苦しい登りの中で仕事や人間関係の悩みに自問自答しているうちに辿りつく山頂、風景や花を楽しみながら散歩した山々、山で会った人たちとの楽しい会話、時に熊やカモシカに遭遇してビビりまくったこともあった。山小屋の混雑と臭いに辟易して始めたテン泊。そして少しづつ雪山と岩場が増えて、楽しい反面安全についてもWEBや図書を見て考える機会が増えてきた。
仕事柄休日出勤と出張が多く、仲間と日程を調整できないことが多いので、基本的にソロだ。たまには一人きりになることは大切でもあるが。
山の花の名前を覚えるのが苦手は私は、データベースソフトや表計算ソフトで検索できるようにもしてみた。花の写真を見て、どこの山で季節は何時頃、自分の気持ち・・・などが一瞬にして思い出されるのは、特に登山ならではかもしれない。
下りで膝痛に悩まされたこともあった。知り合いの専門医に診てもらったら所謂マラソン膝とわかり、自分の場合は普段たまにと入山数日前からのストレッチで何とかなっている。
豪雪地帯の土地柄春山の機会が多い。無雪期に登山道が無いところに行けるのも大きな楽しみだ。
雪山ではそれなりに道具も必要だ。はじめはスノーシューを使ってみた。比較的急斜面に向いているという2代目のTSL305でも、やはりワカンにはかなわないし、更にはアイゼンだ。
アイゼンといえば買って一回も使わなかった4本タイプ、2代目になった6本タイプ、同じく2代目の10本タイプ、そしてピッケルを使うようになって春山の行動範囲はかなり広がった。
それにしても雪山で一番怖いのは雪崩だ。この予測がいかに困難かは、過去のニュースを見るまでもない。それでは雪崩の殆ど無い尾根筋を行けばいいかというと、真冬の一晩で1mも降る新雪はラッセルしてもいくらも進めない。従って俺のシーズンは主に3月以降だ。
道具の他にも、雪山独特の危険に対する知識も大事だ。足元の雪渓が崩落する危険は、特に重要だ。地元の山菜取りのプロに聞くと、万が一足元が崩壊して体が落ちそうになっても、長い木材(彼らは近くの木の枝を折って使うそうだ。)を持っていれば安全に脱出できるという。数か月前、植村直巳の最後の登山、マッキンレーのTV番組で、日本から送ってもらった竹の棒で無事氷河のクレバスを通過できたとそうだが、その道の人にとっては必要不可欠な道具のようだ。自分は足元が崩れたら、直ぐに両手を広げ、ストックを持っている場合はそれも広げるようにしている。それと、踏み抜いた足には力を入れない。すぐ下に木の枝があり、踏ん張ってかえって足を負傷することがあるためだ。
あと、沢床は無雪期の何倍もの水量があるので、なるべくその近くを歩かないか、上流・下流をよく見てから通過する。
それから道迷い、積雪期は道が無いだけにどこでも行けるのはメリットでもあるが、危険も伴う。数年前から重要な所はカシミールで1万分の1の地図を印刷して携帯している。無雪期でも破線コースは侮れない、いつの間にか目の前に絶壁なんてこともある。
動物との出会いも楽しい。ヤマバトに出会い山頂まで100m位案内してもらったり(近くに雛がいたせいかもしれないが)、鹿が寄ってきて暫く離れないこともあった。また日本カモシカが急斜面を疾走するところや、熊が下りを全速力?で走る姿は圧巻である。
幸いなことに山で怪我をしたことはほとんどないが、一回だけ梅雨時期の平標松手山からの下りで、登山口も近くなったころ、黒土の階段状の地形で滑って、体が空中で半回転して右肘から落ちて体重が肘にかかった。この時は暫く肘が痺れて、骨折したかと思ったが大丈夫だった。しかし右手に力が入らず回復に数か月を要した。
そうそう、体力はだいぶ落ちてきているので、昔の自分の記録やヤマレコの早い人の記録を気にしないようにしていこう。そして恩師のように80才まで山歩きを続けたいものだ。
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