菅沼登山口〜座禅山〜奥白根山


- GPS
- 09:12
- 距離
- 7.0km
- 登り
- 888m
- 下り
- 889m
コースタイム
天候 | 快晴後晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2025年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
登山口有料駐車場は開いていなかったが,1台だけ駐車していた。 |
写真
感想
先週に引き続き,日光方面の雪山を登ってみたいと思い,久しぶりの白根山にする。無雪期には何度か登っているが雪山は初めて。天気の良さそうな木曜日,深夜1時40分に出発。特に道路の凍結もなく5時前には菅沼登山口に到着。途中,戦場ヶ原辺りでは-4℃,金精道路では-1℃と冷えていたが,登山口は-3℃だった。夏季の有料駐車場は未だオープン前だったので,菅沼山小やの駐車場を借りる。周囲にはロープが張ってあったが,丸沼高原寄りの所が1か所だけ通れるようになっていた。トイレも使えて便利だ。
駐車場を出ると直ぐに雪道となり,雪原を南西に進んで沢に入る。雪がしまっていて歩き易いが,この先の傾斜に備えてアイゼンを着けた。直ぐに大小の石や岩がゴロゴロと転がる箇所に出る。右側の崖からはカラカラと小さな石が落ちる音が時々聞こえてくる。長居は無用なのでできるだけ足を速めて80m位を登ったところで息をついた。そのまま進んで行くと二股になり,ここは右側の沢に入り,夏路に出るはずだと思い,そのままずっと方角をキープ。途中,目印もあったが,そのまま斜面を登ってしまい,暫くしてから座禅山に向かっていることに気付く。しかし,周囲の眺めも良くなってきたし,座禅山経由でも良いかと思い更に進む。次第に樹間が狭まり,密集した枝の間を潜り抜けるのに苦労する。何とか,岩が出た最高点まで登りつめると,正面にデンと構えた白根山が素晴らしい。北東側には,先週登った温泉ヶ岳や金精山が間近に見える。西側は窪地になっていて,周囲を樹木で覆われ傾斜もきつそうだったが,丁度,正対する方向は樹が少なく最低部まで降りられそうだった。
岩場を少し降ると雪原になり,消えかけてはいたがトレース跡もあった。白根山に向かって真っすぐ進み,分岐点の辺りまで来ると,白根山から北に延びる尾根に向かって,何か所からも斜上するトレース跡があった。どれも似たり寄ったりの感じだったので,一番手近な所から尾根まで登る。尾根の上は広くてどこでも歩けそうだったが,夏道の出ている処はそれを辿るようにする。上部にあるルンゼ状が近づいてきたので,腰を下ろして朝飯のおにぎりをほうばる。ストックをしまい,ピッケルを取り出して気合を入れる。
ここから暫くは夏路を外れて,左寄りの雪の少ない斜面を登ったが,シャクナゲなどが顔を出している個所が多くあり,余り宜しくなかった。軌道修正して右寄りに進んで行くと再び夏路ルートに出た。そこで,40分ほど前に弥陀ヶ池に居るのを見かけた人と出会う。こちらより山慣れているようなので先に行ってもらう。その間,最高の天気の下で周囲の山並みをたっぷりと楽しむ。先行者と少し間隔が空いたところで,大岩の間の雪斜面を登り始める。雪は少し柔らかく蹴りこみは楽だが,時々,崩れることもあるので,しっかりと足場を造りながらの登り。傾斜がきついところを越えたところで,先行者のトレースを追って右側の岩場の方に方向転換する。そのまま,沢状を直登する古いトレースもあったが,上部の方が急で難しそうだった。兎に角,雪斜面を登るのに息が切れたので,一息入れているともう一人下から登って来た。アイゼン無しでストックで登ってくる。余程,山慣れた人だなと思い,これも先に行ってもらう。
そこからは,雪の少ない岩場が続き,傾斜が緩くなったと思ったら,道標が立っていた。その向こうには白根山の山頂が見え,先行した二人の姿も見えた。一旦,岩場を降り,登り返すと山頂に出た。無風で雲も殆ど無く,360°の大展望が楽しめた。当初計画では南東側の斜面を避難小屋に向かって降りる積りだったが,気温が高いこともあり,今の自分の技術レベルではリスクが高いと判断し,登路を戻ることにする。上部急斜面の雪は更に緩くなってきており,足元が崩れやすくなっているように感じた。一歩ずつ確認しながら降るので時間がかかる。山慣れた人は,結構,急な所でも尻セードで降っていくので全然スピードが違う。下の方で緩斜面になると,グリセードのようにして降ることができる部分もあった。景色を惜しみながら,弥陀ヶ池まで時間をかけて降った。ここでアイゼンを外し,練習の積りもあってワカンを着け,ピッケルからストックに切り替えた。折角なので五色沼を拝んで行こうと,五色山への分岐点の少し先までピストンする。少し位置が変わるだけで,白根山の見え方が全然違って面白い。五色沼は未だ真っ白だった。
弥陀ヶ池まで引き返し下山にかかるが,それほど歩いたわけでもないのに,結構足に疲れが出ている。下りは夏路を使おうかと思ったが,最近のトレースは殆ど沢沿いになっていたので,そのまま跡を追うことにした。最初は平坦だったルートも直ぐに傾斜が出てきて,ワカンを着けていると歩きにくいが,これも練習だと思ってそのまま歩き続けた。結構,降りたなと思ってGPSを見ると,未だ2110m付近だった。これは結構疲れているなと,改めて思った。
比較的,はっきりしたトレースが,隣の沢に移っているので,それに従いトラバースして更に沢を降り始めた。しかし,直後に左足のステップが崩れて態勢を崩す。踏ん張った右足の方も雪が崩れてしまい,ストックも十分に刺さらない。頭から転がるのを防ぐために尻もちをつき,両手で雪面を抑え込もうとするが,雪を掻くだけで何もならない。途中にあった細い立ち木に掴まろうとしたが,一瞬,左手でつかんだもののスピードに負けて手が離れてしまう。倒れた時の傾斜は30°程度と思われるが,直ぐに40〜50°の傾斜になり,加速されてしまう。体感で30kmは出ていたか。流石にヤバいと思う。兎に角,頭が下にならないよう両手でバランスを取り,体をひねって立木などに激突しないようにする。その先で傾斜が緩くなっているのが見えたので,右手のストックの石突の上を左手で握り,体をひねって体重をかけて雪面に突き刺した。何とか深く刺さり,暫くしてやっとストップできた。ここまで100m以上流されたかと思ったが,GPSで確認すると高度差で70m前後であった。左岸にある木の根元をフラットにして安定したところで,傷の確認をする。暑かったので手袋を外し,長そでを捲り上げていたので,両腕が擦り傷だらけになっていたが,それ以外には痛みはなくホッとする。ペットボトルの水で傷口のゴミを洗い流し,大判のバンドエイドで応急処置する。ワカンも外してこの先はツボ足にする。ザックの底部分が少し切れかけていたが,帽子も眼鏡も飛ばされずに済んだので,普通に歩くことができた。
少し降ると例の落石地帯に差し掛かったので,崖の上の夏路に逃げることも考えた。そちらに向かっているであろうトレースもあったが,古かったし,40mも登る必要があるし,降りなので短時間で抜けられるだろうと考え,そのまま沢を下降する。数分で落石地帯を抜けると,後はのんびりと駐車場まで戻った。
駐車場を使わせてもらったこともあるので,営業していた店で蕎麦の遅い昼食を摂った。腕の傷が染みるので温泉はパス。道の駅 日光で土産を購入した後は,何処にも寄り道せず,19時15分に帰宅できた。
今回の滑落は,雪斜面の歩行技術不足,不要なワカンを着けていたこと,脚の疲労,ストックを用いた滑落停止技術の無さ,気の緩みなどがあると思われる。傾斜が緩い箇所があった,激突する大きな障害物が無かった,雪が緩くてスピードが出にくかったなどが幸いして大きな怪我がなかったのは幸いではあった。反省して,しっかりと今後の山行に活かしたい。
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