【表丹沢】中津川 タメノ池沢遡行・第六天沢下降・滝涌沢遡行
- GPS
- 04:03
- 距離
- 4.3km
- 登り
- 574m
- 下り
- 564m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
・ヤマビルは見なかった |
その他周辺情報 | 【地名】(tamoshima記) ・タメノ池沢:かながわの水源林流域カルテ及び地価マップでは「マムシ荒沢」。現地にあった案内標柱には「五之沢 タメノ池沢」。案内標柱には「四之沢 マムシ原沢」というのもあり、こちらが本来のマムシ荒沢である可能性が高い。松田町の土地利用図では「大沢」らしい(old-diver,2019)。 ・第六天沢:かながわの水源林流域カルテでは「大六天沢」。現地にあった案内標柱には「三之沢 第六天沢」。 ・滝涌沢:「滝湧沢」とする記述もあるが、萱沼橋の銘板に「滝涌沢」(たきわきざわ)とある。 【他の記録】(tamoshima記) いずれも、主要な滝は巻いている。大六天沢の記録は未確認。 ・滝涌沢中退・タメノ池沢(2019):http://old-diver.blog.jp/archives/6154995.html https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1720847.html ・タメノ池沢(2004):http://park7.wakwak.com/~zephyrus/nakatu3.htm ・滝涌沢(2004):http://park7.wakwak.com/~zephyrus/nakatu4.htm |
写真
装備
備考 | ・ラバーソールだったが、フェルトのほうが良さそう |
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感想
【計画の経緯】
12月なのに22℃の天気予報ということなら、沢に行くしかない。何人かに声をかけたが、もう沢は納めた、というつれない返事が返ってきて、結局たなと2人になる。いや、20℃超えるなら納めたとか関係ないでしょ!
天気予報が悪い場所が多いので行先は降りにくそうな丹沢とし、その中でも沢登りとしての記録が殆ど無いが、登れる滝が結構ありそうだと思っていた、タメノ池沢と滝涌沢を選択。
【記録】
○タメノ池沢
思ったより歩きにくい鉄塔巡視路を下っていくと鉄塔に出て、そこからさらに下ると中津川。だが、対岸には妙に水量の多い滝が落ちている。あれがタメノ池沢なのか? 近づいて見ると、タメノ池沢とは微妙に位置が違うし、なんだか工事の排水っぽい。改めて上流側を見ると、それらしい谷筋を発見、これがタメノ池沢だった。
入渓してすぐに4m滝があり、これは簡単に登って、次は10m滝。左から登るが、やや脆いので慎重に。多少平穏な流れを経て、核心の連瀑帯が始まる。3段33m滝は、程よい登り応えでフリーソロ。12月なのに結構水を浴びるが、寒くなくて嬉しい。続く17m滝は、フリーソロで登り始めるが一手が悪く、途中からロープを出してリード。この滝もシャワーを浴びながら水流を横断したりと、なかなか面白い。2段10mはさらっと登って、そろそろ終わるかと思ったが、まだ出てきた13m滝。厳しそうだが登れる可能性を見出し、tamoshimaがリードしてみるが、岩が脆いので上部核心を越えられるとは思えず、撤退。多少悪い斜面を右から巻く。
連瀑帯が終わると一気に平穏な沢になり、小滝をいくつか越えるとハイキングコースの橋が出てきて、遡行終了。
○第六天沢〜中津川本流下降
思ったより荒れているハイキングコース(帰って確認したところ、松田山みどりの風遊歩道の令和元年以降通行止め区間であった)を歩いていき、第六天沢へ入渓。予想通り、水量もしょぼく滝もろくにない沢で、遡行価値無し。出合の大滝は懸垂下降も覚悟していたが、上手く左岸側を巻けた。降りてからこの滝を振り返っても見栄えは良くなく、最後まで良くない印象のまま第六天沢は終了。
中津川本流は癒し系で、集落の下流の割には綺麗な水。適当に下っていくとタメノ池沢出合に戻り、さらに下っていくと新東名の工事現場。通行止めとかあったら嫌だなと思っていたが、そのようなものはなく、仮設の鉄骨の下を普通にくぐれて、有難い。遥かなる上空まで組み上げられた鉄骨の仮設は、なかなか壮観で、今しか見ることができないとあって、特別感もあり興味深い。しばし写真撮影してから滝涌沢出合まで下る。
○滝涌沢
滝涌沢に入るとすぐに10m滝。登れそうにないと思いつつ落差を測ったり写真を撮ったりしていると、急に水量が増えてきた。かと思うと、また元に戻った。一体何なんだこの沢は。きっと工事排水だろうが… 10m滝は左から巻いていくが、その上流には登れそうな4m樋状滝が見えるので、そこまでまとめては巻きたくない。ということで落ち口へ小さく巻いたが、これは悪めだった。
4m樋状滝を越えると石積み堰堤があり、ホースも垂れ下がっている。これが水量増減の原因だろうと暫く見ていると、やはり、ホースから大量の水が出てきて、暫くすると止まった。萱沼トンネル工事からの排水だろう。
堰堤は右から巻くと、再び鉄骨により組まれた仮設があり、その下をくぐる。ここも沢内の通行はOKなので有難い。しかし、沢内にも多数の鉄骨がぶっ刺してあり、こういう景観が嫌いな人は嫌いだろう。個人的には、変化があって興味深いと思うが。
4m滝を2つ越えると何故か二俣となり、両側に滝。こんな所に二俣などないはずなのだが… とりあえず本流っぽい左の14m滝を登る。16m滝の上流はさらに右へ行っており、結局正体不明であった。過去の記録ではこの右側の滝についての記述はないため、恐らくこれも新東名の工事関連だろうとは思う。
14m滝の上も快適に登れそうな24m滝があり、フリーソロしていくが、結構ぬめっていて悪い。途中から巻き気味に登攀して落ち口に出ると、今度は10m滝。これも登れそうだが滝壺が深い。たながへつっても胸くらいまで漬かったのを見て、tamoshimaもへつりを頑張ろうと思うが、岩が外れてフォール! 首まで漬かって泳ぐ羽目になってしまった… それでも許せるくらい暖かいのが幸い。10m滝も適度な登り応えで楽しく登る。
最後は上に萱沼橋が見えている20m滝。ぬめりが酷い。一応tamoshimaが直登の可能性を探ってみたが、厳しそうなので、途中から右巻きへ。しかしこれもそれなりに悪く、たなが根を掘り出してから登った。2番手のtamoshimaはホールドも分かりやすく楽。すぐに県道になるので沢に戻る気もなくなって、右を見るとコンクリートの登りやすそうな法面があったので、そこを登って県道に出て終了。
【感想・総評】
結局この日は小田原で26℃が観測されるような、季節外れの沢日和であり、それを有効活用できて非常に良かった。12月にシャワーを浴びてもそんなに寒くないなんて、最高。
タメノ池沢も滝涌沢も、登れる滝が多く、面白い。登り尽くされているようにも見える丹沢にも、まだこんな沢が残っていたとは。短すぎるのが欠点だが、今回のように他の沢と組み合わせていくには良いだろう。丹沢の沢に親しむ者なら一度は訪れてみる価値がある。今なら、新東名の工事現場がみられるのも一興である。
着々と出来上がりつつある(?)新東名高速道路と泡沫の景色。
12月なのに20℃超えとは恐ろしい、これは事実上の夏なので納まる沢も納まらん笑
タメノ池沢も滝涌沢も程よく突破可能な連瀑帯が続き、丹沢にありがちなボロさや悪さも楽しめる。滝涌沢に関しては、工事の影響だろうけど本当に涌いたり減ったりする滝や水源不明の謎滝もあり名前の通りの沢だった。第六天沢に関しては、強そうな名前とは裏腹に何もない沢で、ちょうど下降したい場所にあったからとりあえず通過するといった感じになる。
シャワーや釜ドボンでも丁度よいくらいの陽気で、気分は完全に5月のテンション。林道に上がった後の生ぬるい風も心地よい。時間はちょうど昼前で、そのまま車で寄沢本流へ向かい移動した。
新東名の工事は、西丹沢方面に行くたびに目にしてきて永遠に工事してるんじゃないかと思うほど。今回観察した「高松トンネル区間」は、工事全体の中でも最難とされる区間らしい。地質的にも、丹沢の山が隆起する過程で伊豆半島が突き刺ささったポイントにあたり、高圧環境で摂理が入りやすい変成岩が形成された。こいつのお陰で、このあたり一体の沢も脆い印象が強い。
尾根も谷も基本人に歩かれている丹沢だからこそ、ルートを繋いでオリジナルのラインを考えたり地質や開発など背景ネタと絡めたりすると新たな発見があり面白い。
今回は、かなりマイナーだが一応記録はある沢で、でも今の景色を見れるのは今だけなのかもしれない。こんな沢を探してくるtamoshimaさんのリサーチ力はやっぱ筋金入りだと思う。
枝沢の枝沢まで含めると、まだまだとんだ掘り出し物が眠っているのだろう。
記録に興味を持っていただき光栄です。
あえて、丹沢のような超メジャー山域で、新しいことを試みるというのにも、探し出すという面白みを感じています。
また、私の価値観としては、どんなに遡行価値の低いつまらない谷でも、記録を出すことは価値があると思っています。遡行価値の低そうな谷であっても、どんな意外なものと出会えるかは行ってみなければ分かりませんし、本当につまらない沢なのであれば、他の人が探索しに行かなくて済みますので。
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