鍋割山、塔ノ岳、ほぼ初めての丹沢だったが、油断大敵だ
- GPS
- 08:07
- 距離
- 18.7km
- 登り
- 1,489m
- 下り
- 1,486m
コースタイム
8:58二俣
9:55後沢乗越
10:58鍋割山
11:45発
12:40金冷シ
12:56塔ノ岳
13:19発
13:51立花山荘
14:21堀山の家
15:07見晴茶屋
15:27観音茶屋
15:48大倉バス停
天候 | 曇り時々晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
前夜の雨もあり全般に泥化しているところ多し。 標高1100m以上で少し雪が有る。 石を埋めた道や木段で滑りやすいところがあった。 |
写真
感想
<テーマ>
ここまで高尾、奥多摩を中心に歩いてきました。丹沢には大山に家族でロープウエイを使って登った以外歩いたことがありません。少し前にちょっと本格的な登山靴を買って先週高尾山から小仏ではいてみたのですが、ちょっと長めに次どこで歩いてみるか、考えているうちふと、「そういえば、一度丹沢にも行ってみよう」と思い立ち、今年の登り納めに丹沢に行くことにしました。コースは、高名な鍋焼きうどんも食べたかったのと、「馬鹿尾根」と揶揄される大倉尾根が、なぜそんな事言われるのか、興味もあるので大倉→鍋割山→塔の岳→大倉の基本コースに。
<道すじ>
丹沢にこれまで行っていない理由は、小生の最寄が中央線の三鷹駅で高尾、奥多摩や中央本線が至極便利なのに比べて、丹沢に行くには一度新宿という山と正反対の場所に出るというステップを踏まねばならず、家を出るのも1時間ほど早くしなければならないから。しかし、ヤマレコなどでコースを物色するうち、「なかなか楽しそうなところ」、と興味は盛り上がってきた。だが7時過ぎに登り始めるには4時半ごろ起きなければならない。案の定少し寝過ごした。予定より30分近く遅い5:45の電車で新宿に向かう。
小田急の渋沢駅には7:35に着いた。ここから大倉行きのバスは本数が多いようなので寝過ごした後調べずに来たが、駅の北口に出るともうバスが待っている。乗客は20人弱で席には余裕があった。
<大倉から>
バスの窓から見える丹沢の山々、頂上に近いところには白く雪が載っているところもある。今シーズン初めて雪を踏むことができると思うとなんとなくうれしくなった。リュックには作シーズンに何度か使ったチェーンスパイクが入っている。大倉のバス停で靴の紐を締めなおしていざ出発(7:51)。さてこの新調して間もないLowaのメリーナという登山靴、果たして期待にこたえてくれるであろうか。前回高尾山で試し履きをしてある程度慣れたものの、底の硬い靴は初めてでまだどこと無くロボットのような歩みである。ただ、最初に感じた違和感はほとんどなくなっている。
わかりやすい道標の指す方向に二股に向かって車道を歩き出す。少し進むと前に登山姿で写真をとっている男の人がいた。挨拶して前後して歩く。行き先を尋ねると鍋割山から塔ノ岳までは同じコース予定。前後に人影も見えず、そのまま並んで歩いていった。コースは途中から舗装されていない林道に入るが、沢沿いのゆるやかなのぼり道、ご一緒したAさんとぼつぼつ話しながら歩く。今年山歩きを初めて丹沢中心にほぼ毎週歩いておられるとの事。蛭が岳あたりまで行ったが、鍋割山は初めてだそうだが、丹沢のほかの山の話をいろいろとお聞きした。
二股(川が合流している)まで約1時間、ここでひとつ川を短い狭い橋で渡る。狭い川だがちょっと橋げたが高く(といっても人の背より低いが)なっていて、何せちょっとでも高いところがいやな小生は息を止めてわたった。ここから登山道かと思ったが、まだ沢沿いの林道が続く。20分ほど歩いてまた川を渡ったところが林道の終点だ。ここにちょっとした広場があり、有名な鍋割山荘の「請うボランティア」のペットボトルがおいてあった。4WDぽい車も一台止まっていたのでたぶん山荘のご主人のものだろう。Aさんと小生と2L(へこんでるので1.5Lぐらいか)1本ずつリュックに入れて登りにかかった。(最初上り口を間違えあわてて2人で戻った)
沢に沿って進んでから稜線に登る場合どうしても急登になりやすいが、ここもよく整備された木段が続くものの、傾斜は結構きつい。息を切らしながら稜線(後沢乗越)に出たのが9:55ごろ。ここから稜線に沿っての登りになる。稜線に出るとゆるやかなのぼりになることが多いがここはむしろこれからがより急になった。確かに地図をよく見ると後沢乗越から鍋割山山頂まで水平距離は1kmちょっとだが高度差が500近くある。平均斜度は結構ありそうだ。鍋割山荘のご主人はこの急登を100k近い荷物を担いで上るという。そんな超人にもうすぐ会えるかと思うと、期待も高まるところである。
Aさんと二人で息を切らせながら登っていった。彼のほうが若いので先行して引っ張ってもらう形となった。付いていけなければ「お先にどうぞ」と言うつもりだったが、なんとか遅れずに登ってく。道すがらの話で、彼はいままで余り天候に恵まれたことが無い、という。確かに今年は後半週末の天気が悪いようにも思う。小生は逆に、「これまで勇んで行ったときにはほぼ快晴に恵まれている」、と子供じみた自慢をした。「今日はどちらが勝ちますかな。」おりしも天気は微妙である。
<鍋割山にて>
尾根を登る途中から周りが雪化粧にかわってきた。今シーズン初めての雪だ。鍋割山には11時前に到着、2センチほどの積雪だろう。繁盛を極めるとうわさされる山荘も今日は誰もいない、なんてこともあるかなと思ったがさすがに鍋割山荘で先客が7、8人はいただろう。それでも名物の「鍋焼きうどん」は待つことも無くいただくことができた。小生はあまり山小屋を利用したことが無いが、「鍋焼きうどん」は食べ物の好物ベスト3に入るかもしれないメニューなので、逃す気にはなれず、家を出るときから食べることに決めていた。それでも「権威にまつろはぬ関西人」としては、無批判に賛成票を投じる気は毛頭無く、ツッコミのひとつも入れたいところではあるが、、、まあうまかった。ちょっと甘すぎるようにも思ったが、山の昼食としては適度なのかもしれない。不思議だったのはそんなに時間もかからず出してもらったが、麺にだしがよくしみこんでいるところ。何かの工夫があるのだろうか。
ご主人は思ったよりずっと小柄な方で体重は50k台じゃないかと思うほど。自分の体重の倍近くをかついであの登りをあがるのかと思うとやはり不思議の思いを持たざるを得ない。ほかのお客さんが、のぼって来たコースの話を聞くと常連の方と一緒になって地図を広げてこの沢はどうでこの道を降りると、というような話を次々にされていた。山を愛する、ということばそのままの人のような印象である。「塔ノ岳は雪はどうですか?」「いや、ここと余り変わりませんよ。」というのが今回、ご主人との唯一の会話。次回はもうちょっと話したいものだ。
<塔ノ岳まで>
鍋割山山頂では上空は青空で日も差しているが周りに雲がたなびいて肝心の富士山が見えない。しかしよく見ると雲の切れ間に富士山の斜めの稜線だけがちょっと見えている。微妙な天気だ。11:45に鍋割山を出て塔ノ岳に向かう。ここから塔ノ岳まではずっと雪があるが、積雪は少なく、踏まれて溶けてもいるので残念ながらチェーンスパイクを使う機会は無かった。少しあがったり下がったりの木段の道を進んでいったがふと気がついてAさんを呼んで西のほうを指差した。富士山が見えたのである。ただし木に邪魔されて丸見えというわけではない。鍋割山から1時間ほどで大倉尾根との合流点の「金冷シ」という妙な名前の場所に着いた。Aさんと妙な名前ですね、と言い合ったが語源はわからない。読み方もわからない。帰ってネットで調べてみると、一つの説として、読み方は「キンヒヤシ」で「キン」は男の健康法(?)のひとつの「金冷法」と同じものを差すという。簡単に言えば「キンタマが縮み上がるほどこわいところ」ということだというが、はたして本当だろうか。
塔ノ岳の頂上には1時前に着いた。尊仏山荘という結構立派な山小屋が建っている。人も20人ぐらいいただろう。また後からも結構人が登ってくる。「ここは人気の高い山だな」という印象を強くした。神奈川県では山に行くとなれば、まず塔ノ岳か大山か、ということになるのだろうか。インスタントのカフェオレを飲んで少しゆっくりした。天気は頂上に来るとまた雲が出て富士山も隠れてしまった。時間とともに雲が広がっていく。天気対決はAさんに軍配が上がったようだ。彼はもう少し休んで丹沢山に行くかどうか決めるという。今日は樹氷を目当てに登られたとのことで、ここまでは見当たらなかったが、奥のほうにはそれらしき白みがかった木も見えている。ということでここまでお付き合いいただいたが、丹沢初見参の私としてはここらで下山にかかることとする。Aさんにはここまでお付き合いいただいて、とてもありがたく楽しく過ごさせていただいた。ありがとうございました。またぜひご一緒したいものです。
<大倉尾根を下る>
13:19に山頂から下り始める。ヤマレコの皆さんのレポートを事前にいくつか見ていった印象ではずっと木段が続くのかなと思っていたが、たしかに木段が多いが、ほかに木の桟橋、土の道、石畳、岩の多い斜面とさまざまな種類の道が続く。奥多摩と比べると人の手がずいぶん入ってる印象がある。奥多摩はのっそりした土の山だが、丹沢は岩気が多く地形も複雑なことが一因では、などと考えていた。地元の人の熱心さとあいまってだろう。
「金冷シ」を過ぎいて少し下ったところで下から相当大きな荷物を背負った人が上がってくる。小さな山が動いているような印象。ちょっとあっけにとられていたが、近づいてくる姿は雪が積もっている中、なんと半そで短パンだ。四囲を圧するオーラが出ている。「すみません。写真とっていいですか?」と声をかけると「おう」といってポーズをとってくれた。「何キロですか?」とたずねると、「4千百..今日2回目だ」とおっしゃってすれ違っていった。とっさに言われた数字の意味がわからず、40キロちょっと、という意味かなと思いながら見送った。何かすごい人を見た、という印象が残った。
自宅に帰ってから以前ヤマレコで読んだ記憶のなかにボッカのすごい人で「チャンプ」と呼ばれる人がいる、というのを思い出して、もしかしたらとサーチしてみると、お会いしたのはまさにそのチャンプ畠山さんだった。4千百云々という数字は登頂回数のことで、小生の質問が、「何回目ですか」と伝わったものらしい。丹沢の常連の人には超有名人だろうが、小生初めての大倉尾根でお会いできたのはラッキーだった。撮らせていただいた写真はご本人に掲載許可は得ていないが、皆さんに元気を伝える意味でそのまま載せさせていただくことにした。お許しください。
塔ノ岳から私の足で約2時間半で大倉バス停に下った。「馬鹿尾根」という言葉でよっぽど単調なのかと思っていたがそんなことは無く変化もあり出会いも多く楽しく下っていった。ただ昨夜の雨で泥田化しているところが多く、ほぼ新調の靴は泥にまみれた。それにしてもよく手が入っている。私の知っているのでは奥多摩の岩尾根や三つ峠の河口湖に降りる尾根と感じが似ているが、どちらもこんなに道に手は入っていない。しかもほぼ30分おきぐらいに山小屋がある。春から秋には相当な人出があるのだろう。「馬鹿尾根」という言葉は実態を表していないと思うが、愛情の表現なのかもしれない。
新調の靴もがっしり足を守ってくれて快調である。のぼりではちょっと重さを感じることもあったが、くだりは特に安心感が高まるようだ。足の形にもあっているようで特にあたるところも無い。今までの靴では山を下りてきたころに足の裏が痛くなることがあったが今日はそれも無い。これからもっと足になじんでくれればありがたい。
<最後で大失敗、油断大敵>
そんなことで順調に尾根を下って標高で500mぐらいまできたところ、道もなだらかになってきて尾根くだりにもさすがに飽きが来た。「ふもとはまだかな」と思って歩いていたら、何も障害の無い平坦な山道に出た。場所を確かめようとiPhoneを出してGPSの画面を出した。ここまでGPSを見るときは立ち止まってみていたが、平坦で何も無いきれいな道だったので歩きながら画面を見ていた。しかもちょっと見入った。油断である。突然左足に衝撃が走って体が前に放り出された。
一瞬何が起こったかわからなかった。しかし見事に前倒しに倒れ両手を地面につき左手の下にはiPhoneが下敷きになっている。右ひざは地面で強打したようだ。まずおそるおそる左手を上げてiPhoneを見た。画面下のほうの保護フィルムが破れている。表面ガラスには幸い傷がなさそうだ。次に右ひざを見るとひざは痛むがズボンは破れていない。しかしズボンをめくるとひざがすり切れ血が滲み出してきた。いったい何が起こったのだろうか、と振り返ってみるとなんと道路の真ん中に小さな杭が打ってある。測量用だろうか。それにしても何でこんな道の真ん中に、とちょっとむっとしたが、油断した自分の責任である。そもそもこの機械にたよりすぎている。もっと五感を研ぎ澄ませ、という天からの警告である。テープでひざの応急処置をして歩き出した。そういえば、去年やはり年末押し詰まった時期に高尾山から小仏を歩いてふもとまで降りたところで、薄暗い日陰でそこだけ凍った場所があり見事に転んで回天レシーブした。年末には天からの「喝!」が来るようだ。
反省しながら大倉バス停に着いた(15:48)。
今まで見た中で一番立派な靴洗い場で泥を落としたところでちょうどバスの発車時刻。渋沢行きのバスで大倉を後にした。
<まとめ>
ほぼ初めての丹沢にほぼ新調の靴で登った今回の山歩き。出会いも多く楽しく、また反省もする一日だった。皆さんありがとうございました。次回はもっと雪が増えてから行くか、または春になってから道志からたてに縦走でもしてみようかと思っております。
油断大敵な林道の杭ですね
大倉から二俣への林道上にも金属製の杭というか大きな釘がいくつも打たれています
そのうち出っ張って同じような出っ張りになってしまいそうです
大倉着が数分違い、私は靴を洗う時間がなく帰りのバスを見送りました
道志側からの縦走、さらには西側からの縦走もいいですね
レコ、楽しみにしてます
堀山の家から二股に下られたんですか。家の手前ですれ違った方ですね。堀山の家で休んでいたグループの人たちが二股へのくだりは厳しいルートだといって心配していました。
丹沢のほかのルートも楽しみたいと思います。どこかでお会いできましたらまたよろしくお願いします。
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