厩岳山(雄国沼周遊)


- GPS
- --:--
- 距離
- 12.0km
- 登り
- 886m
- 下り
- 878m
コースタイム
- 山行
- 8:20
- 休憩
- 0:20
- 合計
- 8:40
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
猫魔ヶ岳を過ぎると広いブナ林のルートが主となり見通しがない場合、ルート把握には慎重さが求められると思われます。 行程軌跡は、ナビから直接アップ出来ないため手入力しています。多少のズレはご容赦ください。 |
写真
感想
山らしい山に初めて登ったのが磐梯山で、雪山に初めて登ったのも磐梯山である。磐梯山と私は、因縁浅からぬ関係なのだ。赤埴山経由で猫魔ヶ岳から金沢峠を通って熊倉まで縦走し、最後はバス停まで走った思い出も有る。ほぼ磐梯山一帯は歩いたと言えるが、厩岳山には登ったことが無い。いつかは登らなければと、変な義務感にとらわれていたのである。
厩岳山は不遇な山である。主要ルートから離れていること。直接登る地図上のルートは急登であることなどがその原因であろう。そのほかに、山の名前を何と呼べばいいのか定かでないのも一因に違いない。「うまやさん」「うまやだけ」「まやたけさん」等と定まっていない。私は地元の山友が言っていた「うまやさん」で通している。
手っ取り早く厩岳山に登るには、磐梯アルツスキー場のリフトを利用して登ればいい。リフトにはスキーやスノボ以外の目的では乗れないので、スキー等を履いてリフトで上がり、そこからスキー等をデポしてツボ足で登ればいいのだ。もちろんそのままスキーなどで登るのも自由である。しかし、これはあまりにも安易である。実は、前々から考えていた案が有る。
厩岳山西方に扇ヶ峰という山が有るが、そこから二子山、古城ヶ峰と連なる尾根を歩いて厩岳山頂へ立つ、という案だ。山麓から見るこの稜線は、長くなだらかで実に魅力的に映るのだ。いつかは歩いてみたいと思っていたのだが、これも単純で芸が無い。いっそ雄国沼を囲む連山を縦走してしまおうかと話はエスカレートする。この場合は、猫魔スキー場のリフトを利用して一回りである。楽して山へ登れ、という軟弱作戦である。軟弱作戦だから難点もある。リフトの運転開始が9時半というのがネックである。そこまでやらなくても、雄国山方面は歩いたことが有るので、二子山から雄国沼に下りて沼を横断して出発点に戻れば良い、という思いに至る。「すり鉢」の底からぐるりと眺める冬の景色も乙なものであろう。
猫魔スキー場の駐車場を5時半に出発。スキー場は煌々と明かりがついて人工降雪機がうなりを上げている。ロッジに行ってみるが人影は無い。駐車料は下山してから払うことにして、用意して置いた登山計画書を車のワイパーに挟んで置く。一番端のゲレンデに沿って登る。固く締まっているので歩きづらい。スキーやボード滑降で雪面が凍っているのだ。スロープを外れてブナ林の中を歩くが、同じようなものである。林の中まで滑っているのだ。それでもシュプールの跡を足がかりに出来るのは有難い。キュッ、キュッ、と雪を踏みしめる音が心地よい。
リフト降り場からなだらかな尾根をP1312まで進み、右へ猫魔ヶ岳への稜線を進む。アルツ磐梯スキー場のリフトがすぐ目の前まで登ってきている。稜線の雪庇は予想したものよりも小さかった。やっぱり今年は暖冬少雪なのだ。予想に反して踏みあとは無い。うっすらと雪が積もっていて気持ちのいい歩行となる。スキー場に着いたときは満天の星だったが、磐梯山にはガスがかかっていた。
難なく猫魔ヶ岳。岩がむき出しになっていた。雪で埋まっていてもおかしくないが、少雪と風の影響であろう。次の目標猫石が見えている。これを目標に進む。背丈は低いがブナの林である。だだっぴろいなだらかな斜面で見通しが無いと方向をみうしなってしまいそうだ。キックステップが良く利いて一気に猫石に着いた。ここからコンパスで方向を決めて真っ直ぐ厩岳山と古城ヶ峰の分岐を目指す。相変わらずブナ林だが大きなブナが見られるようになる。灌木が多いだろうと思っていたが予想外だった。
分岐には念のためというよりは、今はやりのルーチンでリボンをつける。雪面から3m位の所にはピンクのテープが巻いてあった。ジャイアント馬場でもつけることは出来ない高さなので今冬の物ではない。普通、こういうところにはテープが賑やかだが、その賑わいは無い。静かな山である。分岐を過ぎると明瞭な尾根となり左手に小さな雪庇がせり出し、崩れた雪庇がバームクーヘンのような形で転がっていた。ちょっとばかり高くなったピークに立つと厩岳山である。しっかりした山名板が立つ。
分岐まで戻り、左手へ古城ヶ峰を目指して進む。広いなだらかなブナの林である。兎の足跡が重複するようについていて、自然にその足跡を踏むことになる。人間も動物も本能的に安全な所、歩きやすい所を自然に選んでしまうようだ。兎が私と同じなのか、私が兎と同じなのか。なかなか興味深いことである。
古城ヶ峰はなだらかなだが、山体の大きな山だ。大きな斜め登行で進む。真っ白な雄国沼が眼下に広がる。朝には広々と猪苗代湖の湖面が見えていたが、今は雲海に埋められてしまった。しかし、空からは陽が射してきてぽかぽかと春の気候である。二子山の手前で雪庇の陰で会津平を眺めながら大休止。残念ながら飯豊連峰には雲がかかっていた。
相変わらずブナの道である。二子山から沼へ下る。途中林道を横断する。平坦な沼に降りると、山に囲まれているのにも関わらず、空が抜けて開放的な気分となる。ヤッホー、と叫ぶ。いい気分である。出来るだけ沼のほとりまで行ってみる。もちろん雪で沼との境目は分からないが、沼に入り込む沢の流れが見えていた。春だねえ。標高は1000m以上あるはずなのに凍っていないのが不思議だ。沼は雪で覆われているが、下は融けているかもしれないと思う。中央横断は避けた計画として正解だった。少し進むと、また、沢が入り込んでいて渡れずに、上流へ遡って渡河地点を探す。バサバサバサッと鴨が10羽ほど飛び出してドキッとする。おいおい、脅かしっこ無しにしてくださいよ。こっちはいたって臆病なんですから。ほんの幅2〜3mの沢だが渡河点は見つからずさらにさかのぼると、また、鴨が飛び出した。沢はスノーブリッジを渡る。
これで今日の核心部は終わった。目標の尾根も確認し、広々とした雪原で休憩。対岸の雄国山に向かって、黒い点が近づいて行く。ラビスパ磐梯方面からの登山者でもあろう。春のぽかぽか天気。こりゃあ日焼けが。また、日焼け止めクリームをつけるのを忘れてしまった。化粧をするという習慣が無いので、いつも忘れてしまうのだ。あといくらも無いので効果のほどは分からないが、気休めのクリームを塗りたくる。
いよいよ最後の登りである。広々とした雪原を進む。はじめは疎らな拠水林だが、直ぐにブナの林になる。結構太めの木が目立つ。ブナの林を気分よく進む。勾配が強くなってナビを見てみると、ななんと猫石の近くまで登っていた。なんで? 自分では、P1349とその西方のピークの鞍部を目指して進んでいたつもりなのに、方向が違っていた。そのまま進んで尾根に乗って北へ進めば、それで結果オーライなのだが、それで山人の端くれとは情けない。ここは、ちょっとでも一端の山人としての恰好をつけなければ、と当初予定の鞍部目指して方向転換する。
山腹を斜上する形で進む。地図では小さなヒドだが実際には深さ5m位は有る。やすやすとは横断できず、上方に追いやられる。こういう時は、動物のトレースを注意深く見ることにしている。カモシカはいいところを渡っているのだ。例えばちょっと崩れて段差がついているところなどを進んでいる。ほんと感心しきりである。
自分では相当思い切って方向転換したつもりなのに、ルートは斜面を直登するようになる。斜面を直登するということは、東に進んでいるに違いない。何も修正されていないのであろう。いったい私は、どっちへ進んでいるのだ。ナビばかりをあてにしては駄目だと思い、コンパスで確認するとやっぱり東に向かっていた。ヒドの横断で追い上げられた時に、また、東方向を目指してしまったのである。いくらも方向転換できていなかったのだ。最後はやっぱり、アナログ、コンパスが頼りである。
結局、猫魔ヶ岳とP1349の鞍部に出た。登る高さは計画のルートと変わらない。カシミールで比較してみると、沿面距離で700m、標高差13m、推定時間で11分の差であった。ナビの軌跡の解析では、雄国沼湖畔で休んだ所までは、間違いなく目標に向かって進んでいた。それを出発時に確認していなかったのだと思う。確認した記憶が無いのだ。これが単純だが最大のミス。そこから方向が間違っているのだ。
稜線は広く、晴れ上がった磐梯山が眼前である。ただ、写真を撮ろうとすると、猫魔スキー場のゲレンデが入ってしまって興ざめである。西側へ移動したり、目線を低くして写真を撮る。写真を撮り撮り、リフト降り場に着くと一気に賑やかになった。ボーダーなど若い人が多い。係員に声をかけ、降りるルートを聞くとゲレンデの端を降りてと言われ、ゲレンデに沿ってブナ林の中を降りる。結構太いブナのある林で急坂だが、そんなところもボーダーの滑った跡が有り、凍り付いているので緊張する。
パトロール隊に寄ると、詰め所に入る前に隊員と思われる方が出てきた。手には何枚もの紙を持っていて、その一番上に私の計画書が有った。「あのう、朝に・・・」という端から「ああ、妙高さんですね。早かったですね」と声がかかった。「ええ、無事帰ってきました」と答え「まだ、駐車料払ってないんですけど。どこで払えばいいですか」と聞くと「駐車料ねえ・・・」と、ちょっと考えこむ。「おまけ?」と私。「おまけでもいいか」と、またちょっと考え込むので「すいません。有難うございます」といったらおまけしてくれた。
間違いなく地元の父ちゃんで、冬だけスキー場で働いているんだろうなあ、と思われた。やっぱり会津の父ちゃんはいい人が多い。有難いことである。浮いた駐車料は、スーパーでトンカツを買って帰り、カツ丼にして食べた。「筋肉労働」の後は、やっぱり肉でしょう。おかげで次の日の角田山のお花見も順調だった。って、関係ないか。まあ、ルート迷走など教訓も得て、いい週末である。
行程 猫魔スキー場5:30→P1312m6:40→猫魔ヶ岳7:45→猫石8:00→厩岳山8:45→古城ヶ峰10:10→10:25二子山10:45→雄国沼畔11:55→ペアAリフト上部13:50→14:10猫魔スキー場
コメント
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こんばんは
登山計画書のことも勉強になりました。
今年は行かれる日の天候に恵まれず
雪山ハイクしてないのですが
昨年の(低山でツボ足できるところですが)
一番乗りの時トレースがなくて
鹿の足跡(途中からは猪)を辿ったのを思い出しました。
踏み抜かないよういいところを歩いていました。
ほんとなんですね
👣用事があったり隠れるために藪に向かっているのもあるけど
移動には楽な尾根道を綺麗に歩いていて
(しかも軽やかに)
えらい!と思いました。
おはようございます。
リフト利用して登山する人はスキー場に登山計画書を提出する、ということでワイパーに挟んで置きました。リフトは使わなかったのですが、出して置いて良かったと思います。
駐車料金まけてくれないかあなんて思っていたもんですから、あんまり意識していなかったんですが、自然に出ちゃったんですね。セコかったです(-_-;)
カモシカが、藪の急斜面というより崖みたいなところを、転がり落ちるように進むのを見たことありますが、普段は安全で楽な所を歩いているんですね。ラッセル泥棒するカモシカもいますから。人間もカモシカも動物ですから同じようなもんです。
動物に一番教えてもらいたいのは嵐の時の過ごし方です。夜とかどうしているんでしょうね。遭難対策に役立つと思います。極めつけは冬眠の仕方です。これ絶対楽だと思います。果報は寝て待てです。すいません。オチのつもりです(-_-;)
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