石鎚山☆降雪後の新雪に一の鎖下で撤退


- GPS
- 03:43
- 距離
- 6.6km
- 登り
- 664m
- 下り
- 755m
コースタイム
天候 | 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2025年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
夜明峠から先はトレースがなく、股下までのラッセル 詳細は感想にて |
写真
感想
週末に松山に出張の所定があったので、久しぶりに石鎚山を訪れることにする。。京都から始発ののぞみと岡山からの特急しおかぜに乗ると伊予西条から石鎚に向かう10時過ぎのバスに乗り継ぐことが出来るのだが、ロープウェイの山頂駅にたどり着くのはほぼ12時になってしまう。京都から夜行バスを使って松山に向かうことにした。宿泊するホテルはバスの終着である松山一番街のすぐ近くなので、荷物を預けることが出来るのも都合がいい。
この週の前半はなぜか愛媛県のみに大雪注意報が発令されており、ニュースにもなっていた。日本海からの寒気が九州と中国山地の間を通り抜けて愛媛に流入したらしい。ヤマレコでもyamapでも先週末にはいくつものレコがアップされているが、今回の降雪による積雪の増加が懸念される。
スノーシューを携行するかどうか最後まで迷ったのだが、トレースがあることを期待して置いていくことにした。夜行バスに乗り込むとゲイターを忘れてきたことに気が付く。仕事から帰宅して慌てて用意したことが仇になったとも言えよう。
翌朝、ホテルに荷物を預けると近くのコンビニでガムテープを購入する。松山駅まで移動すると6時1分発の特急いしづち6号に乗り込む。徐々に明るくなるにつれ、車窓の右手に四国山地が見えてくるが、山の上の方には雲で覆われている。
伊予西条から7時半発のバスに乗り込んだのは石鎚山に向かうと思われる単独行の男性、外国人の若者であった。発車間際になって慌ただしく東南アジア系の外国人の集団が駆け込んで来たかと思うと、友達があと3分くらいで到着するから待ってくれないかとバスの運転手に告げる。そのような理由で出発を遅らせることはまずないと思われるが、バスの運転手は他の乗客に「出発を遅らせてもいいか」と許諾を求める。外国人達はどう見ても登山者には見えないので、どうやらスキー場に行くようだ。
このバスはロープウェイへの乗り継ぎが悪く、定刻にロープウェイの駅に到着したとしても次のロープウェイはほぼ20分後である。結局バスは5分近く遅れて出発する。石鎚山ロープウェイのバス停で下車し、ロープウェイ乗り場に向かう坂道はガチガチに凍結している。僅かに露出しているアスファルトを足場に選んで登ることが出来る。
ロープウェイ乗り場には石鎚山に向かう登山客ら数組のパーティー、総勢20名ほどが次の便を待っておられた。ゲイターの代わりに先ほどのコンビニで購入したガム・テープを足首の周りに巻く。
登山道に入ると数日前のものと思われる明瞭なトレースがついている。これならゲイターも不要であったか。先に出発された数組のパーティーを追い越すと先を行くのは単独行の外国人の若者のみとなる。彼はイスラエル人で2ヶ月の予定で日本各地を旅行しているらしい。彼は靴には歯の大きなアイゼンを装着しているが、トレッキング・ポールは携行していないようだ。かなりの速度で歩いているが、イスラエルには山といっても300mほどの山が最高峰らしく、話を聞く限りは登山の経験がそれほどあるようには思えない。
成就からは八丁と呼ばれる鞍部に向かって降って行くことになる。再び登り返すと樹々には霧氷が現れる。登山道沿いにはブナの大樹が随所に現れ、幻想的な雰囲気だ。リュックの中にはチェーン・スパイクと12本爪のアイゼンを入れてはいるが、これらの頼らずとも問題なく登ることが出来る。どうやら私達の前には先を歩く登山者はいないようだ。
忽然と広々として雪原の広がるひらけた場所に出る。どうやら夜明峠と呼ばれるところらしい。標高は1650mほどだ。ここから先は雲の中に入ってゆくことになる。左手には雲の下から霧氷を纏った稜線が姿を見せている。石鎚山から土小屋へと向かう主稜線だろう。
ここまではトレースのお陰で順調であったが、ここで忽然とトレースが消える。イスラエル人の若者が先行してくれるが、腰近くまで沈むところが多い。しかも、ポールなしでは一歩進むのにも相当に難儀をするようだ。
突然、積雪量も増えたようだ。よくよく考えると、このあたりから先は近隣の山よりも明らかに標高が高くなるので、雪雲が斜面に直接ぶつかることにより積雪量も多くなるのだろう。
雪原を越えたところで先頭を代わってラッセルを試みる。いよいよ足首に巻いたテープが十分にゲイターの代わりを果たしてくれるのだった。
樹林の先には小さな小屋が見える。一の鎖の下にある小屋のようだが、あまりにも新雪が深く、小屋に近づけない。地図では弥山までは直線にして僅かに600mほどに見えるが、標高差は300m近くある。これは到底無理だと早々に撤退を決め込む。
イスラエル人の若者はもう少し先に行ってみるとは言ったものの彼もすぐに諦めて下山を決意したようだ。夜明峠にまで戻ると後続の登山者達と次々とすれ違う。どうやらワカンやスノーシューを携行している登山者はいないようだ。
雪の下りは早く感じられる。1時間ほどで成就に帰還する。石鎚山神社では拝殿の扉が開けられ、宮司さんがその前を雪かきしておられた。参拝する人がいるとは思えないのだが、こうして一年中、神社を管理されておられるのだろう。
ロープウェイの山頂駅に戻ったのは13時前。帰りのバスの時刻を確認すると次は15時17分までない。ロープウェイで山麓の下谷駅に降ると、その前にある石鎚山温泉に入ることにする。温泉の入口の上に架けられている天狗の面を見て、これは何だとイスラエル人の若者に聞かれて、山に住むとされる想像上の人物という以上の説明が困難だった。
この石鎚山温泉は平成になって新たに出来た温泉であるが、乳白症に白濁した炭酸温泉で、四国では非常に珍しいらしい。湯量も豊富なのだろう、完全に厳選掛け流しである。他に入る客もなく、のんびりと湯船に浸かって時間を過ごす。
15時過ぎのバスに乗り込んだのは私とイスラエル人のみであった。バスの運転手は朝の便の運転手と同じであった。バスが出発すると車窓には夕方の光を浴びて輝く石鎚山の姿が映る。山から降りると空が晴れるという法則は相変わらずのようだ。
バスが伊予西条に到着すると、次の松山行きの特急までは僅かに数分の時間しかないが、列車の入線前にホームにたどり着くことが出来る。松山に向かう特急に乗り込み、列車が高輪半島の西岸を走るようになると夕陽が伊予灘に美しい反射を落としていた。
夜、松山で友人達と会食すると、数日前の雪は数年に一度あるかないかの大雪とのことだった。一人は積雪期に少なくとも年に一度は石鎚に登るという山好きであったが、この日ばかりは無理だと思うとのこと。スノーシューがあれば・・とも思ったが、この雪では急峻な斜面のトラバースもいつもより危険だろう。却って危険を侵さずに済んだと考えることにしよう。しかし、いつかは霧氷に覆われた天狗岳の姿を眺めてみたいものだ。
コメント
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今回は地元愛媛に居ながら何のお役にもたてずに申し訳なく思っています。
今年の四国の山は石鎚山系を含めて、例年に無い大雪です。
神門から夜明峠まで続いていた、前日のものと思われるトレースも、降雪もありますが、多分夜明峠辺りで撤退されたのではないでしょうか?
先週の前半は山では結構積雪があり、29日に皿ヶ嶺に行ったのですが、ハイキングコースの北側斜面のトラバース道は降り積もった雪等で山の斜面と一体化して、危険を感じさせました。
機会があれば雪に埋もれたニノ鎖の鳥居、ニノ鎖小屋上のトラバース等を楽しみに来て下さい。
お疲れさまでした。
滅多に出会いませんが、運が良ければ夜明かし峠から、こんな素敵な景色が見えるのですよ。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-5182524.html
また来てください。
今回も雪がこれほどでなければ、それなりの景色を眺めることが出来たのかもしれませんが、どうやらタイミングが悪かったようです。
またの機会を伺いたいと思います。
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