上ホロ化物岩


- GPS
- 08:27
- 距離
- 4.0km
- 登り
- 380m
- 下り
- 379m
コースタイム
天候 | 視界悪、風あり |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年04月の天気図 |
アクセス |
写真
装備
備考 | ココヘリ、ナイフ、ビレイジャケット、充電ケーブル、温度計忘れ。 カムは0.3以下のサイズがあった方が便利。 |
---|
感想
■4月1日(土) 曇り(視界悪)
凌雲閣駐車場(7:40)→化物岩取付(9:00)→左ルート3ピッチ目取付(11:30)→化物岩頂上(13:30)→凌雲閣駐車場(16:00)
およそ4年前、山岳会の先輩I谷さんに初めて連れて行ってもらった上ホロの冬期登攀で、化物岩・八手岩を登らせてもらった。あれから4年ちょっと。紆余曲折あったがなんとか山やクライミングを続け、自分でも冬期登攀に挑戦する自信がついてきた。冬の中央アルプス宝剣岳や八ヶ岳で何度かリードさせてもらったことはあるが、自分で1から冬期登攀を組み立てていくのは初めてだ。正直、数日前から登攀シーンが夢に出てくるほど緊張していた…。
もう4月に入り、下界はすっかり雪がなくなったというのに、凌雲閣は真っ白、おまけに視界はなかった。ホワイトアウトの中コンパスを切って進むと、およそ1時間で目印のウンコ岩に到着。スノーシューをデポして化物岩へ向かう。化物岩までの30分ほどの登りの間だけ、視界が晴れてくれたが、取りつきにつくとすぐにガスに覆われてしまった。気温はマイナス5度〜10度ほどか?風は多少あるが、そこまで寒さはもたらさない。
〇右ルート取りつき→雪田
この数日で降ったと思われる雪が十数センチ〜20センチ溜まっている。取りつきに向かう雪斜面のトラバース中に、足元の雪にパパっと亀裂が走って落ちていく。ほんの小規模な破断だったが、緊張する。まず取りつきから5メートルほど上がる。テラスに上がってから、ルート情報を誤って頭に入れており、直上するところを右に5メートルほどトラバースしてしまった。トラバースも雪がいやらしく、除雪しながら進む。途中、ハーケンで1か所支点をとる。トラバース終了点から直上し、ハイマツでビレー。誤ったトラバースをしたためロープが屈曲して非常に重かった。妻はすすっとフォローしてきた。視界が悪いので右ルートの3ピッチ目の取りつきが分からない。とりあえず雪田を登り上部岩壁基部をうろちょろ。するとO型の穴の開いた岩に何本ものロープが巻かれた懸垂支点を発見。おそらくこの左右がルートになっていると思われた。見た目で左の方が登りやすそうだったので、左岩壁の基部にカム2つで確保支点をつくる。後で確認したところ、こちらは左ルートの3ピッチ目で合っていた。
〇左ルート3ピッチ目取りつき→3ピッチ目終了点
本当にルートで合っているのか疑心暗鬼になりながら登り始める。一手一手が崩れるんじゃないかという恐怖がよぎる。慎重に、カムで支点をとりながら凹角へ入っていく。手登りも活用する。スラブ質な部分は足を確実に決めるのに時間がかかる。除雪をして良い手足、支点用のクラックを探す。カムが取りづらいところもあり、1か所イボハーケンで草つきに支点をとった。また、1か所だけ残置ハーケンがあった(だいぶ錆びているし、アゴが効いていないので墜落荷重に耐えうるとは思えない)。登攀中ずっと唸りながらようやく凹角を抜けた。そこから傾斜の強い斜面が待っていた。支点が取りづらい。岩角にスリングを巻いて支点にして、草つきにバッチリと決まったクォークを信じて乗り込む。すっぽ抜けたらと思うととても怖い。非常に精神的に試される登りだった。腰を雪面に近づけ、へっぴり腰にならないように注意する。引き上げた体はしっかりと安定していて、安堵する。1月にN田さんにアイスクライミングの特訓をしてもらってよかった。雪面を抜けると残置物が目に。懸垂支点だ。ありがたく使って、カムでバックアップを取った上でビレイポイントとする。時計を見たらすでに1時を過ぎていて、びっくりした。あまりに登攀に集中しすぎて一瞬の出来事のようだった。このピッチだけでおよそ1時間半も使ってしまった。寒い中辛抱強くビレイしてくれた妻に感謝したい。妻は30分くらいで登ってきた。2人で完登できてとても嬉しかった。化物岩山頂まで妻がロープを伸ばした。すぐに懸垂で取りつきまで戻る。途中、クライミング中に落としたイボハーケンを回収。懸垂2ピッチ目は50メートルロープでは本当にギリギリなので、末端処理は必須だ。もしくは、最後の10メートル付近でもう1か所懸垂支点があるようなので(私は見逃した)、3ピッチに切るのも手か。
4年ぶりの化物岩は、自分にとっては非常に試されるクライミングだった。無雪期の岩登りと比べてもクライミング全体が格段に難しく感じた。だが、危なっかしい登りをした箇所があったかというと、すべての手数を確実にこなせたと感じる。ハーケン2か所、イボハーケン1か所を含めて、カムでの確保支点、中間支点の類もしっかりきめられたと思う。ルート全体に懸垂支点を除いて残置物がほとんどなかったが、近年はゲレンデでは極力残置無視を心掛けているので、問題にならなかった。去年しっかり取り組んだ無雪期のマルチピッチクライミングや、芦別岳での登攀の経験も、つながったはずだ。今シーズンはもう終わってしまうかもしれないが、最後に冬期登攀に挑戦できてよかった。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する