浅間前掛山・湯ノ丸山


- GPS
- --:--
- 距離
- 47.2km
- 登り
- 3,350m
- 下り
- 3,989m
コースタイム
- 山行
- 7:10
- 休憩
- 3:02
- 合計
- 10:12
- 山行
- 8:20
- 休憩
- 2:07
- 合計
- 10:27
天候 | 1日目(5/20):晴れ一時ガス 2日目(5/21):晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2007年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 タクシー
下山口:真田・山家神社からタクシーでJR長野新幹線上田駅 |
その他周辺情報 | 上田市内ひな詩の湯\650 |
写真
感想
1日目(5/20)
この時期の日の出は4:28、朝の時間を有効に使うため4:20に出発した。蛇堀川を高巻くように付けられた道は2本あり右岸の林道と左岸の登山道に分かれ、左岸の登山道を進んだ。浅間山は信仰の対象として浅間神社が鎮座し、その一ノ鳥居が歩き始めて20分ほどのところにあった。右岸に渡り険しくなってくると正面に不動の滝が見えてきた。高巻くとすぐに林道コースと合流し二ノ鳥居をくぐった。
この先は長坂と名が付く登山道で傾斜が増した。前方に牙のようにそそけ立つ荒々しい断崖は牙山(ぎっぱやま)なんと印象的な名前だろう。だんだん硫黄臭が漂いだし谷の様相が火山を表すようになった。牙山の向かいにはトーミノ頭の断崖、その間の草原はカモシカ平、草むらに潜む黒い大きな影、お〜ニホンカモシカ! じっとこちらを見ている。素早くカメラを取り出しその姿を納めることができた。
蛇堀の谷を左岸に渡ると火山館の建物が見えてきた。その隣には浅間神社のこじんまりした社殿があり安全登山を祈願した。標高は2,000mまで上がってきた。気温は0度近くまで下がっているようだ。下界は晴れているが山頂域には雲が掛かっており、雲に突入するのも時間の問題だ。湯の平高原は黒斑山、蛇骨岳などのある第1外輪山に囲まれた高原で入り口付近にトーミノ頭の急斜面を登る登山道“草すべり”が分岐している。
更に高度を上げると遂に雲の中に突入してしまった。森林限界のすぐ手前で第1外輪山東端のJバンドへの道が分岐していた。此処まで戻って来るのでザックをデポし防寒に雨具の上だけ着て出発、森林限界を抜けると風がビュンビュン吹いて寒い。30分ほど登ると第2外輪山の肩に達した。正面には火口周への登山を規制するロープが張られていた。
また一瞬ガスが飛び第2外輪山が見えた。前掛山を目指すが裸稜線で遮るものは何もなく烈風が吹きすさぶ。稜線歩きで横風を受けては東側の断崖に吹き飛ばされそうで西側の斜面を少し下がったところを歩いた。姿勢を低くし這うようにして進むが時々蹲って風をやり過ごし漸く前掛山(2,524m)山頂に達した。“前掛山”ではなく“浅間山”の山頂標識が建っていた。現在、噴火警戒レベルは「1」なのでここまで登ることができるが、レベル2になると第1外輪山の黒斑山から賽ノ河原の分岐までとなり、レベル3まで行くと西は車坂峠、南は一ノ鳥居までとなってしまう。山頂で蹲りガスが晴れるのを待つこと10分、寒さでガタガタ震え顔が引きつる。しかし待った甲斐があり一瞬視界が開け浅間山が姿を現した。反対側には第1外輪山の山並み、剣ヶ峰も青空の下に姿を晒し夢中でシャッターを切った。
満足して引き返すが危険は来るとき同様、風の合間を縫って匍匐前進さながらの行軍でシェルターに戻った。二人の男性が登頂を目指して待機中で一度突撃したが、諦めて戻ってきたと言う。普通の人なら断念するべきだろう。寒さでガチガチになった体を労るようにゆっくりと歩き出し賽ノ河原へと下山を始めた。この時間になると登山者が山頂を目指して登ってくるが、皆諦めるのではないか。その中に昨夜同宿だったN井さんもいた。
賽ノ河原でザックを担ぎJバンド方面へと踏み出した。相変わらずガスの中で真っ白、第1外輪山の斜面を急登し稜線に達した。強風を覚悟していたが、山頂ほどではなく一安心。鋸岳(2,254m)山頂でエネルギー補給し西に向けて縦走した。3等三角点「三尾山」のある仙人岳(2,319m)、蛇骨岳(1,366m)と雲の中を進んだ。展望がないので山頂標識だけを記録写真として撮っておくがカメラの電池が上がってしまった。寒さのせいで消耗が激しいようだ。もたもたしている間に反対側から女性が一人やって来た。車坂峠から登って来たと云う。冷え込みとガスと強風のため稜線の木々は霧氷を付け真っ白になっている。
外輪山の稜線が東に回り込み高度を増すと第1外輪山の最高所にある黒斑山(2,404m)に達した。ここまで来ると沢山の人で賑っていた。その中にさっき第1外輪山の下りで行き合った同宿のN井さんがいる! どうして追いついたのかと思ったが前掛山登頂を諦め、湯の平高原から草すべりを登って来たというので納得した。ガスが晴れる頻度が増し、暫く待っていると浅間山が顔を出した。風が弱まったようで前掛山の稜線を歩く人達の姿が見えた。
此処からはN井さんと行を共にし、トーミの頭(2,298m)、槍ヶ鞘(約2,280m)を通り車坂峠へと下った。雪解けで道が泥濘み歩き難い。道々話をすると単独行中心にスノーシューでよく歩いているそうだ。枠に嵌められることが嫌いだと云っていたので山に対する考え方は近そうだった。車坂峠からバスで帰るというので待ち時間を利用して高峰温泉まで足を伸ばすそうだ。高峰山に誘ったが日帰り入浴は14時までなので行っていると間に合わないので林道を行くと云う。残念だが此処で別れを告げた。
独りになって高峰高原ホテルの裏から粒ヶ平を経て高峰山(2,106m)に登った。途中の展望箇所で出会った人と話し込み15分が過ぎる。2,106mの最高所には何の表示もなく、踏み跡を辿って行くと大きな剣の建つ傍らに高峰神社の祠があった。この後に“高峰山”の標識を発見、小諸市によるものだ。これで混乱してしまった。地形図では神社マークが最高点2,106mのすぐ南にあり稜線の先に2,092mの3等三角点があるはずだが10分余り探し回ったが見つからない。腑に落ちないまま諦めたが、後日調べてみると三角点は「亡失」したとされていた。いくら探しても見つからないはずだ。そして、神社は平成14年に建て変わっているのでもしかしてその位置も変わったのか、元々地形図が間違っていたのか。何れにしても旧三角点の位置辺りが神社の位置となっているようだった。
賑やかな小母ちゃん一行が去り、家族連れハイカーが去り静かになった山頂で東を望むと黒斑山が完全に露出し天候は完璧に回復した。小母ちゃんたちを追って高峰温泉に下ると13:30まだ時間は早いが疲れた。温泉に入りたい!という欲望抑えがたく、しかも明日は夜行で帰るので余り行程を進めても仕方がないか。この先水ノ塔、篭ノ登に登ってしまうと池の平に下るまでテン場はなさそうだし。いろいろ理屈をこねて温泉に入ることにした。もしかしたらN井さんがまだいるかも・・・
温泉に行くとやはりいた! 3度目の再会でサプライズを与えたようでこれも面白い。これから高峰山に登り車坂峠に戻るらしい。温泉は入浴料500円で石鹸は無し。白濁した湯が温めで心地よい。ゆっくり過ごし温泉付近にテン場を探すが風が防げて平らなところというのはなかなかないものだ。アサマ2000パークスキー場のリフト上部にテン場を定め落ち着いた。昨夜は7時間寝たがもう眠い。早めに夕食を食べ17時過ぎには寝てしまった。
2日目(5/21)
テントは寒かった。3時に起きると満天の星、天ノ川が横たわり、今日の快晴を確信した。4:20に歩き出してすぐ浅間の左側に昇るご来光を見た。雲一つなく真っ赤な朝日だ。水ノ塔山(2,202m)山頂に着くと、焼けた富士山が奥秩父の山脈の上に顔を出しくっきりしている。空気が澄んで山は全部見える。八ヶ岳は真正面だしその後に北岳を始めとする南アルプス、御嶽、乗鞍と飛んでその後は穂高から小蓮華まで凄い。山頂裏手に出ると北信五岳、正面は四阿山、草津白根、その右は越後・日光の山々、東には浅間山と日本地図が書けそうだ。
感動を胸に稜線へと踏み出し東篭ノ登山に向った。今朝も冷え込んだようで凄い霜柱が地面を盛り上げていた。昨日の泥濘もあり、朝露で足元を濡らすかと思ったがそんな心配は無用だった。東篭ノ登山(2,227m)は1等三角点「篭塔山」があるだけで一木もなく360°の展望が得られた。ただ三角点はむき出しになり傾いていた。これでは使えない。この山の西北西に西篭ノ登山(2,212m)があり鞍部へは80m余り下降しなければならない。見捨てて行くわけにはいかずザックをデポしてピストンしてきた。西篭の山頂からは角間山が近い。
東篭ノ登山に戻り池の平へと下る。池の平は旧火口に広がる高層湿原で乾燥が進み南側に僅かに池塘が残るのみ。アヤメやコケモモ、コマクサの群生地であるらしい。外輪山の稜線を進むと村界の丘、雷の丘、雲上の丘と名のあるピークが展望台として整備されていた。標高は何れも2,100m余りで“山”としてカウントした。池の平の南端に飛び出したピークは三方ヶ峰(2,040m)で八ヶ岳に最も近い。3等三角点「三方ヶ峰」があるはずで探すが見当たらない。火山の崩れやすい山体のためか点標が無くなっているところが多いが此処もそうだろうか?
見晴岳(2,095m)で大休止を取り、地図と実物を眺めていると、角間山が気になりだし、時間短縮も出来ているので下山後の鬼ヶ城を削って、角間山に足を伸ばすことにした。湯の丸スキー場を横切り地蔵峠(1,732m)へと下った。長野・群馬県境を越える峠で車道が通っている。広い駐車場があり湯の丸山、烏帽子山に登る人たちが利用するようだ。
群馬側に3キロほど下れば鹿沢温泉に至る。角間峠への登山口(標高1,600m)はその中間にある。廃業した鹿沢スキー場への取り付け道路だったようで湯の丸山山腹を巻くように進んだ。高原状になるとそこは湯の丸牧場、スキー場跡でもある。レンゲツツジの大群落でそろそろ蕾が膨らみだして来たようだ。気持ちのいい草原歩きの末、鹿沢温泉からの登山道と合すると急に道が無くなり戸惑うが、無いならないで構うことはない。笹藪を最短距離で突っ切り角間峠(1,805m)に達した。
峠にザックを置き角間山をピストン、草原の山で終始展望を楽しみながら登ることができた。ただ山頂直前になると僅かに樹林帯があり、ロープが一箇所下がっていた。角間山(1,981m)山頂は岩場で3等三角点「角間山」があり360°の展望が得られた。北に飛び出した山なので浅間山を見る角度が変わり、四阿山は益々近づいた。
角間峠に戻るとこれから湯の丸山に登るという一人の男性が休憩中だった。角間温泉に下る道が西に伸びているが登山道崩壊で通行止めの看板が出ていた。登山道も草生し久しく通行止めが続いている模様。エネルギー補給の大休止をして男性を追うように湯の丸山の北尾根を登った。暑くなってきた、昨日とは大違い今日は春から初夏の勢いだ。北峰の手前でさっきの男性を追い越し山頂域の草原を登った。湯の丸山北峰(2,099m)は4等三角点「湯ノ丸山」があり夫婦登山者が休憩していた。展望は主峰に行ってからと点標にタッチしただけで通過した。湯の丸山(2,201m)の主峰である南峰に到ると地蔵峠から登ってきた人達が数人山頂に憩い展望を楽しんでいた。
一通り写真を撮って西の斜面を下った。湯の丸山と烏帽子山を結ぶ吊尾根の鞍部約1,857mまで下ると地蔵峠への巻き道が分岐していた。この道を使い湯の丸・烏帽子をセットで登る登山者(ハイカー?)が平日だと言うのに結構いるようだ。烏帽子岳への登りは厳しいので直登せずに南の稜線鞍部に乗り上がりった。一つピークを越え南から山頂に到る道を進んだ。
2等三角点「烏帽子岳」があったのだが三方ヶ峰同様、此処も点標亡失となっている。最後の大展望を楽しみ角間温泉への下山路を探すと「通行禁止」の古い小さな看板が掲げられている。角間峠からの道と途中で合流し角間渓谷を通り角間温泉に達するので渓谷内で登山道が失われていたら進退が窮まることも考えられ迂回路を探し思案に時間を費やしていると、今日が月曜日であることに気がつき幸い携帯も入るので旧真田町出張所?(現上田市)に聞いてみることにした。答えは明瞭で、「雪解け後は確認していないが昨秋は問題なかった。」とのこと。
意を強くして予定通り下り始めた。西の稜線端のP1706までは急斜面をどんどん下った。振り返れば烏帽子の名前の由来が納得させられる山容が聳えていた。P1706からは北側の急斜面をジグザグに下った。標高1,500m辺りまで来ると花が姿を現した。まずはニリンソウ、フタバアオイ、ハシリドコロ、エンレイソウ、そのすぐ近くにシロバナノエンレイソウ、マムシソウ、ネコノメソウあとはタチツボスミレ? その他名前分からない花も多く、なかでもニリンソウは下までずっとあり、余り歩かれていない道なので登山道の真ん中にも咲いていて踏み付けないように注意が必要だ。角間川との出合には「角間峠通行止め」の看板、影響はこちらに及ばず幸いだった。
角間川は濁っていて渓谷と言ってもあまり雰囲気は良くない。川に堰堤が現れると登山道は角間林道に変わり角間温泉へと達した。事前にインターネットで角間温泉を調べると結構な温泉街で外湯もあるので楽しみにしていた。まず岩屋館というのがあり斜面を随分登らなければならないのでパスして下ると後はどこまで行っても何もなく遂に真田の街に着いてしまった。一体角間温泉は? と帰って調べてみると長野県内に「角間温泉」は2箇所あり、温泉街なのは志賀高原の近くの方で、こちらは岩屋館のみの一軒宿だった!
温泉は諦め真田BSからバスに乗ろうとすると2時間待ち! 仕方なくタクシーを呼んで山家神社で待った。この神社は延喜式の神明帳にも載る由緒正しい社だとか・・・運転手に上田付近で温泉またはスーパー銭湯に連れて行ってくれと頼むと上田市内のスーパー銭湯“ひな詩の湯”に連れて行ってくれた。平日でガラ空きの銭湯にゆっくり浸かりすぐ前のバス停から上田駅へと向った。直江津まで行って急行“きたぐに”で帰る予定だったが時刻表を繰ると“しなの”に乗れば今日中に帰ることができる。倍以上の資金が要るが時は金なり特急に乗って23:30当日中に帰宅することができた。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する