三ツ下谷遡行して天狗岩そして山羊戸渡
- GPS
- 06:32
- 距離
- 12.7km
- 登り
- 689m
- 下り
- 828m
コースタイム
- 山行
- 6:44
- 休憩
- 0:49
- 合計
- 7:33
天候 | 晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
沢はどこも危険。三ツ下谷踏み跡がところどころ現れるが、辿っていない。 |
その他周辺情報 | 乙女塚温泉 |
写真
装備
個人装備 |
地下足袋
わらじ
|
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感想
今日は岡山県の三ヶ上に行くつもりだった。しかしkinuasaの足の状態が悪化して急遽、病院に行くことになり、asakinuの単独登山となった。単独では高速代とガソリン代をかけて岡山まで行くのはもったいない。となれば行き先は六甲である。一昨年、石楠花谷を遡行したときのある事件がきっかけでkinuasaは沢を敬遠するようになったため、しばらく沢を登っていない。今日は素晴らしい好天が期待されることだし、asakinuとしては沢登りが自然の選択なのだった。単独での沢登りは推奨されるものではないが、その分、より一層慎重に行動しよう。さらに、今回初めて「いまココ」を使ってみるということになった。で、行き先だが、六甲では珍しい(!)清流と評判の三ツ下谷。ずーと気になっていた沢なので、準備は上々だ。そうとなれば、急いで支度だ。しばらく休眠していたわらじと地下足袋、それにヘルメットや登攀手袋を出してきてリュックに詰め込む。kinuasaに新神戸駅まで車で送ってもらい、ここから地下鉄で長い長いトンネルをくぐって谷上駅へ。
谷上駅を降りると、「山田道・森林公園」という真新しい掲示が貼られているので、それに従って歩を進める。高速の下をくぐり、「山田道」の掲示にそって進むが、ヤマレコの計画線からは少しずれている。気になりつつも川の左岸をそのまま進めは、目前に堰堤が現れる。そこで道と思っていたものが忽然と消える。周りを見回すと頭の上の辺りに小さな橋が架かっているのだ。あんなところに道が!強引にそこまで登ると、これが計画線とぴったり一致した。安心して進んでいく。途中、45度傾いた橋はすぐ下を渡渉して越え、その先の指導標のところで、「行き止まり」表示のある踏み跡へと入る。くねっと曲がった下水谷に沿って藪っぽい踏み跡を辿ると、左からしっかりと踏まれた小道が合してさらに上流へと導かれる。いい気になって進んでいくと、下水谷の堰堤横まで行ってしまい、踵を返していわゆる「下水谷分岐」というY字の分かれ道まで戻った。ここから左の小道を水線に下る。下りきったところが三ツ下谷と下水谷の出合だ。三ツ下谷唯一の堰堤(副堰堤を伴っている。丸山上流堰堤)を右から越え、谷に降り立つが、なんと水が涸れている。えー、と思いつつ上流へと進むと、再び水が現れた。ここで、沢装束に変えることにする。ずっと地下足袋とわらじで沢の遡行をしてきた私は、近頃スタンダードの沢シューズの甘いフリクションを良しとしない。なので、まず、わらじを流水に着けて15分ほど湿らせるのだ。その間はゆっくりとした時を楽しむ。地下足袋をつけ、シュリンゲをベルトに噛ませてすぐに使える態勢にする。そしてやおらわらじを水から引き上げて、地下足袋の上(下、というべきか)に着けるのだ。しばらくわらじを履いていないが、アイゼンのベルトと同じ要領で着けるので、戸惑うこともない。さあ、準備完了だ。いざ出陣!!この時の気分は最高だ。
すぐに水の中に足を突っ込んでじゃぶじゃぶと進む。気温が上がる筈だが、さすがに10月の朝の谷は肌寒いくらいだ。水の中の足は冷たいが、不思議にすぐに感じなくなる。まずミニチュアの滝がぽろぽろと現れる。小さな滝なのに概して釜が(相対的に)大きく深めである、それでも水中スタンスを拾っていけば簡単にかわせる。しばらく進むと小滝が現れ、最初の二つは共に右からスッと超える。見た目よりはるかに容易だ。さらに進むと、7mくらいの滝らしい滝が現れる。これがF6とされるものだろう。滝のフェースの水線の左に滝の落ち口まで達する流木がまっすぐに「立って」おり、これを支柱にすればやや外傾気味のホールドながらそれを捕まえて登れると思った。実際、いい感じで登って行ったのだが、中間点まで上がるとこの流木がぐらりと動いて、これに頼って直上はまずいと感じ、えいや、で右手のテラスに乗って落ち口へと抜けた。するとその上にもう一つ、直瀑が現れた。F7のようだ。落ち口のところが少々気になるが、水線をまっすぐ上がって左に出れば越えられそうだ。さっそくどまんなかに取り付き、シャワークライムとなる。中間点まで上がったはいいが、そこから落ち口まで左ルートでは困難と見た。そこで今回も右上の磨きのかかった乾いたテラス上を目指し、水中の岩の突出を抱くようにして体を持ち上げ、目指すテラスに乗った。するともう眼の前に落ち口があった。この滝で胸から下はびしょびしょになったが、今日の陽気ならすぐ乾くだろう。
そして目を上げると、そこには見事な斜瀑が木漏れ日を浴びて閃光を発するように流下していたのである。傾斜のあるナメ滝と言ってもいい。全体で20mくらいだろうか。F8であろう。最上段の下までは水線の左から登って右にわたり返して容易に到達した。最上段も直登可能と考えたが、落ち口近くの2mくらいがスラブ状で水流で濡れているので、一歩間違えば下までノンストップで落ちてしまう。単独でもあるし、おとなしく右の巻き道を越えた。
一旦穏やかな渓相となった中を進むと、左手から黒光りした直瀑が側面に岸壁を伴って堂々と落下している。F9だろう。この滝は直登困難。周りを見渡す。左は大岩壁で却下。右をよく見ると、巻き道がある。これを辿って左岸を巻く。途中、ホールドの細かい外傾し湿った岩盤をトラバースするが、ここにはお助けロープが結ばれているので、それに縋る。そこが六甲である。ロープがないとここは危なくて通れない。ロープが使えない場合、さらに上に上がって大高巻きを強いられるだろう。足場は悪い。
この上はほとんど小滝しかなく、左手にちょっとした滝を見ると谷の傾斜がなくなって二股状となる。その中央の尾根ともつかないふくらみに乗ると踏み跡があり、マーキングもある。これに入ると間もなく穏やかで歩きやすい尾根となる。やがて傾斜がややついてくると、その先は岩となる。ブログなどには岩登りと書いてあったがおよそ岩登りとは言えない上りでほんの2−3分を過ごすとコブに出た。さらに先があるのかなと思って目を凝らすが、どうやらここが天狗岩らしい。拍子抜けである。正確には天狗岩のわずか北にある岩にでたのだった。数秒で天狗岩に立つ。見晴らしは素晴らしいが、天狗岩自体は意外なほど小さな岩だった。ここでゆるりと昼ごはん。誰も来ない岩のコブに陣取り、贅沢な眺めと夏の余韻に包まれた秋の好天を独り占めするのだった。この後は、石楠花山、烏帽子岩、シェール道、穂高堰堤、杣谷峠と回って、山羊の戸渡から下山とした。山羊の戸渡のほうが、天狗岩の上りよりもはるかに岩々しているのだった。
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