丹沢三峰-塔ノ岳-シダンゴ山〜降雪山行
zaoluck
体力度について
- GPS
- 28:39
- 距離
- 29.0km
- 登り
- 2,454m
- 下り
- 2,488m
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■8日=塔ノ岳7:17→8:15鍋割山8:18→8:49茅ノ木棚沢ノ頭→9:19雨山峠9:23→9:50雨山9:55→10:22檜岳10:27→10:58伊勢沢ノ頭11:10→11:35標高970m地点12:10→12:20秦野峠→12:36林道秦野峠12:38→13:15シダンゴ山13:30→14:20寄バス停14:40〜15:05新松田駅前
| 天候 | 7日:晴れ後雪 8日:晴れ時々曇り |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2012年04月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
電車 バス
寄発新松田駅前行きもほぼ毎時1本。 |
| コース状況／ 危険箇所等 |
▽宮ヶ瀬からは、潰れたコスモGS手前に立つ「春ノ木丸ハイキングコース」の指導標が登山口。山頂の指導標も三峰へのルートを無視しているが、進行右手、南西方向の木に巻かれたテープを辿る。紛らわしい支脈もなく、1時間足らずで三叉路からの登山道に合流できる。 ▽残雪は1300m付近から現れ、丹沢山手前ではまだ目立つが遠からず消えそう。7日の新雪は2,3センチで大勢に影響ない。 ▽塔ノ岳の水場はストレスなく給水できる程度に出ていた。50m単位で水場までの距離が出ているのが、くじけそうな心の支えとなる。山頂からの標高差は約110m。 ▽鍋割峠の先、茅ノ木棚沢ノ頭前後の鎖場は丹沢の一般ルート屈指の難所と思う。長いうえ、石英閃緑岩質で砂利のような滑りやすい路面のため、主に下りとなるこのルートでは特に用心したい。 ▽冬の大雪か先日の暴風のせいか不明ながら、横倒しになった古い鹿柵が目立った。特に檜岳から伊勢沢ノ頭付近のものは登山道をふさいでいるので通りにくい。 ▽シダンゴ山は低山ながら大変絶景な展望台ピークでした。 |
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感想
■7日■ 雪の上は歩くものではなく「滑るもの」という主義なので、寒くて雪も多かったこの冬は丹沢を避けていた。ようやく春めいてきて、蛭クンがお目覚めになる前に彼らのナワバリの東丹沢を歩こうと計画。皆さんの記録で順調に残雪も消えつつあることを確認し、しめしめと思っていたら、残雪どころか時ならぬ降雪に見舞われてしまった。
青空に聳える大山を仰ぐ厚木市内から50分、バスは終着の宮ヶ瀬に到着した。最後まで乗っていたのは3人で、登山者は当方1人の様子。丹沢三峰への登山口は一つ手前の三叉路バス停が近いが、トイレに寄ろうと終点まで乗り越した。戻るのもしゃくなので、古い記録にあったこちらからの登山口を探そうとしたが、付近に案内図などはない。開店準備中の土産物店の女性に聞いても要領を得ず、要は道路西側の丘陵に取りつけばいい筈と当たりを付けて少し先を見ると、潰れたコスモのスタンド脇に春ノ木丸という山へのハイキングコース入り口が見つかった。
知らない山だが、略図を見ると途中まではコースが重なる。ならばテープか踏み跡ぐらいあるだろうと、歩き始めた。すぐに鹿柵を通り抜け、ジグザグに標高を稼ぐ。左下に宮ヶ瀬湖が見え隠れし、25分ほどで春ノ木丸山頂に着いた。ここの指導標は丹沢三峰へのルートを無視しているが、磁石で確かめるとその方角に赤テープを巻いた木が見える。急斜面を下りていくと鞍部に出て、踏み跡がはっきりした。たまにトラロープも張ってあって、完全な廃道というわけではないようだ。
標高500mほどの尾根に出ると杉林の緩やかな登りとなり、右側には三峰らしき高峰も見える。鹿柵に沿ってしばらく行くと壊れかかったゲートが二つ続き、抜けたところが三叉路からの登山道だった。
歩きやすくなった道を快調に進む。雲が増えたようだが、緑の葉が春の陽光に輝き、南からのそよ風が心地よい。あまり調子がいいので、御殿森の頭をかすめて間もなく金冷シのつもりでいたら、手前の高畑山巻道分岐の道標が現れた。慢心は禁物で、そんなに速く歩ける訳はない。
道標に巻道は狭いので注意とあるが、登り返すよりは余程マシと考えて巻道を選択。確かに急斜面で少し崩れかかった個所もあったが、5分あまりで通過できた。ここで初めて男性3人パーティーとすれ違い、遠くなった宮ヶ瀬湖を望む金冷シ付近で丹沢山までという男女に先行した。空は雲が増えて日が陰りがちになってきたが、この時はまだ雪が降るなどとは想像だにしていない。
小腹がすいたのでおにぎり1個を“早弁”し、三峰最初の本間ノ頭までの標高差500mに挑んだ。ラジオが正午を知らせて、ふと南を見やると大山の上に不穏な灰色雲がかかっている。天気予報は関東南部で午後遅く雨もあると言っていたが、いささか早い。だが、気になって振り返るたびに大山の上半身は隠れていき、周囲に灰色のカーテンが垂れ込めた。これにはスキー場で見覚えがある。まさか雪?
標高1200mを過ぎたあたりから足元には残雪が現れだした。脚を早めてあえぎながら本間ノ頭に到着。視界はあるが頭上はすっかり濃い雲に覆われている。防寒着を羽織り、急いで湯を沸かしてカップラーメンと残ったお握りの昼食を採っているうちに、とうとうハラハラと雪が舞いだした。
フードを被り、そそくさとコッヘルを片づけていると、山慣れした様子の熟年女性4人が丹沢山から到着した。もう丹沢山を回って下山するところで、「丹沢山頂近くは残雪も目立つけど問題ないですよ」と教えてくれた。だが、残雪は良くても降雪の方はいかんともしがたい。
うっすら積もり始めた登山道を急ぐ。登り返し自体はさほどきつくはなく、予定通りの時間で通過できてホッとした。太礼ノ頭から先はほぼ一本調子の穏やかな登りとなり、予告された通り残雪の上を歩く。幸か不幸か気温が低いので雪は締まっていて踏み抜くこともなく、思ったよりは楽に歩ける。これがもし雨だったらと考えれば、ズボンに浸み込んでこないだけ余程マシかもしれない。
傾斜が緩くなって、左から急勾配の木道が合流した。塩水橋からの道に違いない。木々の間を透かし見ると、たっぷり残った雪の向こうに山頂のみやま山荘が見えた。3時前だが夕方の雰囲気で、雪はいよいよ強くなっている。
「休憩させてください」と山荘に飛び込むと、中では既に荷を解いたハイカーたちがコッヘルの前でまったりした時間を過ごしていた。ここで泊まってしまおうかと心が揺らいだが、我慢してコーヒーを注文。宿の女性に「どこか下りるのですか」と尋ねられ、塔ノ岳で泊まると答えると「この雪の中を今から下りるのは危ないですからね」と安心してくれた。
15分休み、勇を鼓して外へ。雪の木道が滑りそうなので軽アイゼンを付けて進発した。山荘へ急ぐ登山者数人とすれ違ったが、竜ヶ馬場を過ぎると誰とも会わなくなった。見た目は真冬のような道を辿っていると、鹿が前方を横切って行った。林に立って動きを止められると、見つけるのが難しくなる。
さすがに脚がだるい。ゆっくりと塔ノ岳へ最後の階段を登りだしたら、「短パンの畠山さん」とすれ違った。午後4時直前、尊仏山荘着。泊まり客は十数人で、皆さん既にくつろいでいた。
指定された2階の布団で荷を解き、一休みすると夕食となった。おいしいカレーはお代わり自由。持参した安焼酎を飲んでいると、合席した「ジムカーナの女王」さんからおいしいウイスキーを勧められ、栃木から来た男性陣も交えて話が盛り上がった。酒が尽き、「夜景がきれいだよ」という声でお開きに。外は寒かったが、風花のちらつく向こうに期待通りの光のじゅうたんが輝いていた。
■8日■ 朝5時半、朝食の用意ができたので早く食べたい人はどうぞ、と案内があった。少し前から目が覚めていたが、外がガスなのでフテ寝を決め込んでいた。逡巡したのち、少し遅れて1階の食堂へ。朝食はおいしいおでんで、ご飯をお代わりした。昨日もカレーを2杯食べたのでエネルギー補給は十分だ。
食後にプラティパス1Lと水筒代わりの500�侫撻奪箸魏爾欧匿緇譴泙捻�復した。山頂から立派な木段を100mちょっと下る。登り返しで脚の疲れ具合を心配したが、どうやら寄までの縦走に支障はないようだ。途中、木々の枝に乗った新雪が霧氷のようで美しい。ガスも晴れつつある。
7時15分に出発。見えてきた下界は日が当たって暖かそうだ。早くも登頂してきた登山者とすれ違いながら大倉尾根分岐の金冷シへ。雪はうっすら積もっているが、気温が上がると表尾根は「泥田尾根」と化すので、返って幸いかもしれない。大丸への登り返しでひと汗かいたものの、全体的には下り基調の気持ち良い尾根だ。右手の丹沢主稜も徐々に雲から姿を見せ始めている。
約1時間で誰もいない鍋割山頂着。期待の富士山はまだ雲の中で、箱根も霞んでいる。山頂を軽く一周してから先を目指した。鍋割峠まで一気に200m下る。道の整備具合が落ち、しかも砂利状で滑りやすい石英閃緑岩の露出した場所が現れる。もう少しで茅ノ木棚沢ノ頭というところで、長い下りの鎖場に出た。足元はその砂利状の岩質だ。高度感もあるので慎重に通過した。
登りの鎖場もクリアし、切れ落ちた痩せ尾根を通って枯れ沢の源頭を回り込むと、ほどなく雨山峠に向けて稜線を南へ外れる指導標に辿り着いた。たしか2009年にこの区間を逆行した時は、目印のテープしかなかったはずだが、今や過って尾根を直進にしないようにトラロープまで張られている。その先も記憶より木段などが整備されているようで、ストレスなく雨山峠に到着した。
さらに細くなった道から雨山を目指す。峠からすぐの所で踏み跡を見失いかけたが、すぐに戻り、苦しい直登を続けた。100mほど登るまではかなりの傾斜で、昨夏の土砂降り山行でも喘ぎ登った所だ。標高1100m付近から先はなだらかになり、最後に気持ち登れば雨山着。南と東の視界が大きく開けている。前回はガスで何も見えなかったので、ここからの景色を眺めるのは初めてとなる。南には寄バス停からこちらへ川に沿って道路が延びているのが見え、東側は三ノ塔から大山山頂までの表尾根のパノラマだ。
暖かな日差しの山頂で一休みして出発。平らな尾根を行き、檜岳を望む崩落斜面を過ぎて登り返す。ここまで来れば先は見えたし、脚は動くし、雪雲も見えないしで気持ちよいハイキング気分だ。そして、檜岳の山頂。前回は着くと同時に豪雨に襲われて周囲を見るどころではなかったが、杉林の中に苔むした古いテーブルが2つあるだけの山頂は平らで広く、あまりピークという感じがしない。
林が切れている南東側で表尾根を遠望し、さて出発しようと右側の鹿柵の向こうを何気なく見やると、とうとう見えた! 富士山だ。思っていたよりでかい。木々に視界を邪魔され、雲もまとわりついているので全身くっきりとはいかないが、2日間も丹沢を歩いて全く富士山が見えなかったという情けない事態に至らず、まずは良かった。
しばらくは起伏の少ない平らな尾根が続く。広々し過ぎてルートが拾いづらいが、右手に沿って伸びる鹿柵が目印となる。ただ、それらの多くが北西の強風のせいか?倒れてしまっている。登山道が柵に寄り添う区間では道をふさいだ格好で、よけて歩くのが煩わしい。無論、鹿の侵入を防ぐ機能など全く失われている。
伊勢沢ノ頭の手前で西の視界が開けたが、既に富士は山体の多くを雲に隠されようとしていた。その伊勢沢ノ頭は標柱がないと見落としそうなピーク。富士山はもうほとんど見えない。代わりに少し先で東側の視界が開けたので、休憩することにした。そろそろ胃が空になってきたため、ゼリー飲料で栄養補給する。
1000m超のピークはここが最後。いったん南東方向の尾根を辿り、指導標で右折して緩やかに南西方向へ下る。勾配が増して急角度で下り始めたころ、腹が鳴った。ゼリー飲料を採ったものの、そろそろ昼食の時間だ。この先、秦野峠に下りても景色が良いわけでもなく、ならば行く手のシダンゴ山などが見下ろせるこの辺で飯にしようと決めた。
メニューはマジックパスタとコンビーフ、おこげスープに乾燥果物。登山道脇に少し平らな場所を見つけて食事したのだが、ふと脇を見ると乾いた鹿のフンが転がっている。危うく手を付くところで、全く油断も隙もない。
秦野峠では指導標に従って右に回り込み、枯れた沢を渡る。渡った先で右上へ登らないといけないのが、やや分かりにくいところだ。その先は急勾配で小ピークへ登り返す。これが思ったより辛い。そこを過ぎると、両側から有刺鉄線の鹿柵が迫った道となる。狭い所では幅1mもなく、しかも道に棘のある木が生えていたりして歩きにくいことこの上ない。やっと左の鹿柵が遠ざかると、今度はきつい下りとなり、道が深く溝状にえぐれてしまう。「熊出没」の看板が立つ林道秦野峠のアスファルトに降り立って、ようやく一息ついた。
シダンゴ山までしばらくは林道歩きとなる。林道からも雨山と鍋割山の間に主稜が覗き、山頂の景色を期待させる。若い男性ハイカーが向こうからやってきた。思えば鹿は2頭見たが、鍋割山のだいぶ手前ですれ違って以来、人間は久しぶりだ。アプローチをもう少し整備すれば檜岳山稜も悪くないと思うのだが…。
さて、シダンゴ山へ最後の登り返し50m余りは植林帯の急斜面。階段が整備されているのでそれほどきつくはなく、10分とかからずアセビ満開の頂上に着いた。昼を終えたばかりらしい子供連れなどの先客がいる。
それにしても、標高758mの低山ながら眺望は期待以上に素晴らしい。大山から表尾根、鍋割山稜、檜岳山稜、その奥に覗く主稜までが一望のもと。振り返れば相模湾だ。惜しむらくは西の「半分見える」という富士山が雲に隠れていることだが、これ以上の贅沢は言えない。双眼鏡を出して頂上だけ顔を出している塔ノ岳の位置を確認した。
たっぷり15分休憩して山頂を去る。道はすぐに植林帯の中に入り、ジグザグに下ると水場に着いた。靴の泥を洗い流す。すぐ先が林道終点だったが、指導標に従って右の登山道を進むと、間もなくトタン張りの厳重な鹿柵?に行き当たった。抜け出た先は、お茶畑の先に広がる山里の風景。ここではまだ桜ではなく、梅の花が盛りだった。
もの凄い急勾配のコンクリート舗装路を下り、集落を抜けて橋を渡れば寄のバス停だ。14時40分のバスには余裕を持って間に合う。今回も鶴巻温泉に途中下車して、2日分の汗をゆっくり流すことにしよう。
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いつも丁寧な山行記録、恐れ入ります。
歩き慣れた山域ではありますが、まるで自分がその場にいるかのような感覚になります。
尊仏山荘の夜は盛り上がったようですね
でも、焼酎とはいただけないですね。やはり日本酒で攻めていただかないと
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