昨夜の日記に書いた、NHK長野限定、
”検証 白馬岳遭難事故”が7時半より、放映されました。
長野県以外の方々のために、概要を以下にまとめます。
5月4日、北アルプスでは、
白馬岳6名(60〜70代)、爺が岳1名(62歳)、涸沢岳1名(71歳)、
この日に死亡8名という大惨事が発生。
●青空から真冬並みの猛吹雪へ
5月3日は雨。
5月4日朝、雨はやみ。6名は、午前5時、麓の山小屋出発。
リーダーは75歳のベテラン、北アルプスも毎年来て、白馬岳の道もよく知っていた。
地元のホテルの映像と山頂の目撃情報より、
午前5時は、雲が覆っていた。
午前9時は、抜けるような全面の青空。
気温も上昇し、Tシャツで歩く人もあり。
午前11時、強風が吹き始める。
午前11時半、強い雨が降り始める。稜線では横殴りの雨と風。
午前12時、雨が雪に変わる。
稜線上を上り続け、低体温症で凍死。
当時、西高東低の冬型だが、低気圧の横の気圧差がゆるく、擬似好天が発生した。
普通は、数10分程度だが、この日は3時間続いた。低気圧の移動が遅いため。
擬似好天は、昔から、魔女のほほえみと言われる。
今回は、特に3時間も好天が続くと、撤退判断が難しい。
遠くから来ているし、年齢も年齢で次回これるか、分らないし。
でも、北アルプスの北部は、偏西風が直撃する、
世界でもまれに見る悪天候の場所。5月の嵐もよくある。
風が吹いたら、撤退すべき。
●低体温症
当初は、十分な装備を持っていなかったため、と報道されたが、
装備は十分、アイゼン、ピッケル、ダウンジャケットなどの防寒具、
ツェルト。ただし、バッグに入ったまま。
また、服装も行動中としては、通常の行動中の服装。軽装ではない。
山岳救助隊の方のコメントより。
登山経験ある人で、同じ服装で実験。
フリースと高性能レインウエア。
風速20m、雨、を再現。
そこでは、ツエルトも扱えない。
レインウエアがあっても中もびしょびしょ。
その状態で風が吹き、体温が奪われ、ヤバイというコメント。
36.5℃の体温が、5分で、35.7℃に体温低下。
上記は、20数℃の室内の実験。
実際の山では0℃程度、かなり早く低体温症となったと思われる。
また、中高年なのもリスクあり。
若者に比べ、温度感知が弱く、また、震えでの発熱も少ない。
装備を身につける暇もなく、簡単に陥った。
35℃ 低体温症スタート
32−30℃ 思考停止、起立不能
28−26℃ 心肺停止
実例として、中央アルプス、雨の中の9時間の縦走で
低体温症になった人は、ズボンを脱いで発見された。
夏でも風があれば、低体温症になる。
稜線に出る前は1枚着るように。風対策。特に中高年は。
以上が内容でした。
感想:
擬似好天という単語は知っていたが、その恐ろしさが良く分った。
単に現場の天気で判断せず、天気図も併用しての判断の重要性がわかった。
魔女のほほえみにつられて、山を登らないようにしよう。
あと、雨と風、が最悪の組み合わせということも良く分った。特に風が致命的。
私も50歳の中高年です。低体温症にならないよう、
はやめ、はやめの防風対策を心がけたいと思います。撤退も含め。
気がついたときには、手遅れにならないように。
追記
JROのホームページの、羽根田治の安全登山通信に、
『山と溪谷』7月号の寄稿のカット前のオリジナル原稿が載ってます。
http://www.sangakujro.com/column/201206.html
かなりしっかりした取材で、重要な事実をつかんだ上で、記事を書いています。今まで見た中では、これが最高の記事です。さすが、羽根田治さんです。
ヤマケイの掲載記事は4ページで、重要な割りに妙に手短な印象をもちましたが、カットされてしまったのですね。手短だったので、立ち読みですませました。このオリジナルが乗っていたら買いました。ヤマケイさん、なんで、こんな重要な記事、情報をカットするのでしょう。JRO、載せてくれて、ありがとう。
トトロさん、早速の日記ありがとうございました。
大変参考になりました。早め早めの対応が必要なんですね。
ミクニさん、こんばんわ。
そうなんです、特にわれわれ中高年は、寒さに鈍く、震えても筋肉が少なく暖かくならない、人種のようです。
であれば、風や雨による、寒さを感じる前に予測して、着込む、撤退する、が重要のようです。天候激変に遭遇すると、感じた時にはもう手遅れ、短時間で低体温症になり、行動不能になる、と思っていたほうがよい、と番組より教えていただきました。
全国放送にするべきだと思います。
仕方なく難民問題のTVを見ていて、それはそれで思うところがありましたが、何とか録画を見たいものです。
ところで、雨風がやばいというのは昨夏の薬師岳でも体感しました。分かっていても、もうちょっと・・・と思っているうちに、濡れと風で急速に体温が低下していきます。もう30分手前だったらちゃんと着込んでいたと思う、と言うのは極めて危険な考え方なのだと感じています。
次のピンチに適切な対応が取れるかどうか、しっかりと意識付けをしておかなきゃいけませんね
本当に一瞬なんですね〜
山トモのchusakaiさんの日記にある とある方の話・・・詳しく書かれていませんが、話をされた方がされた方なんですが、これは経験しないとわからないんでしょうね・・。
http://www.yamareco.com/modules/diary/9108-detail-35263
悪女のほほ笑み怖いですね。
fireboltさん、こんばんわ。
私も見て、是非全国ネットで流して欲しいと感じました。
分りやすく、かつ、示唆に富んでました。
山を登る人、特に中高年にとり。
fireboltさんも、雨風がやばい状況があったのですね。
たしかに、そんな時は、もうちょっと、と思っちゃいけないですね。私もTVのおかげで、意識付けされました。
NHKさん、是非、全国ネットで再放送を!!
chengfuさんも、こんばんわ。
chusakaiさんの日記、私も読みました。
TVの内容は、その情報に沿ってました。
tanigawaさんの日記や他の人のコメントなど含め、
ヤマレコ情報は、的確ですね。
魔女のほほ笑み怖いです。
totoro_sanへ
ぜひ見たい番組でしたが、くわしい紹介ありがとうございます。
疑似好天、誰でもだまされる可能性はありますね。
それが急転しかけたときの、風と、雨と、今回はみぞれまで。
ほんとに短い時間のうちに、的確な判断が必要。それを基礎づける低体温症の急激な進行についての、認識と、警戒感とが必要と改めて思いました。
全国放送をぜひお願いしたいです。
totoro_san様 こんばんは。
この番組見たいと思っていたのですが、残業でダメ。
録画??日頃からそんなことは考えたこともなく
見逃していました。
内容と、今朝の信毎を読んで内容がわかりました。
たった4分で低体温症に陥ってしまうとのこと
きをつけなければ・・・・!!!
http://www.shinmai.co.jp/news/20120615/KT120614FTI090014000.html
信毎のwebアドレス入れましたが、これ載せていいのかな????
お互い忘れずにいるためにも、
亡くなられた方々の冥福をお祈りいたします。
tanigawaさん、おはようございます。
tanigawaさんの本件に関する多数の日記とコメントも読ませていただきました。この場を借りて、お礼を申したいと思います。ありがとうございました。トムラウシ遭難も読みました。
今日のTVの内容のみならず、はやめはやめに、しっかりカロリーを取っておくことも、心がけたいと思います。特に熱を出しずらい中高年は。
aonuma1000さんも、おはようございます。
本信毎のWebは、前日記でもsakusakuさんに教えていただきました。
強風で肌着が水でぬれている場合は登山者は「裸同然」。風速20メートルの吹雪で、気温は氷点下2、3度。体の中心部の温度が1分間で0・46度低下「4分ほどで正常な判断ができなくなる軽度の低体温症になったと考えられる」
すごいスピードです。山のベテランでも、ひとたまりもない。
おはようございますm(_ _)m
昨秋 鷲羽岳・水晶岳に行った時(剱岳初冠雪の日)いきなり霰が降ってきて慌ててレインウエアーを着ました。
小屋近くだったので問題なしでしたが手の指は冷たくて暫く動かず宿帳に記帳できませんでした・・・
それ以来 夏山でも防寒着は必ず持って行こうと心に決めました。
M-Kichiさん、おはようございます。
いつも、緑の美しいレコ、ありがとうございます。
レインウエア着ても、手は冷えますね。
私は、予備の軍手とゴム手袋を、常備するようにしています。
トトロさん、詳細にまとめていただき、ご苦労様でした。私は長野県在住なので録画して見れましたが、内容的に全国放送で行うべきものと思います。見れなかったヤマレコの皆さん、NHKにメールを送って全国放送を要望しましょう。
NHKメール送付画面
http://www.nhk.or.jp/css/goiken/mail.html
NHK長野の番組HP
http://www.nhk.or.jp/nagano/shiru/index.html
wakaさん、こんにちわ。
NHKおよび放送番組についてのご意見・お問い合わせ
の窓口があるのですね。NHK長野にも。
初めて知りました。
ちなみに本日、本屋で見たら、山と渓谷の7月号にも、4ページほどですが、特別寄稿「GWの北ア大量遭難を検証」がありました。
http://www.yamakei-online.com/magazine/
TVの内容と類似情報と、あと、軽装どころか、中には、しっかり上着をレイヤードしている人もいた、という情報もありました。でも、吹きさらしの稜線上での雨/雪/強風には、無力だったのでしょう。正しい選択肢は、早めの撤退だけ、だったのですね。
totoro_san。
こんにちは。今回の事故の情報収集ご苦労様です。
私にとり大変参考になり、またみなさんも感謝なされてるのではないでしょうか?
低体温症恐るべし。
これでは低山でも気温が低い時期(春先や秋口)はかなり危険ですね。
油断しそうな季節の変わり目は、やはり更に注意喚起が肝要でしょう。(という私も今後更に、気を付けます)
平地ではなんでもないと思われることが、山や海など大自然の中では人間にとって生存を分ける重要な事案であり、たかが人類・人間とは無力なのモノなのですね。
聞きなれない語彙。「擬似好天」・・・・学びました
「悪女の微笑み」・・・・・ヤバイです。
是非その放送を観てみたいです。メールしようっと。
遭難された方々に合掌。ご冥福をお祈りします。
tommyboysさん、こんばんわ。
「擬似好天」、「魔女の微笑み」
この番組はこの言葉が印象的でした。
お互い、気をつけましょう。
http://www.weathermap.co.jp/kishojin/diary_detail.php?date=2012-05-04
が当時の天気図。低気圧が2つ並ぶと間の気圧差がなだらかになり、擬似好天が発生するみたいです。でも、それが過ぎると、ダブルの低気圧で気圧差も急加速。
山と渓谷の7月号の他、岳人の7月号にも2ページの記事が載っていました。ここでは、12:45に6名を追い抜き、同じコースを通り、15:40に山小屋に到着した57歳の事例がありました。でも、強硬突破で、かなりギリギリだったようです。読んでいて、この方の正解も、早め(12時前)の撤退と感じました。6名は山小屋まで辿りつけず、残念ながら2/3ぐらいで力尽きたようです。
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する