記録ID: 55837
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
朝日・出羽三山
東北・朝日連峰根子⊃竜門岳→月山口→月山→肘折温泉
1994年03月21日(月) 〜
1994年04月02日(土)
zeniya1990
その他3人
コース状況/ 危険箇所等 |
東北・朝日連峰根子⊃竜門岳→月山口→月山→肘折温泉 3/21-4/2(6-7) L:銭谷竜一(4)AL:梶川耕司(6)M:吉田みゆき(1)、浜田敏弘(1) 3/21 雪 根子(13:15)→日暮沢小屋C1(15:50) 22日の高気圧を読んで入山。ヌン沢出合付近にはデブリがあったが、他は何でもない。小屋には薪もあり快調であった。 3/22 小雪のち晴 C1(6:15)→清太岩山(11:15-35)→竜門小屋C2(15:00)⊃竜門山(14:30-50) 夏道のある尾根は細く、堅く不快調だが、カモシカやらキツツキやらが見られ気持ちがよい。標高1200m付近はスキーがうまければブナの間を縫って気持ちよく滑れそうな所。・1340の登り口は、雪底にステップを切って10m程スキーを担いで登る。この辺りが樹林限界となっていて雪庇が発達してくる。清太岩山からスキーを担ぐ。大朝日岳から以東岳、障了ヶ岳まで東北らしい滑らかな稜線が一望できる。 西側にはブッシュが見えているが東側には大きな雪庇が出ていて、部分的に細く、うっかりするとクレバスに落ちる。ここで馬鹿でかいザックを背負ったメンバーがバランスを崩しヒヤッとさせられる。主稜線に上がる所では吹きだまっていて腿までのラッセルだが、稜線はシュカブラが発達している。今年は雪が多いのか夏道どころかハイマツも見えず、一面真っ白である。やはりコルの部分には雪庇が発達している。小屋はストーブこそないものの、新しく快適であり、外の便所も復活させた。さらに天井裏に山形大ワンゲルの期限切れ食料と豊富な酒を発見し、低気圧の襲来に備える。 3/23 霧・強風のち曇、夜は雨 停滞C2=C3 日本海の低気圧の接近により、朝から暴風が吹き荒れる。停滞を決め込んで小屋の材木でちゃぶ台を作ったりして過ごした。 3/24 地吹雪 停滞C3=C4 二つ玉低気圧の通過でこの日も1日ものすごい風が吹き続いた。便所に行く時もうっかりすると吹き飛ばされそうになる。天井裏の一斗缶の中からお汁粉をいただいた。 3/25 霧のち地吹雪 停滞C4=C5 冬型でこの日も暴風が吹き荒れ、大朝日岳アタックをカットすることにする。この日のおやつはお好み焼き。キャベツも戻してメンバーに本場広島の味を伝授してもらう。これはなかなかいい時間つぶしになった。 3/26 霧・強風、夜には雷 停滞C5=C6 また日本の南岸を低気圧が通過していく。全くいい加減にしてくれ。本のまわし読みもほぼ終わると、この停滞はいったい誰のせいかという醜い争いが始まる。日頃の行いの悪いM1か、高名な悪天男のS氏の装備をまだ借りているM2か、それともこのところ全くついていないLか、はたまたメンバー時代から天気に恵まれないALなのか。議論は昼過ぎまで続き、ホットケーキ作りへの移行していった。 3/27 地吹雪 停滞C6=C7 冬型が徐々に緩み、回復の兆しが見えてくるかと思ってみたが、一向に良くならなかった。12:00恒例の「だめだこりゃ」でまたシュラフにもぐり、乾燥野菜のツナサラダを食う。まさかこんな所で停滞を使い尽くすとは・・・かなり切羽詰ってきた。 3/28 霧・強風のち晴・強風、深夜には激しい雷雨 停滞C7=C8 期待の高気圧は南日本を覆い、北日本は谷の前面。天気図を取っていると一気に視界が回復し、6日ぶりに300M先が見えた。しかし、待っても待っても風が弱まらず、とうとう12:00に白旗を掲げ、同時に翌日の停滞もほぼ決定。全くなんてこった。前日開拓した便所にスズメがいた。こいつはいつ、何故こんな所に入り、どうやってこの厳しい環境を乗り切ったのか?とりあえずとっ捕まえて小屋に放し、留置夫(ルチオ)と名付けて餌付けを試みたが、やはり落ち着きがないので竹笛制作に没頭し、世紀末的な音を鳴らした。夜には、風の強さが最高値に達し、メンバーは完全装備でザイルをつけて便所に向かった。その後、寒冷前線の通過により、至近距離に何発も雷が落ち、眠れぬ夜を過ごした。 3/29 強風 霧のち晴のち雪 停滞C8=C9 まだまだ風が弱くならない。また12:00の「ダメだこりゃ」の後に竹細工・蝋細工に励む。 3/30 霧・強風のち晴 C9(13:00)→清太岩山(16:05-15)→日暮沢小屋C10(19:30) ようやく東北地方を高気圧が覆い、天気は良くなるはずなのだが、相変わらず西からの吹き上げが強く、待機する。主稜線上はずっと吹き上げにさらされるし、翌日後半からまた崩れそうなので狐穴小屋にいるのはまずい、ということで引き返して月山ののっこしに賭けることにする。しかし一向に風は弱まらず、10:00に一度出てみても、メンバーはよろけて歩けず、結局13:00まで待った。一週間ぶりに見た尾根は、更に雪庇が発達し、境界も分かりにくくなっていたので、中間ピークの手前で3ピッチザイルを使用。2年班ならいらないだろう。振り返ると、大朝日岳や以東岳の辺りはかなり早く雲が通過していた。・1226の雪底を越える所でアイゼンを脱いだが、既に日も傾き、気温も下がって雪も堅くなってきたので、またアイゼンを履くことになった。尾根の末端近くで日没となって、満点の星空の下をヘッドライトを点けて歩き、小屋に到着。あー疲れた。 3/31 小雨のち快晴 C10(10:30)→根子(12:30)→月山口(16:30)→志津C11(17:30-18:00) 寝坊してしまったが、雨が降っていたのでまあいいやとのんびりする。小屋の近くでニホンカモシカが死んでいた。その後、見る見るうちに天気が回復し、やっと春らしく「暑い暑い」とうだりながら林道を歩く。根子・見附の両集落はまだ2〜3mも雪が積もっているが、柔らかな日差しの中でおじいさんが散歩しているのは、何とものどかな光景である。しかし、「〜じゃけん。」というのが標準語だと思っているメンバーにはお年寄りの山形弁は理解不能の言語らしい。リーダースタッフはバスを待つ間に村を一周し、神社で賽銭を投げて天候安定を祈願する。今年は特に雪が多く、スキー場もまだオープンしていないので、てくてく歩いて、志津温泉のはずれの納屋に潜りこみ今夜の宿とする。 4/1 快晴 C11(5:50)→姥沢(7:10-50)→月山(11:30-50)→念仏が原C12(16:00) 天照大神が20円のリーダーの賽銭の願いを叶えてくれたのか、朝からスカッと晴れて風もない。喜び勇んで出発した。除雪は完璧にしてあるが、道の脇は時には5m以上の雪の壁になっている。上のリフトから牛首まで一気にネグると、ばっと日本海と庄内平野が見える。尾根はだだっ広く風も強い。ここで風が弱くなることなんてあるのだろうか。 ともあれ、この山域の最高峰である。最近まで修験道の女人禁制の山だったのだが、メンバーはそんなこと知らないようである。下りは傾斜の緩い大斜面なのだが、シュカブラが大きく全然快調でない。 清川小屋手前になってようやく雪が腐り、大滑降ができるようになった。この春初めてのシャーベットを食う。春山はやはり春でなければならない。ここからはシールなしでも登っていける気持ちの良い尾根だが、木も薄く、雪庇も出ているのでどんな天気でも行けるわけではない。念仏が原の僅かに生えている松の下で、この山行で初めてテントを張った。 4/2 雨のち曇 C12(8:00)→金山(14:00) 雨が弱まってからカッパを着て出発。地図読みが少し鬱陶しいが、スキーは快調。赤砂山の北側は雪庇状。ここから東にのびる尾根に乗って苦水川へ。大森山の方は、きちんと選ばないと下降が結構難しいだろう。堰堤の手前は湿地帯で迷路のよう。そしてようやく最終目的地の肘折温泉に到着。疲れた体を癒し、一路酒田の多田様のもとへ向かったのであった。 |
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