鳥取県若桜町 大通峠〜くらます〜高倉〜小通峠



- GPS
- 05:57
- 距離
- 11.7km
- 登り
- 965m
- 下り
- 974m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
舗装道路や作業道以外は原則、尾根上を歩きますが、大通峠<写真02>から県境尾根<写真04>を除いてはっきりとした道はほとんどなく、踏み跡もよくわからない道もあります。幸いこの時期はまだ根曲がり竹(チシマザサ)などの植物がそれほど茂っておらず、ハードなヤブコギは免れましたが、油断していると自然の(根曲がり竹の)竹やり(?)が足に突き刺さったり鞭打たれたりで、痛い目に遭うこともあります。刈られた跡はあるので、ヤブコギになりそうになったら周辺を探してみると歩きやすい道が見つかるかもしれません。 ルート上に何か所かある舗装道路や作業道から尾根の上りは急登が多く、体力をかなり消耗します。尾根上は歩きやすい所をルートファインディングしながら、極力体力の消耗を抑えることが必要です。また、足元に余計な負荷が頻繁にかかるせいか、靴ひもがよく解けます。蝶蝶結びに加えて固結びをして解けないように靴ひもを固定しておくことをお薦めします。 下りも急な所が多く、間違って谷に下りると危険な状況になります。多少傾斜が厳しい所でも正確に地図とコンパスで尾根上の傾斜が比較的緩い所を選びながら下る必要があります。杉の葉がたくさん散在しており、それがクッションにもなっているので、多少大胆に降りても大丈夫です。 渡渉点が何ヶ所かありますが、1週間程雨が降っていないためか水深は3〜5cm程度しかなく、石の上を歩いて楽に渡れました。 |
その他周辺情報 | 兵庫県(千種町)側を南下し、室橋を渡ってすぐの所に、「エーガイヤちくさ」という温泉&レストラン施設があります。入浴料は大人400円(65歳以上200円)です。毎週火曜日が定休日です。 くらますのある鳥取県若桜(わかさ)町では5月末と6月上旬に2大イベントが開催されます。詳細は以下のファイルでご確認ください。 |
ファイル |
2016年5月28日(土)11:00 若桜町 不動院岩屋堂 柴燈大護摩供厳修 火渡り神事
(更新時刻:2016/05/23 20:11)
2016年6月氷ノ山夏山開き 4日(土)19:15前夜祭・5日(日)9:00山頂祭
(更新時刻:2016/05/23 20:16) |
写真
大通(おどれ)峠は兵庫県と鳥取県の県境にあります。鳥取県若桜(わかさ)町側からは加地川沿いの道を、兵庫県千種(ちくさ)町側からは県立三室(みむろ)高原青少年野外活動センター跡をそのまま延長上に進むと峠に出られます。
<写真01>の駐車場から少しだけ兵庫県(東)側に進むと、林道大通中江線終点の標識から10m足らずの地点で道の北側(進行方向左側)に三室山への登山取り付き点があります。少し急ですが階段状になっており、歩きやすいです。
きれいに下草が刈られて踏み跡がわかりやすい道をしばらく進むと、ピーク1,111mを少し過ぎた所で展望が広がりました。三室山から竹呂(たけろ)山に南に延びている尾根がよく見えました。三室山は標高1,358mの山で兵庫県第2位の高さを誇ります。
この2m程先に分岐があり、東(写真正面)に進むと三室山、北(写真左)に進むと加地川に向かいます。分岐を北に進みました。下草はさほどなく、たまにピンク色のビニールひもがありました。ブナ科やカエデ科などの新緑が綺麗でした。
<写真04>のポイントから北の尾根を進むと、標高1,080m地点から「くらます」が見えてきました。謎多き山への期待が膨らみます。たまに杉の枝が枝垂れていますが、くぐってよけられるレベルでした。
<写真05>の尾根をさらに進むと、作業林道に出てきました。写真のように下りる所がすべて急斜面なので注意が必要です。少し崩れやすい踏み跡を下りてこのまま作業道を横断し、さらに北に進みます。
スギ、コナラ?、ヤマフジ?の三種類の木が複雑に絡み合っています。まるで精霊が宿っているかのような姿です。杉の枯れた大木の上でコナラとヤマフジが発芽し、地面まで根を下ろしたのでしょうか。
「サギ」は花の姿が鷺(さぎ)の姿に似ているからだそうで、「コケ」は苔の仲間ではなく、ゴマノハグサ科の植物であって、地面を這うように横枝を出すのが苔のようであるのが名前の由来のようです。周辺に群生していました。
コンクリート製で3本の溝がある(間には金網が張ってあります)橋を渡り振り返ると、キセキレイのつがいが元気よく動き回っていました。写真左の喉元や背中が黒いほうがオスです。仕草が可愛かったので、動画も撮りました。すぐに舗装道路に合流しました。
加地川沿いの舗装道路で3頭のカラスアゲハが吸い戻し(ポンピング)行動をしていました。口吻をしっかり伸ばして水分を補給しながら尾端から水滴を出しています。動画も撮りました。右上の羽を広げているのがオス、あとはメスです。
舗装道路から西の斜面に取りつき、杉の植林帯を西に上りました。砂利の作業道出合から西方面を見ると、標高1,137mの高倉という山が見えました。右には1,144mピークが見えており、この尾根の延長上に目指すくらますがあります。
作業道沿いにたくさん咲いていました。オオジシバリよりも全体的に小型でより乾いた環境に生え、葉が丸いのが特徴です。作業道の脇にあった踏み跡から上ると、数分で作業道に合流しました。行き止まりから再び上り始めると、たまにピンクやオレンジ色のテープがありました。途中から根曲がり竹が現れましたが、高さは30〜80cm程度で、かき分けなくても歩けました。
くらます頂上から南方面を見ると、兵庫県と岡山県の県境にある標高1,344mの後山(うしろやま)と標高1,334mの船木山が見えます。くらます頂上のブナ林も綺麗です。天狗岩から動画も撮りました。
くらます頂上を示すプレートが設置されていました。周囲の木の新緑が綺麗でした。引き返し、標高1210m地点の下草がまばらな開けた場所から南西に下ります。たまにはっきりした踏み跡があり、比較的歩きやすかったです。
くらますの南南西尾根の途中、標高1,160m地点から三室山や自分たちが辿ってきた尾根や大通(おどれ)峠などが見えました。100cm程の根曲がり竹もありましたが、2、3m歩くと終わりました。刈られた跡もあり、うっかりすると足に刺さります。踏み跡はわかりやすい所が多いです。無理に進もうとせず、歩きやすいところを探したほうがよかったのかもしれません。
ピーク1,144mの北東から北北東方面にくらますを望みました。このアングルで見たくらますも魅力的です。たまに70〜100cmの根曲がり竹の間をぬって進みました。連れは手で払ってしまい、顔面パンチを食らいました。
ピーク標も三角点もありませんが、標高1,137mです。頂上は見通しが効きませんが、少しだけ進むと展望が効くポイントがあります。この少し北西は南西側に木々がなくきれいな細道があったそうです。連れはそちらに入り込み、頂上直前で無理やり上って合流しました。このときGPSは自分が持っていたので、ログは忠実に尾根を進んだほうになっています。
高倉を下りきると、舗装道路に出てきました。直前は急斜面だったので、連れはなぜかこの周辺にだけ生えていた根曲がり竹に助けてもらいました。ここは小通(こどれ)峠と言われています。舗装道路の少し南側の旧山道に石仏が安置されていました。その前を通って作業道を進みましたが、15分程で道がなくなってしまい、南西の斜面を上って尾根に出ました。植林帯でヤブコギはせずにすみ、10分少々で再び作業道に出て左折しました。
今回のコース上、ここだけまだ頑張ってヤマフジの花が咲いていました。舗装道路はもう目の前でした。駐車地点の大通峠<写真01>までほぼ日陰の舗装道路を歩きます。1車線のみですが、車をはじめ何も通らず安全でした。道沿いは杉が多く、たまに開花寸前のタニウツギがありました。
外来種を駆逐するパワーがあるそうです。昨年、「大山の頂上を保護する会」が大山(だいせん)にヤマヤナギの苗を植えて山頂での保全活動に取り組んでいる様子が話題になっていました。ちなみに、ダイセンヤナギなどヤマヤナギの変種とされていたものはヤマヤナギに統一されたそうです。
装備
個人装備 |
長袖シャツ
ズボン
靴下(厚手)
軍手
雨具
スパッツ
日よけ帽子とフード
雨用帽子
登山靴(防水加工)
靴ひも予備
サブザック
ザックカバー
地形図
コンパス
ファスナー付クリアーファイル
筆記用具
携帯
時計(防水)
タオル
カメラ
飲料水(スポドリ&茶)
水筒(保温)
非常食(栄養補助食品)
スマホ(山使用可能)
eTrex30(GPSナビゲーター)
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感想
以前から“くらます”というインパクトあるひらがな名と、岡山県と鳥取県の県境から見たその美しい山容に関心があり、今回初めて登る機会ができました。事前の情報収集では、無積雪期の参考記録が乏しく、わずかながらネット上に掲載されている方の情報を見ても、出てくるキーワードは“ヤブコギ”、“急傾斜(急登)”など、訪問前はハードな山行を予想していました。当然、地形図上で登山道はほとんどなく、過去に登った方のルートを参考にしながら、だいたいのルートを地形図上に予め書き込み臨みました。
このエリアだけがなぜか山名に峠や山などの呼称が用いられておらず、“くらます”、“高倉”などと表記されています。また、“くらます”以外にも“大通(おどれ)峠”“小通(こどれ)峠”など、その特有の読み方に何か由来があるのかさえも謎のベールに包まれています。そして、特に無積雪期は人の介入を容易に許さないアプローチの難しい山となれば、アドベンチャー魂に火がつきました。たまには、こういう謎多き山を訪問するのも刺激的で楽しいものです。
くらますは地形図を見る限りはどの方向からもアプローチできそうですが、エスケープルートのことを考えると、西か南の舗装道路周辺からのアプローチがいいようです。どこから登っても急登(急降下)&ヤブコギを避けるのが難しいですが…(*_*;
想定していた根曲がり竹(チシマザサ)のヤブコギは時期がまだ早いせいか、それほど生育しておらず、思ったほど山行の支障とはなりませんでした。逆に、過去に訪問した人の情報を見る限りはこの時期の頂上付近にあまり木がない印象でしたが、ブナ科の植物など、たくさんの木が生育し、新緑がきれいでした。
軽登山や大人数での山行にはハードルが高い山ですが、ワイルドな自然そのものと想像以上にすばらしい景観を楽しめる山です。ブナの紅葉の時期は間違いなく最高のロケーションとなるでしょう。また、久しぶりに地形図と何度もにらめっこし、読図の訓練にもなりました。
※動画は全画面で視聴すると、植物や生物のようすがよくわかります。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
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地元の山ボーイと申します。
よくぞこのマイナーなコースを歩かれ、丁寧なレポートをありがとうございます。
くらます山頂からの展望は私も好きですが、どこから登ってもキツイ山・・・
かなりの脚力をお持ちのようですので、若桜側吉川集落から天児屋〜くらます
辺りの周回はいかがですか?
山ボーイ様
コメントおよびお薦めコースの提案ありがとうございます。
吉川集落から天児山〜くらますルートは思いつきませんでした。
西側からのアプローチは谷沿いのコースになると思っていましたが、
お薦めのコースだと江浪峠より尾根コースを設定できそうです。
また、地元の方が“吉川集落”を起点に推すぐらいなので、
魅力的な集落だと察することができます。
若桜町には中国山地の高峰が集中し、町の95%が山林なのに、
いい意味で山が自然のままという所が多いです。
やはり、西からのアプローチもヤブ&急登は必須条件なのですね(*_*;
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