無意根山(薄別)イグルー訓練山行
- GPS
- 09:55
- 距離
- 19.2km
- 登り
- 1,094m
- 下り
- 1,106m
コースタイム
- 山行
- 3:30
- 休憩
- 0:10
- 合計
- 3:40
天候 | 26日 晴れ 27日 雪のち曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
初めてイグルーを作って泊まった山行は、2004年1月の中山峠~無意根山縦走山行でした。山行リーダーが、2004年1月の岳人記事(北大山岳部OBの米山さん寄稿)に触発されての山行でした。
イグルー初山行は4人パーティで、雪を踏み固める所から始まって、約2時間で4人用イグルーを完成させることができました。当時の写真を見ると、実に美しいブロック積みで、手前味噌ですが感心します。
この時は、諸般の事情で無意根山までの縦走は貫徹できずに、イグルーに1泊したのみで下山となりました。そして、その後は残念ながらイグルー山行を行う機会はありませんでした。
時を経て、PEAKS 2015年3月号で米山さんのイグルー記事に出会いました。この時の記事は、カラー写真付きでイグルーの制作過程や食事風景が紹介されており、何よりも参加メンバーが華やかでした。
イグルーには興味があったので、セルフレスキュー訓練時に雪洞制作訓練の代わりにイグルー制作訓練を行ってみたりしましたが、単独制作では天井をふさぐことができず、その後の山行でも実践するまでにはなりませんでしたが、2021年になって、イグルースキーこと米山さんのブログ「やってみよう!イグルー登山」の各投稿記事を読むことができ、俄然、イグルーに対する思いが込み上げてきたのでした。極め付きは、ブログでも紹介されたイグルー制作過程がよく分かる動画です。これまでの記事で分かり難かったところ、痒い所に手が届くような教示により、単独でやってみようという気持ちになったのです。そして、心はイグルー泊での冬山縦走。このためには訓練が必要と、この週末に一泊で無意根山に向かったのでした。
この週末は、3月下旬から4月頭にかけての気温に上昇するとの予報でした。特に26日は、札幌市内の最高気温は8度まで上がるとのことで、融雪被害や雪崩などが注意喚起されていました。天気予報どおり、行動中は春の陽気を感じましたが、雪の状態はそれほどの暖気ではなかったような気がします。
薄別コースは林道歩きが長く、飽きがきます。加えて、先行者のトレースを利用させてもらったにもかかわらず、息が上がりました。テントを背負っていませんでしたが、久々の山中泊装備に息も絶え絶えで、情けないという気持ちと年相応だろうという気持ちが交錯するのでした。そもそも、30年前(20代の頃)に購入した厳冬期用シュラフは、今の自分には重すぎます。
先行トレースは、大蛇が原手前付近まで利用させていただきました。ありがたや。感謝です。
大蛇が原手前からシャンツェに上がる尾根方面に舵を切って、ラッセルを開始しましたが、ここまで来るとほぼ平行移動なので、それほどの苦行ではありません。尾根手前にて本日の歩きを終了し、今山行のメインイベントであるイグルー制作に移ります。
米山さんの今の教えは、ブロックが切り出せる層の上にかぶっている雪は除去するとのことでしたが、この日の雪の状態を見て、1.8m四方の雪を踏んでから、切り出しました。
一段目、2段目のブロックを適当な大きさに切り出すのがムズかったです。また、2段目のブロックを内側にずらして積むことも難しく感じました。何だかんだで3段目まで積んでしまいましたが、天井はなかなか狭くなりません。ここから、米山さん秘伝の細長いブロックを壁から切り出して、地道に積む作業を開始しました。次第に天井が狭くなっていき、最後の一本を積んで、天井がふさがりました。天井を仰ぎ見ると、あっちこっちに隙間が見えましたが、天井がつながったことに満足です。ここまで約1時間15分でした。
内側から隙間に適当なサイズのブロックを詰め、斜面側に入口を開削しました。入口はそれほど労することなく開削できました。
外気温が高かったためか、気が付くとオーバーズボンは、古くてゴア機能が用をなしていないこともあり、ぐっしょりと濡れていました。
外側から隙間を埋めて、ブロック強化です。目視確認できた隙間を埋めて、これで完成と思うまで約2時間かかりました。単独初制作にしてはまずまずのできだと自画自賛です。精進して卓越技能者を目指し、イグルー泊で日高の国境稜線を歩きたい、思い夢は大きくです。
入口は、当初、ブロックのみで塞ぎましたが、時折強く吹く風が隙間から入ってきて寒かったので、外側にツェルトを張ったところ、ツェルト効果は抜群でした。
昔懐かし、学生時代に使ったブス725で水をつくりながら、一杯やりました。今宵は芋焼酎、泥臭いでしょうか。ほろ酔い気分の中でのろうそくのやさしい灯りが、心に安らぎを与えてくれます。至福のときです。
久々に米を焚いてみました。水が少し足りなかったようで、少々堅かったですが、グリーンカレーをぶっ掛ければ、ノープロブレム、ホクホク、熱々で食べることができました。
最後のお湯割りをシュラフに入りながらやろうとしましたが、いつの間にか落ちていました。夜中に寒くて目を覚ますと、カバーの上に若干ですが、雪が積もっていました。天気予報どおり雪が降ったようです。
イグルー制作で濡れたオーバーズボンもシュラフが水分を吸ったようで、乾いていました。
イグルー内は暖かいのか、天井から水が滴っていました。
キジを打ちに外に出ようとすると、入口に詰めたブロックが固く接着していたので、ノコを使うことになりました。外に出てみると、足首上、10cm程度の雪が積もっていました。
イグルーに戻って寝直したところ、4時起床予定が、1時間以上も寝過ごしてしまいました。我ながらよく眠れるものです。
朝食を作っている途中、ブスの再点火時の余熱不足で生ガス噴出、大炎上となりましたが、イグルーの壁は炎をすべて受け止めてくれました。
朝食は、キムチ入りラーメンです。残ったラーメンスープに昨晩の残りのご飯を投入しておじやを作りましたが、前の晩に食べたグリーンカレーの風味が残りすぎで、かなり微妙なかほりがするおじやとなりました。
イグルーに宿泊装備等をデポし、日帰り装備で無意根山ピークに向かいました。前日の暖気と夜に降った雪の状態が心配でしたが、弱層テストするまでもなく、稜線に上がることができました。恐ろしかったのは、シャンツェ途中からの視界不良で、酔っぱらった感じになって、目が回る一歩手前となったときです。
どこで下山しようかなと思っているいるうちに頂稜部末端に至り、太陽が顔を出しました。次第に視界がきいてきて、ピークゲットです。
ピークにて、アサヒのスーパドライを供えて、合掌。そして、来し方行く末を報告したのでした。
稜線からシャンツェの滑走は、パウダーではありませんでしたが、Shie Heil ! です。 いつものことながら下りは早く、あっという間にイグルー着。
デポ用品を回収し、出発の準備を整えてから、イグルーの天井にそっと座ってみると、問題なく座れました。次にそっと立ってみると、今度は穴が開きました。天井のブロックは細長くいからこんな感じかな。
下りの林道下降もダルかったです。ここも昨日の先行者の下山トレースでしょうか、これを利用させていただきました。多謝です。
林道を下がるにつれて、気温は上がり、雪は腐っていきます。車を停めたあたりの雪は、まさに4月の雪です。
最後になりますが、米山さんのイグルー制作教示記事に多謝です。日高の国境稜線歩きに向けて精進します。そして、先行トレースを付けてくださった方にも多謝です。皆さまに感謝感謝の山行となりました。ありがとうございます。
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やはり北海道の雪は同時期の本州よりもイグルー向きですね。いくつか作ればサイズ感がわかって、遠回りもなくなると思います。
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