試練と憧れ 早月尾根 1day
- GPS
- 11:48
- 距離
- 15.8km
- 登り
- 2,354m
- 下り
- 2,345m
コースタイム
- 山行
- 10:31
- 休憩
- 1:14
- 合計
- 11:45
天候 | 基本は晴れだけど山頂部は暴風雨 気温:スタート 24℃ (少しムシムシ) -> 小屋 16℃ (肌寒い) -> 山頂 11℃ (レイン無かったら死んでた) -> ゴール 27℃ (アヂ) |
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過去天気図(気象庁) | 2022年08月の天気図 |
アクセス | |
その他周辺情報 | 電波状況:au 94% / softbank 79% https://chizroid.info/denpa/ex/map?tid=acLYtAUNBF バッジは早月小屋にて購入。 |
写真
感想
「登山始めて約10年、山行日数も300を超えた。
そろそろあの山登ってもいいかな、、、剱岳。」
と、今年5月に思い立ってから約3か月間進めてきた剱岳登頂プロジェクト。とにかくガイドブックを読みまくって、自分は絶対行かないであろう雲切新道や下ノ廊下のことまで調べたり、富山ソフトセンターの動画を擦り切れるほど見たり、こんな本まで買って読んだりした。
「剱人 剱に魅せられた男たち」https://www.yamakei.co.jp/products/2820048880.html
そしてお盆休みを迎え、ついにその時がやって来た。まず早月尾根を日帰りし、2日後に今度は剱沢から別山尾根を登る2泊3日、という「剱岳どっちも満喫プロジェクト」を計画していたが、直前になって予約していた剱沢小屋がコロナ休業でキャンセルとなってしまい、今回は早月尾根オンリーとなってしまったのは残念。(カニのハサミの直前にいる時に小屋から電話があってビックリした!)
ただもちろんその早月尾根も簡単に登れるわけではなく、事前からしっかりと計画と準備を進めてきたつもりではあるので、それと合わせて今回自分が感じたことを少しばかり書かせて頂きます。たった一度登っただけで甚だ僭越ではありますが、もし何かのご参考にして頂ければ幸いです。
■気温
これは完全に見誤った。
前日の富山市の最高気温が37.7℃で全国3位、当日も34℃の予報だったので「これは間違いなく暑さとの戦いになるな」と思ったけど、実際に少し暑さを感じたのはスタート直後だけで1400m付近からはウィンドブレーカーを羽織り、2400m付近からは天候の悪化もあってシェルジャケットを着こむ状態となりました。さらに雨も降りだし、山頂では気温11℃での暴風雨。体感では1桁だったでしょう。
実は出発前、軽量化のため一瞬「レインは置いて行こうか」とも思ったくらいだったけどホント置いて行かなくて良かった。もし無かったら真剣にヤバイ状態だったかもしれない。自分は普段、東北でせいぜい2000m級の山しか登ってないので、3000m級の経験の無さがモロに出てしまった形でした。
■空気の薄さ
これも経験の無さですが、あんなに空気が薄いとは。2600m辺りから確実に空気の薄さを感じるようになり、体力よりも「ハァハァ」で立ち止まってばかりになってしまった。また下山後しばらく頭痛もしてたので軽い高山病だったのかもしれない。
■鎖場
よく「早月尾根の鎖場は別山尾根より簡単」と言われるけど、実際そんな感じはした。手を離すと奈落の底に落ちていきそうな箇所は唯一、カニのハサミの最後の1歩だけで、そこもボルトが刺してあるのでそこに足を置けばしっかり足場は確保できるので、そこまで恐怖心は感じない。それ以外の鎖場も写真で見るよりは足元がしっかりしている場所ばかり。そうは言っても垂直な登りもあったりするので絶対に安全とは言い切れないけど。
■ペース
日帰り族の方々は、いやぁホント、超健脚な方々ばかりでした。ビックリするくらい。今日ばかりは自分もめちゃくちゃ皆さんに抜かされました。日帰り族の中では自分はかなり遅かった方。恐らく偏差値40くらいか?(笑) ただ、テン泊、小屋泊の方々もそれ相応(半分くらい)いたので、その方々よりは少し速かったような気もします。
■体力
これは正直予想外でしたが、下り終わった後、意外と体力残ってました。もっとフラフラのボロボロになるかと思ってたけど。これは恐らく、早月尾根の「歩きやすさ」によるのかなと。小屋までは急登ではあるけどほぼ一定斜度だし、よじ登ったり段差が大きいところもないし、随所にステップ、梯子、ロープ、鎖などもしっかり整備されているので、実は標高差ほど体力は消耗しないです。また帰りもとにかく一定斜度の下りなのであまり体力を使わずに降りることが出来る。ここは意外でした。
■コース分割イメージ
何と言っても標高差2200mを一気に登って一気に下るなんて今まで経験したことも無いので一体どうなるか想像もつかなかったんだけど、早月小屋を境に上と下で分けて考えるとイメージ付きやすいような気がしました。馬場島〜小屋までは標高差1400m、これは飯豊の丸森尾根とほぼ同じなので、それと同じと考えれば自分としては分かりやすい。それが無いと「いつまで経っても終わらねー!」ってなってたかも。じゃ、小屋より上の部分はどうイメージすれば良いか、、、頑張るしかないね。(笑)
■ストックしまうタイミング、ヘルメットかぶるタイミング
小屋を過ぎてもしばらくは樹林帯なので、ストック派の方はもう少し持ってた方が良いでしょう。2400m付近の最初の垂直な鎖場が出てくる前でしまうのが良いと思う。ヘルメットは小屋でかぶってしまった方が良い。途中であまりワタワタしないほうが。
■ハーネス
ハーネスしてた人は10人に1人くらい。しかも別山尾根からの人ばかりで早月尾根では一人も見かけなかった。ネットでは「過剰装備だった」と言ってる人もいた。恐らくハーネスが無くても99.9%は大丈夫なんだと思う。残りの0.1%をどう考えるか。多いと見るか少ないと見るか。
ただ、確実に言えるのは「安心感」が全然違います。自分はこれがあるだけですごく安心するし、落ち着いて鎖場にも取り組めたと思う。
ここで難しいのは「着ければ良い」というものでもなく、慣れてないとスリングが絡まったり、カラビナ移動や掛け替えで片手が不自由になって逆にバランス崩しやすくなったりすることもあるので、事前の「慣れ」は絶対に必要です。
自分は「剱岳のため」に5年前くらいにハーネス買ったし、そのために今まで何度も鎖場がありそうな山へ行くときには装備して使うようにしていたので、本番で「装着しない」という選択肢は自分の中にはあり得なかったわけですが、もしもう一度自分が剱岳に登ることがあったとしても、間違いなく装備していくことと思います。
■ヘルメット
さすがに装着率は100%。Black Diamond ハーフドーム率が異様に高かった。(笑)
■靴
履き慣れたトレランシューズで自分は全く無問題。
■睡眠
実はこれが一番大事だと思っている。今回は計画的な睡眠で寝不足にならずに決行できたからこそ無事に降りて来られたような気がしてます。
■駐車場
馬場島荘300m手前に3段になってる大駐車場を利用した。正直ガラガラ。満車になる気配は感じられなかった。馬場島荘目の前にも「公共駐車場」と書いてあるPがあって誰でも利用できそうな雰囲気ではあったけど施設利用者以外が使うのも申し訳ないのでやめておいた。こちらは満車。さらに上、登山口目の前にも路駐車が多数あったけど(ストリートビューで見られます)、今から早月尾根登ろうとしているのに、このたった数100mを面倒と、、、(略)。
■「試練と憧れ」の石碑
こちらもストリートビューの〇で見られるので事前に位置を確認しておくといいです。馬場島荘の近くではなく、ホントに登山口の辺り。
■Tシャツ
「ファミリーマート上市中央店」はコンビニながら剱岳オリジナルグッズを多数販売しているという何ともワンダフルな場所。また「試練と憧れ」の文字が入ったTシャツはここだけですので是非お立ち寄りを。
https://www.facebook.com/namiko.kuga30082/posts/4551995721529994/
https://yamap.com/activities/12482523
あ、もちろん早月小屋にもオリジナルTシャツあります。
体力だけでなく、登山としての総合力が求められる早月尾根。
是非「試練と憧れ」をその手に。
意表を突くレコに心臓が止まりそうです(笑)
年齢は存じ上げていませんでしたが、山頂での後ろ姿から想像すると現役バリバリなんですね。
それにしても日帰りとは凄い体力です。しかも同時に別山尾根も考えていたとは…。
やはりヘロヘロのへろぞうさんでは相応しくないので、ガンガン「いくぞうさん」に変えましょう
余談ですが、以前、別山尾根のカニのヨコバイでガイド率いる団体さんが一人一人カラビナ架け替えながら、物凄い渋滞を引き起こしていてブーイング、しびれを切らした先行者が下山ルートを登って行くという出来事がありました。今は、慣れないとカラビナの架け替えに気を取られ、かえって危険だということで用意させないガイドが増えたそうです。
正直、体力的には「自分史上最強」に疲れたわけではなかったでした。20数km、2000m くらいを普段から普通に歩いている人であれば問題なく行けるんじゃないかと。一部のエキスパートの話ではなく、自分みたいな一般人でもギリギリ届くか届かないか、というのがこの「試練と憧れ」なんでしょうね。
カラビナの件、なるほど、そういう話もあるんですね。確かにいきなり本番はむしろ危険だと私も思います (特に架け替え部分)。
#初老はとっくに過ぎ、そろそろ天命を知らなければならない年齢でございます、、。
また、遠征おつかれ様でした。
私も一昨年の9月にチャレンジしましたが、普段岩場経験が少ない岳人として、岩の難易度の高い別山尾根よりも、体力勝負の早月尾根の方がなんとかなるかなと考えて選択しました。
おっしゃる通り、2000m、20kmくらいは、いつも泊まり荷物で歩いているので😄
一昨年は小屋も営業無しだったので日帰り一択でした。
ただし標高による酸素の薄さはこたえますよね。これだけは東北人の弱点かも😓
また、他の方のレコ見ると残雪期は危険度高そうですね😵
そっか、去年一昨年は小屋やってなかったんですね。それで早月尾根はきつかったでしょうね。本文にも書いた通り、まさに「命の小屋」という印象でしたから。水分は4L持参でしたが足りなければ小屋で購入と考えてて、結果的には購入しませんでしたが、その保険があるのと無いのとでは全然違ったでしょうし。
でも、こういう大きい目標っていつも、実行するまでは頭の中をそれが占領してしまって大変だけど、いざ終わってみるとケロっと忘れてしまう。もう少し達成の余韻を味わいたいんだけどなぁ〜。(笑)
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