日光白根山。コマクサは真紅色
- GPS
- 08:55
- 距離
- 13.1km
- 登り
- 1,460m
- 下り
- 1,445m
コースタイム
- 山行
- 8:09
- 休憩
- 0:47
- 合計
- 8:56
天候 | 晴れたり曇ったり |
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過去天気図(気象庁) | 2022年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
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コース状況/ 危険箇所等 |
日光湯元温泉から。 スキー場の先からの前白根山への登りは、急登の連続でしんどい。加えて針葉樹林帯内の足場も良くなく、とても歩きにくい。 帰りの尾根道も、急登。行きの登山道よりは歩きよい感じ。笹原が多かったからか。 |
写真
装備
個人装備 |
ザック(G/R)
シューズ(S/H)
ハーフP黒
登山タイツ(M)
TシャツW
アームカバー
夏帽子(M)
ストック夏
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感想
日光白根山に咲くコマクサは、その色が普通と違うとても濃い赤、真紅色をしていると数年前に初めて知った。このところの局所的豪雨が来なさそうなのはこの山域で、機会はやっと巡って来たようだ。さて、コマクサはまだ見頃だろうか。
湯元温泉から苦労してたどり着いた前白根山。山頂部にコマクサは少なく、そうか個体数のことは気にしていなかったと思い至り、ちょっと落胆気味。先へと歩を進めると、ザレ地は続き、斜面を降りて行くと濃い赤色のコマクサがけっこう咲いていた。これくらいの数なら見栄えもいいと真紅に見入る。ただ、どうも盛期は過ぎたようで、枯れ始めのものも多かったよう。だがたぶんに間に合ったといってよかっただろう。
その後、また急登を登り上げ、奥白根山山頂に到着。きょうはたくさんの方が登られていた。
追記:独り言
五色山からの湯元への下り、見どころがあまりなかったせいだろうか、どうして寿命を待たずに死ななければならなかったのだろう、一体何があったというのだろうと、先日の事件に関し堂々巡りの想念が頭を去来する。余韻はなかなか消えず、残欠も拭いきれない。残された夫人の語った夢のようは、現実味に乏しい、現実感に欠けるという、不思議な浮遊感だろうか、きっとそうだろう。
あまりの突然の驚きで、なかなか痛みや悲しみが消え切らないまま、とりとめもないことが頭をよぎる。もしやカエルの歌の大輪唱は、荘厳レクイエムにも匹敵するものだろうかと、いつの間にやら過去を引っ張り出したりもする。
ここ日光白根山に登るのは、今回が三度目で、最初は秋の入り口に、二度目が春の残雪期だった。最初の秋のとき、白根山登頂後にくだり降りた五色沼畔で、見たことのない興味深い好ましい場面に出くわした。もう一昔も前の2009年のことだった。五色沼をとり囲む山頂尾根のそちらとあちらにずらりと子供たちが並び、もうそれだけで驚きの光景だったが、さらに突如カエルの歌の大輪唱が始まった。そちらの子供たちが大音響で声を発すると、応じるようにあちらのグループの子供たちもけたたましい無数の声を返した。壮大な音声が五色沼上の空間を谺し、目にも耳にもしたことのないこの場を体験し、何やらとても感動的だった。底の沼のへりで、その子供たちの姿と声をいつまでも見上げていた。とても気持ちがよかった。これは地域の学校の年中行事なのだろうか、それとも誰かの演出なのだろうか。わざわざ時間をかけ、集団行動でこの尾根にまで登り、その果てにすばらしい合唱を披露する。なんたる粋だろう。ただ、登るに辛かっただろう人もいたのではないか。
そんな昔の登山時の記憶が自然蘇り、カエルの歌の輪唱が頭に鳴った、すると、この大音量のエコーは、あの事件の鎮魂歌なのではと想念が膨れ上がる。五色沼の森に響く子供たちの声は、楽しいというよりはなんとなく物悲しく聞こえた。歌う身には楽しく溌剌としていたかもしれないが、底で聴く者には深い憂いがあぶり出された。それは響きに関係していたからかもしれない。そんな風に試行錯誤していると、今回の機とは、真紅のコマクサではなく、本当のところは、最初の秋口の登山の誘因による鎮魂のためではなかったろうかと。ならば、また次もあるかもしれない、カエルの歌の大輪唱が消えない限りは。
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