三国岳、烏帽子岳


- GPS
- 07:07
- 距離
- 12.6km
- 登り
- 1,557m
- 下り
- 1,592m
コースタイム
7:50 バンガロー村
8:17 最初の鉄塔
9:06 三国岳分岐
9:31 烏帽子岳山頂
9:50 三国岳分岐
11:25 三国岳登山道合流
11:30 三国岳山頂
12:00 三等三角点
12:11 三等三角点の先にある鉄塔
12:41 「白い橋」分岐
14:21 炭焼き小屋
14:25 赤い橋
天候 | 曇-雪-吹雪-みぞれ-雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2010年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
時山バンガロー村から烏帽子岳までは問題なし。 登山路は三国岳へダイレクトに登り、烏帽子岳に抜ける方が道が解りやすいと思う。三国岳への登山道は看板が少なく、登山路ではない場所に赤テープがあるので注意。 登山中、稜線歩き中、結構な頻度で、SoftBank,Docomoの電波が拾えました。これは安心ですね。 |
写真
感想
迷った。滑落した。怪我はなかった。今日は山中ビバークかと思った。
不謹慎であるがでも楽しかった。
三重県の北端に位置する三国岳は最近いろいろ有名になっているようだ。
よい意味ではなく、遭難者(道迷いで捜索)が何組も出て有名になってしまった山だ。
11月初旬に山に登って以来、学会やら何やらで週末がつぶれ、やっと今回時間を取ることができた。山を再開して1年、まだまだ学ばなければならない事が多くある。遭難があった山がどんな山なのか?自分だったら迷うか?
あと、できればルートファインディングが楽しめる山を探している中で、三国岳から烏帽子岳の間が道がはっきりしないとの記事を目にした。そのため時山バンガローを出発点に三国岳と烏帽子岳を縦走するルートをたどることにした。
三国岳にはいくつか登山道がある。鞍掛峠から北へ向かうルートは楽で遭難者らはこのルートで登ったらしい。しかし12月からは冬季通行止めとなる。そのため今回は時山バンガローから南へ向かうルートが妥当と考え望んだ。
時山バンガローへは赤い橋を渡って入るが、入口には柵がある。養鱒場もありバンガローが営業していない時期でも柵は7時ごろ開くらしい。今回は7時過ぎの時点で開いていなかった。橋の東側、数mの路肩に車が数台止めることができるスペースがある。さらに東側に数十mの場所にも駐車できそうなスペースがある。今回は橋そばのスペースに駐車し出発。赤い橋先の柵を乗り越えると左側にバンガロー村、右に養鱒場があり、バンガロー村入り口に「三国岳、烏帽子岳登山道」の看板がある。
バンガロー村の間を抜け、登る路には段が切ってある。この山には鉄塔が多くあり、鉄塔点検用の路として整備されているためだ。段のある登山道はいくつもあるが、点検者の目線で作られている段はとても登り易い絶妙な高さで切られているため、あっという間に最初の鉄塔に着く。
北側の山には朝日が指し、本日の登山天気に期待が持てる。この山に向かう途中に車中で見た山頂にはうっすら雪が積もっていた。西の空は少し雲っているものの期待が持てそうだ。
鉄塔を超えると僅かな雨と、前日に積もった木々の雪が解けたものが落ちてくるため上のみ雨具を羽織る。鉄塔路では木のない箇所、雑木林、植林地がぐるぐる現れ、場所によっては風が強い。
1,5時間ほどかけてゆっくり上ると、三国岳分岐の標識が現れる。このころには雪面も多くなり、うっすらと雪が落ちてくる。
烏帽子岳山頂は分岐を更に先へ進む。山頂手前に偽ピークがあるが、そのまま進むとピークに到達。この時点で降雪が多くなってくる。
ここまでの道を検証すると迷うところはない。完全な一本道。前日に1名が同じ道を下ったようで、うっすらと雪に足跡が残っているため、これも道が解りやすかった要因であると思う。この人の足跡は登り道に使った形跡はなく、下り方向の足跡のみであったため私と逆周りの縦走をした方であろうと考えた。烏帽子岳は人気が無い山なのか、積雪のため登山者が少ないのか解らない。
さて問題の烏帽子岳から三国岳の間であるが、尾根伝いであることを認識して尾根のある方向を向かっていくと問題なく三国岳に到着してしまった。
前日の薄い足跡もあったがこれが無くとも迷うことは無いであろう。ただ今回は尾根歩き中は吹雪いたり、みぞれ、あられ状のものが顔にあたり難儀した。
三国岳の登山道に合流すると、真新しい足跡が雪上に残されており、山頂もすぐそこにあった。三国岳ではみぞれに変わっていた。
山頂には2つの登山道があり、一方は登ってきた道、おそらくもう一方は鞍掛峠へ向かう道であると思う。ほぼ同じ方向に分岐があるため、降り口を間違えて進むと山に慣れない人は見覚えの無い道に迷い、パニックを起こすかもしれない。
三国岳下山開始、烏帽子岳分岐を通過し三等三角点を目指す。ここには踏み跡が全く無かった。「たしかこの先にタイラの頭があるな」と思い進む。獣道的であるが、赤テープがあるので間違いないと思い進む。急斜面を木にしがみつきながら進むと、積雪とくるぶしより深い落葉層の急斜面にあたる、慎重に進むが、つかんだ10cm以上の幹がぽっきりと折れバランスを崩す。その体制でさらに別の幹をつかむとそれもぽっきり。完全にバランスを崩し3mほど滑落。別の木の枝にぶら下がる形で止まった。腐葉土でズボンはどろどろ。石にぶつからなくてよかった。
さらに急斜面を下ると鉄塔に・・・・その時点で地図、GPSで確認すると、ダイラの頭は別の道であった。三角点から先にあった赤テープは鉄塔点検者用であった。滑落した斜面を枝をつかみながら進み三角点から下山道に戻る。
ここからが今回のトラブルのメインとなる。
下山をするのだが、地図に書かれた分岐が見当たらない。
唯一「時山の白い橋」の看板があり、足跡はすべてこの分岐を降りている。時山バンガローの橋は赤い橋であった。おそらくそれほど離れた場所では無いと思いこの分岐を降りる。しばらくは段が切ってある道もあり下山道を確信して安心して降りていく。すると石組みのある場所に出ると落ち葉で足跡は見えなく、赤テープも完全に途切れている。ここで、GPS機器の計測を行う。このまま谷を行くと完全に東に向かうようだ。地図と確認すると尾根が違っている感じを受けた。もっ北西に向かわねばならないようだ。
(あとで確認したが、このあたりがダイラという広い空間らしい)
楽しくなってきた。感を頼りに少し西に向かいその後に北に向かえばよいであろうと考える。最終的に大きな川に出ればその北側にバンガロー村があるはずである。
ここで西に向かい、登山道のあると思われる尾根--谷--尾根に行くがどうもおかしい(このあたりはダイラの頭の下の斜面だったようだ)。
今度はGPSでマップを表示すると西に行き過ぎたようで、先ほど迷った場所が合っていることに気づく。急いで戻り確認するがやっぱり道が無い。
しばらく進むと、人口の段がある道を見つけ進むが途中で途切れる。遠くに赤テープを見つけ進むと石組みだけの集落跡(炭焼き場跡?)に到着。しかしその先に赤テープは無かった。先に見つけた赤テープ、今回見つけた赤テープの先には集落跡(炭焼き場跡?)があった。この時点でこの赤テープは登山路ではなく、集落跡(炭焼き場跡?)に到達するための標しであることに気づいた。
先ほどの赤テープを遠めに見つけた場所に戻り、数cmに窪みを作っている小川を覗き込むと、「時山へ」の小さなプレートが見え難く落ちていた。
踏跡は無いが、更に進むと川沿いに道が無くなった。
川を降りるかどうするか?「道に迷ったら沢を下るな」に従い、見通しのよさそうな尾根に取り付き登る。尾根の北端まで行くと崖に近い急斜面であった。
ここで足がやけに重くなっていることに気がついた。いつもなら数十分置きにハイドレーションからスポーツドリンクを飲み、行動食も食べているが、道に迷った瞬間からまったく口にしていなかった。遭難者が疲労するのはこういった状況が続くからかなあ?と考えた。
とりあえずダウンもある、食料もある、ツェルトもある、コンロも水もあるので、一晩のビバークは何とかなるだろう。と考え、とりあえず、飲み物、行動食を口にして落ち着く。
PM4時までに降りれない時にはビバークしようと決めた。元の谷に戻る途中に東の山に鉄塔が見えた。
谷に戻った。この時点でGPSがうまく衛星を掴んでくれなかった。その時、反対側の尾根に赤テープを見つける。さらに古い木製のステップも切ってある。登るとさらに遠い上部に赤テープがある。先ほどの尾根から見た鉄塔を思い出し、更に鉄塔には鉄塔をつなぐ点検路があることを思い出す。この赤テープを進むと先ほど見つけた鉄塔にたどり着きそうだ。やはりその先には鉄塔があった。
鉄塔下は開けており、本日登って来た際の鉄塔のある方向が判別できた。結構距離があることを確認し、点検路を伝い次の鉄塔に向かう。後2本鉄塔を行けば(間の谷が難所と思われるが)、烏帽子岳登山時の鉄塔に辿り着けることを確認。
次の鉄塔に進む点検路が今いる尾根を完全に下る方向に伸びている事を確認。再度鉄塔に戻って他の道を探すが他に道が無い。谷に降りて登り返すのか?と思い進む。古い人工ステップがあり、道が合っていることを確認するが、これも暫くして消滅する。植林地であったため、急斜面の下まで見渡すことができる。下からは川音が聞こえ青い人工物様の物が見えた。ただ、遠くに見える人工物は希望が生んだ幻であることも多い。私も過去に何度も「あれは屋根かな?」と思った場所に近づくと見間違いであることがあった。
だが、さらにもう一点。50mくらいの高さの急斜面であるが、落ち葉がところどころなくなっている箇所があり、誰かが上がってきたような新しい跡(登るために足で土を削ったような跡)がある。この急斜面に????と思ったが登ったのなら降りられると考え植林の幹にしがみつ木ながら下りる。足元は礫状の石が多く、足を踏み出すと岩がその振動でずるずると落ちていく。それでも降りる。幹から幹へ渡るが足元が悪すぎる。数mの滑落を4,5回起こす。
大きめの石はガンガン落ちていく。下に人がいたら大変だ。その時気が付いた。斜面を登った思った足跡は、落石がバウンドして地面を削ったものであった。しかし、2/3ほど降りていたので転がるようになんとか無事に降りた。
ラッキーだった。幻と思った人工物は炭焼き小屋と思われる小屋だった。近くを見渡すと、はっきりとした登山道がある。
さらに進むと川から離れる。バンガロー村は川とほぼ同じ高さにあるため大丈夫か?と思ったが、バンガロー村の西100mほどのところにある「白い橋」にたどり着いた。助かった。
登山後考えたが、最初に迷って時点から谷を進みそのまま川沿いで下山できたようだ。余分な知識で道を探したことが間違いの元であった。さらに集落跡、鉄塔点検者の道に翻弄された点も間違いのポイントだった。
案内板が少ないのはしょうがないが、同じ道を登り降りてくる場合には問題ないかも知れない。今回はどれも失敗したポイントだった。
三国岳で起こった遭難はどのようにして起こったかわからないが、もし私が鞍掛峠から登り、山頂で時山(北)へ間違えて進んだならば間違いなく今回よりもひどく道に迷っただろう。今回は方角も経路もある程度わかり、鉄塔というヒントがあったため降りることができたが、その知識がない方の場合には完全に迷う。せめて人気のある三国山の山頂付近には案内板が増えるといいなと感じた。
幹にぶら下がって降りることが多かったので、家に着いたことから筋肉痛が・・・これだけひどいのは久しぶりだ。
大反省する登山であった。インターネットで紀行文を探すと、ダイラという広い空間があるとのこと。このことや、時山から三国岳までの道には沢登りの様に川を遡上する箇所もあるそうだ。下調べが足らなかった。次への教訓としたい。
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