涸沢ヒュッテ山小屋開き 涸沢カール1泊2日 山小屋泊


- GPS
- 10:37
- 距離
- 30.0km
- 登り
- 914m
- 下り
- 916m
コースタイム
- 山行
- 5:35
- 休憩
- 0:24
- 合計
- 5:59
過去天気図(気象庁) | 2025年04月の天気図 |
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アクセス |
写真
感想
# 残雪期の涸沢カール
去年に引き続き、今年も涸沢ヒュッテの山小屋開きに合わせて訪れました。
天気予報では1日目午後から下り坂、2日間とも強風の予報でしたが、実際には両日ともほぼ雲一つない晴天に恵まれました。
## 1日目:予期せぬスタートと雪の登山道
3:30 さわんどバスターミナル到着。バスターミナルに近い駐車場にもまだ空きあり。始発バスは5時だと思っていましたが、案内書きには6時とあります。スマホで確認すると今日は確かに始発6時でした。計画ミス
一旦車に戻り仮眠していると、同じ日に登る予定のYouTuberりー夫婦登山チャンネルのりーさんからタクシー相乗りのお誘いを受けました。私たち二人と、同じく始発バスの時間を勘違いしていた方々と一緒に上高地へ向かうことに。早朝の山あいの道を抜けて行くタクシーの窓からは、徐々に明るくなる空が見えました。
上高地ではりーさんと別れ、各々のペースで涸沢を目指すことに。ビジターセンター前にある、水場でナルゲンボトルに水を汲み、冷たさで指先がかじかむ中、持参したおにぎりを頬張って出発しました。
いつもは賑わう河童橋も、始発バス到着前のこの時間は人影まばら。木々の間から差し込む朝日に照らされた河童橋越しの穂高連峰は、青空にくっきりと輪郭を描き、雪を纏った姿が神々しく輝いていました。
午後からの天気悪化を考慮し、汗ばむ額を拭いながら少し急ぎ足で明神、徳沢、横尾と順調に進みます。横尾でザックを下ろし小休憩。冷えた残りの朝食を頬張りながら、遠くに見える雪山を眺めて再出発。
横尾大橋を渡るとすぐに足元に雪の感触。まだ平坦な道ですが、ここでチェーンスパイクとヘルメットを装着。装着の際、冷たい金属に触れる指先がピリピリします。なくても歩けるコンディションですが、装着することで歩行時の安定感が格段に増しました。
本格的な山道に入ると雪の存在感が増し、キュッキュッと靴が雪を踏む音が心地よく、小さなアップダウンが続きます。今年は例年より雪が多いようで、本谷橋には吊り橋がまだ架けられておらず、キラキラと輝く雪に覆われた沢を直接登るルートに。
夏道よりは距離が短いものの、その分勾配は厳しく、呼吸が荒くなり、足が重くなるほど。進むほどに傾斜が増し、振り返れば眼下に広がる雪の斜面と遠くに小さく見える登山者たちの姿がありました。
涸沢ヒュッテが視界に入っても、なかなか近づかない最後の急登。脚の筋肉が悲鳴を上げ、諦めそうになる度に深呼吸して一歩一歩進み、11:30に無事到着。ヒュッテの木の扉を開けた瞬間、暖かい空気と人の気配が安堵感をもたらしました(1人夕食のみで12,500円、朝食付き14,000円、素泊まり10,000円)
## ヒュッテでの滞在
早い時間帯だったため、ヒュッテはまだ空いています。木の温もりを感じる広いテラスでランチタイム。売店で購入したカップヌードルの湯気が立ち昇り、冷えた体に染み渡る温かさ。山でのカップヌードルは格別の味わいです(お湯付き400円)
チェックインを済ませた後は、テラスのベンチに腰掛け、眼前に広がる穂高の山々を眺めながらのんびり過ごします。時折吹く風に頬が冷たく、しかし日差しは温かく、山の静けさと雄大な景色に心が浄化されていくよう。
夕食時、食堂には登山者たちの笑顔と温かな話し声が広がっています。小屋開きを祝う特別サービスとして缶ビールやジュースがふるまわれ、喉を潤しながら小屋番さんの歓迎の挨拶を聞きました。長野警察山岳救助隊からの安全講話もあり、山の厳しさと備えの大切さを再認識。食事は山の具材たっぷりの品数多いメニューで、湯気の立つご飯と温かい汁物はお代わり自由。冷えた体に染み入る美味しさでした。
食事後、心地よい疲労感と満腹感から部屋で横になると、すぐさま意識が遠のき、気がつけば22時。外から聞こえるゴォーゴォーという強風の音と、小屋のきしむわずかな音が混ざり合う中、星空を見たい気持ちをぐっとこらえて再び寝袋に潜り込み、朝4時まで深い眠りに落ちました。
## 2日目:モルゲンロートと下山
早朝4時、寝袋から出ると冷たい空気が顔を包みます。窓の外はまだ暗く、星の瞬きが見えました。急いで顔を洗い、防寒着を着込んでテラスへ。少しずつ明るさを増す空の下、他の登山者たちも三脚を立て、カメラを構えています。
日の出の5時を過ぎると、徐々に穂高の山肌に陽が当たり始め、刻一刻と変化する光景に息をのみました。深い青から薄紫、淡いピンクへと空の色が変わり、雪化粧した山々が朝日を浴びて輝きはじめる瞬間は言葉にできないほどの美しさ。カメラのシャッター音が静寂を心地よく破ります。
朝食を終え、6時に下山開始。朝の冷たい空気が肺に染み渡り、一歩踏み出すごとに雪を踏む感触が心地よい。広大なカールを下りながら、時折振り返っては朝日に照らされた山々の姿を目に焼き付けます。
上高地で10時から始まるはずの開山祭に間に合いたいと思い、ペースを上げつつも雪の状態に注意しながら下山。
* 横尾 7:23
* 徳沢 8:00
* 明神 8:42
* 上高地 9:22
予想以上に早く下山できましたが、急ぎ足の代償として左足中指の皮が剥け、靴下に小さな血の跡が。痛みをこらえながらも、達成感の方が勝っていました。
開山祭のため河童橋付近の前列に場所を確保し、10時の開始を待ちます。徐々に人が集まり、賑やかになってくる上高地。しかし実際の開始時間は10:50と判明し、窮屈な姿勢で1時間30分待つことに。脚の痺れと戦いながらも、清々しい上高地の空気を深呼吸。
待ちに待った開山祭では、山岳地帯に響き渡るアルプホルンの深く豊かな音色と、鮮やかな衣装の奉納獅子舞の躍動感あふれる演舞に、疲れも吹き飛ぶほどの感動を覚えました。
天気予報の不安をよそに2日間とも快晴に恵まれ、残雪期ならではの静けさと厳しさ、そして何よりも雪に覆われた穂高連峰の荘厳な姿を堪能できた最高の涸沢カール体験となりました。下山したばかりの足の痛みを感じながらも、また来シーズンの残雪期に訪れたいという思いが既に芽生えていました!
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