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「あー、あー、あー、待って、待って、あー、・・・コウノトリ、コウノトリ、コウノトリ！」
慌ててバックすると、予期せぬシーンが目の前で繰り広げられていました。なんと、あの国の特別天然記念物に指定されているコウノトリがのんびりと採餌行動を行っていたのです。よく見ると、アオサギとチュウダイサギも1羽ずつ交じっており、コウノトリは6羽でした。サギがいるのでいい所だろうと思ったのかもしれません。
幸い、彼らの目の前に駐車スペースがあったので、とりあえずそこからスマホで撮影開始。たいていの生き物は車内にいると警戒しません。しかし、作動中の冷房のせいでエンジン音が急に大きくなると、ピクンと動いてかたまってしまい、こちらをじっと見ていました。
「警戒しとるわ。暑いけど、エンジン切ったげて。」
静かになったとたん、うなずくように頭を動かしたコウノトリたち、やはりほっとしたようです。やれやれ。
しかし、この距離ではズームしても細部がよく見えません。車のドアをゆっくり開け始めると、またフリーズしてこちらをジーッ😅アオサギは飛び立って少し離れました。運転席に座ったままドアの上にスマホを出すと、すぐにゴソゴソし始めました。チュウダイサギはまだ一緒にいます。
「これ、出ても大丈夫やろ。」
「うん。あの子ら、元々、けっこう人馴れしとるもんな。」
おそるおそる外に出て立ち上がると、手前の2羽が微妙に移動。もう1羽はまだのんきに何かパクパク。撮影を再開すると、途中でチュウダイサギが飛び立ち奥へ移動。コウノトリは全員、こちらを見たまま動きません。チュウダイサギにつられて飛び立つのかと思いきや、やはり、彼らのほうがかなり人馴れしているようです。安全な奴と判断してくれたらしく、またゆっくり歩くなど動き始めたので、ジリジリと距離を詰めていきました。こちらが近づいた分だけヨタヨタと移動するコウノトリたち。いかにも迷惑そうですが、逃げる気配はありません。最も警戒心のない1羽が採餌行動を再開すると、安心したのか、複数が羽繕いを始め、休耕田でくつろぐ姿の撮影に成功😍車に戻り、発進して道に出ても彼らはその場にとどまっていました。気を許してくれたのがとてもうれしかったです😊
兵庫県立コウノトリの郷公園（豊岡市）で観察した後、飛んでいる姿を車窓から見たことはありますが、こうして野外で群れてのんびりしているシーンは初めてです。たまにニュースやネットで岡山県内での目撃談を見ていましたが、まさか自分たちもそうなるとは思いませんでした。
今年の7月6日、兵庫県立コウノトリの郷公園はコウノトリの野外での生息数が500羽を超えたと発表しました。国内繁殖の野生種は1971年に絶滅しましたが、同公園が2005年9月24日に放鳥を開始してから野外繁殖に成功、昨年の同時期に470羽を超えてからわずか1年で30羽以上も増えました。これで世界（主に東アジア）に生息するコウノトリの4分の1前後が日本に生息していることになります。コウノトリの増加に伴い、目撃情報も全国から寄せられています。最近では、岡山市の平島地区で2羽の目撃情報がありました。今回のとは別の個体でしょうか。
コウノトリは通常、フナやカエルなどの水生動物を餌とします。そのため、採餌行動は主に湿地で見られますが、今回は低い雑草が生えた休耕田でした。おそらく、バッタなどの昆虫が多いのでしょう。上空から見て、ここが餌食場所として適切だと判断して降り立ったとすれば、かなり目がいいといえます。
ちなみに、コウノトリは体重が5�堊宛紊△蠅泙垢�、1日にその10分の1の約500g程度の餌が必要だとされています。昆虫だと1羽につき100匹以上は必要と思われますが、あの場所で大量発生していたのでしょうか。何はともあれ、初めて見た貴重なコウノトリ集団のシーンでした。
連れはこれで運が尽きたと思っていますが、運がいいから彼らを見られたのではなく、彼らを見たら幸運が訪れるのです。これからもいいことがあると信じましょう。コウノトリさん、ありがとう😊
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