幌尻岳(新冠コース)を行く
- GPS
- 56:00
- 距離
- 42.6km
- 登り
- 2,673m
- 下り
- 2,673m
コースタイム
北電ゲート10:45 → いこい橋ゲート11:30 → 奥新冠ダム14:40 → 新冠ポロジリ山荘15:25
8月2日(土)
新冠ポロジリ山荘5:00 → 中間点7:20 → 水場8:00 → 大岩9:15 → 振内コース分岐9:25 → 幌尻岳山頂9:35
(幌尻岳山頂10:00 → 幌尻岳ニセピーク → 幌尻岳山頂10:50)
幌尻岳山頂11:10 → 振内コース分岐11:15 → 大岩11:40 → 水場12:20 → 中間点13:00 → 新冠ポロジリ山荘15:20
8月3日(日)
新冠ポロジリ山荘5:30 → 奥新冠ダム6:10 → いこい橋ゲート9:15→ 北電ゲート10:05
天候 | 8月1日(金)晴れ 8月2日(土)晴れ 8月3日(日)晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
飛行機
|
コース状況/ 危険箇所等 |
★新冠ルート 整備されており迷うことはないです 沢沿いの危険個所にはロープが新設されています ★落石多発地帯 新冠ダムゲートから北電ゲートまで車で走行可能な16キロ区間が危険です ★新冠ポロジリ山荘 無人小屋で協力金\500/日 常に沢の水が蛇口から出ています(念のため煮沸を要します) トイレは別棟にあります 和式便器2&小便器1、脚踏み式の水洗で紙も流せます |
その他周辺情報 | ★日高南部森林管理署 http://www.rinya.maff.go.jp/hokkaido/hidakananbu/mountaintrail.html 事前に確認すると良いでしょう ★温泉 新冠温泉 レ・コードの湯 http://hotelhills.jp/spa/ ★登頂証明書 にいかっぷ観光協会50周年記念事業 幌尻岳(新冠ルート)登頂記念セット販売 http://niikappu.gr.jp/horosirimemorial.html |
写真
感想
北海道の山は素晴らしい
遥かなる大地
可憐な花々たち
野生動物との触れ合い
厳しい自然が人間も動物であることを教えてくれる
そして「山においでよ」とは言わない
8月1日(金)
車はサラブレッドロードを疾走していた
名馬の産地ゆえ駿馬と並走する
やがて道は狭くなり未舗装となる
標識に従い新冠ダムを右折する
前日に森林管理署へ確認したとおりゲートは開いていた
車はここから16キロ先まで行くことができる
”今日は山荘まで19キロ歩けばいいんだ”
鋭角な落石を踏まないよう慎重に運転する
無人のイドンナップ山荘を確認し北電ゲートで車を止める
10:45、林道歩きを開始する
蒸し暑いなか日陰が多く助かるがアブが多くツライ
目前に監獄の檻のような「いこい橋ゲート」が現れる
ザックを下ろして何とか通る
変化の無い林道だがドラマはある
エゾシカは逃げるように渓谷を下っていく
キタキツネは必死に獲物を狙っている
”足跡はヒグマだろうか”
幌尻湖を右手に見れば山荘は近い
15:25、新冠ポロジリ山荘に着いた
マイナールートゆえ孤独な夜を想像していたが賑やかだ
斜めの床に寝場所を確保する
明日の準備を整え早々に寝ることにした
8月2日(土)
夜空に星が輝いている
日が射せば目指す稜線が見える
ポロジリ様は快晴で迎えてくれた
5:00、山頂アタック開始
笹を掻き分けて前進する
”朝露が冷たい”
左右に沢を持つ痩せ尾根を登る
遥か彼方に大きな岩が見えた
その「大岩」を目標に登り続ける
炎々と降り注ぐ太陽に抵抗するかのごとく急登を行く
水場は汗だくの身体に命を与えてくれる
可憐な花々は疲労を癒してくれた
大岩に着けば稜線は近い
目前に巨大なカールが出現する
振内コースと合流し山頂は目の前だ
9:35、ついに、やっと、山頂に着いた
日高山脈最高峰である幌尻岳の標識は堂々たるものである
快晴のポロジリ様から御褒美をいただく
遥か彼方まで続く稜線
初めて見る深き山々
神の領域に踏み込んだ罪悪感さえある
”七つ沼カールを見てみたい”
人間の欲望は己の弱さを知らない
往復2時間を覚悟し目指すが右膝に痛みを感じる
天候に恵まれたにも関わらず故障した自分が情けない
七つ沼カールをあきらめて山頂に戻りポロジリ様と会話する
富士山について話した
阿蘇山について話した
故郷の高尾山についても話した
でも信じてくれなかった
原始の時代から空と対話するポロジリ様は言う
人の見ること
人のすること
それは一瞬の出来事であり全てが無なのだと
何も言えず何も返せず山頂を後にする
痛む脚を騙すようにゆっくり降りた
ポロジリ様に感謝しつつ下山する
乾いた身体を水で潤し花々に見送られ山荘に着いた
登頂させて頂いた充実感と疲労のもと眠りにつく
8月3日(日)
山荘に別れを告げる
再び5時間の林道歩きを開始した
行きは新鮮だが帰りは違う
2日前に見たものを再び確認し前進する
記憶が先の長いことを教えてくれる
”話し相手がいても無言になるだろうな”
確実に歩いているが同じ場所を行くようである
立ち止まればアブの大群が襲う
再び歩けば脚が痛む
”俺・・・なんでこんな所を歩いているんだろう”
それは父の残したビデオテープだった
深田久弥の日本百名山
20年前のテレビ番組である
アナログテープゆえ鮮明ではない
しかしそこに映る山々は威厳に満ちている
山と人々との関係
山を重んじる姿勢
重厚なテーマ曲で始まる15分間の記録
昨今の軽い番組とは全く違う
”そのおかげで幌尻岳に出会うことができたではないか”
そんな自問自答をしていればゴールが現れた
車が見える
ドアを開けエンジンをかける
目覚めた車が言う
”待ってたぜ、後はオレに任せろよ”
人のすることは一瞬かもしれない
道具無しでは何もできないのだろう
しかし自然を敬う気持ちは人間だからできるのだ
完
コメント
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初夏の北海道。天候にも恵まれて素晴らしい景色です。本州とはスケール感がまた違いますね。
ただ、ほとんど人がいないような。。(-_-;)
いつもながらの銘文、感服いたしました。
mak様
コメントありがとうございます。
確かに登山者は少ないです。
当日、同ルートで登頂したのは6名、別ルートからは9名お会いしました。
アクセスしにくい山ゆえ百名山達成あるいは99番目という方々にもお会いし、
貴重なお話を聞くことができました。
長い林道歩行を上高地から槍ヶ岳と思えば誰でもできると思います。
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