鹿島槍ヶ岳東尾根
- GPS
- 56:00
- 距離
- 14.9km
- 登り
- 2,008m
- 下り
- 1,993m
コースタイム
5/3 0200 起床→0500 出発→0610 二ノ沢ノ頭→0715-0725 第1岩峰下→0930 第2岩峰下→1300 第2岩峰上→1400 鹿島槍ヶ岳北峰<2842>→1510 鹿島槍ヶ岳南峰<2889>→1630 冷池山荘着<2430>
5/4 0500 起床→0645 冷池山荘出発→0700 赤岩尾根分岐→0825 高千穂平通過<2049>→0915 西俣出合<1350>→1005 大谷原着
1035-1230 大町温泉郷⇒1500 相模湖IC⇒1800 湘南着
天候 | 5/2 晴後雨 5/3 晴後雪 5/4 雪後晴 |
---|---|
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
5/2
大谷原について車中にて仮眠を取る。車は4台。隣にテントが一張とゴールデンウィークにしては淋しい。
0530に起床し、朝食を摂り出発の準備をする。起床時には白く爺辺りの稜線が見えたが、やがてガスが立ち籠め見えなくなる。 計画どおりに0600に大谷原を出る。暫く歩くと車止めのバーがあるが、これを越えた所で若いカモシカに出会う。
一昨年の偵察行でも登り口は良く解らなかったが、東尾根の末端のところは林道の分岐路に当たる。通りを挟んだ木に赤テープが付けられている。通りを挟んだ、と言う所が気になるが、地理的には間違っていない。本当の末端は結構の急登のため、それより30m程進んだ少し傾斜が落ちた所から登ることにした。もっともこちらも結構な急登だ。最初は笹に掴まりつつ、やがては石楠花に掴まりつつ急な斜面を攀じ登る。100m程だろうが急で息が上がる。0625に東尾根上部にたどり着く。
ここからはのどかな樹林帯の登りであった。が、人跡は見られない。
0700、おそらく1400m程度の所だろう。スキーが楽しそうな薄い樹林帯の斜面の上部で東尾根で最初の赤布を発見した。ここからはトレースが見られる。
標高と共に天候が回復してきた。青空が見える。天気予報では晴れ後雨。雷だのと脅かされるがどうなるか?
左に爺ヶ岳、右に天狗尾根が見られる。
一ノ沢ノ頭手前からガスが濃くなる。あちらこちらのルンゼで雪崩れる。
0950に一ノ沢ノ頭に到着した。計画より5時間早い。先に進んで明日少しでも楽をするかと悩む所だが、計画どおりここに幕営するものとした。一ノ沢ノ頭は広い快適なピークだ。
既に風除けのある幕営跡があるのでこれを利用させてもらう。
1030には既に13Kさんと僕はテントの中でくつろぐ。優雅にシェスタを取る。Aki-CLさんは玄関つくりにいそしむ。
1430頃から雨が降り出す。夕方からはあちらこちらで遠雷が轟き、不安を煽る。
この辺りは天気予報どおりだ。無理をしなくて良かったと言える。
後は早い回復を祈るだけだ。
5/3
0200に起床。星も見られる。祈りが通じたか天候は回復したようだ。0250に朝食を済ませた。が、周囲は未だ漆黒の中。あまりに早いので再度一休みすることとした。
0500に出発。計画より1時間早い。爽快な朝だ。鹿島槍の二つ耳もくっきりと浮き上がり見える。大町の街灯りが遠望されたが、やがて、雲の下に隠れていく。朝焼けの鹿島槍を見ながらの出発だ。
二ノ沢ノ頭までは雪稜歩きだ。0610に二ノ沢ノ頭に到着。一ノ沢ノ頭からは遠くに見えたが、約1時間で到着できた。二ノ沢ノ頭は狭いピークだが、ここにもテントサイトの跡があった。
ここからは、更に厳しい登りになっている。第1岩峰などはどう見ても不可能な感じに見える。荒沢側に雪庇が大きく張り出しているので三ノ沢側の斜面を歩く。雪質は良い。
0715に第1岩峰の下部に達する。一ノ沢ノ頭で幕営し我々より先に出発していた3人パーティが先に行く。10分ほど彼らの登攀を待つ。
第1岩峰は4ピッチ長の雪の急斜面を登る。
ガイドにある岩場へは雪が少なければ途中から右方向にトラバースして行けるようだが、このくらいたっぷりと雪がついていれば雪面を攀じった方が楽だ。2ピッチ目相当の所だけざれた雪のためロープを出す。斜面から後ろを振り返ると高度感がすごい。二ノ沢ノ頭まで我々のトレースがくっきりと浮かび上がっている。
登り詰めた所から左手に既に同じ程度の高さの所に第2岩峰の岩場が見える。素直にトラバースして第2岩峰基部に達する。ここで今日一番の誤算に遭遇することになる。
先行するパーティはこの岩場を3つのピッチに区切った。ルートはチムニーを通過して行くが、このチムニー上部が被っていて手強いようだ。ここに3人が集まり、最終的には最も経験が有りそうなリーダーらしき人がトップに立ってクリアしていく。 この間、ざっと2時間半!
陽光はガスに隠され、雪がちらつき始め、風がどんどん強まる。天候に対する不安も強まる。つがいの雷鳥が「ギーゲー」と鳴きながら飛来する。
1200に13Kさんが堪えきれずにチムニーに移動。チムニーの上でピッチを切る。1220に漸く僕がセカンドで続く。
ナイフリッジの通過も結構危うさがあるが、チムニーは確かに被っていて荷を背負っていてはつらい。残置のロープやらを手繰りながらA0で何とか通過する。チムニー上もスペースは少ない。
セルフビレイを取り、左手の切れ落ちた岩場の雪を踏み固めて一人分立てる場所を確保する。
ラストのAki-CLさんはそのまま通過し、第2岩峰上部へと抜けそこで確保する。僕がそれに続き、第2岩峰上に抜けたのが1302であった。
抜けると、これはすごい風。視界も無い。先行パーティの足跡も薄くなっている。稜線が明らかなのでこれに沿った踏み跡を辿って進む。
ガイドではいかにもすぐに北峰に着きそうなことが書いてあるが、これが長い。視界が無く、変化があるのか無いのか解らない。
天狗尾根からの踏み跡が合流してきた。この辺りが荒沢ノ頭か。
更に不明瞭なピークを越えて、漸く鹿島槍北峰に辿り着いた。1400であった。道標が大方雪に埋もれ、「北」の字だけが覗いている。風雪はいよいよ強く、凍り付くようだ。
幸い気温は一貫して5℃前後のようで露出している部分以外は冷たさを感じない。
北峰から南峰へは吊尾根と呼ばれている。その降り口は迷わせる所だった。踏み跡が無ければ危うい。南峰には50m程下って、100m程登る。この登りはきつい。
黒部側からの強風で眼鏡も右が凍り付いて見えない。睫も髪の毛も右側が凍っている。時折吹かれる突風は毎秒20m程度はあるだろう。10歩歩いては立ち止まるようなペースで漸く1510に南峰に達した。
到着と同時にマグロのように転がってしまう。カメラを取り出す気力も無い。
が、後は冷池山荘まで下るだけである。気を取り直しすぐに下山に掛かる。相変わらず風雪が強い。1時間半我慢の下り道だ。
南峰からはトレースが圧倒的に増える。南峰からの急な下りの途中で先行パーティを抜く。ここでチムニーで残置してもらったクイックドローを返すことが出来た。
やがて路は緩やかになる。歩き易いのが救われる。下るにつれて雪は止み、風も弱くなってきた。
植生が変化が見られる。ハイ松から岳樺。そして針葉樹の林が濃くなってきた1630に冷池山荘に到着した。
山荘からは発電機の音が聞こえる。屋根の雪もきれいに落とされている。テントサイトも鮮やかな色が散りばめられている。
明日の朝食用のラーメンも夕食に回し、テントで暖まる。Glennfidchを一口あおり就寝する。
5/4
0500に起床。
夕べの残りのラーメンスープと行動食で朝食を済ませる。ラーメンスープが何故かとても美味しい。
0645に冷池山荘を出発し赤岩尾根を目指す。緩い登りを15分ほど歩くと赤岩尾根への分岐だ。夏道にトレースが着いているのでこれを辿る。ここまでは昨日の延長で強い風とガスで視界が利かない。尾根を回り込むと風は穏やかになってきた。
西沢には尾根を少し下りた所から踏み跡がある。が、結構デブリも見られる。赤岩尾根の下りはだんだん天候が良くなり快適な春山気分であった。変化があるのも良いし、何より展望が良いのが気持ち良い。
頂上稜線は相変わらずガスの中、東尾根も第1岩峰までが見える限界だ。とは言え、昨日越えてきた道を望むと感慨深い。流石にゴールデンウィークで登ってくるパーティが多い。
0915に西俣出合に到着。西沢のデブリはすごい。
ここからは本当にのどかな林道歩きだ。ネコヤナギが黄金色に輝き美しい。行き交う人もほとんどおらず沢の響きものどか。上高地ではこうもいくまい。
東尾根登り口の赤布は大冷砂防ダムのところにあった。我々が選んだ登り口の方が良い感じがする。
1005に大谷原に到着。
例によって大町温泉郷薬師の湯で汗を流す。大町は桜が咲いていた。桜と白い峰峰との対比が美しい。
帰路は混雑が考えられた中央高速は全くスムースに流れていたが、相模湖ICからは正にゴールデンウィークであった。
半原までガチガチの渋滞で結局茅ヶ崎まで3時間も掛かる有り様であった。
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