巻向山・三輪山夏至レイライン登拝


- GPS
- 05:27
- 距離
- 10.1km
- 登り
- 651m
- 下り
- 627m
コースタイム
- 山行
- 3:52
- 休憩
- 2:28
- 合計
- 6:20
天候 | 曇り時々晴れ 気温17-25度 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2025年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
奥不動院寺へは、50号線から林道へ。荒れた細道で4WD推奨。谷へ脱輪しそうな箇所がいくつかあり軽でない場合は全周囲カメラは必要と思います。 すれ違いできる場所は麓近くのみ、対向車が来ないことを祈りましょう。狭い林道に慣れていないと厳しい道です。 |
写真
感想
昨年夏、大神神社へ初めて訪れたのですが、台風接近で三輪山登拝はできませんでした。
東京からの車行程は静岡で大洪水、次から次へ高速道が通行止めとなり薄氷を掴むように奇跡的に辿り着け。
三輪山・橿原周辺に到着する頃、ちょうど奈良盆地が崩れかけの台風の目に入り日が差し始め、竜のような雲たなびく澄んだ青空に。
今思えば、齢半世紀を超えメタボ気味に加え登山の鍛錬もなく35度の猛暑。登拝にはまだ早いということだったのかもしれません。
台風の平日、大神神社の参拝者は数人しかおらず、お社も祈祷も独り貸切り状態。
最後に昼過ぎに橿原神宮を参拝し終えると雨が降り出しまた台風に。
しかし、帰路は通行止めと大渋滞にハマりまくり12時間の車旅。思いが通じたというわけではなく、なんとか行きたいという思いの中、綱渡りをしていただけのように思います。
今年に入って低山登山を始めたのは、三輪山登拝も理由の一つ。
またここ数年、神明社だけでなく明神社(出雲系)とその歴史も、日本の大切な礎であることを知るようになり。
山、磐座、滝、沢など、縄文以前から御神体とし祭祀が営まれたであろう歴史。
その場所で清らかに祈り、いにしえの日本人はどう感じていたのか、心のふるさとを尋ねたく。
そこで梅雨入り前の2025/6/7(土)、巻向・白石の神域・ダンノダイラそして三輪山と、レイラインや聖域を実際に感じながら登拝することにしました。
■三輪山からの日の出
まずは日の出時間を狙い三輪山に日の出が重なる某遥拝場所へ。
先客の方とお話をすると、なんと大神神社や檜原神社に携わった元宮大工さん!
三輪山や巻向周辺のレイラインに精通されており、大変貴重なお話を伺うことができました。
箸墓古墳などの向きや三輪山ー大神神社ー巻向山周辺、檜原神社、反対の二上山などの聖地は、夏至、春分秋分、冬至といった日の出日の入り・太陽の道となるようつくられていること。
三輪山ー巻向山・白岩の神域、そしてもう一箇所(内緒にしておきます)の磐座を起点にレイラインが引かれていること。
三輪山・巻向は、磐座に降りた大物主神の神霊だけでなく、倭姫(卑弥呼)、豊鍬入姫しかり太陽(天照大神)祭祀も色濃い場であること。
三輪山に日の出がかかる時間、幸いに太陽が顔を見せてくれ、宮大工さんと名残惜しく別れを告げました。
■奥不動寺〜白山〜巻向山本峰〜白石の神域〜高山神社〜ダンノダイラ
三輪山登拝は9時からのため、先に三輪山奥の出雲族ゆかりの巻向山周辺を登拝する計画に。
元宮大工さんの話にがぜんやる気が出ましたが、最近、笠山荒神社周辺で初めて熊が出たとのこと!
巻向山の隣⋯奥不動寺への細道とともにくれぐれもお気をつけをと⋯。
やはり今回も一筋縄にはいきませんね。
山行を控えるか迷いましたが、その場を冷静に察知し予兆を見逃さないことに集中し、判断を一つも誤らぬ覚悟で行ってみることに。
事前に元宮大工さんに伺ったとおり、50号線からの分岐、奥不動寺までの細い林道は、最低地上高高めの4WD必須です。軽でない場合、全周囲カメラがないと沢に脱輪しそうな箇所がいくつかありました。
またすれ違い場所は2箇所ぐらい、この荒れた細道でバックで戻るなんて想像したくもなく、誰も来ないことを祈るのみです。。
■巻向山・白石の神域へ
広い駐車場のある奥不動寺にて参拝。「熊に会いませんように⋯」大きめの熊鈴も装備。
奥不動寺では携帯電波が弱くヤマレコアプリの登山ルートがなかなか参照できず焦りました。先に電波の入る場所でルート地図を立ち上げておくべきでした。幸い登山口で起動成功。
まずは白山〜巻向山本峰を通る尾根から取り付きます。杉林ながら、わずかに甘い芳香がふっと。見渡すと杉の根元には同じ種類の照葉樹が。Googleレンズでは柚子と出ます。花や実の痕跡はありませんが、橘でしょうか?
踏み跡はありピンクテープで分かりやすく案内もあり、登山アプリ地図もあれば道迷いは防げるルートでした。
しかしクモの巣を何度も被り、鹿らしき糞もちょくちょく。熊や猪に細心の注意を払い緊張感はあるも、この山には鬱屈とした気配がなく、とても空気が清らかなのです。
50を超え老化を感じ始める歳となりましたが、ここ数年、菜食・魚中心の食事、体重管理と毎朝の瞑想や氏神氏寺参拝を続けるうち、霞んだ五感が澄んできて、子供ころ山野を駆けまわり直感していた兆候や意気といった気配を思い出してきたように感じます。
■白石の神域は檜原神社奥宮=倭笠縫邑?弓月が岳考察
巻向山本峰を経て、廃車の転がる旧林道を過ぎると、雲間から陽が差し込み始めました。そして緑のフェンスに囲まれた白石の神域が現れます。
環状列石内に白石が敷き詰められた聖域。
今回の登拝で、ここに夏至の朝日が差すことは間違いなく、いわゆるパワースポットとして祭祀が行われたことを確信しました。
フェンスと縄で囲まれた白石には入れませんが、裏手の湧き水の沼、水神坐水沼神社へはピンクと青のテープで辿れます。
心の穢れを祓い、地を乱さず、一歩一歩慎重に。
周辺は水場と調和した清々しいエネルギーに満ちあふれ。
かつてパラグライダーを通して、どのような場所や条件で空気の動き→風→雲が起こるのか学んだのですが、ここは、風が起こりひいては雲を生み出し、神域に山気が流れ込む立地となっています。
自然と繋がれる祭祀者であれば、この山気と夏至最強の太陽と組み合わせ、特別な祭祀が行えたことが容易に想像できます。
また、太陽と月の運行アプリで調べると、この場所は夏至の夜、未明ころに太陽とほぼ同じ場所から、三日月が昇ることになります。夜中は怖くて行けませんが、杉の木立の合間から未明に三日月を祀り、続いて日の出を祀った、日月祭祀ようなことが行われていた可能性もあります。
特定されていない弓月ヶ岳の場所。万葉集では雲や霞とともに歌われたわけですが、無関係ではないようにも思えます。
Google Earthでも確認できますが、纏向の麓からは巻向山本峰が山型に見えることから、そのあたりを弓月が岳と呼んでいたのではないでしょうか。
檜原神社は、4月に三鳥居の正面から朝日が昇るとのことで元宮大工さんにその写真を見せてもらいましたが、かねてから天照大神を祀る場にしては夏至の朝日とは一致せず少し不思議に思っていました。
倭姫命が天照大神を「磯城の厳橿の本」に祀ったという最初の元伊勢の地、倭笠縫邑。大嘗祭のルーツともいえるその地は、今の檜原神社とは特定されず諸説あり。
夏至の頃、三輪周辺の田には苗がすくすく育ち始め。
梅雨入りを迎え、安定した雨と力強い日差しの調和を求め。
菌の力が増す時期、感染病が流行らぬように。
鬱屈としがちな時期、人心が乱れぬように。
五穀豊穣と民の安寧を願う祭祀。
夏至の月日が昇る本となり雲湧く白石の神域が
「磯城の厳橿の本」檜原神社の奥宮=倭笠縫邑
であってもなんらおかしくないように思えます。
■ダンノダイラ
明治の頃まで、巻向の麓、出雲の村民がダンノダイラに年に一度集まり、お祭りをしたり相撲をして過ごしたとのこと。
緩やかな斜面で杉木立の広場になっており、明るく杉の香り立ち込める清々しい場所でした。
磐座が祀られていますが、いわゆる奇魂的なパワースポットというより、出雲村の人々の祖先とこの地を大切に守ろうとするささやかな心意気に親しみを覚えます。
■三輪山登拝
奥不動寺から移動し11時に登拝開始、東京から徹夜運転もあり、すでに体力の多くを削られています(笑)
序盤は沢に癒されるも、次第に景色なく風も通らず黙々と階段を登るルート。これは完全に修行コース。
若者も多いながら、裸足で登られる方もざっと2割ほどはおり、皆さん挨拶と譲り合い、一座建立の登拝。美しい日本はまだここに残っていますね。
自分は膝が大笑い、ここは甘くない奇魂と呟きながら、ヒイヒイ顔を真っ赤にして下山とあいなりました。
巻向山周辺を登山して強く感じたのは、心身浄化される山の清らかな気に満ちあふれているということ。
景色も目立った花も少なく、登山目的では価値を見いだせないかもしれませんが、三輪山とともに聖域として護られてきた理由を肌で感じる、まごうことなき六根清浄の地でした。
奇魂が三輪山、幸魂が巻向山と大神神社、そんなイメージでもありました。
しかしここは訪れるだけでご利益が得られるような場ではなく。
登山の心得と、神聖な目的がなければ災いも起きかねず、安易に行ってはならない守るべき場所でもあります。
磐座に手を合わせ、太陽の道で四季を敏感に捉え祭祀が営まれ。
大和のその名の通り、自然への感謝と調和を大切にした日本の礎とは、そういうことなのかもしれない、と感じた登拝となりました。
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