厳冬期:釈迦ヶ岳【岩ヶ峰〜大平尾根で周回】
- GPS
- --:--
- 距離
- 5.9km
- 登り
- 769m
- 下り
- 753m
コースタイム
天候 | 晴れ 微風 絶好の登山日和 【気温】 駐車地スタート時:0℃ 釈迦ヶ岳:3℃ 大平尾根入口へ下山終了:8℃ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
《5台ほどのスペース有り》 |
コース状況/ 危険箇所等 |
岩ヶ峰も大平尾根もマイナーコースですが、ルート上には親切過ぎるほど テープやリボンが付けられています。 稜線上に霧氷は見られませんでした。(時間的に遅かったのかな?) 【岩ヶ峰】:トレース有りません。 岩の砦から稜線までの間はなんとか登り切りましたが、下るのは 危険と判断し、ピストンの予定を変更して大平尾根を下りました。 積雪は60cm以上でしょう。 ストックに頼るより両手をフルに使った方が安全かと。 【県境稜線】(釈迦ヶ岳〜大平尾根分岐):トレース有りません。 眺望も良く、雪も締まって快適な稜線歩行ができました。 但し、雪庇が有るので夏道に従った方が安全です。 【大平尾根】:トレース有りません。 稜線から急な下りが続きます。気温も高く雪が緩んで滑りやすいので 慎重に下りました。積雪は60cm以上でしょう。 積雪期にこちらから登るのも、かなりつらいと感じました。 |
その他周辺情報 | アクセス道路に凍結、積雪はありません。ノーマルタイヤでも問題無し。 |
写真
感想
先週は荒天で清水頭の美しい稜線が見られなかった。
2週続けて・・・と迷ったが、釈迦ヶ岳方面は快晴の予報だ。
積雪期の釈迦ヶ岳〜三池岳の伸びやかな稜線も歩いてみたい。
トレースは期待できないが岩ヶ峰から釈迦〜段木を踏んでの
ピストンで計画しよう。
(結果的には、岩ヶ峰のコースを下るのは危険と判断し、
危険の少ない大平尾根からの下山に変更した。)
栃谷の作業道?が開けた場所から、目印に導かれて栃谷右岸へ移る。
この時思わずカモシカと御対面。自分も驚いたが、カモシカも
慌てて谷を渡って逃げてしまった。カメラを向ける暇もなかったな。
栃谷右岸からいきなりの急登だ。
植林の山腹を一息急登して岩ヶ峰の尾根に乗る。
しばらく登るとうっすらと雪が現れるが、やはりトレースは見られない。
岩を越えたりザレを踏んだりと変化の有る登りが続く。
やがて岩尾根が現れると最初のピーク、北山への登りとなり、
県境稜線方面の展望が得られる。
岩ヶ峰のピークや奇岩「鏡岩」、大平尾根などが青空の下に広がり
予報通り絶好の登山日和になりそうだ。
両手をフルに使って凍結した岩尾根を越え、尾根がゆるく右曲すると
北山のピークに出る。
今日は風も無く、気温も高めですでに汗ばんできた。ジャケットも
帽子もザックに収めて薄着になって行こう。
見上げる位置にあった「鏡岩」が間近に見られるようになる。
まるで鋭く尖った鳥の嘴のようだ。
岩が集まる急登が始まるといよいよ尾根の核心部となる。
行く手を遮るような岩の砦は、夏場には得られたかすかな手掛かりも
今日は雪に覆われスタンスもホールドも与えてくれない。
僅かに見つかる枝を頼りに狭いテラスに上がると今度は岩の庇だ。
かがんで通過できた場所も雪が多く、一層隙間も、足場も奪われている。
腹這いになって匍匐前進で庇をくぐり、砦のトラバース帯を通過すると
今度は胸を突くような急斜面だ。
春になると咲き誇る石楠花の密生も全て雪の下だ。
深雪をラッセルしながらの急登はこたえる。額に汗して我慢の登りだ。
急斜面をほぼ直登し、ピークが近くなる頃僅かに右に膨らんで、
夏場の倍以上をかけて約1時間のアルバイトの末、やっと岩ヶ峰の
ピークに出る。
石楠花に囲まれたピーク脇のザレは展望地となるのでここで息を整える。
今日は釈迦と段木のピークを往復した後、ピストンでトレースを戻る
予定だったが、再び岩の砦を下るの危険だ。
大平尾根からの下山に変更しよう。
緩やかに下ってまろやかな尾根に出るが、沈み込みが激しくなるので
堪らずワカンを着ける。
再び稜線へ向けての急登が始まり、尾根筋の雪はますます深くなる。
稜線の雪庇が近づいてきたがなかなか届かない。
最後は固定ロープの下がる谷の急斜面となるが、今は深い雪に埋もれて
ロープは見えない。終始左側の尾根芯を辿り、
潅木を避けながらやっと直下まで来たが、身長ほどの厚い雪庇に
阻まれ稜線に上がれない。もがき苦しみ何度も失敗。
ザックを稜線に放り上げ、空身になってやっとの思いで這い上がる。
ひょっとしたらと期待した稜線にもトレースは無かった。
釈迦ヶ岳に上がれば誰かと言葉を交わせるだろうか?
落ちてしまった霧氷の欠片を踏んで釈迦ヶ岳の三角点に出るが、
ここでUターンした先行者の足跡が残るのみで 誰も居なかった。
眼下に広がる平野の眺望を楽しみながら、行動食で小腹をなだめて
稜線を北上する。
三重県側が切れ落ちた稜線は雪庇が張り出し、三池岳〜竜ヶ岳へ続く
爽快な稜線が続く。
この時期に歩くと、雪庇を避けて安全なルートに道が着けられているのが良くわかる。
良く締まった雪にワカンが利いて、快調に大平尾根分岐の高みに着く。
しかし岩ヶ峰を突破するのに時間がかかり過ぎ、もう12時だ。
段木往復は中止して、このまま下る事にしよう。
尾根分岐の高みは素晴らしい展望だ。
正面には辿った岩ヶ峰、釈迦ヶ岳から続く稜線、そして右奥には
一際白い雨乞岳からイブネ〜クラシ〜銚子ヶ口へと続く鈴鹿の奥座敷、
振り返れば御池岳〜竜ヶ岳方面の北部の山並み。
展望を欲しいままの場所で遅めの昼食にしよう。
空腹も治まったのでさあー、下ろう。
広い緩やかな尾根も急降下が始まるとなかなか緩まない。
昼を過ぎ雪もかなり緩んで滑りやすくなったので慎重に行こう。
先回歩いた時は視界の悪い中を登ったので、分岐の少ない尾根のように
感じたがいざ下ってみると、地形図にも出てこない紛らわしい分岐が
何度も出てくる。テープが導いてくれるので安心だが、おおよそ
栃谷側へ別れる尾根を下る。
展望の悪い尾根だが、樹間に「鏡岩」を覗ける場所に出る。
ほぼ肩を並べる高さまで下った事が分かる。
この頃になると尾根に丸みが出てくるが傾斜は相変わらずだ、
まだ気を抜かずに行こう。
幹にくくりつけた山シャツを見かけると、傾斜も緩んでくるので
ワカンを外し、小休止とする。僅かに得られる展望からは
八風谷や段木の尾根が眺められ、八風峠を注意してみると
トレースを刻む登山者が一人。あちらも苦労しているだろうな。
やがて尾根から雪が消えると、まるで雰囲気は春山だ。
残りもあと僅かだ、のんびりゆっくり下ろう。
岩ヶ峰を登りきるのに4時間。やはり積雪期の計画はむつかしいが、
苦労が多かった分だけ達成感に包まれた山行だった。
(記録を見ると、今日の歩行距離は約6km、行動時間は8時間で、
1km/1Hにも満たない。苦労を物語る記録だな。)
はじめまして onetotani さん、shige1966と申します。
冬期鈴鹿7Mt.をめざしていますのでレコを拝見しました。
このルートは予定にないですが、なんか・・・いいレコですね。
また楽しみにしています。
shige1966さん 訪問有難うございます。
今年は鈴鹿のどこも雪が多そうですが、新雪期と変わって徐々に雪も締まって
アイゼンもワカンも有効になってきました。
気温が上がると湿って団子になる日も増えてえ来るでしょうが、
目標があると張合いも違います。
是非目標を達成して下さい。
こんにちは。
これは,また凄い山行ですね。この時期に,岩ヶ峰から登るとは
読んでいて,興奮を覚えるレコです。
県境尾根直下の雪庇を越えるところには感動です
氷の岩場・積雪の急登・大きな雪庇越え・深雪の県境尾根と,どれをとっても一筋縄ではいかない難所ばかりですね。
この周回を見事踏破!お見事です。お疲れ様でした
totokさん 今晩は。
冬季はピストンが安心という事で計画しましたが、安全に下れるとは思えず
急遽コースを変えて下りました。
尾根を辿って稜線に上がるのにまさか雪庇の障害があるとは思いませんでした。
確かに今回の歩行距離は短かったですが、正直非常に手強いコースでした。
でもやはりこの県境稜線はいつ来ても素敵でした。
onetotaniさん お疲れさまでした。
レコを拝読しているだけで、こちらも疲れちゃいました。
onetotaniさんから「額に汗して我慢の登りだ」とか「もがき苦しみ何度も失敗」とかヘタレな僕が言うようなセリフが出てくるとは、本当に大変だったんですね。
深雪のラッセルは通常の何倍も体力を使います。それだけに克服した時の達成感は何とも言えないでしょうね。
ご苦労様でした。
sugi-chanさん 今晩は。
今回の岩ヶ峰コースはさすがに下る勇気は有りませんでした。
次から次へ試練が続き、なかなか稜線まで届きませんでした。
体力も、気力も思いきり消耗しましたが、県境稜線の爽快さが
癒してくれました。
正直なところ、今回はこの距離が精一杯でした。
大変疲れましたが達成感に浸っています。
onetotaniさん、お疲れ様です。
岩ヶ峰ルートもonetotaniさんに教えて頂いて登ったルートです。
(色々、お世話になっています。)
県境尾根に乗る最後の急登は、確かかなりの斜度があったように記憶しているのですが。掴む木々も無く、垂らされたロープを頼りに必死になって登り切った覚えがあります。
今回はそこに雪があったわけですよね。
どんな感じだったんでしょうか。
yoshikun1さん 今晩は。
雪が豊富な岩ヶ峰ルートは、なかなか手強い相手でした。
特に最後の急な斜面は左手の尾根へ逃げて、終始尾根筋で強引に稜線へ
上がりました。
潅木に遮られたりして大変でしたが、おかげで雪の状況で使い分けできる
事が分かりました。
苦しい思いをしましたが、こういった収穫も有りました。
onetotaniさん、こんばんは
気持ちよい稜線にトレース刻みながらの登頂お疲れ様でした。
先回の清水の頭と違い、天候にも守られたようで
岩ヶ峰から上るとはやりますね。
帰りは大平尾根と、
知り尽くしているonetotaniさんだからできる判断でしたね。
流石です。
higurasiさん 今晩は。
今回は天気予報通り、素晴らしい展望に恵まれた山行になりました。
雪が豊富な岩ヶ峰がこれほど、危険度が増したり体力を奪うとはちょっと
認識が足りませんでした。
大平尾根は前に一度歩いた経験から安全と判断して下山に使いました。
やはり積雪期に登る場合は、こんな事も考慮しないといけませんね。
改めてエスケープルートも大事だと気付かされました。
釈迦ヶ岳=朝明から登る山という
思い込みがあります。北側からも
登れるんですね。
渡渉を繰り返し、いきなり岩肌の
登りになる、朝明からの各ルートに
比べ、より難易度が高そうで。
ほふく前進とは、お疲れ様でした。
ご苦労が多かった分、達成感
そして、晴天に恵まれた、鈴鹿の
山々の、高度感ある眺めは
心地よかったことでしょう。
komakiさん 今晩は。
確かに釈迦ヶ岳へ至るコースは数多くありますが、朝明を起点に
しないとアプローチは長くなりますね。
県境稜線にもトレースは無く、朝明側からのトレースは三角点でUターン。
山頂で誰かに会えるかなと抱いた期待はあっさり、裏切られました。
他の山も考えましたが、予報を信じて来た甲斐がありました。
雪山の厳しさも、楽しさも同時に感じられた山行になりました。
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