mルートで行くgピーク( 四ッ岳 東峰)
- GPS
- 10:26
- 距離
- 14.5km
- 登り
- 1,621m
- 下り
- 1,617m
コースタイム
天候 | 晴れ〜曇り〜小雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
装備
個人装備 |
水
食糧
行動食
バックパック
使い捨てカイロ
ピンチ缶
ヘッデン
予備電池
メガネ
GPS
笛
コンパス
ナイフ
非常食
タープ
無線機
スリング
予備インナーグローブ
保温ボトル
防寒グローブ
ビニー
バラクラバ
ハードシェルジャケット
ゴーグル
オーバーグローブ
アイゼン
ビーコン
ゾンデ
スキーヘルメット
スキーシール
スキー板
スキーアイゼン
シャベル
シールメンテキット
兼用靴
ウィペット
ウエストバッグ
ウェラブルカメラ
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感想
乗鞍平湯エリアは山スキーを行う上で重要なエリアだ。
シーズン初期から残雪期まで山を替えルートを替えてシーズンを通して楽しめる。
その中でも手応え十分な山の一つに四ッ岳がある。
四ッ岳の旬はパウダー期である。
北面、北東面が主たるルートとなこと、アプローチに渡渉が伴い、渡渉点のスノーブリッジ完成から崩落までの期間が厳冬期であることが理由にあると思う。
現在3月下旬に入りスノーブリッジ崩落も時間の問題である。
しかし、もうしばらくの期間四ッ岳を楽しめないだろうか、またザラメ期の四ッ岳の可能性は無いのだろうかと考えた。
そこで浮かび上がったのが、かねてよりヤマレコユーザーのmacoさんの独自のルートを構築し、渡渉点を高標高に設定した山行である。
また、graveltrekさんが以前に四ッ岳東峰からの東面滑走の記録を残しており、東面ともありザラメ期には緩みやすく好都合な斜面ではないだろうかと考察した。
この二つの記録を繋ぎ合わせ、春の四ッ岳の可能性を探るべく山行を行ったのでここに報告する。
先ず、参考にした二つの記録の報告者であるmacoさんとgraveltrekさんに感謝いたします。
お二人の記録無くしては今回の山行は成立せず、大変参考に、お世話になりました。
お二人に敬意を表し、記録中にはルートを「mルート(macoさんルート)」、ピークを「gピーク(gravelpeak)」と表現させていただいています。
以下、山行報告
当初決行日は19日を想定していたが、18日に纏まった降雪があり雪崩リスク大となったため、21日に延期とした。
天気予報は午後から崩れ模様ではあるが、本格的に崩れるのは夕方以降であり、エスケープにノーマルルートもあることから決行とした。
取りつきは平湯クラシックルートで知られる平湯大滝右岸尾根からである。
そもそもの寡雪に融雪が進み、取りつき尾根は雪切れが目立っていたので、シートラで乗り上げた。
数週間前に同じ取りつきから金山岩へ行っている事もあり、状況知見があったので楽に登山道経由で尾根芯に進めた。
尾根芯を進むと蕪杉(?)の群生しているエリアがある。
追記 木こりのヒヨコに聞いたらもみの木らしいです。
ここを過ぎると正面に谷地形が見えた。
左の尾根が金山岩へのルートだが、今回は右の尾根にあがり、その先を進行方向右手に緩やかに下降した。
尾根をトラバースしていくと右手に沢が見えた。
EL1730あたりから確認できる沢は割れが目立ち、狙っているEL1820渡渉点の状況が不安になる。
そこから標高を出来るだけ上げないように南進したかったが、雪切れやブッシュに阻まれ叶わず、帰路のシール貼りを決心する。
南から合流する枝沢が見える位置から渡渉後の進路を検討した。
当初の計画で、本沢を渡渉した後、沢床左岸を西に進み枝沢を越えて1841基準点がある尾根の一つ東の尾根を登る想定をしていた。
しかし、枝沢合流部付近の沢割れが目立ち、枝沢渡渉にリスクあること、行程が長くなり夕方の天候崩れの懸念があることからmacoさんの過去ログにあった渡渉点正面の二筋尾根の西側を登ることにした。
macoさんは東側尾根を登り、西側尾根を滑走しているが、「東側尾根は滑走には不向きである」とコメントを残されており、それならば西側尾根を登りも滑走も通った方が賢明であろうとの判断だった。
結果的には登り上げる事が出来たが、EL2050付近は雪崩地形のルンゼ地形が左右二手に別れ、真ん中を樹木の生えた細尾根が伸びていたので、安全策を取り細尾根をモンキーを駆使して登り上げた。
緩やかな地形に出た後は、ノーマルルートとの合流を目指し、西向きに進路を取る。
幸いな事に、土日に残されたであろうトレースを発見し、合流した事が確認出来た。
そこからは、残トレースを利用させてもらいつつ、三角岩が見える地点まで進んだ。
ノーマルルートは右手に見える斜面の鞍部に向かって進路を右手に取るが、今回は四ッ岳東峰を踏む事と東面斜面の滑走を目的としているので、三角岩と東峰から伸びる斜面の間を狙って南進した。
天候は幸い安定しており、ハードシェルを羽織るだけで、特別な対天候装備は不要だった。
南進して斜面を回り込んだ地点で上部を仰ぎ見ると、graveltrekさんのレコに紹介されている通り、圧倒される大斜面が拡がっていた。
そこから、すぐにジグを切りながら標高上げも出来たが、敢えてジグを切らずに西へ巻き込むように標高を上げて行った。
これは、初見の斜面であり、雪の状態が不明であることから大きく範囲を広げて足元から伝わる感じから全体の様子を想定する為だった。
実際、斜面とりつきした時点ではシールのみで登り上げれる感じであったが、進む内に多少固い部分もあることがわかり、滑落するとかなりの距離落ちるので(回転しない限り怪我しないであろうツル斜面だったが)回り込んだ先の斜度が緩くなった地点でクトーを装着している
ここで余談であるが、同日に乗鞍剣ヶ峰をJUNDrさんが登っており、昼前頃に無線交信の約束をしていた。
ピークまであと15分程度の地点で、無線機に受信があり、興奮気味のJUNDrさんの声が聞こえてきた。
その勢いにちょっと焦ったが、(先生、一応無線交信のお作法をねwww)何事も無かったかのように(?)サブチャンネルに誘導して無線交信をした。
何でも剣ヶ峰に到達したら、greenriverさん、tooruohさん、asakunaikawaさん、そして奇しくもgraveltrekさんと出会ったとの事。
それは確かに驚いた事しょう、graveltrekさんに「四ッ岳東峰に登っていると伝えてください」とお願いし、交信終了した。
ピーク付近は岩、ハイマツが露出しており、氷化した箇所もあったので慎重に進路を見極め進んだ。
天候状況が悪い条件であれば、ハイリスクなピーク付近であった。
ピーク到達後、記念撮影をした後に四ッ岳本峰方向を観察した。
時間、体力に余裕があれば本峰も寄りたかったが、スキーで進む事は叶わない岩稜帯であり、アイゼン換装して往復は現実的ではないと本峰は中止した。
ピークでシールオフして滑走体勢に入った。
ドロップポイントを見極める為、南寄りから東面に向けて観察したところ、一段落とした鞍部からエントリーが現実的と判断し、スキーのまま横滑りで下降した。
一部、完全に氷化した箇所があり、エッジが立たず緊張したが、柔らかい進路を見出す事が出来たので慎重に高度を下げた。
エントリーポイントから見た斜面はスキー場上級ゲレンデより少し斜度があり、35〜40度ほどだろうと感じた。
雪の状態は登りで確認していたので、モナカにつかまると転倒滑落のリスクがあると判断し、緩やかな大回りでゆっくりと滑走した。
大回りターンを連続で継続できる広大な斜面がこんなところにあったとは、偶然の発見とは言えgraveltrekさんの功績は大きいと感じた。
途中、二度ほど停止し脚を休めながらの滑走であったが、数年間気になっていた斜面を滑る事が出来て満足した。
そこからはトラバースしながら往路を戻った。
2050m地点では雪崩地形を警戒し、ルンゼ上部からのドロップは見合わせて、ある程度の高度を細尾根をズリ落としてから開けた斜面に進入した。
渡渉点まで戻り、予定通りシールを貼り渡渉後は暫くシールのまま進んだ。
渡渉点を改めて観察したところ、この地点の沢は源流に近いこともあり、沢幅はごく狭く水量も少ない。
スノーブリッジが無くとも、飛び石で渡れそうな気配であった。
平湯クラシックルートに合流後は、特筆すべき点は無く、無難に駐車地に戻り山行終了とした。
総評としてmルートはシーズン初期の頃、山頂付近はパウダー期待できるが従来渡渉点での渡渉がまだ難しい頃に有効なルートではなかろうか。
gピークからの東面はハイシーズンに入山者が多く、ノートラック斜面が期待できない時に、シークレットポイント的に狙える斜面ではないだろうか。
ただし、どちらもリスクを伴う行動となり、単独ではかなり行動抑制をしなければ事故につながる。
実際今回の山行では、自重して時間や労力を掛けた場面も多々ある。
何にせよ、未だ情報が乏しいので今後の検証山行で知見を高めていく必要がある。
長文となりましたが、これを今回の山行報告といたします。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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四ッ岳のこのルートはもう一度行って、ブラッシュアップしなければならないなぁと思っていた場所で、レコ楽しく拝見させていただきました。
乗鞍はとても大きい山で、まだ見ぬいいルートや斜面がある気がいたします。
自分も平湯はホームマウンテンなので、いづれどこかでお会いできるのでは?と思っております。その時はまたよろしくお願いいたします。ありがとうございました!
今回の追跡山行は、一つ一つの局面に対しmacoさんはどのように考えどのように判断したのか想像しながら進みました。
進みやすい進路を選択するだけのルーファイとは異なり、趣の深い充実感ある山行となり満足しております。
いつか、お会いすることがあるかと思います。
また是非宜しくお願いいたします。
今回の山行。コース選択の背景や考察が書かれており、興味深く楽しんで拝見させてもらいました。
本当に良いレコ、良い山行ですね。
楽しそうだなあ・・・。行きたいなあ・・・とは思いましが、まだまだ実力不足で、レコだけで夢想しておきます(笑)。
このコース、メジャーになったら嬉しいですね!!
今回のレコは山行記録ではなく山行報告書の体裁を意識して書きました。
普段の記録は「記録」ですから、第三者が読む事が第一目的ではないと捉えていますが、今回はmacoさん、graveltrekさんに報告するべきと思い報告書としました。
ま、実際は正しい報告書の体裁から簡略してますけどね。
今回のルートは乗鞍平湯を深く知るのに良いルートでした。
ただ、報告書に書きましたが、的確なリスクの見極めと回避が必要なので慎重さが求められると思います。
一発アウトになりそうなリスクは東面とEL2050での雪崩、滑落ですね。
なるほど なるほどです。自分は他の方のログをお借りする場合、必ず地形とトレースからその方の思考をトレースして学びつつ楽しんでいますが、今回、ランドレさんも同様のことをされているので、かなり共感できました。これ、凄く楽しいですよね。
それと、個人的には、報告書形式の方がすっと入って来ますね。理系脳がそうさせているのか(笑)。
さて、今回のコース、じっくり地形図読みながら見ますと、さらに興味深いです。楽しい!!
すいません、じっくり読むと色々と興味がわいてしまって・・・。
まずは、雪崩滑落リスク高いEL2050の写真が欲しいところです。
ここ、針葉樹林帯の記号ありますが、実際はどうなんでしょう?雪崩れて樹林無くなっているような感じなんですかね(樹林あっても一晩で60cm積雪でどこでも雪崩れますけど)。他のスキーの足跡だと、東側の尾根を行ってる方もいるみたいですが、そちらはかなり急。この辺の違いや選択の根拠も知りたい。自分だったらランドレさんと同じラインを選択しますね。でも、2020-2100の区間は現場状況次第で少し東へトラバースして大きな尾根に早めに乗り上げたかもです。急登怖いし自分の技術では厳しいかもしれませんので。
あと、2450あたり、つまり三角岩の西の池あたりからは谷沿い、もしくは復路の滑走を想定して、南東尾根沿いに山頂を目指して登頂したかもしれません。多少、勾配が緩くなるのと尾根沿いはハイマツがあるようなので多少安心かと。ただ・・・・地形的にウインドクラストや雪が風で飛ばされて岩とか出てないか心配です。対して、ランドレさんのコースだと結構な勾配と吹き溜まりによる雪崩が怖いです。荒地記号となってますので、頻繁に雪崩れてるのは間違いありませんから。でも当日は面ツルだったんですね。サンクラストですかね。
自分は山スキーではまだ実力不足で、無雪期レベルのバリルートは選択できませんが、久々にバリルートの楽しさを味わい、楽しく拝見させて頂きました。
追記:甲斐駒レコは既読です。一晩60cm以上積雪→どこでも雪崩れ発生リスク非常に高い条件。この時期の雪、結合悪い、重い、破壊力高い。
少し解説?しようかと。
でも、全部話してしまうとネタバレ状態になるので、実際行った時の楽しみ半減しますから一部だけ。
>EL2050の写真
バッチリな写真を撮ってます。
追加写真として載せますね。
さて、これのどこが雪崩リスクでしょうか…。
19日の甲斐駒の雪崩報告を読むと気付きがあるかもしれません。
>他のスキーの足跡だと
それmacoさんが登りで使った足跡です。
macoさんの記録読むとわかりますよ。
>西の池から南東に伸びる尾根を
その尾根は滑る予定のラインではないので登りませんでした。
山スキーはスタートから常に滑る事を考えて行動します。
どの様に登るかではなく、どの様に滑るかです。
ヤマレコの検索機能で「四ツ岳」をユーザー名「maco」又は「graveltrek」
で検索してmacoさんの記録とgraveltrekさんの記録も読むと一層理解が深まると思います。
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