北横岳 曇りながらも温暖な雪山ハイク
- GPS
- 07:02
- 距離
- 10.5km
- 登り
- 281m
- 下り
- 798m
コースタイム
- 山行
- 3:21
- 休憩
- 1:21
- 合計
- 4:42
- 山行
- 1:57
- 休憩
- 0:06
- 合計
- 2:03
天候 | 曇り、雪、のち晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2024年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
1/2茅野のきっぷ売り場は開いていたが片道販売のみ。 1/3帰りはきっぷを買う場所がないのでバス車内で降車時に現金払い。 スキー客は車で来るのでバスは意外と空いている ロープウェイは10分間隔。上りは混んでいるが下りはガラガラ。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
北横岳、雪は多くないが12本アイゼンの方が安心感がある。チェーンの人も多い。なしの人もたまに…。 雨池峠まではギリギリ木道が出てない雪量。 五辻方面は雪が少なく木道が出ている場所も多く、12本だと傷つけてしまいそう。 |
その他周辺情報 | ロープウェイのレストランは夏と違って営業してるので嬉しい。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
長袖インナー
ハードシェル
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
アウター手袋
予備手袋
防寒着
雨具
ゲイター
ネックウォーマー
毛帽子
靴
ザック
アイゼン
行動食
非常食
飲料
水筒(保温性)
レジャーシート
地図(地形図)
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
GPS
筆記用具
ガイド地図(ブック)
ファーストエイドキット
常備薬
日焼け止め
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
ツェルト
ストック
カメラ
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感想
最近、我がリーダーが雪山にご執心である。毎年、「雪山セット」をレンタルして、ベテランのM先生から教えを乞い、ツアーにも参加して、着々と技術を身につけつつある。と言っても行くのは雪山初級者コースなのだが、それでも筆者にとって雪山といえば、滑落、低体温症、雪男など危険がいっぱいのイメージである。美ヶ原のスノーシューツアーと淡雪の降った高尾山しか経験していない筆者に、ついにリーダーが魔のお誘いを仕掛けてきた。北横岳アイゼン登山ツアーである。リーダーはすでに経験済みで、筆者の体力も考えた上での選択だが、こちらとしては緊張のあまり、山と渓谷のバックナンバーを読み、YouTubeのアイゼン歩行動画を視聴し、古本屋で「月刊ムー」の雪男特集を探して(嘘です)今回の山行に備えたのだった。
さて、我々はいつもの通り公共交通機関を駆使しての現地入りである。茅野駅からはバスを利用したが、茅野市というのは隣の諏訪市に比べるとちょっと知名度が低いだろうか? ネットで調べてみても、諏訪が戦国時代の諏訪氏のことなどで話題満載なのに対し、茅野は「縄文のビーナス」など土偶が出土されて縄文時代に栄えていたことが分かっているが、なかなか「歴史」には出てこない。しかし、茅野市役所は日本で一番標高が高いところにある市役所らしいし、何より八ヶ岳の西半分を擁していることは全国的に知られていいことだろう。
さて、バスは空席が少しある程度の乗車率で、1時間弱で北八ヶ岳ロープウェイの山麓駅に到着した。すでに大勢のスキー・スノボ客で賑わっている。事情により登山に必要ない物資も持参せざるを得なくなったため、それらをコインロッカーに預け、身支度を整えて、いざロープウェイに乗り込んだ。ほとんどスキー・スノボ客だが、登山客も少しいる。残念ながら曇りのためロープウェイからの展望はない。7分で山頂駅に到着した。
外へ出ると流石に山麓駅とは気温が違う。でもそれほどの寒さではない。筆者は12本歯のアイゼンをつけるのは初めてである。事前に練習した甲斐があり、すんなり装着成功。ただしインナー手袋をつけての装着ですが。そしてこの日のために新規購入したゴーグルとバラクラバ的なものを身に付け、いざ北横岳に向けて出発した。予習した通り、自分の足を引っ掛けないように、アイゼンの歯を雪面に食い込ませるようにフラットフィッティングで歩く。ちょっと急になるところは逆「ハ」の字型で登ってみる。まずまず順調に登れそうだ。と思っていると、チェーンスパイクの若者たちが軽々と我々を追い抜いていった。彼ら以外にもチェーンスパイクの人は結構多いようだ。だが、我々のような体力なし、技術なしの初級者は、安全第一である。ただ恐怖を感じるほどの傾斜はなく、ちょっと疲れてきたな、と思ったあたりで北横岳ヒュッテに到着した。
ここで少し休憩し、筆者は前立腺が肥大して尿道を圧迫しているらしいので当然のようにトイレを利用させてもらった(ここでもアイゼン装着の練習)。休んでいるとちょっと青空が見えてきた。八甲田山とは違い北横岳では天は我々を見放していなかったかもしれない。俄然期待を胸に山頂目指して出発した。YouTubeで勉強した通り山頂直下はちょっと急坂になり、樹林帯を抜けて北横岳南峰に到着した。
そこでは一時的に青空が出て、雲がかかってはいるものの御嶽山や乗鞍岳が見えるではないか! しかし、噂通りの強風! 写真を撮るのもままならない。写真の出来を確認する間もなく、早々に北峰に向けて出発した。
北峰まではほんの5分程度である。ここからは蓼科山がドーンと見えるはずだが・・・すでに雲に覆われていた。ここも風が強いので長居はせずに退散し、南峰もほぼ素通りし、北横岳ヒュッテまで戻って、昼食を取ることにした。北横岳ヒュッテまで来ると風はほとんどないので、ゆっくり昼食がとれる。筆者はお湯を注いでできるホワイトシチューとロールパンである。うむ、なかなか美味しい。食事も済んで、降りる前に七つ池に行ってみることにした。あまり人は来ていないようだ。最初の池まではそれなりに踏み跡があったが、2つめの大きな看板がある池までは新雪を踏んでいくような状況であった。リーダーはプチ・ラッセル、いやプチプチ・ラッセル気分を味わっていた。その二つ目の池の景色は静謐で東山魁夷の絵画のようであった。
さて登山道に戻り、来た道を下る。やはり下りの方が気を遣う。予習を反芻しながら足元を安定させてゆっくり下る。坪庭に戻って来るとだいぶ晴れ間が広がっていて、第一休憩所からは御嶽山や南アルプスが綺麗に見えていた。いやあ天に感謝。もう景色は諦めていたので雄大な山々が見られてよかった。昨年の山行はことごとく天気に恵まれなかったので、今年はついているかも(と思いたい)。帰りのロープウェイはスキー・スノボ客がいないのでガラガラである。乗客4名。引き続き晴天が広がっていて、蓼科山や車山高原も眺望も楽しみながら山麓駅まで降り、この日の山行を終了した。
さて、今回のもう一つのお楽しみは宿泊場所である。リーダー大絶賛のペンション・ピラタスさんにお世話になりました。そもそも今回の計画はピラタスさんに泊まるということが最初にあって、山行が後からついてきたようなものである。ロープウェイ乗り場から徒歩数分、入り口に迷いながらピラタスさんに到着。西側の部屋に案内されたが、窓から夕焼けの御嶽と乗鞍が見える部屋だった。次に風呂。ここは男湯女湯に分かれているのではなく、家族風呂二つを譲り合って利用するという方式なのだ。たまたまかもしれないが、筆者が行こうと思った時にはどちらかが空いていたので風呂待ちをすることはなかった。家族風呂といってもアルカリ性温泉の岩風呂。湯船も洗い場も十分に広い。ここを独り占めしてゆっくり浸かった。そして夕食はフレンチのフルコースである。とても素晴らしい料理であった。ちなみに飲み物はフリードリンクでビールやワインが供されていて、ビールをぐいっと行きたい気分ではあったが、中瓶1本飲んでしまうとコースを食べきれないと判断し、最初からワインで行くことにした。しかし、喉は渇いていたので、白ワイン1杯目はすぐになくなり、2杯目もいつの間にかなくなり、リーダーから笑みもなくなったので、次の赤ワイン1杯で終了することにした。コースの詳細は写真をご参照ください。
さて、翌日、朝食を楽しみに階段を降りていくと、あれ、右足がちょっと痛い。実は前日ロープウェイを降りてからそりすべり場を横切る際に滑って足を捻ったのだ。その時は痛みもなかったのだが、足首を大きく可動させるとちょっと痛みがある。これはまずい。恐る恐るリーダーに申し出ると、筆者の体力を全く信じていないリーダーは、山行中止を提案。ちょっと痛いだけなので大丈夫と答えたが、それでも縞枯山に登るのは中止、坪庭散策だけにして、出発を1時間遅らせると言う。筆者の不注意のせいでリーダーに貸しを作るのはイヤだったが、きっとリーダーは箱根駅伝を見たいのだろうと自分に言い聞かせ、湯治に行くことにした。つまりゆっくり朝風呂に入りに行った。リーダーの呆れたような顔は気のせいだと思うことにした。
さて、素敵なお宿を後にして、今度は転ばないようにスキー場脇を通り抜け、ロープウェイに乗り山頂駅に到着。足は大丈夫そうだ。アイゼン装着をしようとしたその時、腰に違和感が・・・。これはまずいかも、と思ったが、しばらくすると大丈夫そうだったので、速く歩けない言い訳のために持病の腰痛が出たかもしれない旨をリーダーに伝え、そろりと出発した。風もなく、気温も高めだったのでフードがいらないぐらいである。まずは縞枯山荘を目指して平坦な道をいく。20分ぐらいで山荘につき営業していないのを確認して、さらに雨池峠に向かった。
雨池峠では、縞枯山にも登れそうな気がしたのだが、リーダーが筆者の足のことを心配して予定通り引き返すことにした。実は足より腰が問題で、その日の夜、腰がかなり痛くなったので、行かなくてよかったような気がする。動けなくなったりしたら大変だ。小泉八雲の「雪女」では、若い男は助かるが爺さんは助からない。つまり雪女に出会ってしまった場合には筆者は助からない。出会わないようにするのがいいのだが、熊と違って雪女鈴というものは山道具屋には売っていない。ここは断念しよう。ちなみに小泉八雲の「雪女」は意外なことに東京調布の言い伝えをもとにしているらしい。昔の東京は寒かった。雪もよく降った。忠臣蔵、桜田門外ノ変、二二六事件、みんな雪の日ですな。
さて、ロープウェイ乗り場まで戻ってきたが、まだ少し時間があるので、五辻方面へ少し歩いてみることにした。足も腰も大丈夫だ(だった)。案内板には「森林浴展望台」文字もある。素敵な景色が見られるかもしれない。ということでずんずんいってみると果たして西側に開けた場所に出た。しかし案内では往復1時間とあったので、ここはちょっと近過ぎると判断し、さらに木道の上のわずかな雪の上を歩いて行った。しかし、なかなか展望台らしき場所につかないので、断念して戻ることにした。思ったのだが、雪の木道の上をいくときはチェーンスパイクにして、急登になるところでアイゼンに履き替えるというのが、木道に優しい作法なのかと反省した。
再びロープウェイ山頂駅まで戻り、やはり乗客4名の下りのロープウェイに乗った。前日とは違い、曇天で景色はイマイチだったが南八ヶ岳は望むことができた。山麓駅の食堂でリーダーのカツカレーを少しもらい、時間的に余裕があるつもりがそれほどでもなくなり、急ぎバスに乗り込んだのだった。家に帰ってから腰痛がひどくなった。縞枯山を中止したリーダーの判断は賢明だったと認めざるを得ないぐらい痛くなったので、しばらくは養生しよう。雪男には当面会えそうにない。(完)
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