水無川 オツルミズ沢
- GPS
- 13:10
- 距離
- 12.1km
- 登り
- 1,654m
- 下り
- 1,641m
コースタイム
- 山行
- 13:10
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 13:10
天候 | 晴れ(山頂部はガスがかかる) |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
オツルミズ沢:4級上(登攀系の代表格)
(行動の記録)
水無川キャンプ場に車を停めて出発。
林道の途中からカグラ滝が見える。遠目には結構立っていて威圧感がある。
しばらく林道を歩くと、20分ほどでオツルミズ沢出合。
出合には石にカグラ滝へのシュートカットルートの標識がある。これを利用するとカグラ滝までのやや面倒な滝をパスできるようだ。入口は沢の中ではなく、ちょっと先の林道から。道は良く整備されており、歩きやすい。やや恐いトラバースのところには鎖も設置されている。
ショートカットルートをたどるとカグラ滝の真下に出る。遠目で見るよりも寝ているが上部に行くにしたがって徐々に立ってくるので、水線際ではなく、灌木とのコンタクトラインをたどると良いだろう。
カグラ滝の上では深い釜を持った小滝が続く。適当に小さく巻きながら進むと、遥か先にサナギ滝が見えてくる。山肌を切り裂くように天から降ってくる。身が引き締まる。
すぐにゴルジュ地形となる。崩壊した雪渓が不安定な状態で詰まっており、すり抜けるのも困難なので左から巻く。その先も絶望的なゴルジュが続くのでまとめて巻く。途中で下を見ると確かにどうにもならないようなゴルジュとなっていた。
結構高い位置を慎重に巻き続け、ゴルジュ出口の4段25m滝のところで沢に降り立つ。その後はいくつかナメ滝を越えて、30m滝を過ぎると、ついにサナギ滝200mの真下に出る。
近くまで来るとそのスケールに圧倒される。上に広く、遥か上から水が降ってくる。左右も開けていて岩の大伽藍となってる。この滝の本当のすごさはここまで来た人にしか分からないだろう。
下段はハングしているので、左からバンドを伝って中段に至る。そのまま左の側壁を伝って上段まで進んだ。岩は固く、フリクションが良く利く。上段まで来ると水流近くまでバンドが伸びている。それをたどると最後は岩壁に遮られる。ちょっと登ると凹角になっているところに着く。そのまま凹角を登りたくなるが、意外に登りづらい。むしろカンテ状になっている方に身を乗り出して登った方がホールド・スタンス共に豊富なので簡単である。200m近い高度がある空間に身を乗り出すのは結構勇気がいる(アルパインクライマーにとっては何てことはないだろうけど) 残置ハーケンは3つあった。凹角沿いに2つ、カンテに1つ。
凹角にたどり着いたら、まず2段ほど上がる。そうするとカンテに取り付けるようになるので、上手くムーブを考えて取り付く。カンテに出れば、あとは簡単。3,4手で落ち口に抜けられる。ちょっと上に灌木があるので支点に出来る。ロープスケール20m強。
登り始めて1時間半。さすがに時間がかかった。滝上からは街が望める。かなりの高さである。とても気持ちの良い空間。
滝上からは再びゴルジュとなる。かなり狭く、中には直瀑系の滝が連なり、悪絶極まりない。左から巻いていくと崩壊した雪渓の奥に80m滝が見えてくる。そのまま左壁を進み、80m滝の上に出る。最後は灌木帯に逃げ込んだ。
さらに崩壊した雪渓は続く。80m滝から先は大きな滝は出てこない(と言っても20mクラスはところどころ出てくる)が雪渓処理があったり、登れない滝と微妙な巻きが続き、気が休まるところが無い。この辺りが一番辛かったかも・・
地図の雪渓マークのところには例年残っているものと思われる。ここの状態次第では厳しい遡行となるかも知れない。
それでも辛抱強くこなしていくと、フキギの手前で沢が直角に曲がる辺りから、沢は穏やかな顔を見せ始め、癒しの渓相となる。今までの厳しい遡行の後なので、より一層の癒し効果がある。本当にほっとし、穏やかな気持ちにさせてもらった。
盛り沢山の内容を振り返りながら、のんびり歩いていくと駒の小屋の水場に出て、遡行終了。かなりの達成感に浸る。
あとはせっかくなので越後駒の山頂を踏み、滑りやすくて、かなり急な登山道を下り、キャンプ場に帰還。
(感想)
オツルミズ沢は憧れの存在であった。まさに読んで字の如く、「落つる水」であり、ひたすら滝が続いた。それもスケールが大きい滝ばかり。特にサナギ滝の大伽藍は本当に日本離れした風景だった。圧倒され、言葉も出なかった。
技術的に難しいとは思わなかったが、終始緊張させられる場面が多く、大変だった。久しぶりの本気山行に今は満足感でいっぱいである。たまにはこんな山行も良いかな(こんなの頻繁にやってたら死んでしまいそうだ・・)。来年は利根川本谷に行こうか。きっと、沼田在住、永遠の少年が付き合ってくれるに違いない。お盆の頃のスケジュールを空けておいて下さいね(笑)
コメント
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ひとり。
日帰り。
偉いなあ!
言葉がないです
gankoyaさん、こんにちは。
直前までデトノオオナデ沢にするかどうか迷ったのですが、歩ける内に憧れのオツルミズに行ってみようと思い、行ってしまいました。
厳しい遡行でしたが、絶景の連続に圧倒されっぱなしでした。
久しぶりに全力で臨んだので、今は充実感でいっぱいです
PS 本当に利根川本谷に行きませんか
コラコラ、
40過ぎの青年が体力の衰えを感じているなら、
60直前のおじさまはどんなだと思います?
先日マチガ沢に行ってきました。
出合から山頂まで5時間でした。
余計な時間を削ぎ落としても実質4時間半でしょうね。
あなたと同年のころは普通に3時間半で遡行してました。
どうにもならない事もありますね…。
誘っていただけると嬉しくてムラムラしますが、
2泊3日は気力はあっても体力がなあ〜
(よしさんの計画は1泊2日かな?)
とりあえずは鬼が笑う来年の話しということで(笑)
それにしても、
オツルミズの単日遡行は脚の速いよしさんなので「さすが…」とは思っても驚きませんが、そのまま下山・帰宅するっていうのは理解の外です。
例のモノ、下山してから10本くらいお腹に入ったんでしょうね
年齢詐称疑惑が出ておりまして、実は45なのではないでしょうか
北沢本谷の時は足が十分ではないのに、登攀と下山の速さに驚かされました。本当にまだまだすごいと思います。
利根川本谷は2泊でしょうね。今年の8月に行ってみようかと考えたこともありました。単独で車の回収もあったので、十字峡〜本谷山〜越後沢中間尾根経由で入渓するつもりでした。
来年、行けたら行きましょう。まあ、あそこは状態次第で3〜5級と激しく変化するみたいなので、良く見極めたいと思っています。
ちなみに帰りはコンビニを2件ハシゴして
コーラ:2(300ml , 500ml)
コーヒー牛乳:1(500ml)
アイス:4
カップ焼きそば:1
って感じでした
こんにちは。去年ナルミズ沢で会った者です。
オツルミズ沢にソロで挑むとはびっくりしました。
記録を読んだ今でも信じられないくらいです。
僕がその沢へ行ったら10回以上は死ぬでしょう(笑)
今後の記録、利根川本谷も楽しみにしています。
201342さん、お久しぶりです。
自分自身でも写真を見返して、「良く行って来たなあ」と思ったりしています・・
決行するか直前まで悩んだのですが、「体力が保つ内に行きたい」、「せっかくモチベーションが上がった今を逃すともう一生行けないかも知れない」と思い、ドキドキしながらも行ってしまいました。
(結果が良かったから言えるところもありますが)今は行って良かったと思っています。充実感でいっぱいです。ただ4級となるとあまり楽しむ余裕も無くなってくるので、3級程度の沢をのんびり楽しんでる方が良いかなと思っています。
yoshi629さんはじめまして。
先週ここ通りましたが、やっぱり沢登りも良さそうですね。
ただ単独でやる技術が無いので、鍛練します
aknoteさん、はじめまして。
9/13の記録を拝見しました。あの激急登を登ったのですね。しかも4時間を切るような速度で。すご過ぎです
下りながら「これは絶対登りたくないルートだなあ」と思いながら歩いてました。ホントに無茶苦茶な急登ですよね。滑りやすいし。私は4回ほど転びました・・
写真も拝見しましたが、今回私が遡行したオツルミズ沢やショートカットルートの標識も写ってましたね。コメントでは「?」となってましたが、私のレコを見てもらって納得してもらえましたでしょうか。もし、またこの辺りに行くことがあれば、カグラ滝だけでも見に行くと面白いかも知れません。
沢は面白いですが、危険を伴うので、少しずつ無理しないでやって下さいね。出来れば、基本が身に着くまでは経験者と行って下さい。
ヤマレコにオツルミズの記録が上がっている!と思ったら、yoshi629 さんだったのですね!
予備日含め3日確保するところを、単独日帰りとは驚きです。
実は今年の秋に狙っていたのですが、
人生の三大北壁の一つ、出産がぶつかってしまい、暫く見送ることになりそうです。
お久しぶりです。っていうか私の素性に気付いていたのですね。Sさんから聞いたのかな?
オツルミズはずっと憧れの沢で、「いつかは・・」と思ってましたが、昨年ぶなの会のメンバーが1日で小屋まで抜けていた記録を見たので、これは日帰りできると思い、決行しました。当然ビバーク装備を持って行ったので、意外と重荷になり、日帰り装備の軽快遡行とはなりませんでしたが・・
そうですか、お子さんが生まれるのですね。これからはしばらく自由が利かなくなるかも。会にいた頃はwetcradleさんの自由さが羨ましく思ったものですが、今度は同じこちら側になりましたね。はは・・ 上手く家庭と趣味の両立を目指して下さい
yoshiさん、こんばんば〜
いかにも悪そうな巻き、高度感のある巻き、
相当難しそうなのが写真から伝わってきます。
このランクの沢をソロでやってしまう精神力が想像つきません
お疲れ様でした〜〜
stkさん、こんにちは。
写真を見返すと「良く行って来たな」と思ったりしてます。まあ、なんとかなったりするものですが
登攀系で有名なだけあって、これでもかと巨瀑が現れる様はすごかったです。まさしく「落つる水」沢でした。
さすがに今回はプレッシャーがきつかったです。直前まですぐ近くのデトノオオナデ沢(3級)にしようか迷ったのですが、体力がある内に行ってしまおうと思い、決行しました。今回の山行で確実に体力が落ちてきていることが実感されたので、魅力があるけれども難しい沢に行けるのもあと1,2年ほどかなと思いました。まあ、無理せずに楽しんで行くつもりです。3級程度の方が気楽に楽しめますね。
ゴメン!
大分雪渓残っていたようで…
でも、どうせ泳げない(寒い)から巻きだよね
オラも若さと気合いとPOWERぽっちいなぁ
あまり調べていなくて、例年どれくらい残っているか分からないので、こんなものかなと思ってました。サナギ滝の上で1回泳がされましたが、気温も高かったのでむしろ気持ち良かったくらいでした。
私は、mt-samさんの技術の高さが羨ましいです。三石沢とか簡単に行けてしまうのが凄いです。
yoshiさん、こんにちは。
素人がコメントするのは、はばかられるような雰囲気の
レコですが、失礼します
この沢は、雪渓もいやらしく困難な沢があるんだけど
挑戦したいと言っていた沢ですよね。
写真を見ているだけでも全然登れるよに見えません。
巻も微妙のコメントありますが、写真を見る限り、全然
巻けるようにも見えません。
いや〜、200メートル滝はすごいですね。写真で伝わるものは
少ないと思いますが、最初から最後まで、ほとんど全行程が
滝のようにも見えます
yoshiさんにして、山頂まで10時間弱の遡行、沢は途中で戻る
のも困難ですし、想像も出来ません。充実感も半端ない感じ
でしょうね。お疲れ様でした!
アイス、東黒沢&ウツボギ沢の時も4本だったでしょうか?
(3本かな?2本ではなかったと思う)
これ、yoshiさんの定番だったのですね
youtaroさん、こんばんは。
>挑戦したいと言っていた沢ですよね。
そうです。オツルミズ沢はかなり有名な沢で、憧れている人も多いと思います。私もいつか!と思っていたのですが、今年から導入したラバーシューズの威力を知り、行けるんじゃないと思うようになり、決行しました。
3日前くらいまではドキドキワクワクだったのですが、2日前からは不安が大きくなってきて、どうしようかなあと迷いっぱなしでした 結果的には全力を出し切るような充実感いっぱいの会心の山行となりました。
本当に「落つる水」沢で、すごいところでした。ほとんど河原というものが存在せず、豪快な滝と険悪なゴルジュで構成されているすごい世界です。特にサナギ滝は山肌を切り裂くように天から水が降ってきていました
>山頂まで10時間弱の遡行
ここは通常1泊なので、さすがに時間がかかりました。何とか明るい内に帰ってきたかったのですが、最後の1時間くらいはヘッデンのお世話になりました。
>これ、yoshiさんの定番だったのですね
定番・・ うーん、そうかも知れません。万太郎の時も3本でしたし、ウツボギの時も3本だった気がします。その調子で北沢本谷の時も4本食べてたら、gankoyaさんに驚かれたのです
負けた! 私は18年前でしたが、2泊でくたくたでした
かぐら滝まで、楽々の巻き道があったのですね 1泊可能!?だったかも
カグラ滝までの部分は厄介みたいですね。今はほとんどのパーティーが巻き道を選択すると思います。18年前はまだ整備されていなかったようですが、今は地元山岳会が整備しています。カグラ滝で練習したりするみたいですよ。
かぐら滝までならば、今の私も行けるのですね もう一度見たい景色です。
オツルミズの北側 佐梨川金山沢奥壁第4スラブ そこの中間に幅広のバンドが通ってあり 霊を感じる鉱山の坑道がありました。 下山時、背中に水を流された感じで ずっ〜と涙がこぼれながら帰りました。 沢には、悲しい負の遺産が沢山ありますね
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