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急遽、獄中手記「何が私をこうさせたか」を読み返した。金子文子の名を知ったのは寂聴さんの「余白の春」を読んだからだと思うが定かでない。映画「金子文子と朴烈」も観た。その頃は気になる存在だったがいつの間にか忘れてしまっていた。
同時代を生きた伊藤野枝と金子文子。28歳で虐殺された伊藤野枝と23歳で自死した金子文子。どちらも波瀾万丈の短い生涯を駆け抜けたが地べたを這うような生活の中から体現した思想に忠実に生きようとした金子文子により惹かれる。
肺病を患う友人と死の恐怖について議論するシーンで死に至る苦痛を語る友人に対し、アイデンティティの喪失を意味するようなことをあげた金子文子。死刑から終身刑に減刑されたのになぜ自死を選んだのか、とらえ方は人それぞれだが、私は刑務所で揺らぎ始めた思想の中でアイデンティティを守ろうとしたのではと想っている。
プレイディみかこの「女たちのテロル」をアマゾンで取り寄せ今朝読み終えた。カタカナ英語が多く、日本語さえどんどん忘れ行く老人には馴染みにくかったが金子文子のことを知りたい一心で読み進めるとハマってしまった。
過酷な運命に翻弄されながらも、社会や自然、他者を観る眼が曇らなかったのはなぜか。手記の中で栗拾いやワラビ採りのシーンが出てくる。
絶望の淵にあっても、自然の中では、命は蘇り救われたようなすがすがしい気分になる。
千日回峰おじさんとの関係で言えば山を取り巻く自然は命の源、山は自分が自分でいられる場所かも知れない。
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