北鎌尾根(水俣乗越経由)

コースタイム
0710 上高地発
0755 明神
0840 徳沢
0930 横尾 1000発
1100 槍沢ロッジ 1120発
1210 大曲 1220発
1315 水俣乗越 1325発
1510 北鎌沢出合 1520発
1800 北鎌コル 幕営
8/14
1000 北鎌コル発
1300 北鎌沢出合
1400 渡渉
1615 水俣乗越
1900 横尾 幕営
8/15
0510 横尾発
0720 上高地
天候 | 8/13 曇り夜から雨 8/14 雨 8/15 雨時々曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2010年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
水俣乗越からの下降はざれていて悪い。 北鎌沢出合はテントを春場所が限られている 北鎌コルには2人用2張り分スペースあり。 コルから5分進むと2人用1張分スペースあり。 水俣乗越から北鎌沢出合まではピンクテープやケルンなど目印あり。 |
ファイル |
非公開
4640.xls
計画書
(更新時刻:2010/08/06 05:00) |
写真
感想
北鎌尾根は半分沢登り。。。
撤退を考えるということは
登山における総合力だと思った。
今まで、バリエーションは
基本的に撤退可能な安全地帯で前泊し
天気の良い時にアタック〜登頂というのが
通常の流れだったが、今回それだけではないということも考えた。
1日目は、いつもの前泊駐車場から上高地に出発。
横尾まで飛ばして歩いていると
涸沢組に遭遇し記念撮影。
定時連絡をメールでやろうということで合意しそれぞれの道へ。
北鎌沢出合に着いたときは15時過ぎ。
テントを張る場所が余り無いことから一気に北鎌コルまで登った。
普段沢登りをしいない僕はちょっと面食らった。
喉が乾いたら滝からがぶ飲みして乾きを凌いだ。
コル手前の二股を左に進んでしまい行き詰まったところで
踏み跡を辿りトラバースしていると、腕時計発見。
まだ動いているではないか!誰かの遺留品かとも思ったが、
完全にゆとりがなく素通りした。
コルに着くとテン場がない。
必死の思いで5分登るとかろうじて一張りできそうなスポット発見。
ほっと一息して眠りにつこうとしたら雨が降り始めた。
明日岩が乾かなかったらどうしようかと思いを馳せたら眠れない。
結局ねむれないまま朝になりとりあえず朝食。
出発は延期してまた眠るが雨は止む気配がない。
前日ちょっとしんどかったけど無理して
北鎌コルまで登ってしまったばっかりに陥った前進と後退の天秤。
ここまで来たんだから当然前進でしょう、という考えが3-6割。
濡れた岩に足を滑らす確率が同じなら断崖絶壁より沢の中に落ちたい、
という考えが7-4割。
自分の中でも揺れ動いて最終結論は北鎌沢660mの下降。。
沢下りは心配したほど厳しくはなく無事に北鎌沢出合まで下山できた。
そこで渡渉ポイントを探すのに1時間程度を費やす。
渡ったところにテントが1張り。
他のすべての人が撤退したのにこのパーティだけは待機して
明日の天気回復にかけているようだ。
水俣乗越までの登り返しは、地形図とコンパスでのルーファイ。
このへんはヘロヘロ状態でゆとりがなくkuriちゃんにお任せしてしまった。
何度かコンパスをだしてやっとのことで水俣乗越までたどり着く。
ここでやっと安全地帯にはいりほっとした。
あとは横尾までやっとのことでたどり着き長い2日目が終了。
一日余裕がなく定時連絡もできず、申し訳なかった。
(コルでも電波は通じなかったけど…)
3日目も雨がやまない。
上高地までさっさと歩き、
精神的に安定状態に入り、上高地ソフトを頬張ると
昨日のことが嘘のようなとろけるようなおいしさであった。
もっと総合力を上げてもう一度チャレンジしようと思った。
一歩、また一歩足を下ろし、慎重にクライムダウンして行く。ザレ場では滑りま
くるクライミング対応ビブラムが、濡れた岩に頼もしくグリップしていく。
そう、これ沢下降そのもの。なんでこんなことに・・・
8/13(金)
うっかり前泊した沢渡で寝すぎて、6:00に出るところが30分ちょっと遅れ
る。いけない。上高地に着いてからは、いつものごとく横尾まで2時間ペースで
飛ばす。同日に入山した他のパーティの話をしていたら、なんと前方に見たこと
のある集団が。kenzoパーティーだった。聞くと、後ろにcnagaパーティーもいた
とのこと。全く気づかずに抜き去ったらしい。ほどなくcnagaパーティーも追い
つき、はからずも横尾に集中してしまった。せっかくなので集合写真。多分もう
合流することはないからね。お互いの山行の成功を祈りつつそれぞれの方角に
散ってく。これも集中の一つの形か。本日は北鎌沢の出合まで行ってテン泊で
きればよい。行程もそれほど難しくなさそうだ。天気は台風が過ぎたにしては
今ひとつぱっとしないが、明日は台風一過の晴天のもと、槍目指して進むのだと
思うと、気分は上々。いつも素通りしていく大曲の交差点を今回は水俣乗越側に
上がっていく。水は念のため槍沢ロッジで5L(!)ほども汲んで行ったが、単な
る重りにしかならないぐらい水は天上沢を豊富に流れていた。乗越までの道は
意外と整備され歩きやすい。ただし、乗越を過ぎ、下りにさしかかった直後は
ザレた急勾配で緊張する。樹林帯なのでつかまるものがあるが、いきなり道が
悪くなるので驚く。樹林帯の中の踏み跡(?)を進み、抜けると雪渓にぶちあた
る。数メートルだけトラバースせざるを得ず、アイゼンは必要ない程度だった
が、やはり今年の残雪の量を考えると、リスクはあったかもしれない。左手に
は明日目指す槍が見える。独標や北鎌のコルも特定できる。コルに突き上げる
沢がルートとなる北鎌沢右俣であり、今はその出合に向かっている。トラバ
ース後は草付を下り、どんどん沢を下っていく。水のある沢が左から合流す
る。やがて傾斜が落ちて広い河原になると、テントが見える。両手で数える
ぐらいはあったろうか。左岸には沢が流れ込み、流れの右端に赤テープもあ
ることから、出合に間違いない。ほっとすると共に、まだ時間があることか
ら、少しでも先に進めておきたい欲が出る。決して広くはないが、北鎌のコ
ルにも数張張れることから、初日に右俣を詰めることにする。
右俣は草つきに踏み跡がある場所もあるが、草に埋もれている箇所も多く、
基本は沢を上っていった。夏なので流れがあるのは気持ちいい。やさしい岩
場をどんどん高度を上げていくと、出合に見えるテントが小さくなっていく。
あまり間違えるところはないが、一箇所二俣を間違えて左に行ってしまい、
地図を見てあわてて修正した。草つきを横切り、右の流れに強引に入る。
踏み跡があったので同じ場所で間違えた人がいたのだろう。流れがようやく
細くなり途絶えると、草つきとぼろぼろの岩場がミックスした斜面につき
あたる。悪いのと高度があるので緊張する。ここを抜けるとコルだ。すでに
テントが2張りも張ってあった。もう1張り張れないことはないが、もう少
し進んだ白カバの木の根元に適地があると聞き、とりあえず様子を見に行く。
5分ほども進むと、右手に平らな1〜2テン1張り分のスペースがあった。
張ってみると・・・・ぎりぎり端っこが収まらないぐらい。でももっといい
場所を探す余地もなく決定。念の為、テントを木から確保しておく。
飯をすませ、早々と床に就くがなかなか眠れない。小ぶりだった雨がだんだん
強くなる。
8/14(土)
地面の堅さかあまり眠れず、明け方になっても雨がやまないのにショックを
受けながら起床時間になった。飯を済ませ、様子見でもうひと寝入りする。
一時的に雨が上がったところで、外で声がした。聞くと天狗の腰掛から
撤退してきたとのこと。さて我々はどうしたものか悩む。沢の下降はリス
クが大きい。取り付いたからには前進が基本だ。しかし天気が読めない中、
濡れた視界の利かない岩場を行くリスクも大きい。パーティーが二人とも
前進を選んだならば迷いはない。しかし気持ちがついていかないのに前進す
る危険もある。撤退を選んだ。コルまで戻る。すると1張り増えて3張りの
テントがあった。1張りは先ほど天狗の腰掛から撤退したパーティーのもの
だった。皆ここで様子見らしい。「天狗」パーティは沢下降とその後の渡渉
のリスクを大きく見ていたようだった。しかもパーティー二人とも経験者だ。
再び判断が揺らぐ。天狗の腰掛は樹林帯を抜けるので、夜中風と雨がすごかっ
たらしい。天を見ると、晴れ間が見えそうな気配もするが、すぐに雲が低くた
ち込め状況は変わらない。10:00を過ぎてようやく撤退を本決めした。昨日
上ったもろい岩場を下降する。沢は昨日より水量は増えていたが、下降できな
いほどではない。クライムダウンの連続。時に草つきへの巻きを交える。ルー
ト取りを含め、沢の経験がここで役に立つとは思わなかった。慎重に慎重に
下りていく。懸垂に使えそうな支点はほぼない。念のためハーケンと捨て縄
は持ち合わせていたが、できれば使いたくない。途中雨も降り始めたが、出
合までなんとか下降した。あとは渡渉だ。下降中は、テントが見えていたが、
出合までつくと1張りのテントもない。ま、この雨で取り付く気にはならない
のが普通でしょう。天上沢の流れは昨日と比べるまでもなく速い。確実な渡渉
ポイントを探し、上流に足を進めたが、ますます流れは速くなる。再度戻り、
足首程度の渡渉ポイントで、念のためロープで確保しながら渡渉。成功した。
とりあえず撤退の核心は越えた。しかしながら、乗越までの道のりは昨日まで
の様相とは明らかに変わっており、いくつもの流れを持つ支沢を形つくっていた。
確実に地図を読み、方角を確かめながら行くことで、乗越までの正しいルート
を辿ることができた。凶暴に変化した槍沢の流れを見ながら、横尾に着いた
のは日没の頃だった。本当は北鎌を越えて槍で飲むはずだったビールで無事な
撤退を祝福。不思議と気力と体力はみなぎっており、また槍に向けて再トライも
いけそうなぐらいであった。
8/15(日)
横尾から上高地へ移動、朝一番で沢渡へ戻る。さすがに3日目は疲れが出たが、
嫌な疲れではなかった。
今回、結果的には撤退となったが、全体として総合的な力を要求される濃い
内容の山行となった。次回こそは槍目指したい。
大変そうでしたね。
北鎌はクライミングシューズは必要なの??
何より無事下山出来、良かったです。
沢下りなんてなかなか経験できるものじゃないのでよかったんじゃない?
と言っても、できたらそんなものは避けることができたら避けたいね。
しかし、北鎌のコルまでいったのに残念だったね。
まあ、アプローチは確認したので来年の残雪期にでも再挑戦しない?
我々も9月に下見に行くしね。
おっと、残雪期はまだ剱の源次郎尾根が宿題だったな…。
宿題残しまくり〜!
今回はこれが一番の課題かつ収穫?です。
コルにいた別パーティも進むか戻るかの決断に
独標が通過できるのか、北鎌沢が下れるのか、という点で非常に悩んでいました。
我々が一つのエスケープルートをお示しできたのは、
今後遭難防止に役立つと思います
(なんちゃって
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