初訪【経ヶ岳】ブナ原生林に抱かれた火口源の湿原から脈々たる笹の稜線へ
- GPS
- 07:21
- 距離
- 9.1km
- 登り
- 1,085m
- 下り
- 937m
コースタイム
天候 | 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
保月山登山口上の展望台駐車場に |
コース状況/ 危険箇所等 |
唐谷コースは入山者が少なく荒れ気味ではあるが目印は豊富でルーファイは難しくない。 やや難しい渡渉が数回あり。 谷から離れたのちは凄まじい急登となる。急登が終われば平坦地になりブナの森から広大な湿地帯へと飛び出す。 主稜線は踏み跡明瞭。笹に囲まれた道につき、雨上がりなどは衣服が濡れる。濡れた道はかなり滑りやすい。 |
写真
感想
3連休の機会に奥越方面での山行を計画していたのだが、日程が近づくまで天気予報に一喜一憂する。週末はあまり天気が期待出来そうにない。
この日(土曜日)当初予定していた山友さんとの山行はキャンセルとなった。ソロで北陸へ足を延ばすことにした。
日曜日は回復傾向の予報なので、別山でややロングな山行をしたいと思う。なので、この日は軽く準備運動的な山行にしておくことにした。
選んだのは未踏の経ヶ岳だ。皆さんのレコを見て以前から気になっていた。起伏に富んだ稜線の美しい山。
しかし一般的なピストン山行では少し味気ないので、往路は唐谷登山口からのルートで登ることにする。
唐谷コースの序盤は谷ルートで、水量の多い沢を何度か渡渉しなければならなかった。登山道そのものは明瞭で目印も豊富だが、あまり人が入らないのであろう、整備状況は良くはない。
谷はいつの間にか涸れ沢となり岩がゴロゴロしてくる。この谷から離れるポイントには目印が豊富にあった。
左手の斜面に取り付くと美しいブナを中心とした自然林が広がり出す。美しい森だ。しかし池の大沢という湿原の平地帯へ向けて登り上がってゆくのだが、この道がかなり急峻な坂道である。
猛烈な激登りを終えると驚くほどに緩やかで平坦な道になる。ブナを見上げ咲き乱れる花々を観ながら進んでゆくと、一気に目の前が開け広大な湿原に飛び出した。池の大沢である。
ここは約100万年前に火山活動で出来たという経ヶ岳の火口源だった場所らしい。広々とした平原からは、この地を取り囲む山頂部や稜線を見上げことが出来るはずなのだが、今日は生憎の曇り空でガスがかかっている。しかし湿原の周囲を包み込んでいるかのような豊かな森は、その大部分がブナの原生林であり、雰囲気が抜群に素敵なところだった。
少し登ると切窓と呼ばれる鞍部に出て経ヶ岳の主稜線に合流した。ここからは笹の生い茂る登山道を山頂へ向けて登ってゆくのだが、壁が立ちはだかるかのような急坂である。道は濡れていてかなり滑って歩き難い。帰路の下り坂を考えると憂鬱になる。
ガスのために殆ど全く眺望を得られないまま山頂に到着した。セルフタイマーで証拠写真だけ撮ったら、山頂のその更に先にある北岳まで足を延ばすことにする。つい先日発生したばかりだという山火事の跡が生々しい。焦げ臭い匂いがあたりに漂っていた。
笹の稜線を快適に歩いてゆくと道端でお一人のハイカーさんが腰を下ろして休憩されている。ピークらしいピークでは無いが北岳の山頂だった。
人に出遭うと思っていなかったので少し驚いたが、ガスで残念ですね、と話しかけてみると、こういう雰囲気はかなり好きだと仰る。そしてこのガスが一気に劇的に晴れてゆく場面に出くわしたりしたら最高だと。この方は福井から来られたMさんという方である。何となく感性が似ていると感じながら山談義に花を咲かせる。立派な一眼レフカメラを首にかけていらっしゃる。
急ぐ旅でもない。しかも風もなく気温も丁度いい具合なので、ゆっくり時間を潰そう。すると時折りガスが流れてゆく瞬間が現れ出す。赤兎山へと続く美稜線などを眺める事が出来た。いつかこの道も歩いてみたいものだと思うのだった。
視界が広がり出した脈々と続いてゆく経ヶ岳の主尾根の風景を楽しみながら経ヶ岳山頂まで戻る。報恩寺山コースで来られ山頂を踏んで戻ってみえたハイカーさんとすれ違いざまに暫く歓談する。北陸の山々をたくさん登っておられる方のようだ。
経ヶ岳山頂から切窓への下りではブナの原生林に囲まれた火口源の湿地帯を俯瞰する。
切窓からは初めて歩く稜線ルートを下山してゆく。笹の稜線がとても美しい。
経ヶ岳の魅力のほんの一部だけを感じた今回の山旅だったが、今度はぜひ天候の良い日に季節を変えて再訪してみたいものだ。
結局下山路を最後までご一緒してくださったMさん。声が擦れてしまうほど沢山のお喋りをしながらの楽しく愉快な山行となった。曇り空だったが気分はとても晴れやかだ。素敵な友ができ嬉しく思うのだった。
コメント
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私も先日訪れた時、山頂稜線の山裾のシルエットが綺麗だなと思って見ていたのですが、やはりあの場所は火山の噴火口だったのですね。
火事の現場はまだ焦げ臭かったですか。けっこう広範囲でしたよね。
当日登山されていた方は下山後に事情聴取されたとか。。
お天気はイマイチだったようですが、知り合った方と楽しく下山されたみたいで素敵な山旅になりましたね(^^)!
北陸1日目の山の行き先を検討するとき、先日のローゼンさんのレコを思い出して初めて経ヶ岳に登ってみることにしたんです。
唐谷ルートから登るというチョット捻りを加えてみました。
そうです、ちょうどカルデラの底部が湿原になっていて、その周囲をブナの原生林が取り囲んでるんです。登山道の稜線は外輪山ということになりますね。とてもカッコいい地形ですよね。
火事の原因は何だったのでしょう。笹が広範囲に焼けていて、しかも飛び火したみたいでしたね。怖いですよね。山での火の取り扱いには本当に注意です!
霧の稜線もステキでしたし、ガスが切れる瞬間はドラマティックで感動ものです。でもやっぱり青空のもと、また訪れたいと思う素晴らしい経ヶ岳でした。
実はこの日のHSanguさんのレコは既に拝見し、山上でお逢いしお話しさせていただいた方だと気づいておりました。
あの時は短い時間でしたが色々気さくにお話ししてくださって有難うございました。
あのような天候でしたので登ってみえる方は少なかったですね。よほどのもの好きの部類と言えるでしょうか、私たちは(笑)。
でも濃い霧が晴れ渡る瞬間もあり、感動的な風景を堪能できましたね。
なんと、我が山友のハナさんと面識がございましたか!世間は狭いものですね。若狭や野坂の山々などHSanguさんの行動範囲にもよく出没していますので、きっとまた山でお目にかかれることでしょう。
またよろしくお願いいたします。
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