大朝日岳 6週ぶり3回目の挑戦で初登頂


- GPS
- 31:03
- 距離
- 19.7km
- 登り
- 1,710m
- 下り
- 1,709m
コースタイム
- 山行
- 4:10
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 4:10
- 山行
- 8:59
- 休憩
- 1:13
- 合計
- 10:12
天候 | 基本晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
整備ありがとうございます |
その他周辺情報 | 大井沢温泉 湯ったり館 |
写真
感想
■総括
大朝日登頂。じわじわと喜びが湧き上がる。
この喜びは、毛勝山、飯豊山、と並ぶなーと思った。毛勝も3回目で初登頂だったが、でも、毛勝の初回はそもそも視察として途中まで、という前提だったので、真に2回の敗退のあとの頂上となった今回の大朝日は喜びもひとしおであった。
でも喜びは小朝日山頂がピークだったかもしれない。小朝日から標高差200mを下って、肩の小屋までの登りの道中で、それまでくっきりと晴れ渡って、それまで何枚も写真を撮っていた大朝日が、まさに一瞬でガスに包まれた。それまでの高揚した気持ちもまた翳ってしまう感じ。これまでの登山人生で、今の、朝日の頂上を踏む前の、この時間が最高潮で、これ以降は降るばかりでこれ以上の喜びを感じることはないんだろうなー、とか、帰りの降りが標高差1700mあるんだよなー、とかネガティブなことが頭に浮かんできて憂鬱になった。
結果、体力的にも降りは本当にキツくて、だけど、歩かないことには帰れない、でへこたれた。とにかく降りはキツかった。が、これは後述。
■概略行程〜小屋泊(鳥原小屋泊)について
まず、今回の全体行程について。
古寺鉱泉→畑場峰→鳥原小屋【泊】
→小朝日→大朝日→小朝日(巻道)→古寺山→古寺鉱泉
後述するが、体力のないボクにとっては、これしか頂上を踏める行程はないであろう、と思うルートとなった。実際、今回、頂上を踏んで、ほんとにこれ以外では体力限界で帰ってきてたと思う。実際、ここで記録残してる通り、日帰りでは、古寺山ルート、中ツルルートで敗退してる。その敗退でボクの体力では日帰りは無理と思い知った。
となってどこかで一泊するとなったときに、小朝日を避けて、鳥原小屋に、ほぼアップダウンなく行くことができる畑場峰ルートを見つけて、これしかない!と膝を打った。
かなりの僻みも含めて、ヤマレコに上がってる記録は正直健脚自慢みたいなのが多く、ボクには参考にならないというもの。
ボクにはほぼ頂上の大朝日小屋に一気に行くのもツラいと思われた。
ただし、鳥原小屋泊ルートを取る時のネックは鳥原小屋で小屋泊必要なこと。いびきで迷惑かけちゃうので泊まるときはテン泊がボクのスタイル。しかし、朝日岳はルート上の良いところにテン泊できるところがない。小屋に泊まろう、というのはボクにとっては覚悟がいること。でも、朝日岳はどうしても頂上を踏みたくて、腹を括った。
■登り出し
それで、そもそも小屋のなかでも良いポジションを確保できるかと、どうせ泊まるなら本当は必要ない早めの時間に古寺鉱泉を出発した。
登り出すと、50cm立方当たり10匹位いるんじゃないか、という虻の大群のなかを時折吸われ未遂を手で払いながら30分ほど歩き、そののちは蚊に脛を何箇所か吸われるなど、思わぬ自然の洗礼を浴びるが、今日はここ2〜3年でも最高の体調なのではないか、と身体は軽かった。
■畑場峰ルート
多少、道が荒れてて、歩きにくいかも、と心配あった畑場峰ルート(ヤマレコの山行記は古寺山ルートばかり)も、普通に歩かれている感じの整備状況で杞憂に終わった(整備ありがとうございます)。初めこそやや急登だが、以降は降りはほとんどなく、良いペースで標高を上げていくという勾配で、とても歩きやすかった。とはいえ、核心部は明日の、とにかく長い降りであろう、と、疲労を翌日に残さぬよう、歩けと言われれば1日中でも歩けるペースを意識して歩いた。
■体調快調で、大朝日小屋まで行くか悩む
気持ちとしてはあっという間で鳥原小屋・小朝日分岐に到着。先述の通り、めちゃくちゃ体調が良いこの日、どうせなら大朝日の肩にある、大朝日小屋まで一気に行ってしまおうか悩む。大朝日小屋まで行った場合、ポジの要素としては、頂上付近もしくは頂上からの朝日を拝める可能性出てくること、明日の降りが楽になること、天気が安定してるうちに近づくべきだろう、ということ。ネガは懸念してる小屋泊の苦手な部分=人が多いことによるストレスがもっと高まりそうなこと(大朝日小屋の方が、鳥原小屋より絶対人は多いであろう)、計画してなかった標高差を登り切れるの?というリスク であった。
これは本当に相当に悩んだ。主に体調が良いこの機会を逃してはいけないんではないか、明日も楽じゃん、と。
分岐のところで5分位悩み、一旦、鳥原小屋に歩きだしてから、立ち止まり、少し戻ったりして悩んだ。
けど、結局、言うても4時間以上登ってきて、疲れはこれから来るし、なんなら鳥原小屋で泊まるにしても暗いうちから動けば良い、と思って鳥原小屋泊とした。
■結局、泊した鳥原小屋にて
鳥原小屋は結局、管理人さんすらおらず、夕方、別の宿泊者が一人来ただけだった。ボクは13時から寝始め、途中、朝日鉱泉へ降りる道が見つからない、という人にGPSで地図見せたり、その、別の宿泊者に挨拶したり、結構、途中で来た人が、ガサゴソしてたりに起こされる、はあるも、仕事で疲れてたせいか、割合、本意気で、結局、4時近くまで12時間以上寝ることができた。
■鳥原小屋を日の出ちょっと前に発
おかげで朝は快調。4時に外に出て支度をして、4時半には発することができた。
ちょうど鳥原山の頂上手前で日の出となり、雲海の中から登ってくる太陽を久々に拝み、思わず手を合わせて涙が出た。
■鳥原山から小朝日まで
鳥原山を越えると目の前、西に小朝日、大朝日が見え出した。
そして、雲海のなか、北には月山、小さく鳥海山、東には蔵王、南に吾妻連峰、奥に双耳峰にも見える磐梯山が見えた。飯豊山はわからなかった。
歩いていかないといけない場所で、だからこそ、見ることができる圧倒的な景色を体感できる。
登山をしていて良かったと思うことはこういうことであろう、と感激にテンション上がりつつ歩いた。
鳥原山から小朝日は若干降っていた。それは事前に地図を見てのイメージの通りだったが、鞍部から小朝日までは、見た目以上にも、地図のイメージ以上にも、実際としては登る感覚となった。でも、終始、角度によって現れる周囲に素晴らしい展望で疲れはあまり感じずに小朝日まで登ることができた。
■小朝日にて
6月に来た時は、この小朝日の頂上から、まだ雪渓の伸びる大朝日、中岳、西朝日に感激しつつも、古寺山、小朝日と登ってきた疲労で、さすがにあの大朝日の頂上まで行く体力はないと凹んでいたところであった。しかし、今日は、まだまだフレッシュレッグである、と。今日は大朝日の頂上を踏めるなー、と確信した。
■小朝日降った鞍部にて
小朝日から帰りは巻道だ、と、この難関 小朝日の頂上にはもう来ることないんだなー、と思って、標高差200mを降る。そしてここで思い付いたのが、そうだ!お泊りセットは、巻道の入口にデポすれば良いじゃん、と。
この時は、あまり疲れは感じてなく、見栄をはってそのまま行こうかとも一瞬思ったが、あとから考えると少しでも疲労を貯めない努力をして良かった、と思う。
■小朝日鞍部から大朝日頂上まで
小朝日鞍部から、大朝日頂上までは、降りはなく、純粋に標高差400mなのだが、体感、500〜600mは登った印象。一つは純粋に距離があるのと、やはり小朝日への登りが疲労を蓄積してるから、という印象。
平坦なところは白砂で岩が散らばったりしてるときろもあり、空木岳の小屋手前の感じで素晴らしい景色なのだが、疲労で徐々に景色を愛でている感性も弛くなってきてる感じ。
そして、大朝日の頂上にも一瞬でガスが被り、それはさらなる西側の以東岳方面から来てる感じでますます厚くなり到底取れることはないとわかった。
また、この位の時間帯になると日帰りと思われる人々にだいぶ抜かれるようになってきた。
途中からは小屋の位置も見えなくなり、GPSをみてもあんまり進んでいないとなる。
それで一気に疲れてきた感じ。
■大朝日避難小屋から頂上へ
頂上自体は小屋についてからは一瞬で到達できるイメージだったが、到達するもやはりガスで景色は見えなかった。晴れていれば以東岳まで連なる稜線が見れるはず。ガスがかかり出したのがほんの1時間ちょっと前なので、もし、例えば2時間早く出てれば見れたのかなー、と思わずにはいられなかった。
しかし、2回も敗退して、一時は諦めていた大朝日のピークを踏めたことは本当に嬉しかった。
頂上はその喜びも束の間に、多少、無理に気持ちを切り替えて大変なはずの下山を開始した。
■降りの概要
降りについては総じて、小朝日の巻道で残りの体力が吸われ、古寺山の登り返しで這々の体になった、という印象。
■小朝日の巻道
まず小朝日の巻道。他の山行記などでなんとなくイメージはついていたが非常に歩きにくい道だった。想像以上だった。1〜2mの段差が続く、という印象と、横に張り出した直径10cm位の滑る幹がやらしい、の波状攻撃。典型的なやらしい巻道。そして帰りは(古寺鉱泉方向への降りでは)感覚、標高差50m位登ってるような気がする。
結果、小朝日まできっちり登り返した方が楽だったのではないか、と思えた、割と本気で。
そしてそうなると、距離こそ多少、古寺山ルートより遠くなるとは言え、アップダウンが少ない印象でずっと歩き易い印象の、畑場峰ルートの方が楽なのではないか、と思った。というのも、古寺山への登り返しが疲労のピークで、もうとにかく登りたくない、となっていたから。全体の行程を振り返るに、とにかく古寺山への登り返しが最もツラかった。
■小朝日から以降の降り
6月に来た時はまだ残雪もあって思っていたよりも道の印象が変わった。また、もしかしたら、あるある、なんじゃないかと思うが、飯豊の川入御沢から入って三国岳を目指すルートが、感覚的にここと凄い似てると思う。ハナヌキ峰(朝日)、地蔵山(飯豊)を巻いていき、そしてその巻道で水場があり、登りきった小朝日(朝日)、三国岳(飯豊)ののちにアップダウンのあるルートが続く、という相似性。特に当方は2ヶ月前に朝日のこのルート、3週前に飯豊のそのルートを通っていたので、飯豊の記憶に邪魔されて朝日のこのルートのことがうまく思いだせなかった。
何かと言えば、通常、当方はピストンなので、降り時には感覚的にどのへんがツラいのか楽なのか割と想像しながら動けるのだが、この日は、(2ヶ月前かつ3週間前の記憶が邪魔して)、ほぼ初見の道を一番辛いところで迎えているという感じだった。
ツラさは三沢清水まで続いた。古寺山のピークのあとも歩いていたが、降りの傾向になってもスピードは出ず、ツラさは変わらず、次、開けたところに出たら、とにかく休憩しようと思っていた。
と思っていたところで着いたのがこの三沢清水。ここは6月に来たときには水が引かれてなくて、ノーマークだったので嬉しい誤算でテンション上がった。水も冷たく美味しかった。ちょうど一個残ってたガーリックおにぎりも食って、普段は取らない長い休憩=15分位を取って、あとから考えれば、回復した。以降、わかってたことだけど、歩き易い道で、休まずスピードも出た。
■大朝日を登頂しての感想
最後に、大朝日は、加齢による衰えはおいて、要するに絶対値として時間とか距離とか変わらぬ尺度での比較はしないとすると、最もツラかった山と言って良いかもしれない。
今から考えると、自分ですごいなー、と思う、同じく一泊二日の幌尻とか大無間とか毛勝とか、日帰りのテカリとか鋸岳とか、そりゃあツラかったけど、その時の体力をもってしてもこの大朝日はツラいと思う。逆に今、それらのピークを踏んで来いと言われても、イヤだ。もう行きたくありません。
古寺鉱泉から行くとすると、やっぱり小朝日が凄くやらしいところにそびえてると思う。今回、巻道が歩きにくいことも知ってなおさら。なので体力ない人は、畑場峰→鳥原小屋泊の翌日で大朝日、が最も頂上を踏むに現実的な行程なのではないかと思った。そして帰りの行程のツラさを思い出すに、もう一泊鳥原小屋泊でも良いのではないかと。
あるいは朝日鉱泉からの鳥原小屋泊も良いかもしれない。でも当方、朝日鉱泉⇔鳥原小屋間は歩いてないのでなんとも言えない。ちなみに朝日鉱泉からの中ツルコースは取り付きまでが遠く(片道4kmで沢を高巻いたりで地味にアップダウンもあるイメージ)、登りしかないかなー、と挑むも、標高1380m地点=あと標高差500mで敗退している。文字で書くとあと500m位登らんかい!と思うけど、ヘロヘロだったのよね。
私も体力が無くいつも下山は最後の一人になってしまってますので朝日岳は足が向かなかったのですが残り少なくなった百名山制覇の為には登らざるを得ないのでmacharmingさんのレコ私にとってはとても参考になります。
良い山行になりますように🙂
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