百四丈滝〜四塚山
- GPS
- 18:34
- 距離
- 30.6km
- 登り
- 3,099m
- 下り
- 3,103m
コースタイム
- 山行
- 7:13
- 休憩
- 0:03
- 合計
- 7:16
天候 | 初日:曇り時々小雪 2日目:晴れ時々くもり |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
昨年百四丈滝を訪れた時は、初めてだったものでルートの攻略を間違えた結果、16時間もかかってしまいました。
あの時はもう二度と行かないと思ったのですが、やはりドMは喉元過ぎれば苦しさも忘れてしまい、ちゃんと対策すれば大丈夫なのでは?という気持ちに変化し、もっと大きくて白い氷壺を見たいという欲望となって遂に再訪することになりました。
前回はラッキーなことに氷壺と虹というレアなシーンを見ることができたのですが、今回は星空と滝、ということで滝壺泊、翌朝に四塚山に行って下山するという計画にしました。(注:白山国立公園では指定地以外の野営は禁止されています)
さて前回の反省を踏まえて、今回はスキー板も軽量なものにし、また危険な稜線はスキーを背負ってアイゼンでよじ登る作戦にしました。しかし今回は泊まりとなるので、その装備が重くのしかかります。ストイックにアルコール類も完全になくし、行動食は軽量高カロリー高炭水化物の源氏パイです。
まずは白山林道のゲート前から、すでに駐車地に先客あり、もしや滝狙いか?と思いましたが笈ヶ岳とのことでした。準備を済ませている間に夜も明けて、気合十分スタートです。ザックは15kgとまあ負担にならないレベルです。
しかり場への加賀禅定道は以前に下見で夏道を登ったことがあるので、状況はまあまあ把握しています。ところどころ雪が切れているので、板を脱ぐシーンもありましたが、まだ許容範囲です。標高が上がると斜度も緩やかになって、でも結局3時間くらいでしかり場分岐に到着しました。少しスキーで歩いてから、潔くスキーはザックに背負ってアイゼンで歩きます。以前より雪壁は不安定な感じで、慎重によじ登ります。アップダウンが多いのですが、美女坂の頭までスキーは封印して安全確実に進みます。スキーも背負うとやはり20kgくらいになります。
美女坂の頭に来ると風が強くなります。これはいつもの通りですから、美女坂を登る前から防寒装備をしておいた方がいいでしょう。スキー歩行もシールで復活、ほどなくして百四丈滝がはるか下に見えてきます。今回は曇りなので虹は望めません。雪庇のないドロップポイントを探し、標高差300mを滑ります。雪は硬いのでガリガリと不快な滑走ですが、歩くよりはよっぽど楽でしょう。
写真を撮影しながら氷壺の近くまで来ると、飛沫が氷になってスキーのエッジが利きません。ウィペットで制動するも制動力不足で、そのまま氷斜面が終わるまで耐えるしかありませんでした。
今回は氷壺が非常に大きく、細かな青氷でも構成されてました。滝の水量はやや少なめですが、近寄るとやっぱりびしょ濡れになります。
強風が吹くと飛沫が飛散し、それが氷壺をなめてさらに氷壺を大きくしていることがわかりました。
氷壺は汚れておらず、念願の白い氷壺と対面することができました。しかも明日の朝まで氷壺のそばに居れますから、お腹いっぱいになるくらいです。
一人だと写真撮影したらやることがないので、寝るか食べるかしかありません。夕方から濃いガスに覆われ、眺めもよくないのでもう寝るしかありません。
翌朝4時過ぎに目覚めると、何とガスが晴れて星が見えるではありませんか〜少し夜明けが近づいた5時くらいに撮影すると滝も見えていい感じになりました。
さて今日は四塚山に行く予定です。まずは300mの登り返し、これはいきなりハードです。今回はスキーは背負ってアイゼンで登りました。スキーではクトーの効きが不足するとそのままズルズルと滑落する危険が高いからです。
四塚山に近い方に登り返し、途中からスキーを履いて、遠いですが山頂を目指します。天気も快晴、標高を上げると北アルプスが丸見えとテンションがどんどん上がります。四塚山の山頂にはなんとか10時に着きました。
ここからはスキーで滑って下ります。さすがに高速でこういう時はスキーの威力が大きいです。登り返しを避けるため巻きルートにしてみましたが、やはり滑落の恐怖との戦いなのでかえって疲れてしまったかもしれません。
巻きルートの登り返しが終わると、ほどなくして美女坂の頭に戻ってきました。ここはかなりの急斜面ですが、幸い雪が少し緩み始めており危険な場面はありませんでした。もっとも新雪が積もった直後、カリカリな斜面、不安定なザラメなど危険な場合は確保して歩いて下る必要があるでしょう。
最初はしかり場分岐までアイゼンでスキー背負って・・・と考えてましたが、まあまあ滑れる距離があるところは面倒でもスキーで滑りました。痩せ尾根で雪庇が崩壊しかかっているところなので、スキー操作の失敗や転倒は絶対に許されません。自信のない場合は素直にスキー担いで歩きましょう。間違っても東側斜面に転落しないように、登り返すことはほぼ不可能で、携帯も通じないこのエリアではそれがそのまま生命の危機に直結します。
しかり場分岐に到着すると一安心です。ここからは快適な山スキーという感じで、スリリングな稜線をクリアして滑りを楽しむことができました。
比較的早めに雪が切れ、そこそこ兼用靴で歩くことを余儀なくされましたが。
それでも四塚山から下山まで6時間かかりましたから、この嫌らしい壁のようなアップダウンの連続する稜線は想像以上に難易度が高いと思います。
百四丈滝の氷壺をこの目で見るには、体力や技術はもちろん、リスクに対する的確な判断と行動が求められると、改めて実感した次第です。
コメント
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おはようございます、毎回アドベンチャーを楽しませて頂いています。
百四丈の下でテン泊されたのですね。
尾根の雪は少ないけど、不安定そうで嫌な感じ(´・ω・`)
GWには危なそうな雪が無くなりそうだけど、氷の塔も崩落かな?
写真と情報ありがとうございました。
ありがとうございます。大きな声では言えませんが、滝の側で一夜を過ごすという過ちを犯しました(笑)
GWには氷壺も薄汚れて小さくなってるでしょうね・・・今後の気温次第ですが。
今回のアドベンチャーは周囲も私もさすがに不安で心配な計画でしたが、無事に帰還できてよかったです。
おはようございます。
3/22に後輩君(kabukiya氏)と百四丈滝に行ってきました。
スキーのトレース跡を見た時、後輩君ともしかしてmomochannさん?ではと噂話して
いたのですが本当にご本人様でビックリでした!
百四丈滝の横でテント泊素敵です^^
それにあんな細尾根や痩せ尾根の急坂をスキーで下れるなんて凄いですね。
自分達も一回適当にルート巻いたら雪庇の下に出てしまい怖い思いをしました(笑
来年はテント担いでのんびり訪れたいです。
コメントありがとうございます。
やはり思考回路が同じというか、冬の赤兎山に百四丈滝とマニアックの極みですね(;^_^A
滝のそばは素敵でしたが、ガスと降雪で実にストイックな一夜でありました(笑)
またマニアックなところでお会いした際にはよろしくお願いします!
はじめまして、Kabukiyaと申します。
昨日はトレースありがたく使わせて頂きました、ありがとうございます。
本当にスキートレースを見た時nakkiさんが「momothannさんでは?」と言っていて
こんな細尾根をスキーで通れるのは相当凄い人だろうと思ったものの、まさかそんな偶然無いだろうと否定しましたがその「まさか」でした
とてもBC向きのコースとは思えませんが、昨日の今日だった事もありスキー脱着個所や通ったコース明瞭で無知ながらに関心しきりでした。
私達も当初はテント泊予定でしたが氷壺横にテン拍しようとは頭の隅にも考えませんでした‥発想からしてスゴ過ぎですね。滝の音とかテントが濡れて凍ったりしなかったのですか?
行先は少し似ていると思うのでいつかお会いできる日を楽しみにしています
こんばんは、コメントありがとうございます!
あの尾根は全くもってスキー向きではないですね〜歩いた方が絶対速いと思います。でも加越の雪山を愛する私にはスキー持って行かないという選択肢はありません(笑)
滝の音は沢の音のような感じで、それほど気になりませんでした。また飛沫も大丈夫でしたが、強風だとやばいかもしれませんね。
間違いなくどこかマニアックなところで遭遇することになるでしょう〜その日を楽しみにしています
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