下多古川沢登り→山上ヶ岳→洞川温泉
- GPS
- 10:15
- 距離
- 23.6km
- 登り
- 2,417m
- 下り
- 2,129m
コースタイム
- 山行
- 6:05
- 休憩
- 1:11
- 合計
- 7:16
天候 | はれ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
帰り:洞川温泉0725→下市口駅0835 |
コース状況/ 危険箇所等 |
下多古川:琵琶滝の巻きはそれなりに急、自信がなければ滝見道まで戻る方がよいかも?他は巻き道はだいたいテープやら虎ロープがついていた。長尾八丁の取り付きには何も目印はなかった(まあ、地形的特徴から見落とすことはないだろうが……) 大峰主稜線:時間の問題だろうが、洞辻茶屋→山上ヶ岳の区間は降りてくる参拝客とめっちゃ離合した。 |
その他周辺情報 | 洞川温泉は11時オープンなんですね…… |
写真
感想
そろそろ梅雨の足音も近づいてきた6月頭の週末。日曜夕から雨模様だが土曜は晴れということで、土曜日沢登りからの日曜日は降りるだけって感じでどっか行けんかなあと探して見つかったのがこの下多古川。一般的には二つの大滝を見て帰る人が多いようだが、沢は最後まで歩いて稜線に抜けるのが好きな自分にとってはこれは大峰主稜線まで歩き通すべき物件である。というわけで、吉野川から洞川温泉まで抜けるプランで今回はバイクではなくバスの乗客となって一路奈良へと向かった。
下多古バス停から入渓地点までは約5km、標高差300mの林道歩き……のはずだったが、1kmほど歩いたところで途中にある湧き水を汲みに来ていた方の車に乗せてもらううれしい誤算で3kmほどを短縮できた。地形図707付近で沢装備に着替えていざ入渓。しばらくはジャバジャバと水の中を進み、10m級のナメ滝と直瀑を過ぎたあたりで滝見道が接近してくるが、橋を架けて右岸に渡ってからはまた離れていく。その後は谷幅の広いゴーロとなり、緑色の木漏れ日を受けながら進んでいく。やがて上空が開けて青色が見えてきたらそこが琵琶滝だった。一度中段で腰を折りつつも途切れることなく水線を見せるその姿は迫力のある大滝という感じだった。
滝の右岸にはルンゼが小滝をかけていてそのすぐ横を登っていく。木の根っこをフル活用してよじ登るなかなかアクロバティックな巻きだった。よくネットで紹介されている祠より上流側に抜けたのでもしかしたら普通の巻き道と違うところを通ってしまったのかもしれない。まあなんしか、自信がなければ滝見道まで戻ったほうがいいんじゃないかという程度には急だった。
巻いた先は吉野川の対岸まで見渡せるよい落ち口だった。ビビりながら滝下を見下ろすいつものやつをやってから再び歩を進める。右岸側に岩壁が発達した雰囲気ゴルジュ区間を進み、次に姿を現すのは中の滝。こちらは迫力は琵琶滝には劣るものの、優雅な感じのまた違った顔を見せ、いつまでも眺めていられるタイプの名瀑だった。この巻きは少し戻って適当にテープを拾いながら進めば滝見道の続きに乗って容易に中の滝落ち口へと進むことができた。
中の滝の先は一転、癒やしの原生林の沢となる。新緑を通してあまりに優しい日の光が降り注ぐ中進んでいく。あまりに気持ちいいのでときどき釜で全身を沈めたりするがさすがにそれはまだ寒かった。やがて大きな淵(角千本淵?)が現れるが、これは水流沿いをそのまま登る。ここから小さな城壁のような小滝が連続するがいずれも容易に巻いたり直登したりでそこまで難しくなく、むしろ良いアクセントになっていて楽しいくらいだった。
やがて左岸になかなかいかつい岩壁が出てくると木の葉入らずの淵。入り口の5mに加え、奥には10mくらいの滝が姿を潜めている。一見左岸の岩壁は要塞のようでとりつく島もないように見えるが、最初のルンゼを這い上るとあっさりと上へ抜けられた。
そこから少し進むと今度は谷全体を塞ぐようにオーバーハングしたクラが現れた。水流はそのクラの真ん中に空いた穴から流れ出てきており、一見洞窟の中の滝のように見える。まあ、これ自体は実はそこまで珍しいことではないがオーバーハングしたクラの中から出てくるというのはけっこう迫力のある光景だった。このクラ、谷幅いっぱいに鎮座していて一見越す手段がないように見えるが少し戻った左岸から簡単に越せる(こんなとこにまで虎ロープを設置するのはやりすぎな気が)。上から見るとザックが入るかどうか程度の大きさの小穴であり、ここをブルーシートかなんかで塞いだらクラの上から水がこぼれてくるのだろうか……なんて考えたりした。このクラの上は絶好のテント場であり、これなら入渓を遅らせてここで泊してもよかったな……とも思った。
そこからすぐで1180mの二俣、ここで谷を離れ真ん中の長尾八丁という尾根に取り付く。名前がついているほどならテープとか踏み跡とかあるんやろなあと思っていたら見事に何もなかった。原始の姿をとどめている(推定)小尾根を大峰主稜線へ向けて登っていく。ここで初めて尾根の登りになったからか、テント泊のザックが意外に重いことに気づく。左足首の不調を理由に5月ダラダラしまくっていた身には堪え、大峰主稜線への300m足らずの登りに50分を要してしまった。
たどり着いた大峰主稜線も誰もおらず、広葉樹林のやさしい緑色の光だけがさしこむ空間だった。梅雨前の好天の休日というのにこれは寂しいなあと洞辻茶屋へ向かう。小さな登りでもすぐに脚が止まってしまうしんどさの中、ふと今日朝から9時間ほど何も食べていないことに気づく。洞辻茶屋でパンを食べることにして気合いで進む。洞辻茶屋に到達すると洞川温泉からの登山客(というか参拝客?)がいるわいるわ、皆洞川温泉から一本松茶屋経由で来ているらしい。山岳信仰とかそういうのはよく知らないが、白い衣を着たいわゆる修験道の格好をした人がかなりの数いるので少し驚いた。パンを食べると少し足取りも軽くなり、山上ヶ岳への最後の登りを進む元気も出てきた。大量の参拝客とすれ違いながら、Slow but steadyに山上ヶ岳へ進む。いくつかの小岩場を越えると傾斜が緩み、石碑やら何やらが大量に立ち並ぶエリアに到達。世界遺産大峰を訪れる外国人観光客とかこういうのすごい喜びそうだなと思いながら進むと前方に宿坊群が現れ、いよいよもって観光地のような雰囲気になってきたら大峰山寺、つまり山上ヶ岳へ到着。17時ジャストだったがもう境内には人の姿はなかった。
とりあえず三角点を踏みにいくと、素晴らしい眺めの笹原が広がっていた。手前の大日稲村、奥の八経ヶ岳へ続く稜線まで一望。さらに日本岩なる場所まで進むと、麓の天川川合まではっきりと望むことができた。陽もかたぶきつつある中でのこの景色はロケーションも合わさり最高だった。
さて、本日のお宿はいつもの相方、テントである。GPSログには載っていないが記憶の中では小笹宿まで進んでテントを張ったことになっているのできっとそうなんだろう。うん。ナニモヤマシイコトナンテナイヨ。
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日は変わって06/05日曜日、ひさびさにヘッデン山行がしたくなったので午前3時くらいにテントを撤収して歩き出す。夜はまだ獣たちの支配する時間帯、人間に許されるのはヘッデンの照らす数mの世界だけである。だがしかしそんな中で歩くからこそ他の何にも代えがたい、上質なお酒のように身に染み入る孤独が味わえるのだ。そしてその孤独の味と、テントを畳んで歩き出した瞬間の己の体力と気力が続く限りどこまでも進んでいけるかのような高揚感は比例する(何言ってんだこいつ)。
GPSログには載っていないが記憶の中で山上ヶ岳への登り返しを終え、日本岩に再びやってきた。北側に煌々と輝き夜空をも橙に染めるのは大阪平野、生駒だか金剛だかを挟んで奈良盆地もそれなりの光を放っている。近くへ目をやると山の中は真っ暗だが天川川合はわずかばかりの明かり、そして意外と近いところの明かりは洞辻茶屋?星を撮りに来た人にとってはただの光害だろうが、適当登山者と化した自分にはうわーすげー夜景だーって感じであった。実際星もかなり綺麗だった。
夜明けを待ってもよかったが、せっかくだから夜の山を味わいたさ半分、洞川温泉からの始発バスに間に合わせたさ半分でレンゲ辻方面へと下る。徐々に白みつつある空へ浮かび上がる山上ヶ岳のシルエットもなかなか美しい景色だった。男なのでレンゲ辻の女人結界を堂々と通過し、稲村小屋へのトラバース道へ乗る。この途中くらいでヘッデンがいらないくらいには夜が明けてきた。楽しみにしていた途中の水場はほぼ水が流れておらず、まあいいやといいながらアクエリアスを飲んで進む。稲村小屋は5張りほどのテントがありこんなことなら(記憶の中で)小笹にテントを張(ったことにせ)ずにここまでこれば良かったと思いつつ、次は犬取谷を登ってここでテント泊するのも悪くないなとポジティブシンキング。大日稲村はパスして法力峠へ歩を進めるが、もうぶっちゃけこのへんは完全に気楽な帰り道であり、早朝で人もいないのでクマよけということで適当に歌を歌いながら歩いていた。
法力峠を越え、鍾乳洞への分岐あたりで登ってくる白装束の一団とすれ違う。こんな早い時間から大変だなあ(ヘッデン山行してるやつの台詞ではない)。そして午前6時40分、稲村が岳登山口……と思いきや鍾乳洞へのモノラック駅に降り立って今回の山登りは終了となった。山上ヶ岳から2時間半の高速下山であった。
早朝の洞川温泉郷はさすがにまだ寝静まって……いるかと思ったら存外多くの人がうろうろしていた。11時オープンなので入浴は叶わず、もう今日は沢登erではないので川で汗を流すような蛮行にも及ばず、下市口へのバスへ揺られる身となったのだった。
時折ある変態ぷりは共感します笑
琵琶滝は沢登りの方しか拝めないと思ってましたが、遊歩道があるんですね!私も観に行こうかな。
山上ヶ岳での一泊も良いですね✨
泊まった者にしか味わえない感覚は最高ですもんね✌️
私も山上ヶ岳で一泊してみたいなぁ。
土の上より水の中の方が元気そうに感じるのは気のせいかな?笑
滝見道の様子はすべて見えた訳ではないですが、たぶん立間戸谷よりははるかに易しいと思いますよ!橋から谷中を10分くらい歩けば直下にも到達できますので、濡れてもかまわない靴でどうぞ笑
それはさておき、山上ヶ岳では泊まってませんよ(すっとぼけ)国立公園で宿坊の近くにテントなんて張っちゃだめですよ(棒読み)止む無く不時露営ならまだしも(建前)
水の中の方が元気に見えるのはシンプルにバテているだけの模様です……
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