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Yamareco

記録ID: 4366879
全員に公開
沢登り
大峰山脈

下多古川沢登り→山上ヶ岳→洞川温泉

2022年06月04日(土) 〜 2022年06月05日(日)
 - 拍手
体力度
6
1〜2泊以上が適当
GPS
10:15
距離
23.6km
登り
2,417m
下り
2,129m
歩くペース
速い
0.70.8
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

1日目
山行
6:05
休憩
1:11
合計
7:16
9:45
14
スタート地点
9:59
10:09
28
10:37
10:45
13
10:58
11:25
215
15:00
15:06
37
15:43
16:01
9
16:10
16:11
0
16:11
16:11
26
16:37
16:37
8
16:45
16:45
14
16:59
17:00
1
17:01
2日目
山行
2:42
休憩
0:17
合計
2:59
4:02
21
4:23
4:25
30
4:55
5:00
27
5:27
5:28
17
5:45
5:53
28
6:47
6:47
8
6:55
6:55
5
7:00
7:01
0
7:01
ゴール地点
天候 はれ
過去天気図(気象庁) 2022年06月の天気図
アクセス
利用交通機関:
電車 バス
行き:大和上市駅0830→下多古0930(R169ゆうゆうバス)
帰り:洞川温泉0725→下市口駅0835
コース状況/
危険箇所等
下多古川:琵琶滝の巻きはそれなりに急、自信がなければ滝見道まで戻る方がよいかも?他は巻き道はだいたいテープやら虎ロープがついていた。長尾八丁の取り付きには何も目印はなかった(まあ、地形的特徴から見落とすことはないだろうが……)
大峰主稜線:時間の問題だろうが、洞辻茶屋→山上ヶ岳の区間は降りてくる参拝客とめっちゃ離合した。
その他周辺情報 洞川温泉は11時オープンなんですね……
ひさびさの公共交通機関登山、降り立ちますは大和上市駅
2022年06月04日 08:22撮影 by  802SO, Sony
6/4 8:22
ひさびさの公共交通機関登山、降り立ちますは大和上市駅
からR169バスで下多古に降り立ちます。ダムの水位は低めで水量が少し心配
2022年06月04日 09:29撮影 by  802SO, Sony
1
6/4 9:29
からR169バスで下多古に降り立ちます。ダムの水位は低めで水量が少し心配
林道の最奥から滝見道へ
2022年06月04日 09:59撮影 by  802SO, Sony
6/4 9:59
林道の最奥から滝見道へ
すぐに入渓
2016年01月01日 09:04撮影 by  HERO7 Black, GoPro
1
1/1 9:04
すぐに入渓
水に穿たれた岩
2016年01月01日 09:09撮影 by  HERO7 Black, GoPro
5
1/1 9:09
水に穿たれた岩
天気に恵まれ水が気持ちいい!
2016年01月01日 09:17撮影 by  HERO7 Black, GoPro
2
1/1 9:17
天気に恵まれ水が気持ちいい!
降り注ぐ日差しは緑色
2016年01月01日 09:19撮影 by  HERO7 Black, GoPro
1
1/1 9:19
降り注ぐ日差しは緑色
2016年01月01日 09:25撮影 by  HERO7 Black, GoPro
1
1/1 9:25
2段ナメ滝、水流際を進む
2016年01月01日 09:30撮影 by  HERO7 Black, GoPro
1
1/1 9:30
2段ナメ滝、水流際を進む
その上の10m滝、これは巻く
2016年01月01日 09:33撮影 by  HERO7 Black, GoPro
3
1/1 9:33
その上の10m滝、これは巻く
左岸から滝見道が橋を架ける
2016年01月01日 09:43撮影 by  HERO7 Black, GoPro
1
1/1 9:43
左岸から滝見道が橋を架ける
滝見道を分けて谷中を進む
2016年01月01日 09:46撮影 by  HERO7 Black, GoPro
3
1/1 9:46
滝見道を分けて谷中を進む
緑の天井が途切れて見えてきたのは
2016年01月01日 09:50撮影 by  HERO7 Black, GoPro
1/1 9:50
緑の天井が途切れて見えてきたのは
琵琶滝!
2016年01月01日 09:55撮影 by  HERO7 Black, GoPro
3
1/1 9:55
琵琶滝!
青空に映える!
2016年01月01日 09:57撮影 by  HERO7 Black, GoPro
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1/1 9:57
青空に映える!
直下!
2016年01月01日 10:02撮影 by  HERO7 Black, GoPro
4
1/1 10:02
直下!
横から見ると堂々としている
2016年01月01日 10:05撮影 by  HERO7 Black, GoPro
3
1/1 10:05
横から見ると堂々としている
右岸ルンゼのこの小滝の横を登る、けっこう急
2016年01月01日 10:06撮影 by  HERO7 Black, GoPro
1/1 10:06
右岸ルンゼのこの小滝の横を登る、けっこう急
よく見る滝見道の祠
2016年01月01日 10:21撮影 by  HERO7 Black, GoPro
1
1/1 10:21
よく見る滝見道の祠
落ち口!
2016年01月01日 10:22撮影 by  HERO7 Black, GoPro
1
1/1 10:22
落ち口!
50m下が見える。これ以上は怖くて寄れない
2022年06月04日 11:37撮影 by  802SO, Sony
3
6/4 11:37
50m下が見える。これ以上は怖くて寄れない
中の滝までの間は右岸に巨大岩壁(壊れた蜂の巣があった……)
2016年01月01日 10:30撮影 by  HERO7 Black, GoPro
1
1/1 10:30
中の滝までの間は右岸に巨大岩壁(壊れた蜂の巣があった……)
小ゴルジュ様、突っ張りなどで越えていく
2016年01月01日 10:35撮影 by  HERO7 Black, GoPro
1
1/1 10:35
小ゴルジュ様、突っ張りなどで越えていく
木々の間から中の滝
2022年06月04日 11:56撮影 by  802SO, Sony
3
6/4 11:56
木々の間から中の滝
接近
2022年06月04日 12:00撮影 by  802SO, Sony
2
6/4 12:00
接近
中の滝40m、こちらは落ち口が日陰なのもあってしっとりとした感じ
2016年01月01日 10:52撮影 by  HERO7 Black, GoPro
5
1/1 10:52
中の滝40m、こちらは落ち口が日陰なのもあってしっとりとした感じ
巻きはかんたん
2016年01月01日 11:07撮影 by  HERO7 Black, GoPro
1
1/1 11:07
巻きはかんたん
落ち口2
2022年06月04日 12:23撮影 by  802SO, Sony
6/4 12:23
落ち口2
中の滝の上は癒し空間、緑と青と水の世界
2016年01月01日 11:12撮影 by  HERO7 Black, GoPro
2
1/1 11:12
中の滝の上は癒し空間、緑と青と水の世界
最高??
2016年01月01日 11:20撮影 by  HERO7 Black, GoPro
1
1/1 11:20
最高??
どんな滝よりも美しい色合いかもしれない
2016年01月01日 11:27撮影 by  HERO7 Black, GoPro
3
1/1 11:27
どんな滝よりも美しい色合いかもしれない
角千本淵
角材が千本入るから……?
2016年01月01日 11:31撮影 by  HERO7 Black, GoPro
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1/1 11:31
角千本淵
角材が千本入るから……?
水際直答
2016年01月01日 11:34撮影 by  HERO7 Black, GoPro
1
1/1 11:34
水際直答
小さな城壁のような2段小滝
2016年01月01日 11:48撮影 by  HERO7 Black, GoPro
1/1 11:48
小さな城壁のような2段小滝
城壁2
2016年01月01日 11:53撮影 by  HERO7 Black, GoPro
1
1/1 11:53
城壁2
実はこっちが角千本淵なのかしら。
2016年01月01日 11:58撮影 by  HERO7 Black, GoPro
1/1 11:58
実はこっちが角千本淵なのかしら。
流木アスレチック
2016年01月01日 12:03撮影 by  HERO7 Black, GoPro
1
1/1 12:03
流木アスレチック
直答天国
2016年01月01日 12:05撮影 by  HERO7 Black, GoPro
1/1 12:05
直答天国
左岸にかなり威圧感のある岩壁を従えた小滝が出現!
これが木の葉入らずの淵?
2016年01月01日 12:07撮影 by  HERO7 Black, GoPro
1
1/1 12:07
左岸にかなり威圧感のある岩壁を従えた小滝が出現!
これが木の葉入らずの淵?
実は奥にさらにもう一段
かっこいい!
2016年01月01日 12:12撮影 by  HERO7 Black, GoPro
1
1/1 12:12
実は奥にさらにもう一段
かっこいい!
左岸のルンゼを登ると意外とさくっと越せる
2016年01月01日 12:15撮影 by  HERO7 Black, GoPro
1/1 12:15
左岸のルンゼを登ると意外とさくっと越せる
ISHIGAKI
2016年01月01日 12:24撮影 by  HERO7 Black, GoPro
1/1 12:24
ISHIGAKI
光を全面に受けるナメ滝
2016年01月01日 12:26撮影 by  HERO7 Black, GoPro
1/1 12:26
光を全面に受けるナメ滝
谷幅いっぱいを塞ぐかのようなオーバーハングの岩が!
2016年01月01日 12:31撮影 by  HERO7 Black, GoPro
2
1/1 12:31
谷幅いっぱいを塞ぐかのようなオーバーハングの岩が!
その間から吹き出す水流、洞窟の中のよう
2022年06月04日 13:46撮影 by  802SO, Sony
1
6/4 13:46
その間から吹き出す水流、洞窟の中のよう
上は絶好のテンバだった
2016年01月01日 12:48撮影 by  HERO7 Black, GoPro
2
1/1 12:48
上は絶好のテンバだった
1180m二俣、あばよ楽しかったぜ下多古川。
2016年01月01日 12:53撮影 by  HERO7 Black, GoPro
1/1 12:53
1180m二俣、あばよ楽しかったぜ下多古川。
見上げると眩しい。
2016年01月01日 13:11撮影 by  HERO7 Black, GoPro
1
1/1 13:11
見上げると眩しい。
これが長尾八丁の尾根だ!
ピンテの類いすらなく原初の姿を保っている(推定)
2016年01月01日 13:13撮影 by  HERO7 Black, GoPro
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1/1 13:13
これが長尾八丁の尾根だ!
ピンテの類いすらなく原初の姿を保っている(推定)
近くて遠い主稜線
2016年01月01日 13:28撮影 by  HERO7 Black, GoPro
1
1/1 13:28
近くて遠い主稜線
ようやっと主稜線に這い出て山上ヶ岳方面を目指す
2022年06月04日 15:40撮影 by  802SO, Sony
2
6/4 15:40
ようやっと主稜線に這い出て山上ヶ岳方面を目指す
洞辻茶屋
2016年01月01日 14:29撮影 by  HERO7 Black, GoPro
1
1/1 14:29
洞辻茶屋
有人で食べ物とかも売ってるとは驚き
2022年06月04日 15:42撮影 by  802SO, Sony
1
6/4 15:42
有人で食べ物とかも売ってるとは驚き
山上ヶ岳へ進む、クサリ場(イージー)
2022年06月04日 16:24撮影 by  802SO, Sony
6/4 16:24
山上ヶ岳へ進む、クサリ場(イージー)
なんかの門
2022年06月04日 16:37撮影 by  802SO, Sony
1
6/4 16:37
なんかの門
宿坊群が見えてきた
2022年06月04日 16:40撮影 by  802SO, Sony
1
6/4 16:40
宿坊群が見えてきた
これがあの吊るされる崖らしい。
今回私はただの登山者なので……
2022年06月04日 16:44撮影 by  802SO, Sony
1
6/4 16:44
これがあの吊るされる崖らしい。
今回私はただの登山者なので……
なんかの門2(門が多過ぎてどれがなにの門かわからん)
2022年06月04日 16:54撮影 by  802SO, Sony
6/4 16:54
なんかの門2(門が多過ぎてどれがなにの門かわからん)
到着、大峰山寺
2022年06月04日 16:59撮影 by  802SO, Sony
1
6/4 16:59
到着、大峰山寺
うおお!この眺めはすげえ!
2016年01月01日 15:48撮影 by  HERO7 Black, GoPro
1
1/1 15:48
うおお!この眺めはすげえ!
とりあえず三角点踏んどこ。
2022年06月04日 18:45撮影 by  802SO, Sony
6/4 18:45
とりあえず三角点踏んどこ。
八経ヶ岳方面、右は大日と稲村(大日はこのへんだとどっから見てもすぐにわかる)
2022年06月04日 18:49撮影 by  802SO, Sony
2
6/4 18:49
八経ヶ岳方面、右は大日と稲村(大日はこのへんだとどっから見てもすぐにわかる)
ビューティフォーサンセット……
2022年06月04日 18:49撮影 by  802SO, Sony
2
6/4 18:49
ビューティフォーサンセット……
これが明日降りる道やな。
2022年06月04日 18:50撮影 by  802SO, Sony
6/4 18:50
これが明日降りる道やな。
日本岩から見る、これぞ深山という光景
これだけでも見に来る価値はあるぞ……
2022年06月04日 18:52撮影 by  802SO, Sony
3
6/4 18:52
日本岩から見る、これぞ深山という光景
これだけでも見に来る価値はあるぞ……
さて、つぎのひ、夜中から一人でハイテンション行動中
2022年06月05日 03:28撮影 by  802SO, Sony
2
6/5 3:28
さて、つぎのひ、夜中から一人でハイテンション行動中
日本岩に再びやってきた。夜景すげえ!大阪方面の明るさもすげえ!
2022年06月05日 03:34撮影 by  802SO, Sony
3
6/5 3:34
日本岩に再びやってきた。夜景すげえ!大阪方面の明るさもすげえ!
さて降りるか。
目指すは洞川7時半の始発バス。
2022年06月05日 04:03撮影 by  802SO, Sony
1
6/5 4:03
さて降りるか。
目指すは洞川7時半の始発バス。
結構急なのである。
2022年06月05日 04:18撮影 by  802SO, Sony
1
6/5 4:18
結構急なのである。
これが女人結界ですね
よく考えたら五番関に女人結界があったはずなので山上ヶ岳の門たちは女人結界ではないな。
2022年06月05日 04:22撮影 by  802SO, Sony
1
6/5 4:22
これが女人結界ですね
よく考えたら五番関に女人結界があったはずなので山上ヶ岳の門たちは女人結界ではないな。
見下ろすレンゲ辻
こっから犬取谷へ降下できるというのは本当なのか……?
2022年06月05日 04:25撮影 by  802SO, Sony
1
6/5 4:25
見下ろすレンゲ辻
こっから犬取谷へ降下できるというのは本当なのか……?
夜も明けてきたね。
2022年06月05日 04:42撮影 by  802SO, Sony
6/5 4:42
夜も明けてきたね。
稲村小屋に到着
2022年06月05日 04:56撮影 by  802SO, Sony
1
6/5 4:56
稲村小屋に到着
テント村になっていた。
2022年06月05日 05:00撮影 by  802SO, Sony
1
6/5 5:00
テント村になっていた。
すっ飛ばして法力峠
2022年06月05日 05:45撮影 by  802SO, Sony
1
6/5 5:45
すっ飛ばして法力峠
さらに飛ばして何とか鍾乳洞
2022年06月05日 06:28撮影 by  802SO, Sony
1
6/5 6:28
さらに飛ばして何とか鍾乳洞
こういうモノラック、一度でいいので乗ってみたい
2022年06月05日 06:31撮影 by  802SO, Sony
1
6/5 6:31
こういうモノラック、一度でいいので乗ってみたい
早朝の洞川温泉に到着
2022年06月05日 06:52撮影 by  802SO, Sony
1
6/5 6:52
早朝の洞川温泉に到着
バス停でひといき
余裕を持っての到着だった
2022年06月05日 07:01撮影 by  802SO, Sony
1
6/5 7:01
バス停でひといき
余裕を持っての到着だった
洞川温泉だったか下市口だったかのツバメちゃん
2022年06月05日 08:42撮影 by  802SO, Sony
3
6/5 8:42
洞川温泉だったか下市口だったかのツバメちゃん
2016年01月02日 03:58撮影 by  HERO7 Black, GoPro
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1/2 3:58

感想

そろそろ梅雨の足音も近づいてきた6月頭の週末。日曜夕から雨模様だが土曜は晴れということで、土曜日沢登りからの日曜日は降りるだけって感じでどっか行けんかなあと探して見つかったのがこの下多古川。一般的には二つの大滝を見て帰る人が多いようだが、沢は最後まで歩いて稜線に抜けるのが好きな自分にとってはこれは大峰主稜線まで歩き通すべき物件である。というわけで、吉野川から洞川温泉まで抜けるプランで今回はバイクではなくバスの乗客となって一路奈良へと向かった。
下多古バス停から入渓地点までは約5km、標高差300mの林道歩き……のはずだったが、1kmほど歩いたところで途中にある湧き水を汲みに来ていた方の車に乗せてもらううれしい誤算で3kmほどを短縮できた。地形図707付近で沢装備に着替えていざ入渓。しばらくはジャバジャバと水の中を進み、10m級のナメ滝と直瀑を過ぎたあたりで滝見道が接近してくるが、橋を架けて右岸に渡ってからはまた離れていく。その後は谷幅の広いゴーロとなり、緑色の木漏れ日を受けながら進んでいく。やがて上空が開けて青色が見えてきたらそこが琵琶滝だった。一度中段で腰を折りつつも途切れることなく水線を見せるその姿は迫力のある大滝という感じだった。
滝の右岸にはルンゼが小滝をかけていてそのすぐ横を登っていく。木の根っこをフル活用してよじ登るなかなかアクロバティックな巻きだった。よくネットで紹介されている祠より上流側に抜けたのでもしかしたら普通の巻き道と違うところを通ってしまったのかもしれない。まあなんしか、自信がなければ滝見道まで戻ったほうがいいんじゃないかという程度には急だった。
巻いた先は吉野川の対岸まで見渡せるよい落ち口だった。ビビりながら滝下を見下ろすいつものやつをやってから再び歩を進める。右岸側に岩壁が発達した雰囲気ゴルジュ区間を進み、次に姿を現すのは中の滝。こちらは迫力は琵琶滝には劣るものの、優雅な感じのまた違った顔を見せ、いつまでも眺めていられるタイプの名瀑だった。この巻きは少し戻って適当にテープを拾いながら進めば滝見道の続きに乗って容易に中の滝落ち口へと進むことができた。
中の滝の先は一転、癒やしの原生林の沢となる。新緑を通してあまりに優しい日の光が降り注ぐ中進んでいく。あまりに気持ちいいのでときどき釜で全身を沈めたりするがさすがにそれはまだ寒かった。やがて大きな淵(角千本淵?)が現れるが、これは水流沿いをそのまま登る。ここから小さな城壁のような小滝が連続するがいずれも容易に巻いたり直登したりでそこまで難しくなく、むしろ良いアクセントになっていて楽しいくらいだった。
やがて左岸になかなかいかつい岩壁が出てくると木の葉入らずの淵。入り口の5mに加え、奥には10mくらいの滝が姿を潜めている。一見左岸の岩壁は要塞のようでとりつく島もないように見えるが、最初のルンゼを這い上るとあっさりと上へ抜けられた。
そこから少し進むと今度は谷全体を塞ぐようにオーバーハングしたクラが現れた。水流はそのクラの真ん中に空いた穴から流れ出てきており、一見洞窟の中の滝のように見える。まあ、これ自体は実はそこまで珍しいことではないがオーバーハングしたクラの中から出てくるというのはけっこう迫力のある光景だった。このクラ、谷幅いっぱいに鎮座していて一見越す手段がないように見えるが少し戻った左岸から簡単に越せる(こんなとこにまで虎ロープを設置するのはやりすぎな気が)。上から見るとザックが入るかどうか程度の大きさの小穴であり、ここをブルーシートかなんかで塞いだらクラの上から水がこぼれてくるのだろうか……なんて考えたりした。このクラの上は絶好のテント場であり、これなら入渓を遅らせてここで泊してもよかったな……とも思った。
そこからすぐで1180mの二俣、ここで谷を離れ真ん中の長尾八丁という尾根に取り付く。名前がついているほどならテープとか踏み跡とかあるんやろなあと思っていたら見事に何もなかった。原始の姿をとどめている(推定)小尾根を大峰主稜線へ向けて登っていく。ここで初めて尾根の登りになったからか、テント泊のザックが意外に重いことに気づく。左足首の不調を理由に5月ダラダラしまくっていた身には堪え、大峰主稜線への300m足らずの登りに50分を要してしまった。
たどり着いた大峰主稜線も誰もおらず、広葉樹林のやさしい緑色の光だけがさしこむ空間だった。梅雨前の好天の休日というのにこれは寂しいなあと洞辻茶屋へ向かう。小さな登りでもすぐに脚が止まってしまうしんどさの中、ふと今日朝から9時間ほど何も食べていないことに気づく。洞辻茶屋でパンを食べることにして気合いで進む。洞辻茶屋に到達すると洞川温泉からの登山客(というか参拝客?)がいるわいるわ、皆洞川温泉から一本松茶屋経由で来ているらしい。山岳信仰とかそういうのはよく知らないが、白い衣を着たいわゆる修験道の格好をした人がかなりの数いるので少し驚いた。パンを食べると少し足取りも軽くなり、山上ヶ岳への最後の登りを進む元気も出てきた。大量の参拝客とすれ違いながら、Slow but steadyに山上ヶ岳へ進む。いくつかの小岩場を越えると傾斜が緩み、石碑やら何やらが大量に立ち並ぶエリアに到達。世界遺産大峰を訪れる外国人観光客とかこういうのすごい喜びそうだなと思いながら進むと前方に宿坊群が現れ、いよいよもって観光地のような雰囲気になってきたら大峰山寺、つまり山上ヶ岳へ到着。17時ジャストだったがもう境内には人の姿はなかった。
とりあえず三角点を踏みにいくと、素晴らしい眺めの笹原が広がっていた。手前の大日稲村、奥の八経ヶ岳へ続く稜線まで一望。さらに日本岩なる場所まで進むと、麓の天川川合まではっきりと望むことができた。陽もかたぶきつつある中でのこの景色はロケーションも合わさり最高だった。
さて、本日のお宿はいつもの相方、テントである。GPSログには載っていないが記憶の中では小笹宿まで進んでテントを張ったことになっているのできっとそうなんだろう。うん。ナニモヤマシイコトナンテナイヨ。
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日は変わって06/05日曜日、ひさびさにヘッデン山行がしたくなったので午前3時くらいにテントを撤収して歩き出す。夜はまだ獣たちの支配する時間帯、人間に許されるのはヘッデンの照らす数mの世界だけである。だがしかしそんな中で歩くからこそ他の何にも代えがたい、上質なお酒のように身に染み入る孤独が味わえるのだ。そしてその孤独の味と、テントを畳んで歩き出した瞬間の己の体力と気力が続く限りどこまでも進んでいけるかのような高揚感は比例する(何言ってんだこいつ)。
GPSログには載っていないが記憶の中で山上ヶ岳への登り返しを終え、日本岩に再びやってきた。北側に煌々と輝き夜空をも橙に染めるのは大阪平野、生駒だか金剛だかを挟んで奈良盆地もそれなりの光を放っている。近くへ目をやると山の中は真っ暗だが天川川合はわずかばかりの明かり、そして意外と近いところの明かりは洞辻茶屋?星を撮りに来た人にとってはただの光害だろうが、適当登山者と化した自分にはうわーすげー夜景だーって感じであった。実際星もかなり綺麗だった。
夜明けを待ってもよかったが、せっかくだから夜の山を味わいたさ半分、洞川温泉からの始発バスに間に合わせたさ半分でレンゲ辻方面へと下る。徐々に白みつつある空へ浮かび上がる山上ヶ岳のシルエットもなかなか美しい景色だった。男なのでレンゲ辻の女人結界を堂々と通過し、稲村小屋へのトラバース道へ乗る。この途中くらいでヘッデンがいらないくらいには夜が明けてきた。楽しみにしていた途中の水場はほぼ水が流れておらず、まあいいやといいながらアクエリアスを飲んで進む。稲村小屋は5張りほどのテントがありこんなことなら(記憶の中で)小笹にテントを張(ったことにせ)ずにここまでこれば良かったと思いつつ、次は犬取谷を登ってここでテント泊するのも悪くないなとポジティブシンキング。大日稲村はパスして法力峠へ歩を進めるが、もうぶっちゃけこのへんは完全に気楽な帰り道であり、早朝で人もいないのでクマよけということで適当に歌を歌いながら歩いていた。
法力峠を越え、鍾乳洞への分岐あたりで登ってくる白装束の一団とすれ違う。こんな早い時間から大変だなあ(ヘッデン山行してるやつの台詞ではない)。そして午前6時40分、稲村が岳登山口……と思いきや鍾乳洞へのモノラック駅に降り立って今回の山登りは終了となった。山上ヶ岳から2時間半の高速下山であった。
早朝の洞川温泉郷はさすがにまだ寝静まって……いるかと思ったら存外多くの人がうろうろしていた。11時オープンなので入浴は叶わず、もう今日は沢登erではないので川で汗を流すような蛮行にも及ばず、下市口へのバスへ揺られる身となったのだった。

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コメント

めちゃくちゃ楽しめたようですね!
時折ある変態ぷりは共感します笑
琵琶滝は沢登りの方しか拝めないと思ってましたが、遊歩道があるんですね!私も観に行こうかな。
山上ヶ岳での一泊も良いですね✨
泊まった者にしか味わえない感覚は最高ですもんね✌️
私も山上ヶ岳で一泊してみたいなぁ。
土の上より水の中の方が元気そうに感じるのは気のせいかな?笑
2022/6/6 23:14
crazytakkunさん
滝見道の様子はすべて見えた訳ではないですが、たぶん立間戸谷よりははるかに易しいと思いますよ!橋から谷中を10分くらい歩けば直下にも到達できますので、濡れてもかまわない靴でどうぞ笑
それはさておき、山上ヶ岳では泊まってませんよ(すっとぼけ)国立公園で宿坊の近くにテントなんて張っちゃだめですよ(棒読み)止む無く不時露営ならまだしも(建前)

水の中の方が元気に見えるのはシンプルにバテているだけの模様です……
2022/6/7 19:43
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利用交通機関: 車・バイク
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