八ヶ岳・横岳、硫黄岳



- GPS
- 32:00
- 距離
- 17.4km
- 登り
- 1,358m
- 下り
- 1,361m
コースタイム
6:00赤岳鉱泉‐6:40行者小屋‐7:30地蔵の頭‐8:50横岳‐10:00硫黄岳‐11:50赤岳鉱泉‐12:00美濃戸口
天候 | 快晴翌日晴れ後曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
美濃戸まで入る予定だったが道路が氷結していたため美濃戸口に駐車し登山開始。1日目は赤岳鉱泉までなのでゆっくり景色を楽しみながら歩く。翌日、地蔵尾根はいつもより雪が多く稜線直下のナイフリッジは慎重に通過する。地蔵の頭についたときは強風となり、横岳までは岩陰で休みながらの前進となる。さらに横岳から硫黄の間は猛烈な風で危険を感じながらなんとか硫黄岳までたどり着く。その後、樹林帯に入ると、そよ風に代わり気持ちよく下山した。 |
写真
感想
「アイゼン、ピッケル、目出し帽、ゴーグルの冬完全装備で雪山を楽しみたい」の声に応え、八ヶ岳・横岳から硫黄岳の縦走を計画した。「ヤマレコ」を見ると、日帰りで登る健脚者もいるが、我々は2日かけてテント泊でじっくり雪山を楽しむことにした。
1日目は赤岳鉱泉までの行程なのでゆっくり出発し、美濃戸口の駐車場に10時半着。予報では2日間天気が良いためか駐車場は満杯で、かろうじて狭いスペースに潜り込む。10名ほどのパーテーが続々出発していく。小屋やテン場は混雑が予想されたが、何とかなるだろうとゆっくり車道を歩き始める。先の大雪で周りは3月とは思えない雪景色が続く。分岐点からさらに南沢を行くと、マシュマロのような雪で覆われた渓流沿いを歩くようになり、風情ある雪山の情景となった。鉱泉手前まで来ると、急に横岳・大同心が目の前に飛び込んで、みんな歓声を上げた。赤岳鉱泉は、予想通り多くの人が食事をしたり景色を楽しんだりしていた。まずは3張り分のスペースを確保しテント設営する。その後しばらくゆったりした後、日差しがあるうちに外で宴会の準備をしようとそれぞれ持参した酒やつまみを出し始める。すると、一人がザックから直径30センチほどの「土鍋」を取り出し、そこに仕込んだ鶏肉や白菜、ねぎ、ウインナなどを入れ「鍋パーテー」の準備をした。これにはみんなビックリ。と同時に、臭いがしてくると「美味しそう」に変わった。「さあ皆さん、どうぞ!」の声を待って早速いただく。白銀の最高のロケーションの中、美味しい酒と「フーフー」言って食べる鍋物は絶品で、ついみんなで「まいう〜」・・・。その後、八ヶ岳連峰が黄金色に染まりだすと、テントだけでなく小屋の人も外に出てきて数分間の「SHOW 」を堪能した。
朝3時、他テントの出発準備の音でつい目が覚めてしまう。外は月の光が明るく星の光は消されていた。天気は良さそうだ。6時出発。まず、行者小屋へ向かい、小屋から地蔵尾根へ取り付く。傾斜が強くなり、滑落の危険がある箇所では気を引き締め慎重に登る。最後の雪のナイフリッジを通過し、岩稜をよじ登ると「地蔵の頭」に出て、顔にエビの尻尾をつけたお地蔵様と対面する。稜線は半端な風ではなかった。この強風で、赤岳目指した登山者も引き返してきた。我々も少し躊躇したが、風はあるものの天候の崩れはないと判断し前進を決める。西側から吹き付ける強風を岩陰で避けて、呼吸を整えての前進となる。さらに雪稜の登攀は確実なピッケル・アイゼンワークで進む。いくつかのピークを超えて横岳へ着くと、皆で登頂の握手を交わす。360度のパノラマは言葉が出ないほど素晴らしかった。南ア、中央ア、乗鞍、北ア、蓼科・霧が峰、頚城山塊、浅間山、奥秩父など日本の屋根の全貌が望めた。しかし、相変わらずの強風でゆっくりはできない。しかも、山頂直下の下りは「核心部」で細心の注意が必要だ。垂直に近い雪のクライムダウンや幅30cmほどの岩稜は四つん這いで確実に通過する。難所を過ぎると今度は硫黄岳までの強風との戦いとなる。普段でも風が強いこのコースは、今日は最高レベルの「狂風」となって我々を襲った。鞍部の硫黄山荘周辺(デスゾーン)は特に強く、バランスを崩すと数メートル飛ばされた。「突風」なら風が弱まる瞬間を狙って進めば良いが、終始吹く強風には通用しない。覚悟を決めて、何度も倒れながら、風と戦い進むしかない。硫黄岳直下は雪の斜面となり、今度は地吹雪となる。舞い上がった雪が顔を容赦なく叩きつけるが、先ほどの強烈さはない。遭難対策で設置したいくつかのケルンを目印に必死で進み、やっと硫黄岳山頂に着く。広々とした山頂は誰も人がいなかった。写真数枚とって即下山すると、緩やかになった風が「心地良い」と思うくらいだった。狂風との戦いですっかり力を使い果たした足を労わりながら、ゆっくりテン場に向かった。下山途中、ふと見上げる八ヶ岳連峰は、雪煙を上げて、簡単には人を寄せ付けない「魔の山」に豹変していた。
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