淡路島 諭鶴羽（ゆづるは）山~沼島（ぬしま）
兵庫県
Machapuchare
その他1人 
体力度について
- GPS
- 06:35
- 距離
- 19.5km
- 登り
- 1,097m
- 下り
- 1,171m
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標高グラフを拡大コースタイム
- 山行
- 6:14
- 休憩
- 1:09
- 合計
- 7:23
歩行距離19�辧∧盥垰�間6時間、歩行数31,200歩
| 天候 | 晴れ後曇り後小雨 |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2015年05月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
自家用車
船
沼島は土生（はぶ）港にある汽船乗り場の駐車場が利用できます。 |
| コース状況／ 危険箇所等 |
諭鶴羽（ゆづるは）山へは道標も道も整備されており、傾斜が急な割にジグザグ道になっており、とても歩きやすいです。このコースは「諭鶴羽山登山地図」には“急坂、路面荒れ”と書いてあったのですが、普通に登山をやっている人からすれば、前述のような整備された歩きやすい道という印象になるはずですので、初心者でも問題ありません。下りに用いた近畿自然歩道は軽自動車も通れるぐらい傾斜が緩やかで、下りにありがちな膝への負担もなく楽に下りることができます。ただし、距離が長くこの歩道だけで諭鶴羽神社から6km近く距離があります。 沼島は海岸沿いを歩くことができません。海岸より高度100mぐらい上を歩き続けます。ただし、上立神（かみたてがみ）岩などのビュースポットのある要所では海岸に通じる道があるので、地図やコンパス、GPSナビ等でそのスポットを確かめながら海岸まで出て、地形や海岸美を楽しむことができます。黒崎へ行く道は竹ヤブなどを抜ける荒れ気味の細道で、ロープが入口から海岸まで続いています。間違えて1本東の道に入り、竹林をヤブコギしながら合流しました。 |
| その他周辺情報 | 今回のコース上にある灘黒岩には水仙日本三大群生地の一つと言われた“灘黒岩水仙郷”があります。標高608ｍの諭鶴羽山系から海を臨む45度の急傾斜７ヘクタールにわたって500万本もの野生の一重咲きの二ホンスイセンが咲き誇り、風にそよぐ様は壮観です。例年、12月下旬〜2月下旬が見頃となります。 また、海岸沿いを数�凖譴某覆鵑世箸海蹐法�淡路島モンキーセンターがあります。ここに集まっている野生ザルの数は約300頭のグループで、朝9時頃に山からやってきて、夕方5時半頃また山奥へ帰って行きます。性格はとてもおとなしく、サル同士で面倒をよくみるなど、仲の良い円満なサル社会を形成している群れとして学術的にも貴重な資料的存在とされています。比較対象として岡山県勝山のサルが引き合いに出されていますが、勝山では餌をわずか10％の強いサルたちが占有するのに対し、ここのサルは70％がシェアするなど、他の地域に住むサル集団では見られない円満で良好な関係を築いています。 |
写真
泊った民宿の窓から見えた日の出シーンです。淡路島に宿泊するなら東海岸沿いの宿がベストです。
海岸沿いの道から少し内陸に入った所に小学校跡地があり、車を停められるスペースが十分ありました。
出発点からしばらく沢沿いに歩いていくと小さな滝が出てきました。このすぐ近くが諭鶴羽古道の登り口です。
04坊さま角江戸時代までは諭鶴羽山には神仙寺というお寺がありました。山上のお寺に戻る坊さまがよくこの角でお休みをしたので、“坊さま角”と呼ばれました。
江戸時代までは諭鶴羽山には神仙寺というお寺がありました。山上のお寺に戻る坊さまがよくこの角でお休みをしたので、“坊さま角”と呼ばれました。
昔、お菊さんという人がこの場所で茶店を出していたようで、当時の賑わいを感じさせます。
今回辿った諭鶴羽古道は十八丁（一丁＝109m）あり、5丁目の町石を“柴折り地蔵”（右下の地蔵）と呼んでいます。
07諭鶴羽（ゆづるは）神社諭鶴羽権現と云われ熊野権現の奥の院と称されていました。 唐の天台山の王子信が日本の日子山に降臨し、それから伊予国の石鎚の峰、次いで淡路国の諭鶴羽の峰、さらに紀伊国の熊野へ遷ったと記されています。
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諭鶴羽権現と云われ熊野権現の奥の院と称されていました。 唐の天台山の王子信が日本の日子山に降臨し、それから伊予国の石鎚の峰、次いで淡路国の諭鶴羽の峰、さらに紀伊国の熊野へ遷ったと記されています。
社叢（しゃそう）林のアカガシ群落は兵庫県指定天然記念物に選定されています。また「親子杉」は兵庫の巨樹巨木に選定されています。
09ゆずりは（譲葉）木常緑樹のユズリハは、春先から初夏の5、6月頃にかけて、新しい葉が展開してから落葉を始めます。古い葉たちが若い葉たちにその使命をゆずり落葉していくさまからユズリハと名付けられたとされています。
常緑樹のユズリハは、春先から初夏の5、6月頃にかけて、新しい葉が展開してから落葉を始めます。古い葉たちが若い葉たちにその使命をゆずり落葉していくさまからユズリハと名付けられたとされています。
なんとこの木のトンネルの向こうに諭鶴羽山のピークがあります。最後までサプライズな山でした。
標高607.9mの一等三角点です。360度パノラマ展望です。
大鳴門橋が近くに見えました。この時季は9時過ぎくらいから有名なうず潮が形成されます。
14近畿自然歩道から沼島近畿自然歩道からは沼島（ぬしま）がよく見えます。風景に見とれていると数千匹ほど道中にいるぶら下がり芋虫が体のあちこちについてくるので注意が必要です。
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近畿自然歩道からは沼島（ぬしま）がよく見えます。風景に見とれていると数千匹ほど道中にいるぶら下がり芋虫が体のあちこちについてくるので注意が必要です。
15イノブタ放獣禁止？自然界にはいないはずのイノブタ放獣禁止の看板が出ていました。飼育していたものが逃げて野生化したようです。目の前に毛色の違うウリ坊が出てきたらどうしよう('_')
自然界にはいないはずのイノブタ放獣禁止の看板が出ていました。飼育していたものが逃げて野生化したようです。目の前に毛色の違うウリ坊が出てきたらどうしよう('_')
16沼島八幡神社春祭りこの日沼島に渡る人が多いと思ったら、島内で祭りをやっていました。ちなみに、祭りの期間中は沼島を一周するおのころクルーズは休みです。飲食店も休みのようでした。
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この日沼島に渡る人が多いと思ったら、島内で祭りをやっていました。ちなみに、祭りの期間中は沼島を一周するおのころクルーズは休みです。飲食店も休みのようでした。
17黒崎鞘型褶曲同心円の鞘（さや）型の褶曲（しゅうきょく）構造となっており、世界でまだ2か所しか発見されていません。一億年前当時の地殻内部の動きが大変良く分かる貴重な資料となっています。
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同心円の鞘（さや）型の褶曲（しゅうきょく）構造となっており、世界でまだ2か所しか発見されていません。一億年前当時の地殻内部の動きが大変良く分かる貴重な資料となっています。
淡路島の南部は山がすぐ海にせまっているので、海岸からすぐに登山ができます。
沼島灯台は島の一番高いところに建っています。港から東の山の上に頭が見えます。
20モチツツジ花柄の粘りが鳥もちなどに似ているとして、名前の由来となっています。東は静岡県、西は岡山県、四国にかけて分布し、4月~6月に花が咲きます。
花柄の粘りが鳥もちなどに似ているとして、名前の由来となっています。東は静岡県、西は岡山県、四国にかけて分布し、4月~6月に花が咲きます。
山吹色の小さな鳥居が50程参道に沿って続き、海上安全、四季豊漁などを漁業者が祈願しています。
5〜6月に球状に密集した花を咲かせます。花は咲き始めが黄緑色で、開くと白色になります。
このエリアに集中していました。野生か人工的かは定かではありません。
上立神（かみたてがみ）岩を見に行こうと思い海岸に下りたところ、最初に飛び込んできたのはこの岩でした。
高さ30mで、天の御柱や龍宮の華表（城郭の門の意）でもあると伝えられ、国生み伝説の舞台の一つの象徴となっています。
27おのころ神社国生みの舞台としては、沼島のほかに淡路島内で5ヵ所、全国では10ヵ所を超える候補地があります。なかでも沼島が最有力候補地とされています。
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国生みの舞台としては、沼島のほかに淡路島内で5ヵ所、全国では10ヵ所を超える候補地があります。なかでも沼島が最有力候補地とされています。
29イザナギ＆イザナミ像「日本書紀」の神代巻によると、天つ神がイザナギの命、イザナミの命の二神に神聖な沼矛（ぬぼこ）を授け、国造りを命じました。
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「日本書紀」の神代巻によると、天つ神がイザナギの命、イザナミの命の二神に神聖な沼矛（ぬぼこ）を授け、国造りを命じました。
老若男女問わず海の中からだんじりを引き上げていました。港出発時も帰着時も少なくとも4時間は祭りが続いていました。
31鞘型褶曲鞘型褶曲 （さやがたしゅうきょく）は1億年前の地球のシワが残る珍しい岩石で日本ではこの沼島でしか見られません。汽船のターミナルに置いてありました。
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鞘型褶曲 （さやがたしゅうきょく）は1億年前の地球のシワが残る珍しい岩石で日本ではこの沼島でしか見られません。汽船のターミナルに置いてありました。
装備
| 個人装備 |
長袖シャツ
ズボン
靴下（厚手）
防寒具
雨具
日よけ帽子とフード
雨用帽子
登山靴（防水加工）
靴ひも予備
アタックザック
ザックカバー
地形図
コンパス
ファスナー付クリアーファイル
筆記用具
携帯
時計（防水）
タオル
カメラ
飲料水（スポドリ＆茶）
水筒（保温）
非常食（栄養補助食品）
スマホ（山使用可能）
eTrex30（GPSナビゲーター）
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感想
最初に淡路島を訪れたのはもう40年以上も前になります。当時は船で島に渡るしか術がなく、また島の南部（現在の南あわじ市）に行く交通アクセスがない状態でしたので南部へ行く機会もありませんでした。そして、最近に訪れたのは15年前の「ジャパンフローラ2000（淡路花博）」です。すでに明石海峡大橋と大鳴門橋は利用できたのですが、あまりにも渋滞が激しいので島へのアプローチ手段はフェリーを利用しました。この時は淡路島の全宿泊施設の予約がとれず、テント生活を強いられました。どこに行くにしても人ひとヒトで花博を見るだけでほとんど精一杯でした。そして、今回は待望の淡路島南部計画を敢行！「花みどりフェア」が開催されていましたので、島の中北部全体が盛りあがっており、南部は完全に穴場でした。
瀬戸内海に浮かぶ島の中で一番大きな淡路島は、日本神話で一番初めに作られた島といわれています。国土創生の神、伊弉諾尊（いざなぎのみこと）・伊弉冉尊（いざなみのみこと）が最初にお生みになられたのが淡路島だと云われています。ここには、我が国の始まりの時を刻んだ、国生み神話ゆかりの場所が数多く存在します。その象徴的なコースが今回の二つのエリアです。
諭鶴羽（ゆづるは）山は淡路島でもっとも標高が高い山（607.9m）です。世界遺産に登録された熊野古道との関係は、平安修験にさかのぼり、熊野の神は、この諭鶴羽山から渡っていかれたと伝えられています。かつては山中に28の大伽藍が建てられ、霊場として繁栄していました。今回登りに利用した諭鶴羽古道の道中には、昔の賑わいを推測させる町石等が造立されています。また山頂直下には、島生み神話の二神（イザナギ＆イザナミ）を祭る諭鶴羽神社＜写真07~09＞があります。
沼島（ぬしま）には自凝（おのころ）神社＜写真27~29＞があって、神が最初に創ったオノコロ島の発祥地だとする考えがあります。また沼島の東側の海岸にある上立神岩（かみたてがみいわ）＜写真25＞は巨大な岩石が崩落してできた荒磯の先の海中に天を裂くような三角形の先端を見せながら屹立する巨岩で、イザナギとイザナミがオノコロ島に降り立ち、巨大な柱の周囲をまわって婚姻をおこなったという「天の御柱」だとも云われています。
さらに、淡路島の中で沼島のみ中央構造線（関東から九州へ、西南日本を縦断する大断層系）の南側に位置するため、淡路本島とは異なり全島が三波川変成帯の結晶片岩によって構成され、南岸の海食崖には緑・白・黒など様々な縞模様が現れています。白亜紀の花崗岩も大量に見られます。また世界的にも珍しい同心円状の鞘型褶曲（さやがたしゅうきょく）も見られます＜写真17と31＞。このような同心円構造の鞘型褶曲は、この他にフランスで1ヶ所発見されているだけで、当時の地殻内部の動きがわかる世界的にも貴重な資料となっています。
今回は沼島の祭りと重なったために無理でしたが、船で島一周をしてくれる“おのころクルーズ”もありますので、陸からは見えない島特有の断崖や岩などの地形が楽しめるようです。
結果的には今回は神話と沼島に生じた地球の一億年の歴史を楽しむ山行となりました。気がつけば、のべ19kmも歩いていました。自分の興味・関心が途切れずにいると、不思議と疲れないものです。それほど深い味わいが今回のコースにはありました。淡路島40年余りの集大成として淡路島らしいすばらしい場所に巡り合えました。
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