記録ID: 8049225
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
塩見・赤石・聖
前岳西稜(冬季)
2024年12月28日(土) 〜
2024年12月30日(月)


体力度
8
2〜3泊以上が適当
- GPS
- 54:34
- 距離
- 29.4km
- 登り
- 3,012m
- 下り
- 3,007m
コースタイム
1日目
- 山行
- 8:06
- 休憩
- 0:25
- 合計
- 8:31
距離 12.2km
登り 1,864m
下り 323m
2日目
- 山行
- 3:55
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 3:55
距離 2.1km
登り 623m
下り 12m
天候 | 1日目:曇り(冬型) 2日目:曇り、ホワイトアウト気味、強風(冬型少し緩む) 3日目:快晴、強風(冬型緩む) |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
【林道】 崩壊の様子は少しずつであるが様変わりしている。しかし形成された獣道を慎重に辿る事に変わりはない。新しい崩れ方に新しい獣道ができて、を繰り返すのだろう。七釜橋手前の隧道、西側口は深い水たまりになっていてここから渡渉装備(今回はウェーダーをトライ)に。 【小渋川】 大きく変わった所はなく相変わらずの河原歩きベース。渡渉は高くても膝程度で済んだ。七釜橋では粉砂糖程度だった雪が、広河原小屋に近づくと5cmくらいになり、滑りやすく少し苦労した。 広河原小屋は自身の経験上で1番清潔に感じた。整備に深く感謝。 【前岳西稜】 雪は深くなく樹林帯にラッセルというほどのものはなかったが、末端から雪を被っていたのでクランポンを装着。次第にブッシュ上の雪が増えていき、漕ぐと落ちて服が濡れるためはたき落として進んだ。藪ナイフリッジが登場する2306付近から幕営適地が点在するが、2450線少し上の適地まで押し切った。樹林帯かつ西側の尾根で風はかなり緩和されるためか、とても快適な1夜。翌朝、2566の西側にある顕著なルンゼに入る。快適な登りを期待したものの、多少ラッセルになりスピードは上がらない。同ルンゼ上部のガレ場は浮石に対して足の置き方に注意した。リッジに出ると脆さが目立ち、雪も締まっていなかったので、雪を払ってホールドを探しその強度を確かめ踏み込んで、という風にジリジリ駒を進めていく。アックスはドラツー風に使ったりする場面もありテクニカルタイプがあってよかった。幸いこのセクションで風は強くなかったので良かったが、風向き次第で直撃だったら本当に難しかったと思う。一度核心に入ってしまうと撤退するにしても容易ではない。 【主稜線(前岳西稜JCT~前岳)】 冬型が何たるかを思い知らされる厳しさ。このセクションは南アには珍しいナイフリッジで、崩壊側を避けると風上側を強いられる。風に対するレストポイントはほぼなく、足先手先に軽度ながら凍傷を負った。ホワイトアウトに近く精神的にも試された。その一方で、足元のハイマツは都合よく締まった雪に絡まっていたので歩行動作はとても快適だった。 中岳避難小屋は黒板に「冬季開放中」などと書いてくれておりこちらにも深く感謝。 【主稜線(前岳~大聖寺平)】 前岳から程なくして東側の雪面を注意深く下る。当時のコンディションでは東側ルンゼ最上部のトラバースを選択したが、滑落すると恐らく助からない。コルから大聖寺平はハイマツリッジ。 【旧道(大聖寺平~広河原小屋)】 主稜線から舟窪へは夏道を辿ったが、途中から雪で全く分からなくなり、遠くのマーカー(夏道が尾根に向けてトラバースする所)を目標に適当に下った。その間は下り方向で腰深さの雪。舟窪以降は特に変わらず(マーカーや道筋はある程度はっきりしている)。 |
その他周辺情報 | 道の駅歌舞伎の里大鹿(入山前下山後のトイレ&歯磨き、下山後の補給物資調達) |
写真
中岳避難小屋の扉を開けて目に飛び込んできたとても美しい悪沢岳。予報では暗くなってから晴れてくるはずでしたが姿を見せてくれました。凍傷をケアしながら小屋周辺の厳しい環境に耐える中での鑑賞。何と言うか、、身に刻み込まれる美しさって言うんでしょうか。
装備
個人装備 |
ツアーアックス×1
テクニカルアックス×1
ヘルメット
|
---|---|
備考 | 多少確保系のギアを持ったが、結局終始フリーソロで使用せず。前岳西稜の最後の岩稜セクションは脆いので支点は取りにくいと思う。 |
感想
昨年やろうとしていたが勤務先の忘年会で潰された苦い経験もあり熱量大。挑戦的なメンタリティで「冬型予報だけど山行中次第に緩むので突っ込んでみよう」と計画。しかし(やはり)3000mの冬型はとても厳しかった。
このシーズンは「厳しい環境に安全マージン取って登るには装備レベルを上げないと」、そして「それにはさらなる投資をしないと」、「いや、命や負傷リスクも相応に高くなる中でそこまでして登りたいのか?」、「消耗品に高額投資か?」、「(自身の根源的なモチベーションでなく)単に難しい条件というだけでそこまで(ハイリスク)していていいのか?」、「確率的にヤバい引きはあり得るだろう」などと自問自答があり、その先駆けとなる経験だったと思う。
本山行の最終日は快晴に恵まれ、素晴らしい景色を堪能できて大変良かった。登攀要素を入れるとハイリスクになるため、絶景が見られるというだけで「ああやっぱり続けていきたい」と言うほど単純なものではないが、しかし総合的に山に惹きつけられているのも間違いない。この先の向き合い方、楽しみ方、その他ライフイベントとの兼ね合い、色々考えますね。
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