山上ヶ岳〜小笹ノ宿幕営〜稲村ヶ岳
- GPS
- 12:03
- 距離
- 27.5km
- 登り
- 1,658m
- 下り
- 1,670m
コースタイム
- 山行
- 4:50
- 休憩
- 1:23
- 合計
- 6:13
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
●帰り= 洞川温泉 12:25 − 下市口 13:36/13:48 (近鉄南大阪線特急 さくらライナー・1100円+520円) 阿倍野橋 15:12 |
写真
感想
もとはと言えば 9月第1週にかずー氏と八経ヶ岳に行くつもりだったが、天候不良、さらにはかずー氏体調不良により延期となった。そこで第2週、ひとりで山上ヶ岳&稲村ヶ岳に行くことに。
大峰方面はこれまで何度も計画すれど天気に恵まれず、いままで行ったのは叔母谷覗幕営での大普賢岳〜和佐又岳 (2013年9月) のみ。今回も予定していた水木は前日に雨マークが出たが、木金 いい天気の予報。仕事の都合をつけて いざや。このところ咳が出るのが心配だが ままよ。
今回 いつもの700gのしっかりしたレインウェアをやめ、コーナンで200gの薄いものを購入した。考えてみればいつも雨降る日を避けて登っているのだからほとんどお守りのようなもの。それに700g使うのは馬鹿らしい。しっかりしたレインウェアは高山くらいでいいではないか ということに気が付いた。
あと今回 初めて折り畳みの小さな椅子 (300g) を持って行く。体重50kgまでだったが、65kgの私が座っても特に問題なさそう。安心のため下に段ボール箱をかます。合計500g。ザックは15.5kgほどとなった。
下市口発のバスに初めて乗る。でかいザックを持っているのはわたしひとり。ワンデイがおひとかたおられたが、観音峰登山口で降りられた。
さて出発。温泉街を行く。下山後の温泉が楽しみだ (日帰りできるのは洞川温泉センター1ヶ所のみ)。観光客は少ないが、名水の誉れ高い「ゴロゴロ水」採水場は大いに賑わっていた。
大橋茶屋の手前にあるトイレの脇のベンチで腹ごしらえ。パンの袋を開ける際に左手人差し指の先あたりを切って血が出、絆創膏を巻いての山登りとなってしまった。小さいキズだが、絆創膏を濡らしたくないので結構不便を感じた。
清浄大橋を渡って女人結界。信仰の山を登る。10年以上前になると思うが、新聞に女性ハイカーが禁をおかして登った時のことが書いてあったことを思い出した。「ようお参り」と挨拶してくれた登山者もいたが、「罰当たりめ」と怒られることもあったとのこと。そういえば大峰山寺の僧侶や山伏にはどう言われたか書かれていただろうか。覚えていない。
若い山伏が私とすれ違うために立ち止まっていた。剃髪した頭、ガタイよし、キリリとした男前。「こんにちは」と挨拶をすると「こんにちは」。「お邪魔してます」と言うと小さな声で「うっす」というような声が漏れた。その後もひとりの若い白装束の男とすれ違ったが、ボサボサ頭のひ弱な雰囲気で、消え入りそうな挨拶。親に言われ体験修行にでも参加させられたのだろうか。
一方 登山者とは多くすれ違った。わたしは「こんにちは」と言うが、ほとんどの人が「ようお参り」と言う。なるほど、あの新聞記事に書いてあった「ようお参り」は大峰で交わされる独特の挨拶なのかと今になって知った。しかし山上ヶ岳に初めて登る私は「こんにちは」で通した。
数ヶ所設置されている「茶屋」が往時の大峰参詣の賑わいを想像させる。戦前くらいまでは参拝者相手の商売が成り立ったのだろうか。
一方 行場である鐘掛岩への急峻な登りは今ではしっかりした階段が取りつけられてそれほど危険ではないが、昔も同様だったのだろうか。「油こぼし」という名は下りでは階段が滑りやすいということらしい。
この道、あるいは鐘掛岩のてっぺんからの広大な眺望は、ここまで登ってきてよかったという気持ちを強く感じさせる。辺りにはブナやオオイタヤメイゲツが見られるようになり美しい。また町ではまだクソ暑いのが嘘のような、涼しい風が吹いている。かく汗も爽やかだ。
そして大峰山核心部。いくつかの宿坊が立ち並ぶ道を抜け、山頂に辿り着いた。
大峰山寺。堂宇は質素だが、独特の厳しい雰囲気がある。お堂に入って賽銭をし (本来はお線香代)、一晩お世話になりますという軽い気持ちで手を合わせることが変にためらわれた。そんな中 左手におられた僧侶に「ようお参り」と挨拶されたのだが、雰囲気にのまれ、軽く会釈はすれど声が出なかった。ぎこちない二拍手をして、ほとんど息苦しさから解放されたいという気持ちでお堂を出た。
一段高いところにあるお花畑へ行く。とはいえ今の季節 花は咲いておらず笹原。正面 (南西) に稲村ヶ岳が見事に望まれる。笹原の小道を辿って最も高い場所らしきところへ。そこには「湧出岩」がまつられ、足元に三角点があった。
再びお堂の前を通って南西への道へ。阿弥陀ヶ森、大普賢岳などに続く道。ここからはこれまでとは違ってひっそりとした雰囲気になる。とはいえ危険な道というわけではなく、ほとんど歩きやすい尾根道だ。
人に会わずに小笹ノ宿に到着。「山と高原地図」にキャンプ適地のマークがあるところ。広いスペースがあるわけではなく段差はあるが、平らなスペースがいくつかある。小さな瀬はそれなりの水量があり、小滝状の箇所もあって水を汲みやすい。私は瀬のそばにテントを張ったが、かなり離れたところにテントがひと張りあった。しかし翌朝まで1度も外に出てこられなかったのではないかと思う。
チョンボ発覚。なんとヘッドランプの充電が切れていた。1週間で放電してしまうとは…。スマホのランプを使うが、片手がふさがってしまい不便だった。
また相変わらずスマホの充電が思うようにいかない。75%まで充電できたが、その後は低速だという表示が出て充電できなくなり、翌朝 65%まで落ちた。ただ機内モードにしてカメラも使わなければ65%で充分だった。
天気予報では最低気温はそれほど低くなかったので、念のために持ってきたライトダウンとパッチは着る (履く) ことはないだろうと思っていたが、夜中 ちょっと肌寒く感じ、ライトダウンを着た。
眠れない夜。面白くもないラジオを聞くしかない退屈な時間。いつも日付けが変わるまで眠れないが、今回は23時過ぎに眠ったようだ。
朝4時起き。暗い中 ヘッドランプの明かりが見えた。あのテントはひょっとして人がいないのかとも思っていたがやはりおられたのだ。夜明け前に出発された (阿弥陀ヶ森方面だったか)。
こちらはスマホの明かりで朝食、そして片付け。スムーズにはいかない。5時前に夜明けを迎えたが、出発は5時45分頃。15分遅れになってしまった。しかもすぐにペンを落としてしまってなかなか見つからないというアクシデント。
早朝の大峰。尾根筋では風が強い。雄大な自然の中にひとりいることの感慨にふける。これは有名な高山の人気キャンプ地では味わえないものだなどと考えていたところ、若い3人組とすれ違った。
大峰山寺に戻ってきた。お堂では朝のおつとめ。手を合わせて一晩の宿泊への感謝を伝える。しかしここでまたペンを落としてしまったようで、読経の続く中、お堂の前でペンを探すという我ながらマヌケな姿…。結局見つからなかった。山でごみを作ってしまったことが悔やまれる。ペンを入れる場所を考えないといけない。
レンゲ辻への道は険しい下り。高所恐怖症でなくても少し怖さを感じるところで、こんなところによくぞ階段を設置したなと感心する。しかしそれだけに眼前に広がる稲村ヶ岳方面の景色は絶景だ。
稲村ヶ岳山荘到着。ザックのデポをどこでするか考えていたが、平日はいないはずの山荘にご主人がいるではないか。聞けば、前日にお客さんがあったためたまたまおられたとのこと。8時半には下りるとのことだった (あと45分ほど)。
山荘の玄関先のザック置き場にザックを置かせてもらう許可を得、コーラとお茶を購入 (1本500円)。コーラをその場で飲んだが、なんとうまいことか。疲れた体にエネルギーがチャージされていくような気がした。たまたまご主人がおられたからこそ得られた恩恵だ。
軽荷で稲村ヶ岳へ。稲村ヶ岳山頂は切り立った場所でスペースがないため、大きな展望台が設置されている。そこからの展望はまさしく広大。山上ヶ岳〜阿弥陀ヶ森〜大普賢岳、弥山〜頂仙岳、あるいは釈迦ヶ岳。大峰の主要な山が一望のもとだった。
稲村ヶ岳山荘到着は出発の遅れ時間と同じ15分遅れだったが、稲村ヶ岳往復に1時間半とっていたところ1時間で戻って来られたため、逆に10分ほど早い出発となった。洞川温泉に向けて「高橋横手」を下っていく。
山荘で会った人がひとり。この道で会ったのは1組ふたり。想像以上に静かだった。
五代松 (ごよまつ) 鍾乳洞の石仏に無事のキャンプ登山の感謝を伝える。ここから登山口への道が閉鎖になっていて、仮の階段が付けられているのだと思うが、何も書かれておらずよくわからない。少し下りると人がふたりいたが、どうやらそこが鍾乳洞の入り口で、そのスタッフだったようだ。歩道の脇に設置されているモノレールが上がってきたが客はいなかった。モノレールが下りる時にはバンバンという爆発音のような大きな音を出しているのがちょっと怖かった。
ごろごろ水採水場の前に下りてきた。昨日歩いた車道を逆に行く。思いはひとつ、風呂に入りたい。
バス停着。予定より5分遅れ。バスの発車まで40分。近くにあるはずの洞川温泉センターを探すが、ない。
観光案内所に駆け込むが人がいない。ここで諦めた。トイレで着替えをしてバスを待つことに。その後 今後のためにもう一度 観光案内所に行ってみると今度は人がいた。「日帰りで入浴できる温泉」は通ってきた道にあったとのこと。行きも帰りも気づかなかったわけだ。
いやしかし、今「山と高原地図」を見てみると、やはりバス停の少し南に「洞川温泉センター」と書いてある。どうなってんだ??
洞川温泉センター以外にもう1件、日帰りで入浴できるところがあるのかもしれない。まぁ、またいつか行く時に改めてきっちり調べることにしよう。
帰りのバス。洞川温泉で乗った客は少なかったが、天川川合で外国人10人ほどの観光客 (+日本人の引率ふたり) が乗車してきて満員となった。
電車は急行で帰る予定だったが、その前に出る特急に乗った。早いし、ゆったりと座れるし、静か。特急料金520円の価値はあった。
肩をはじめとして体はガッキガキに痛いが、念願だった山上ヶ岳 +稲村ヶ岳 大いに楽しんだ。心配していた咳は今も続いているものの登山中に悪化せずに済んだ。
10月中にかずー氏と八経ヶ岳に行けるだろうか。もうちょっと軽いコースにした方がよさそうにも思う。
段ボール箱の補助の要らない折り畳み椅子、そしてモバイルバッテリー&ケーブルの購入を検討。
※大峰山寺は毎年 5月3日から9月23日まで本堂の扉が開かれるとのことで、閉山間近に行ったということに後に気づいた。1年の6割ほどは僧侶・山伏がいないということか。それなのに1年中 女人禁制であるというのもちょっと厳しすぎる気もする。
文章も読み応えがあって面白かった。
今週、槍目指していってくるわ〜。
ところで今週 槍かいな。気を付けて行ってらっしゃい。来年は高山一緒に行くべぇ。
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