歩ききれたら満足!?(→単純!? )
人が入らなければ、廃道になるのも早いですよね。ぐんまトレイルも廃れてほしくないし、早めに行っておいた方がいいのかな!?
そしてzawadaさん、ファイヤーするんですね
ぐんま県境稜線トレイル、wildwindさんも狙ってましたか。
お先に実況中継してしまい申し訳ありません
辛口コメント失礼いたしました。正直ここまでストレートに書くべきだろうかとも迷いました。快く思わない方もいらっしゃるでしょうし…。
ただ感想に書いた通り、通常の登山道が未整備だからと言って文句を言うつもりは毛頭ありませんが、昔からあるこの登山ルートを「ぐんま県境稜線トレイル」と名付けたからには、群馬県が責任もって整備管理をしますと宣言したも同然ですし、コロナ禍等々で整備ができなかったならできなかったなりに、キチンとアナウンスすべきだろうと思いまして…。なんしろ登山者の安全に係わることですから…。
藪漕ぎ。これはそれに挑む時の心理状態によって大きく変わるかもですね。
最初から前提としていれば「よっしゃ、来たな。いっちょやってヤルか!」となりますし、不意をつかれそれがいつまで続かもわからないとなると、焦燥感がどんどん大きくなり追い込まれるもんだなと。今回は後者でしたが、でもとてもいい経験になりました。
>人が入らなければ、廃道になるのも早いですよね。
もし群馬県がこのトレイルを投げ出したら、 ですよ。
まぁ来年はさすがに刈り払いすると思うので、来年は快適なトレイルを歩けるのではないかと思いますよ〜
p.s.ファイヤーは楽しいですね〜。下界キャンプの楽しさ=ファイヤーといっても過言ではありません
野反ー志賀はトレラン大会でコースになっていて、
多少刈り払いするとはいえ藪漕ぎとツルツル泥沼で相当大変だそうです。
そんなところをたった一人で苦闘のうえ完歩したzawadaさんすごいな〜!
ほんと、お疲れ様でした。
しばらく山から離れていたのにそんな動物的勘とガッツは健在ですね。
苦闘の末に現れた青い青い大沼池はご褒美。
私も大沼池は年に数回行きますが、行くたびに飛び込みたい気持ちにかられます。
(身体溶けちゃうのでやらないでね。(笑))
トレラン大会のコースになってるんですね。
確かに長丁場ですので軽装で駆け抜けるのがいいのかもしれませんが、短パンで歩いたら切り傷だらけになりそうです
今回は結果的には山復帰したてで歩くルートではなかったですが、勢いで行っちゃったのはアリだったかもとも思ってます。もの凄く疲れましたけどイイ経験になりました。
それはそうと、大沼!
大岳山を過ぎて眼下に大沼が見えた時は、思わず「うわぁ〜」って声に出ちゃいました。あの色は奇跡的ですね。本当にビックリです。
北海道の美瑛の青い池もキレイでしたが、大沼池の方が断然”青”でした。
いやぁ本当に素晴らしかったです。
でも、、身体溶けるんんですね…。
顔洗っちゃいました…。
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