村杉半島 猿倉山(べいくらやま) 白戸川赤柴沢〜猿倉山南壁〜高石沢
中澤慧
その他1人 - GPS
- 32:00
- 距離
- 27.2km
- 登り
- 1,563m
- 下り
- 1,551m
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- 山行
- 12:40
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 12:40
- 山行
- 10:30
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 10:30
| 天候 | 6/19 晴れ 6/20 晴れ |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2023年06月の天気図 |
| アクセス | |
| その他周辺情報 | ■猿倉山南壁 1970年(昭和45年) 6月4日に郡山山岳会の泉田昇、二瓶博、他により中央ルンゼ、左ルンゼが初登されて以降、記録なし 郡山山岳会(1983)『南会津郡西部の山と谷 下巻』「赤柴沢遡行(猿倉山)」,p198-202 ※登られた中央ルンゼ、左ルンゼがどれを指すのかは分からず ■赤柴沢 関連文献(南壁はなし) 『日本登山大系 2 南会津・越後の山』,「赤柴沢」,p72, 白水社 大内尚樹 (2002)『別冊太陽 日本の秘境』,「猿倉山」,P.28-30, 平凡社 高桑信一 (2023)『渓の旅、いまむかし』,「赤柴沢左俣下降」「春の村杉半島」,p.206,214-216, 山と溪谷社 まほろば山岳会(2006) 『年報19 渓 浦和浪漫山岳会 1995年〜2003年山行記録集』 『山と溪谷』 No.969 2016年1月号 「夏の会越横断」 ■高石沢 関連文献(残雪期のみ) 2002/4/28-5/3 三好恭子(単独) 高石沢〜村杉岳〜丸山岳〜高幽山〜会津駒ヶ岳 わらじの仲間(2003)『年報26 わらじ 2002年度会活動報告』 |
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ルートは主稜線に出てから北上して西峰を踏んでいる
そう考えると文中にある「大小八本ほどのルンゼ」や合流する上部のフェイスも左(A面)のもので、登られたピークは西峰である可能性が高い。初登ラインは水色、青色あたりと思われる。
赤は僕らの登攀ライン
初登ラインは水色、青色あたりと思われる。
赤は僕らの登攀ライン
装備
| 個人装備 |
パックラフト
Alpacka Raft / Scout / 1600g Klymit / LiteWater Dinghy (LWD) / 1250g パドル Supai Adventure Gear / Packraft Paddle / 373g Anfibio / Fly / 465g ライフジャケット |
|---|---|
| 共同装備 |
7.9mm 50m
6.5mm 40m
|
感想
村杉半島に聳える秘峰、猿倉山(べいくらやま)。
残雪の利用でごく稀に踏まれることはあっても、無雪期は人を拒み続けた。最後に登られたのは53年前。
1970年に郡山山岳会が登頂して以来、誰も登っていない。
しかし、町からはよく見え、只見の人からは「寝観音」の名で愛されている。
厳冬の会津朝日岳から眺めた異様な山容。
残雪の村杉岳に立つと目に飛び込んできた黒々しい南壁。
そこへ行く。
只見川、田子倉湖により、晴れの日でも只見の朝は霧がかかる。
濃霧の中、田子倉湖にパックラフトで出艇するのは気が引ける。
そこで朝の時間帯を歩きに充て、田子倉湖に到着するころには霧が晴れるように、小戸沢(おどさわ)西ノ沢から山越えすることとした。パックラフトを使用するのが初のパートナーtuffがいるので航行時間も短くなる。
6/19 (晴)
田子倉ダムは霧に包まれ、要塞のようだ。曇り空の中、水の冷たい西ノ沢を進む。
水量が多く、白戸川の様子が気になる。
山越えをすると遠方に目指す猿倉山が見え、気持ちが昂る。行こう。
田子倉湖に到着するころには目論見通り晴れ、パックラフトを膨らませる。
tuffはパドリングに苦戦していたが、白戸川が近くなるころには慣れてきた。
バックウォーターに流木があったが、少な目で助かった。
比較的生地の厚い中澤のパックラフトで流木をかき分けて、tuffは中澤の後ろにくっつき進む。
白戸川はやはり多めの水量だ。背が低い中澤は不安なのでスクラムしてもらい渡渉していく。
抱返りには雪渓が残っていた。赤柴沢はすぐに雪渓が出てきて、下をくぐったり、上を歩いたりしてやり過ごす。
薄めの雪渓や崩壊直後の雪渓があり、穏やかではない。
滝は多くなく、ゴーロ主体であるものの、明るい渓と、赤柴沢という場所にいれることに心は弾む。
二俣手前で大きな雪渓が出る。水を軽く汲んで、テン場を探しながら進む。
右俣に入って斜度が急になり、泊れる場所もなさそうなので上まで抜けることを考慮し、水場を探す。
無事に支流から水を汲んで、時間も早いので今日中に南壁を登ることにする。
雪渓が終わると大きなシュルンドを開けた滝が出てくる。
うまい雪渓が具合に繋がっていて、滝に乗り移れた。難しくないが、後ろでシュルンドが待ち構えいて気味が悪い。
続く6m滝を快適に登り、上の雪渓に乗りあがると、劇場のような場所に着く。
壁に取り付きたいが雪渓がどこも繋がっていない。
右往左往していると、雪渓に空いた穴から1段したに下れて、壁に取り付くことができた。
ここから滝上を目指して念のためロープをtuffが伸ばす。ヒメサユリに導かれるようなラインをフォローでついていくと思いのほか悪かった。
そこからトラバースしてゴルジュ内に降りると、雪渓の先に悪そうな滝が3つ並んでいた。
ビレイ点が雪渓下になる上にどれも立っていて、猿倉山へ向かうルンゼがわからない。
左岸からブッシュで巻き上がることにした。ここのブッシュは斜度がかなりあり、
腕が休めずパンプしてくる。途中でセルフを取ってレストを入れた。
トラバースしていくとうまいことスラブに入れた。快適に登っていくも斜度があり、落ちれない。
猿倉山らしき山頂よりやや右手にいるのでスラブとブッシュをトラバースしながら近づいていく。
斜面にはヒメサユリが咲き乱れていた。藪交じりで、すっきりした斜面ではないが、振り返ると秘境のど真ん中にいることを実感できる。
すぐ終わると思っていたが、高低差はかなりあり、�掘舛竜い糧瓦韻覆づ个蠅�長い時間続いた。
水を節約していたため、山頂に着くころには疲労困憊だった。
猿倉山に立った喜びを二人で噛みしめる。見渡す山々にそれぞれ思い出があった。
猿倉山から稜線を少し行き、北の台地で休むことにした。
焚火はできなかったが、雪渓の末端から水を取れたのでガスで米を炊けた。
満点の星で、ひどく冷え込み、明け方はあまり寝付けなかった。
6/20 (晴)
中澤は寒すぎて動けなかったが、tuffは早朝から藪漕ぎをして猿倉山へ登り返して景色を眺めていた。元気すぎる。
大川猿倉山の北面のルンゼにかなり雪渓が詰まっているのが見えたため、途中まで尾根を下り、高石沢を目指す。
上部は竹藪だったが、次第にブナが大きくなり、順調に高度を下げ、高石沢に降り立つ。
高石沢は特に何もない、ゴーロ主体の明るい沢だった。けれど、周りの美しい森や、田子倉へ無事戻れる予感に落胆することはなかった。登路としてや、スキー向きでもある。下部で釣り師のものと思われるゴミや焚火跡があった。魚影は無かった。
田子倉湖に戻り、余韻に浸りながらパックラフトを漕ぐ。振り返れば朝いた猿倉山が聳えている。いい山だった。
しかし、ここから満身創痍の山越えと、虚無の西ノ沢下降が待っていた。
余韻に浸るにはあまりに長すぎる時間であった。
正直、帰りは最後までダム湖をパックラフトで渡った方がよかった。
駐車場からは「寝観音」が少しだけ見えていた。
------
■猿倉山南壁初登ルートのラインについて
猿倉山南壁は郡山山岳会により1970年に初登された。記録は『南会津郡西部の山と谷 下巻』に載っていて、以下の記述がある。
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「猿倉山南壁は大小八本ほどのルンゼがある。ルンゼ間の枝尾根は灌木で線をなしている。」
「そのなかで中央に面した三本のルンゼが一番長く、それらの最上部で合流している雪渓があることから、輝くフェイスの感がある。」
「登り始めてから四時間ほども詰めると、中央ルンゼを登ってきたパーティーと、上部のフェイスで合流した。」
「残された岩場の一〇〇米を登り詰め、藪を三〇米登って主稜線に出る。猿倉山頂は北へ五〇米のところにあり、往復に十五分とかからない。」
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概念図とこの記述より、郡山山岳会の登攀ルートは大川猿倉山と猿倉山を結ぶ主稜線に出るラインであることがわかる。
主稜線に出るには図の左面を登らなければ出られない。
そう考えると文中にある「大小八本ほどのルンゼ」や合流する上部のフェイスも左面のもので、登られたピークは西峰である可能性が高い。
初登ラインは水色、青色あたりと思われる。
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もしかしたら帰り、ツルメたのに。。。
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