徳右衛門岳


- GPS
- 31:03
- 距離
- 16.4km
- 登り
- 1,954m
- 下り
- 1,962m
コースタイム
0800畑薙第一ダム右岸堰堤発〜<東海フォレスト送迎バス>〜0900二軒小屋0910
ー0940蝙蝠岳登山口ー1120中電監視棟ー1310 EL2000付近でアイゼン装着
ー1450 EL2185付近で終了
2014/5/3(土) EL2185→徳右衛門岳→二軒小屋
0700 EL2185発ー1000徳右衛門岳1015ー1200 EL2185 1225
ー1300 EL2020付近でアイゼン脱ぐー1415中電監視棟ー1525蝙蝠岳登山口
ー1615二軒小屋着
天候 | 2014/05/02(金) 晴 2014/05/03(土) 晴 |
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過去天気図(気象庁) | 2014年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
新東名新静岡ICから県道189経由で約80km。 この時期の椹島方面への東海フォレスト送迎バス発着は畑薙第一ダム堰堤。 ダム横断道路を左岸へ渡り、突き当たり右手の駐車スペースでバスを待つ。 駐車スペース奥の建物に水洗トイレ有。 駐車スペース容量は15台くらい?行きも帰りも溢れてはいなかった。 沼平では乗降できないので注意。 この時期の東海フォレスト送迎バス乗車は電話予約要。電話のさい、大雑把に登山計画を訊かれる。このとき入山者状況や積雪状況など教えてもらえた。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
◇登山道状況 蝙蝠尾根はEL2000前後でアイゼン着脱。ここから上はテープもあまりなく、先駆者のトレースもなく、ルーファイ要です。当然ですが徳右衛門岳手前の水場も完全に雪の下。 なお2014年GW時点で椹島から千枚岳への登山道が崩落しており、修復完了までは椹島からは登山不能。椹島から二軒小屋方向へ徒歩1h程度の木賊橋から林道経由で登るという手段はあるようです。木賊橋にはゲート設置されています(自己責任で)。 →7/10/2014に無事開通したようです(椹島blogより) ◇登山ポスト 畑薙第一ダム堰堤Pに用紙とポスト有。自分は二軒小屋にて提出。 |
写真
No.000002ゲット!1番はijikemusiさんでしょう。今季通しの番号だそうですが残念ながら番号刻印の半券は\3000分の金券として小屋にて没収。
感想
2014年のGWは5連休しか取れない状況となり、この日程で行ける、今いちばん関心のあるところといえばやはり蝙蝠岳周辺。鈍った身体でどこまで行けるかまったく未定だが、気負わず楽しむことだけを考えて畑薙ダムへ向かった。
【1日目:2014/05/02(金)】
仕事を終えての深夜移動で、朝6時頃に畑薙ダム到着。右岸側へ渡り、丁字路を右折したスペースに乗用車が5台ほど駐車してある。東海フォレストが指定する繁忙期以外のバス発着はここ。せいぜい20台程度しか駐車できないようにしか見えないが、オフシーズンはこの容量でも十分ということだろうか。
中部地方ナンバーの車の奥に駐車し、コンビニおにぎりを手に車外に出る。ダム湖を眼下に見渡すベンチに腰を下ろすと、清々しい朝陽と空気につつまれ、ウグイスの澄んだ声が遠くダム湖の谷間に響く。この場所にまた来ることができて、しみじみ嬉しい。
二軒小屋に入るバスは8:00発。7:30をまわった頃から出発準備を整える。隣の車から、車中泊をされていたと思われる男性があらわれたので、おはようございます、早朝に到着したので五月蠅かったでしょう、すみませんとご挨拶。東海フォレストの送迎車が到着。乗客は隣の車の男性、釣り師、自分の3名らしい。荷物を送迎車へ運んだり\3000支払ったりと出発準備をしていたら。
男性:関東からですか?(車のナンバーから)
自分:はい、○○県です
男性:もしかして、ebiさん?
自分:!!!!!!!!!!!ijikemusiさんですか?!!!!!!!!!!
こんな出会いが、テレビドラマの中でなく、現実にあるとは。しかも自分に。
ネット上で「いつかバッタリお会いするかもしれませんね〜」と書くのは簡単だが、実現するとは。何度もニアミスはしていたけれど、お互い予定を知っていたわけでもなく打ち合わせたわけでもなく。しかも二軒小屋まで一緒で、隣の千枚尾根を行くという。嗜好の極めて近い人との出会いと交流はなんと素敵なんだろう!
「はじめまして」と挨拶しながら昔からの知り合いのように会話を続ける私たちに、送迎バスのおじさんも??という感じらしく、車中ガイドもそっちのけで話し込んでいる我々に苦笑いしておられた。
二軒小屋まで送迎車は順調に走る。今年は林道沿いの残雪も例年になく多いらしい。釣り師は二軒小屋のかなり手前で降りていった。釣りをしながら一日かけて二軒小屋まで移動する、常連さんだそうだ。どうも梅雨明け以降の登山シーズン以外は、二軒小屋は釣り師利用が大半のようだ。東海フォレスト管理の釣り場が大井川沿いにできていたが結構な料金のようで、どんな人が利用するのだろうか?
そうこうしているうちに二軒小屋到着。下山後の着替えなどを小屋に預かってもらって、早々に出発する。ijikemusiさんは山中2泊でマンノー沢の頭経由で悪沢岳を目指すそうだ。ちなみに椹島から千枚岳へ上がる登山道は大井川右岸に渡ってへつるところが崩落していて通行不可らしく、木賊橋まで移動して林道経由で上がる人もいるそうだ(注:7/10/2014に無事修復開通したそうです)。そんな事情も知らずに最初からマンノー沢の頭経由で計画したijikemusiさんは超能力者だろうか?
二軒小屋から登山道方向に一緒に歩く。小さな橋を渡ってゲート脇をすり抜けるともう目の前に千枚岳方面と蝙蝠岳方面の分岐がある。ijikemusiさんから手袋を脱いだ右手を差し出され、「またお会いしましょう」の言葉とともにガッチリと握手を交わし、お互い逆方向へと歩き出す。
エメラルドグリーンの美しいダム湖の脇を歩き、小屋できいていたとおり、ゲート解放されたトンネルを抜けて蝙蝠尾根登山口へ。小屋情報では最近誰も入っていないそうだが、ここのところ連続して夏休み縦走でこの尾根を歩いているので、大した緊張感もなく、行けるところまで行って幕営できればいいや、くらいの気分で尾根に取付く。
ジグザグ道の急登を乗り切ると、長大な蝙蝠尾根末端に出る。暫くは崖と大木根っこのアップダウンをがんばる。我慢の登りを続けていると、巨大人工物・中電監視塔に出くわす。そういえば二軒小屋の方が、このモノレールは東俣のほうから伸びているといっていた。監視塔に人は常駐しているのだろうか?相変わらず横揺れの激しい鉄階段を登り切って振り返ると、白峰南陵方面の尾根が立ちはだかり、麓からジグザグの道路がついている様子が、残雪期だからかよく見えている。地形図にある林道だろうか?右へ視線をやると、遥か下方の西俣と、その先に横たわる千枚尾根。ijikemusiさんは今どのへんを歩いておられるだろうか?
監視塔から上部はずっと深い樹林帯を進む。標高2000あたりから固定された積雪路となったのでアイゼンを履く。無雪期と異なりどこでも歩けるし逆に倒木地帯は積雪に覆われていて疲れるので、極力マークを探して夏道を辿るよう努める。同じような景色が延々と続き、ふと立ち止まって左に目をやると、千枚尾根はいつもいつも頭上にあり、いくら歩いても標高を稼いでいないような気持ちになる。
徹夜運転のままなので、歩きながら寝そうになる。理想をいえば徳右衛門岳山頂付近で幕営したかったが、どうみてもこのペースでは無理だろう。地形図を睨みながら、2200手前の平らな地形のあたりで、もういいわここで今日は打ち止め、とする。
樹林越しに丸山〜悪沢あたりだろうか?真っ白な山稜が見え隠れするなか、テントを張ってひといき。ホットウイスキーでフゥーといい気分になりつつ、いままでの南ア山行を思いかえしてみたり、ijikemusiさんやヤマレコ南ア南部常連の方々の山行を思い出したり、山で出会ったひとたちとのやりとりを思い出してみたり、南アのど真ん中で山の想いにどっぷり浸かりながら、たのしい一夜を過ごした。
【2日目:2014/05/03(土)】
蓄積した疲労と寝不足が抜けず、今日はどうしようかウダウダと悩みながら起床。朝飯を食べながら、空身で徳右衛門岳山頂を目指すと決める。撤収したザックは念のため木に括り付けておき出発。空身はラクだー。どんどん進む。
2400のJPは微妙に進路を変えつつ平らな地形に多重山稜となっていて難しい。GPSを睨みながら夏道の記憶をたどる。たしかこの船窪の終わったところで右にグイッと上がったような?と思いだし、雪の土手を無理やり上がるとテープマーキングのたくさんついた尾根上に出た。
鬱蒼とした樹林帯も少しずつ頭上が明るくなり、やがて右手の先のほうに樹林の切れた小ピークが見えた。徳右衛門岳のようだ。近いような遠いような。さらに右手には霞んだむこうに富士山。真冬のキリっとした富士山もきれいだが、春霞に浮かぶ白い富士山もまた格別だ。自分にとって富士山は眺める山だな。
頂上も見えてきたので、がんばる。「水」?「*」?みたいな水場の看板も雪の下のようで、岩場を越えると突然樹林の切れたまぁーるい広場に出た。徳右衛門岳山頂だ!徳右衛門の徳の字もなく、「二軒小屋← →塩見岳」と書かれた事務的な角柱標識も完全に雪の下のようだ。あぁなんとかここまで来た。
目の前には真っ白な荒川岳。ijikemusiさんは今頃山頂を踏んでいるだろうか?右に視線をうつすと、大井川西俣を囲む山並み。そして樹林のむこうには蝙蝠岳へと続く尾根がのびているはずだ。
静かな山頂を楽しめるのもこれが最後になるのだろうか・・・
徳右衛門岳山頂を堪能し、小休止ののちに下山開始。最初、つい行きやすいほうへ行ってしまい、見たことのない景色に?となってGPSを見ると、とんでもない方向へと降りかけていた。あぶないあぶない。すぐに修正して下る。
やはりこの尾根は下りが難しい。特徴のない景色が続き、自分の足跡だけが頼りだ。残雪期は雪の上に小枝や落ち葉がびっしりで、足跡の識別がなかなか難しく、意外なところで神経をすり減らした。
無事ザックデポ地まで戻り、引き続き降る。やはり2000あたりでアイゼンを脱いだ。中電監視塔も過ぎ、ひたすら降って登山口に到着。
二軒小屋への帰り道、ふと、ここに来るのは簡単ではないことを思い出し、憧れの西俣方面へ立ち寄ってみた。カーブの先に現れたのは西俣の大きな流れとずっと先まで続く林道。これをひたすら歩くのか。なかなか手強そうだ。
田代ダム脇の桜が咲き誇って風に揺れていた。昨日入山のときは咲いていた記憶がなく、後で小屋の人から今日一気に咲いたのだときいた。二軒小屋に戻ると小屋の前の桜も咲いていた。
夜のディナーコースは期待通りの美味しさで、果実酒も進み、清潔な布団でゆっくり休んだ。
翌日、二軒小屋のスタッフの方々がわざわざ見送ってくださり、送迎車で畑薙ダムへと下山した。
まったくもって軟弱・自己満足な山行であったが、好きな山を堪能し、安全に下山できたので問題なし。
何よりもijikemusiさんとの遭遇という大きな大きな思い出ができた。嬉しかった。
気がかりなのが、リニアの工事。今秋くらいから始まるらしい。沼平から二軒小屋までの林道にはアスファルトが敷かれ、法面工事され、数百人〜千人規模の工事業者用宿舎が二軒小屋の先につくられ、コンクリートのプラントも建設され、ダンプが運び出した土砂は大井川の河原を埋め尽くし・・・・・・
椹島〜二軒小屋の灼熱の林道歩き、正月の沼平〜聖沢登山口の林道歩きを思い起こし、あの経験はもう二度とできないと考えると涙が出てくる。今までは利便性向上目的の大規模開発に対する情緒的短絡的な反対論者を冷やかに見ていたが、ごめんなさい。今回ばかりは、情緒的に大反対させてもらいます。大切な南アルプスの山を、どうか、あのままにしておいてはいただけないでしょうか。
コメント
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あんまり名前が出ちゃって ・・・。
私が 椹島から歩かなかったのは、 初めて悪沢に入ったのも伝付--二軒小屋からだったし、 距離的にも椹島より近いからと云う単純な理由ですよ。
施設利用券のNo., 全然気がつかなかったです。 残念 !
・・・そうですか、蝙蝠の山頂で幕営ではなかったですか? 多分 蝙蝠の山頂まで行かれたと思って 夕刻、暗くなった頃 マンノー沢の頭からヒョッとしてebi さんのテントが明るく見えるかな・・と思って見ていましたが・・・。
静かなところが騒がしくなって 自然が破壊されると思うとホントにつらいですね
富士山は 見るのは大々好きですけど 多分私も一生登ることはないと思います。 ホント 嗜好が良く似てますね。
私の見送り写真 有難うございました。
ijikemusiさん、その後ご無沙汰しておりました。
ようやく山行記録アップしました
あの時間に出発して、幕営装備で蝙蝠山頂までは自分には不可能です。無雪期に4:30出発でやっとですから
先日の西俣偵察で、リニア正式決定するずっと以前から着々と林道整備されていた様子を見てしまうと、現実を突き付けられた気がします。品川ー名古屋間では大した時間短縮にはならない(ホームへの移動時間が長いので)とか、ペイするのか、といった識者のご意見を見ていると、どうにも複雑な気持ちが拭えません。
なので、今年はできるだけあのへんを楽しもうと思ってます
きっとまたお会いできますね
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