新刊入庫の棚にあった祈りをささげる女性の顔と手に深く刻まれた皺が印象的で手に取りました。”稲葉香”さんと言う名前もどこかで見た覚えがあって裏表紙を見てみたら”植村直己冒険賞受賞”と書かれていて、確か去年受賞されたと新聞で見たのを思い出しました。 その受賞のきっかけになったヒマラヤの最奥地”ドルポ”での越冬生活に至る過程が記録されています。
著者の稲葉さんは10代でリュウマチにかかり難病をおしてこの地域を5度も訪れてらっしゃいます。 その原動力は同じ病気を患いながらこの地を探検した僧侶の河口慧海師の足跡を追い求めた事だそう。 ”ヒマラヤに行くと体調が必ず良くなる。日本にいると体本来の力が眠ったままだがヒマラヤ・ネパールのような環境が厳しいところでは体の力が呼び覚まされる”とかよくわかるような気がする。 そんな最奥の地にも最近ではスマホの基地局が出来て少し小高い丘(いっても富士山より標高は高い)に行けばSNSで日本とも連絡が出来たり5000Ⅿを越える峠の近くまで道路が出来たりしているらしく急速に近代化が進み始めているようです。 それでもこの地での越冬はかなり過酷なことは容易に想像できますがこの方は何だかサラッと書かれてる(ような気がする)。
数々の素晴らしいカラー写真にはため息がでるような美しいヒマラヤの景色とそこに暮らす人々の日常の生活や祈りの姿がたくさん掲載されています。その人達の笑顔が本当に清々しく美しいと思いました。
著者の言葉に”カイラス巡礼の時、内側から湧き出るような心の美しさや強さに圧倒され、職業に迷いがあった私の心のモヤモヤを一瞬にして吹き飛ばしてくれた”とありました。 自分も早くそんな心境になって新しい仕事を見つけて頑張れよと励まされたような気分になりました。 勇気をもらえる1冊でした。 ありがとうございます
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