神室連峰 火打岳


- GPS
- --:--
- 距離
- 12.3km
- 登り
- 1,048m
- 下り
- 1,043m
コースタイム
09:30 火打岳登山口(富善新道口)
10:00 尾根取り付き
12:40 標高1089m雪原
13:35 火打岳
15:50 火打岳登山口
16:10 土内集落
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
土内の集落から火打岳登山口(富喜新道口)までは約1.5Kmの林道歩き。 定期的に除雪されているようで、4駆車なら通れそうな雪量だったが、 道の途中にすれ違えるスペースは無く、登山口前の駐車場も雪で埋まっていたので、 土内集落で駐車した方が無難。 登山口の吊橋を渡り、少し進んだ先にて渡渉する箇所があるが、雪が積もった事で 両岸は切り立ち、夏道の渡渉点からは渡れない。 沢に沿って下流側に進んだ先にスノーブリッジが出来ていたのでそこから渡った。 登山ルートとなる尾根は、序盤から急登が続く。 基本的には夏道通りに進むが、雪深く目印は無いので道の判別がつかない状態。 尾根の形状は視認できるので、尾根上を辿るような感じで進んで行った。 最初の急登が最も厳しく、前爪のあるアイゼンとピッケルがなければ とても登れないくらい傾斜がきつかった。 急登は長い区間に渡って続き、踏み抜きも多いので滑落注意。 登りきれば、一旦傾斜は落ち着き楽になる。 しばらく緩い登りが続いた後は、再び急登となる。 最初の急登と同じく傾斜はきついが、雪は締まって安定しているので登りやすい。 硬くクラストしている場所が多いのでキックステップは出来ないが、 アイゼンの爪はしっかり決まった。 この急登を登りきれば標高1089m地点の広い雪原に到達する。 この雪原は開けており、前方には西火打岳・火打岳へ続く尾根、遠方には神室山等が 見え、眺望が良い。 ここから西火打岳・火打岳へ続く尾根上へと進路とるが、尾根上へのルートは 上部が急峻で雪庇が出来ている箇所もあるので慎重に選ぶ必要がある。 どこから登るか悩んだが、夏道の通るラインは傾斜が緩く、雪庇も出来ていなかったので 楽に登れた。 あとは、この尾根上を歩いていけば火打岳へと到達するが、進路左側には大きな雪庇が 出来ているので踏み抜き注意。 |
写真
感想
予報ではこの日の神室連峰は天気が悪く、当初は登る予定では無かった。
神室連峰には残雪期に登ろうと考えており、それに先立って登山口周辺の積雪状況、
駐車できそうな場所の確認等、それだけを調べて帰るつもりだった。
だが、朝の新庄市は予想外の青空で、国道13号線からは神室連峰の山々が見えていた。
登山口手前にある土内集落に到着しても天気は良く、少し集落内を散策してみると、
どの家の方々も除雪作業に勤しんでおり、前日は大雪だった事が判る。
どうやら朝方になって晴れてきたらしい。
なんとも良いタイミングで晴れ間が訪れたものである。
こんなにも天気が良いのに、登山口調査だけで帰るのは勿体無い。
もう9時を過ぎてはいたが、行けるところまで行ってみよう、と思い立ち、
予定変更し火打岳まで登ってみる事にした。
土内集落から火打岳登山口までは約1.5Km程の林道歩き。
この日、林道上は除雪されてはいなかったが、定期的に除雪作業がされているようである。
道の両側には堆く雪が積もっているが、道路上の雪は少なく歩きやすい。
ラッセルする事無く火打岳登山口(富善新道口)まで到着し、無雪期と同じく吊橋を渡って
登山道へと向かった。
去年の秋、積雪期の下見を兼ねて、一度この登山道を訪れていた。
とにかく急登が続く登山道で、特に序盤の登りが厳しく、無雪期でもここを登るのは
大変だった記憶が有る。
今はその急斜面に豊富な雪が付いた事で、更に傾斜は厳しくなっており、
下からその真っ白な斜面を見上げると、思わずため息が出そうな斜度である。
雪が深いのでワカンを履いて登り始めるも、そのあまりの急斜面に滑落の危険を感じ、
ワカンでは無理、と判断。ピッケルとアイゼンに換装した。
雪の状態もあまり良くない。
雪が深いのでキックステップで足場を作りながら登って行くが、時々大きく踏み抜いた。
踏み抜いた拍子にバランスを崩し倒れこんでしまえば、そのまま滑落に繋がりそうな位に
傾斜は急なので、足場選びには神経を使う。
プレッシャーのかかる登りがしばらく続いた。
積雪期にこの尾根を登る人はあまり居ないようで、事前にネットで調べてはみたが、
1月〜3月の雪深い時期の記録は見つからなかった。
確かに、積雪期はあまり利用したくない道であり、登山者が訪れないのも理解できた。
だが、この急登を登りきれば傾斜は緩んで楽になり、尾根の形状に沿って進んで行くが、
風で雪が吹き飛んでいる場所が多く歩きやすい。
もちろん、重いラッセルになる場所もあり、豪雪の山である事を思い知らされるが、
青空は変わらず見えており、天気が崩れる気配は無い。
山は和やかな雰囲気に包まれており、眺望はあまり開けないが、立ち並ぶ木々の雪纏う姿
は見事なもので、登るにつれてその白さは増してくる。
やがて周囲は真っ白な霧氷の森に包まれて、その光景は先の急登での苦労が報われるような
素晴らしい光景だった。
なだらかな登りがしばらく続いた後は、再び急登。
ここも長い区間に渡って急登が続いたが、序盤の急登に比べれば雪付きが
しっかりしており登りやすい。
ただ、こちらは深雪ではなく、硬いクラスト斜面。
最も傾斜が厳しい場所ではアイゼンの前爪で登らなければならないので、
先の急登とはまた違ったタイプの難所であった。
その急登を登りきれば、後は困難な箇所は無かった。
西火打岳・火打岳へと続く尾根に移り、最後に硬くクラストした斜面を登り、
火打岳の山頂に到着。
そこからは、神室連峰の真っ白な稜線が明瞭に見えた。
火打岳山頂からの眺めは、絶景、の一言。
神室連峰は、「みちのくアルプス」と呼ばれているそうだが、
なるほど・・・、確かにそう見える。
秋に訪れた時は樹木で覆われた青々とした稜線だった為、アルプスと言われても
ピンと来なかったが、今の真っ白な稜線の眺めは、日本アルプスの何処かの稜線、
と言われてもなんら違和感は無い。
もう少し場所を絞るなら、北アルプスの稜線に近いような印象を受ける。
神室山へと続く稜線は、まるで北アの稜線のようにアップダウンが激しく見えて、
火打岳北峰の細尾根、そしてその先に控える急な下降路は、遠くから眺めているだけでも
難所の気配を感じさせる。
“果たして、あの稜線を越えられるだろうか・・・?”
いずれ歩くであろう、その稜線を眺めながら、しばらくイメージトレーニングをしてみた。
風は穏やかで、いつまでもその眺めを見ていたかったが・・・
登山開始が遅かったので、時間はもう遅い。
名残惜しく思いつつ、またいずれ訪れるであろう、白い稜線の眺めを目に焼き付けてから、
火打岳を後にした。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
1つは待ちに待った週末の好天日に用事で山に行けなかった事。
モウ1つはLuskeサンのレコを見て、又一つ登りたい山が増えてしまったこと。
兎に角近場の山に飽きてから吾妻なり神室に向かう事にして、なるべく情報を閉ざしていたつもりなのに、こんなの見せられたら何処を優先で狙うか考えて居る内に雪が融けてしまいそうだ。
自分でも登れる山を、ステップアップしながら気長に考えるしか無いのでしょうが。
処で、このアドバイスいただいた八方平避難小屋泊も実現していないのに、又質問で申し訳無いのですが、大井沢から登る[赤見堂岳]Luskeサンは攻略済みでしょうか?この山も夏道の無い冬限定の山と聞かされてあこがれているのですが、毎冬計画倒れで足踏みしています。
何かアドバイス貰えればありがたいのですが。
これからの時期、晴天率も上がる事で、行ける山が増えてくるのが嬉しいところですね。
でも、行ける山が増える事で選択も増えて困りそうですね。
神室連峰の真っ白な稜線、今回、私は初めて見ましたが、それは素晴らしい景色でした。
豪雪の神室連峰なだけあって一筋縄ではいきませんが、yuufunさんにも是非見て頂きたい山岳風景であります。
赤見堂岳、私もまだ登った事はありません。
残雪期に登る人が多く、人気の山のようですが、同じく毎回計画倒れです。
東尾根からの登頂を何度か計画した事がありまして、今期こそは、と密かに考えてはいるのですが・・・
今回の神室連峰に、大朝日岳、以東岳、鳥海山、等々。
残雪期に行きたい山が多すぎて、今期も行けるかどうか、微妙なところです^^;
こんな快晴な日だったら登頂できなくても行けるところまで行こうという気になりますね。それにしても、本当にきれいな景色です。東北は晴れるとこんな景色がみれるのですね。神室は夏に伺ってみたいと思っていますが、実力がついたら冬のすごく条件のいい時にいってみたいです。
趣味の「直登」 よくわかります
自分も同様です。Luskeさんほどの実力はありませんが
しばらくちょくちょくとレコにお邪魔してゆっくり快晴のお山を見せていただきたいと思います。
この日は、今年に入って二番目位に恵まれた天候の山行でした。
(一番は、南蔵王の屏風岳に登った時かな。)
厳冬期の東北の山で、このような山日和に恵まれる事は稀なので、
とても貴重な一日でした
夏の神室連峰も、きっと素晴らしい眺望でしょうね。
でも・・・夏は冬以上に過酷かも?
と、言いますのも、私、昨年の秋に初めて神室連峰に登ったのですが、
その暑さでバテバテでした
低山ゆえに稜線上でも気温が高く、樹木が生い茂っているので、あまり風が抜けてこない。
アップダウンも激しい稜線なので、秋であっても暑さが辛くて大変でした。
秋でもこれだけ暑いのだから、夏だったらどれほど過酷になるか・・・
真夏に登る山としては、飯豊、朝日よりも過酷な山だと思いましたよ^^;
夏に訪れる際は、熱中症対策をオススメします!
Luskeさん、こんにちは。
今朝訪問させていただきましたが、あまりに美しい画像を堪能しているうちに始業時間となってしまったので再訪させていただきました。
稜線ももちろん絶景ですが、17〜20番も最高に綺麗ですね。
特に19番など、バックの青空と相まって見とれてしまいました。
また、とても読みやすい文章のレコでいつもながら関心してしまいます。
#ちなみに、荒川岳のレコに書かせていただいたコメントの返信ですが、
自分の単車は15年物のZRX1100です。
それでは失礼します。
19番の写真は、我ながら良く撮れたと思っております。
被写体が良いので、誰が撮っても良く撮れる、とは思いますが(笑)
この写真を撮ったあとは、しばらく空を眺めながらぼ〜としてました。
いつまで眺めていても見飽きない、美しい森でしたよ。
やはり、ZRX1100でしたか。
カワサキカラーのZRXは、いかにも漢のバイク、という感じで山男にピッタリのバイクな気がします。
15年物、という長期に渡って乗り続けているなると、メンテナンスもしっかりなされているのでしょうね。
私も見習いたいものです。
あまりまめにメンテしないので、私のハーレーは、あちこちサビだらけで・・・
冬季は乗れないので、ずっと放置気味ですが、春になったらどうなっている事やら
春の訪れが、少し怖いです^^;
同じです
真っ白なクリームのような神室連峰の景色、堪能させていただきました。
綺麗でしたね〜。
青空最高!!
お、metaさんだけじゃなく、waqueさんも直登マニアでしたか(笑)
同じ趣味の方がいて嬉しいものです
迷ったら直登、がモットーでして、
就職活動をするような年ではありませんが、いつか履歴書に、
「趣味:直登」、と書いて提出してみたいものです
青空最高です
これからの時期は、晴天率も上がりそうでなので、今週末も期待したいところです。
でも、現時点での天気予報は微妙。。。
今回のような奇跡は2度続かないでしょうから、今週末は沈殿でしょうか
はじめてコメントします。いつもすばらしいレコ拝見させていただいてます。
あの日私達はお隣の大尺山へ登りました、タイミングが合えば火打岳山頂と大尺山山頂でご挨拶出来たかも? まさにあの日は「The day」でしたね。
前日まで前も見えない位の猛吹雪だったのが、快晴になったのはラッキーでした、
やはり神室連峰〜魅力的ですね!!!
今後も静かな山歩きが出来る神室連峰よろしくお願いします。
大尺山は、火打岳のお隣なので、タイミングが会えば、
きっと山頂からkenzowindowさん達の姿が見えたでしょうね。
山頂から御挨拶してみたかったものです
お互い良い日に登りましたね
山中では人の姿は全く見かけなかったので、
“こんな天気の良い日に誰も登らないなんて、実に勿体ない。”
と、思ってましたが、同じくあの美しい景色を御覧になられた方々が居た事を知り、
とても嬉しく思います。
神室連峰に登ったのは今回が2度目で、まだ新参者ではありますが、
この山とは、これから長い付き合いになりそうです。
季節をかえ、年を重ねて、この長大な神室連峰を歩いてみたいと思います。
先週の裏神室を歩いた雪の具合からもう春だなと思っていましたが、あれから下界でも毎日のように雪が降ったんですよね
40〜50cmくらいは新雪積もってませんでしたか?
渡渉点からあの急斜面の尾根をよく突破されましたね。
それにしてもお天気誤算の日曜日でした。
僕は青い空を横目に泣いて仕事してましたよ
いつも雲に隠れて見えない神室の尾根が珍しくクリアーに見えました
まさかLuskeさんがいらしゃっていたとは
春分の日あたりが楽しみですね
皆さん、この日の快晴は想定外だったのでは無いかと思います。
今回は運に恵まれました。
登山口調査だけの予定でしたが、念の為、道具一式持参したのは大正解でした
これだけ晴れる週末は珍しいでしょうから、仕事だったりしたら泣けてきますね。。。
増税前のお忙しい時期、お仕事ご苦労様です。
確かに、40〜50cm位は新雪がありました。
特に最初の登りが雪深く、傾斜のきつさもあって大変でした 。
下りも結構大変で、ザイルが必要とまでは思いませんでしたが、
緊張しながら下って参りました
でも、その苦労に見合うだけの大展望であり、初めて目にした真っ白な神室連峰は、
想像以上に素晴らしい世界でした。
残雪期に訪れるのが楽しみです。
もしかしたら、その時にtooleさんにお会いできるかもしれませんね
こんばんわ、Luskeさん
山行のタイトルみて、
さすがLuskeさん!あの予想天気図から快晴を読み切って
山行を計画したんだぁ!すごいなぁ、
と感心しながらレコを読みはじめたら、あれれ?下見??
思わず微笑んでしまいました。
南屏風か後烏帽子を狙っていましたが、
私は(も)、強風に視界不良と予測して、里で雑用こなしてました。
快晴の蔵王連峰を横目で見ながら……
泣いたりしませんって!
チャンスはまだまだ
この日の晴天は、全くの予想外でした。
晴れるとは全く考えて居なかったので、新庄市から神室連峰が見えた時は、
奇跡だ、と思ってしまいました
殆どの方は、この日の晴天は予想外だったようで、レコを拝見させて頂くと、
朝になって急いで登山準備した方も多かったみたいですね。
蔵王連峰も天気が良かったみたいですから、
snafkinさん、気が気では無かったのではないでしょうか
春が訪れ、少しづつ黒くなってくるかもしれませんが、
まだまだ雪の蔵王、楽しめそうです。
再びチャンスが訪れると思いますので、
その際は、ぜひ南蔵王の真っ白な東面を間近で御覧下さい!
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する