寒風山西尾根ピストン
- GPS
- 04:28
- 距離
- 4.9km
- 登り
- 777m
- 下り
- 780m
コースタイム
天候 | 曇 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
踏み跡あり。 |
その他周辺情報 | 木の香温泉 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
靴
ザック
昼ご飯
飲料
レジャーシート
地図(地形図)
コンパス
笛
ヘッドランプ
GPS
ファーストエイドキット
保険証
携帯
時計
サングラス
カメラ
シュリンゲ
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感想
夏の花が一斉に咲き始め、忙しい季節になった。先週は福井・岐阜県境の夜叉ヶ池でニッコウキスゲを愛でる筈だったが、至近距離で眺められたのはわずか数本。消化不良な感じが残ったので、もう一度別の山でニッコウキスゲを見ようか、とも思う。一方、オオヤマレンゲの開花情報も出ている。さてどうするか。実はオオヤマレンゲはまだ見たことがない。やはりここは、未見のオオヤマレンゲを第一としよう。すでにオオヤマレンゲについてはかなり調べがついていて、行くなら愛媛・高知県境の寒風山と決めていたのだ。愛媛県も高知県も全国旅行支援を継続中というから、これを利用してお得に泊まれるかもしれないぞ。ということで、天気の目途がつく山行二日前に、この辺りではナンバーワンの良泉、湯之谷温泉(愛媛西条市)と、下山地点に最も近い木の香温泉(このかおんせん、高知いの町)に照準を合わせ、kinuasaが電話してみる。湯之谷温泉はすでに満室、木の香温泉は全国旅行支援は終了していたが予約がとれた。あとは好天を祈るのみである。
当日の朝、天気はすっきりはしないものの、雨は降っていない。てんくらでは午後に「B」が点灯している時間帯があったが、なんせこの時期、天気の予想は至難である。あてにはならないので、もう、えいやーで出発する。六甲山の裏に回り込んで阪神北神戸線から明石大橋、淡路島を貫通して高松道と車を走らせる。遠い、遠い。川之江の高知道、徳島道との分岐まで来るともうひと踏ん張り、と気合を入れなおす。やっと「いよ西条IC」に達して下道に降りる。国道194号のながーい寒風山トンネルを抜けてすぐの所から旧道に入る(実際には間違っているかと思ってウロウロしてしまったのだが・・・)。ヘアピンの連続ながら、四国の山越え道路としては走りやすい部類だろう。寒風山登山口の駐車場には、すでに多くの車がとまっている。我々はさらに旧道の寒風山トンネルをくぐり、土佐側から伊予側へと戻る。トンネルを抜けたらゆるゆると山腹を下り加減に巻いていく。そして寒風山西尾根を回り込むヘアピンにようやくたどり着いた。間もなく10時になろうとしている。バンが一台止まっており、先行部隊の存在を知る。
とにかく、天気が心配なので無駄なく行動開始だ。駐車点からトンネル方向にわずかに戻った左手に、尾根への強引な取り付き点を見つけて、木の根を頼りに上にあがる。意外にしっかりとした踏み跡があるので、これに従って登って行く。最初は檜の植林帯で、単調な上りとなる。ところどころに大岩があり、右に左にとかわしつつ登ってゆくと、急に傾斜が緩んで、1202.3mの三等三角点に達する。ここには「谷崎山」との山名板がある。そこでasakinuは谷崎潤一郎を連想して、『細雪』の三女は妙子だったな、とか、どうでもいいことを頭の中で考えて木の根に躓いたりするのだった。なおもヒノキの植林は続いているが標高は確実に高くなり、やがて片側が自然林となり、最後には全て自然林の中を行くようになると、傾斜はますます急だ。
ブナ、ミズナラ、ヒメシャラ、リョウブなどが主体の林は次第に樹高を下げてゆき、ようやく視界の開ける場所も出てくるが、ガスに阻まれて景色を楽しむまでには至らないのであった。そろそろオオヤマレンゲがあってもいいだろうに、お出ましにならない。周囲を見回しながら急登をこなす。小さな岩のコブを越したところで、目の前に姿を現わしたのは、大きな白い花と蕾がついた小灌木。オオヤマレンゲだ!あった〜!!!と後ろから来るkinuasaに叫ぶ。小さな木ではあるが、丁度開いたばかりの美しい花をまじかに眺めて、ひとます今日の目標達成だ。
その先、どんどん出てくるかと思いきや、結局ルート沿いには5,6本しかないのだった。しかし、そのうちの3本は立派な木で、開花したばかりの大輪の花を鈴なりにつけて出迎えてくれた。顔を近づけてそっと嗅いでみる。おお、なんとかぐわしき匂いなんじゃ。貴婦人と呼ばれるだけのことはある。
この見事なオオヤマレンゲを眺めた後は、林下はササで覆われた急斜面となり、足元が泥で滑りやすいので、要注意だ。これを登りきると岸壁が見え、その下から裏寒風ルートが登ってきている。裏寒風ルートは何本ものロープで補助があり、濡れた岩盤の登りとなる。雨が降ったら滝になってしまうだろう。この急な上りは稜線に飛び出して終わりを告げる。正面にはワイドな眺望が開けるが、今日はガスの切れる瞬間に眺めは限定されている。ここから平坦な稜線上の道となり、西峰の岩々の前を通過、一旦鞍部に降りたのち寒風山山頂にあがる。山頂では多くのハイカーが昼食をとって歓談のさなかである。我々はぐるりと周囲を俯瞰したのち、往路を戻る。この季節、いつ雷雨があっても不思議ではないからだ。再度、貴婦人の美を堪能し、下りに下って駐車地へと戻った。ここから木の香温泉までは車で30分程度だった。日帰り入浴者で込み合っている。内湯の泉質はかなりの濃度の食塩泉で、着色もある。ホウ酸が60mg/kg以上含まれているから、昔なら眼湯として尊重されただろう。あいにく循環ろ過、浴用加熱、塩素投入である。露天は気持ちいいが、真湯とのこと。夕食は気の利いた和食の膳で、品数が多く、土佐のカツオのたたきにすき焼き、アメゴ塩焼き、天ぷらと次々に出される。質が高い。我々バブルを過ごしてきた世代には、久々で懐かしい、食べきれないほどの食事であった。そして朝食もまたバラエティに富む和食で、さらに鉄板でジュウジュウ音を立てているハムエッグにあらびきウインナーというコンチネンタルのコアが出てくるボリューム。実に印象的な宿であった。
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