富山県立山町 雄山神社前立社壇〜岩峅寺駅周回 史跡＆映画ロケ地
Machapuchare
その他1人 コースタイム
- 山行
- 1:00
- 休憩
- 0:34
- 合計
- 1:34
| 天候 | 晴れ時々曇り |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2024年08月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
自家用車
|
| コース状況／ 危険箇所等 |
神社の境内以外は舗装道路です。雨の日に傘を差して運動靴でも歩けます。 |
| その他周辺情報 | 雄山神社前立社壇から常願寺川沿い県道6号に入り南下すると立山あるぺん村があります。営業時間は8時半〜17時（冬は10〜15時）、水曜定休です。フードコートは平日11〜14時、土日祝は10〜15時です。売店では直営工場で製造したます寿し＜写真47〜49＞など富山県の名産が購入できますが、16時過ぎにはかなり品薄でした。向かいにコンビニがあるので、そちらで食料を追加しました。さらに少し南東に進むと有名コンビニ「立山サンダーバード」があります。 常願寺川沿いにさらに東に進むと、立山山麓スキー場極楽坂エリア近くに「山の宿やまびこ」があります。わずかにとろみのある温泉で肌がツルツルになりました。洗面所やトイレは共同ですが混雑することはなく、部屋にはエアコンや電気ポット、冷蔵庫やテレビがあります。Wi-Fiはつながりませんでした。 |
写真
01西大森の大石上の石碑…常願寺川沿いを南下していると、西側にこの石碑が見えました。立山町の天然記念物である西大森の大石＜写真02＞はこの左下、土手の草に埋もれて一部しか見えません。この巨岩は称名滝の南南西、真川、湯川の合流点から二度の鉄砲水により流されて現在地で止まり、水の流れを変え西大森より下流右岸の水害を少なくしたので、水神碑を建てたそうです。
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02西大森の大石…右端が石碑＜写真01＞の基部、上の小石群は堤防の一部です。高さ約7.2m、周囲32.4mといわれる大石は堤防の一部と化しており、見えているのは2m四方もないかもしれません。1858年4月、大地震により立山カルデラの壁面が崩壊し真川と湯川がせき止められたことで雪解け水による湖ができました。後日、この湖水があふれて鉄砲水となり、この巨岩も二度にわたり流されてここに辿り着いたのです。
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06岩峅（いわくら）の夫婦杉…参道右側です。夫婦円満を祈願して八の字に周回するようにと書かれていました。周辺の杉林は立山町の天然記念物に指定されています。
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08相川七瀬さん奉納のアセビ…参道左側です。歌手の相川七瀬さんは神社参拝がお好きだそうです。ちなみに、岡山県総社市の総社赤米大使を務めておられます。神社にアセビは珍しくはないようで、春を告げる縁起の良い花のイメージで好まれるのかもしれません。
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09雄山神社前立社壇拝殿…大宝元年（701年）に開山された立山の雄山神社三社（峰本社、中宮祈願殿、前立社壇）のひとつです。昭和17年竣工の比較的新しい拝殿はかなり横長でした。
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11石造狛犬吽像…立山町指定文化財です。拝殿内部にありました。加賀藩2代目藩主前田利長の正室玉泉院（永姫）の書状に狛犬を寄進しようと思うと書かれていることから、元和年間（1615〜1624年）に彼女から寄進されたものと考えられています。
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14雄山神社前立社壇本殿…国指定重要文化財ですが、残念ながら全体は見えません。明応元年（1492年）に室町幕府将軍足利義稙（よしたね）により建立され、1923年に解体修理が行われました。屋根は昭和20年までは杮葺（こけらぶき）でしたが、檜皮葺（ひわだぶき）に替わっています。
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16一石一字経塚…南東側の駐車場から茂みをのぞくと五輪塔の上のほうが見えたので、適当に入り、神社のほうへと進みました。享保16年（1731年）に岩峅（いわくら）寺衆徒の常住坊秀尊により建立されました。法華経の経文を各小石に1字ずつ写したものですが、小石はほとんど埋まっています。
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17ボタンクサギ…中国原産の低木です。直径10cm程の花序は遠目にはアジサイのように見えました。ハート形の葉をちぎるとクサギのような臭いにおいがします。時期的には花真っ盛りのはずですが、あまりの暑さで花はこれだけになっていました。
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24百体観音…宮路仏事会館前の観音堂内部です。ガラス戸を開けて入りました。享和元年（1801年）に衆徒が広く施主を募り、西国三十三所、坂東三十三所、秩父三十四所の観音像を模した石仏を安置しました。立山寺が廃寺になったため、ここに移されました。動画も撮りました。
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26衆徒墓地クズに埋もれる石仏群…立山寺衆徒24坊の墓地のひとつです。江戸時代から現代までの墓石が点在しており、ここはクズが茂って見えにくくなっていました。
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28衆徒墓地墓石＆宝篋印塔…江戸時代の石仏群＜写真27＞の向かいです。右手前は宝篋印塔（ほうきょういんとう）で、宝篋印陀羅尼を内に収めた供養塔です。周辺を動画にも撮りました。
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30タカサゴユリ…幅5mm程の細い葉が特徴です。テッポウユリに似ていますが、花の外側には赤紫色の筋模様が入ります。最近はテッポウユリとの交配種で園芸品種のシンテッポウユリも多く、こちらは花の外側も真っ白です。動画も撮りました。
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31導引（みちびき）地蔵…高さ3m超の延命地蔵で、衆徒坊家出身の僧侶が両親の供養のために造らせ、天保14年（1843年）の完成後、立山寺境内に安置していたものです。廃寺に伴い宮路仏事会館へ、さらに現在地に移されました。
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32宮路神明宮鳥居越しに拝殿…春祭りの獅子舞は立山町の無形民俗文化財に指定されています。大正13年に地域の活性化目的で、江戸中期に飛騨地方で成立した獅子舞を学び、現在に至ります。
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34富山地方鉄道宮路踏切を通過する列車…踏切の警報音が聞こえたので、走って宮路踏切に戻りました。岩峅寺（いわくらじ）駅に向かう列車を動画に撮りました。
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35富山地方鉄道立山駅に向かう列車…宮路踏切を過ぎてすぐ、今度は立山駅に向かう列車が通過しました。稲穂が垂れ始めた田んぼ越しに動画を撮りました。
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36ダブルのタカサゴユリ…岩峅寺（いわくらじ）駅南の広場です。入口に中部北陸自然歩道の道標があり、草丈70cmはありそうなタカサゴユリ（＜写真30＞参照）が咲いていました。これも動画を撮りました。
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38富山地方鉄道岩峅寺駅…1921年建造の木造二階建て駅舎です。入口に神社を模した破風がある独特のデザインで、とやまの近代歴史遺産百選に選ばれています。
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39映画「劔岳点の記」ロケ地の紹介掲示物…入口右側にありました。新田次郎作『劔岳点の記』を元に制作された映画「劔岳点の記」で100年前の富山駅としてここでロケが行われました。
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41映画「劔岳点の記」ロケ撮影風景…地元の方々もエキストラとして参加されたようです。ロケ前でしょうか、町長のご挨拶シーンに始まり、最後の記念撮影までさまざまな写真がありました。
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42岩峅寺駅ホーム近くスプリンクラーで散水…立山線と不二越・上滝線の分岐です。摩擦によるレールのすり減りや騒音防止のため、スプリンクラーで散水中でした。動画を撮りました。
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46富山地方鉄道雄山神社前を通過する列車…雄山神社前立社壇の北西駐車場近くまで戻ってくると、鉄橋＜写真03＞を渡った列車が雄山神社前を通過していきました。動画を撮りました。なんと、列車撮影は4回目。
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47幻のます寿し＆ますの寿し一曲外箱…立山あるぺん村直営工場で製造された富山名物ます寿司です。人気らしく、16時過ぎには売店は品薄でした。左は2,700円、右は1,800円となかなか値が張ります。せっかくなので、この日の夕食と翌朝食にすることにしました。
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49幻のます寿し＆ますの寿し一曲…ネタのサクラマスは底にあるので、切ってひっくり返しました。左が幻のます寿しで、より脂が乗って生の感じが強かったです。右のほうがネタが厚めで脂は感じられず、少し火を通したようなかたさと食感でした。味はあっさりしたサーモンです。酢飯は甘みはほとんどなく、さっぱりしていました。
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50銘菓「アルプスからの手紙〜雷鳥だより〜」…宿泊先の「山の宿やまびこ」でお茶セットについていたお菓子です。ウエハースとクッキーの間のような生地で、上面だけ黒糖でコーティングされているようです。なかなかビターだったので、コーヒーかと思いました。「雷鳥の里」を大人の味にした感じでおいしかったです。立山駅の売店で売られていました。
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装備
| 個人装備 |
長袖シャツ
ズボン
靴下
雨具
日よけ帽子（フード付き）
地形図
コンパス
マップケース
筆記用具
タオルハンカチ
カメラ
飲料水（スポドリ＆茶）
水筒（保温）
非常食（栄養補助食品）
スマホ（地図アプリ使用）
虫よけスプレー
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感想
【立山信仰の拠点・岩峅寺訪問】
今年の盆休みは立山山域の登山を計画していましたが、室堂から立山駅周辺までの宿泊施設は、3ヶ月前でも予約で満室でした。立山山麓スキー場極楽坂エリア近くにある「山の宿やまびこ」でようやく予約が取れたので、山行は2日目以降にし、初日は立山町岩峅寺（いわくらじ）の史跡を巡ることにしました。
立山頂上にある峰本社、芦峅寺（あしくらじ）にある中宮祈願殿、岩峅寺にある前立社壇(まえたてしゃだん)の三社を合わせて雄山（おやま）神社といいます。社伝によれば、立山は大宝元年（701年）に白鷹と黒熊を追って岩屋（玉殿岩窟）に入った佐伯有頼少年が、雄山大神（おやまおおかみ）の神勅（しんちょく）を奉じて開山した霊山です。富士山・白山と共に日本三霊山として全国各地から信仰されてきました。
雄山神社三社のうち、中宮祈願殿は、2022年9月29日に訪問しました。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4741671.html
また、峰本社は、2022年9月30日に訪問しました。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4741525.html
雄山神社前立社壇は、三社の中で一番平野に近く、立山の前に立つお社であることからこの名がつきました。今回はこの前立社壇を起点に周辺一帯の史跡を探索しました。
前立社壇は雄山神社の遥拝所として信仰され、建久年間（1190〜1199年）に源頼朝が本殿を再建、明応元年（1492年）には室町幕府第10代将軍足利義稙（よしたね）が建立し天正11年（1583年）には織田信長の親衛隊である黒母衣衆（くろほろしゅう）の筆頭として活躍した佐々成政（さっさなりまさ）が改修するなど庇護しました。さらに、江戸時代に入ると加賀藩主前田家の祈願所として厚く保護されました。しかし、明治時代初頭に発令された神仏分離令により立山寺は廃寺となり、門前町で栄えた宿坊も衰退しました。
現在の雄山神社前立社壇本殿＜写真14＞は室町時代中期に建てられたもので、神社本殿建築としては北陸最大とされています。室町時代の様式を伝える大変貴重なもので、明治39年（1906年）に国の重要文化財に指定されました。拝殿の内部にある立山町指定文化財の石造狛犬＜写真11,12＞は、加賀藩2代目藩主前田利長の正室玉泉院（永姫）が江戸時代初期に立山寺（現在の雄山神社前立社壇）へ寄進したものと考えられています。また、境内の夫婦杉＜写真06＞などの杉林は立山町の天然記念物に指定されています。さらに、「夢見る少女じゃいられない」などのヒット曲をもつ歌手の相川七瀬さんが境内にアセビを奉納（植樹）＜写真08＞されていました。
雄山神社前立社壇を出た後、周辺を散策しました。岩峅寺（いわくらじ）は、江戸時代に24の宿坊を有した宿坊村落でした。立山寺衆徒24坊の墓地＜写真26〜28＞が現在でも遺っています。墓地には千基近くの墓石が建っており、確認できる最も古い年号は元和元年（1615年）となっています。また、享和元年（1801年）、衆徒らが立山寺北域に観音堂を設け、そこに百体観音＜写真24＞を安置、後に、明治の廃仏毀釈による立山寺廃寺に伴い、現在地に移しました。さらに、衆徒坊家出身の僧侶が両親の供養のために造らせた高さ3m超の巨大な延命地蔵である導引（みちびき）地蔵＜写真31＞など、石造物（史跡）が多数見られました。
当初の計画では、この後で芦峅寺（あしくらじ）を訪問する予定でしたが、この岩峅寺で想定外の時間を費やすこととなり、この日の活動はここで終了しました。
【映画「劔岳点の記」のロケ地にもなった岩峅寺駅】
北アルプス登山に本格的に興味を持ち始めた頃、新田次郎氏の小説『劔岳点の記』を読みました。明治40年（1907年）、日本地図最後の空白地点を埋めるための三角点埋設を目的に、前人未踏の剱岳に挑む参謀本部陸地測量部の測量手・柴崎芳太郎一行と山岳会の小島烏水（うすい）一行との間で繰り広げられる剱岳初登頂をかけた話です。
実話をもとに創作された小説で事実とは異なる部分もあるようですが、平成21年（2009年）6月にはこれを元にした同タイトルの映画が公開されました。その中で当時の富山駅のシーンが出てきますが、ロケ地に選ばれたのが富山地方鉄道の岩峅寺（いわくらじ）駅＜写真38〜41＞です。1921年建造の木造二階建て駅舎は、入口に神社を模した破風がある独特のデザインで、とやまの近代歴史遺産百選に選ばれています。撮影用に組んだ木造の改札口を現在も使用しているようです。映画では、ここで柴崎芳太郎（浅野忠信）と剱岳案内人の宇治長次郎（香川照之）が初めて出会うシーンが映し出されました。そして、意外な結末が・・・ご存知ない方は、ぜひ、小説か映画（動画）をご覧ください。
駅舎内の壁面には、映画「剱岳点の記」の撮影風景＜写真41＞がたくさん展示されていました。撮影に要した時間は、エキストラの指導も含めると、13時間にも及んだそうです。
鉄道関係の見学は散策のメインの目的ではなかったのですが、この日は、1時間に1〜2本しか走らない岩峅寺駅を往来する列車4本に遭遇しました。写真や動画でも紹介していますが、立山駅に向かう列車は、常願寺川に架かる鉄橋を渡り、雄山神社前立社壇北側を通過し、緑豊かな田園の間を通り抜けていきました。これまで、SL以外のローカル列車には、それほどときめきを感じませんでしたが、今回、この岩峅寺駅周辺のロケーションも相まって、ノスタルジックな気持ちに浸りました。
立山あるぺん村と向かいのコンビニで夕食と翌朝食を購入し、「山の宿やまびこ」にチェックインしたのは17時前でした。すぐに入浴すると温泉は空いており、わずかにとろみのあるお湯で肌がツルツルになりました。洗面所やトイレは共同ですが混雑することはなく、部屋にはエアコンや電気ポット、冷蔵庫やテレビがあり、Wi-Fiはつながりませんでしたが、十分快適に過ごせました。
さて、翌日は東北を横断すると予想されていた台風5号の影響の可能性もありました。山小屋をキャンセルすると、麓で宿泊先が見つかるかどうかという問題がありますが、登山する気が完全に失せた連れはケーブルカーの予約キャンセルを勧めてくる始末😓果たして、天は我々に幸運をもたらしてくれるのでしょうか？＜次回の記録に続く＞
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