『秩父市吉田町〜テテミズ山〜神流町〜御荷鉾山〜オドケ山〜御荷鉾スーパー林道〜シラケ山、烏帽子山〜雨宮バス停』
121106西上州(２日目)オドケ山〜御荷鉾ｽｰﾊﾟｰ林道〜天狗岩入口駐車場泊
121106火曜
薄い霧雨がたまに降ったり止んだり。
先を急ごうか、少し迷ったがナイフだけ腰にさしてオドケ山に７時発。せいぜい30分。
地図の周回道は半分塞がれていて往復した。
袖付きポンチョいいねー。
何故か、雨の精神的プレッシャーが軽くなる。
着るのにコツがいる。ザックに被せてから、ザックごと被る。
頂上は林で二つの祠が。
登り口のザックまでもどって時間の見えない御荷鉾スーパー林道に。
雨はたまにパラリ。
ポンチョに懐手をして道を急ぐ。
すぐに、前に赤久縄山から撤退した時通った立派な登山路地図の看板に。
前は雪の中、間違った道標に迷わせられやっと出た林道も熊の足跡で断念。
今回は続きを行く。
しかし、不思議にこれだけはっきり書いてある看板の道は登山地図には破線すらない。
で、やはり道は消えていた。またかよ。赤久縄山は俺を避けているのか？
そんなはずはない。
踏み跡はやたらあるが信用ならないので素直にスーパー林道から森林公園に向かう。
一時間以上のロス。空は曇りときたま雨。
しかし、落葉松の金色が美しい。
立派な公園事務所の外に、スーパー林道は道路崩壊のため南牧にしか抜けられないとの貼り紙。
一応事務所のオジさんに徒歩なら上野村に抜けられるか聞く。
徒歩!?徒歩ならどこまででも行けるよ！
やや、当てになら無いリアクション。
しかし、徒歩ねー。まぁ気をつけて。
コースタイムで50分の東登山口に着く頃には何故か突然晴れ。暑いくらい。
結局この日は林道から赤久縄山登って降りるまでだけ快晴で後はずっとグズついていた。 奇跡。
久恋の山、車道からすぐ上れる赤久縄山やまは落葉松その他の金と赤と陽光に包まれ光っていた。
急な尾根も一気に頂上に。
ベンチで靴下を脱ぎ、少しだけ飲んだ。村野四郎の詩じゃないが、透明な襤褸ボロが光に包まれている。
あとは山はない。長い長い林道歩きだ。
ゆっくり休んで、もう会わないかもしれない山の神に別れを言って一気に西に下る。
正午をかなり過ぎてしまった。マズイ
ここからは登山地図には情報がない。
ダートの林道はかなり先まで公園敷地で三ヶ所ほど立派なあずまやがあるが、夜営禁止の表示。
車で来られるからね。
ひたすら林道を歩く。地図の市町村境界と少し違うようだが、神流町と下仁田出たり入ったり。
だんだん空は朝にもどって不機嫌に。
白髪岩山登山口の枝道に気を引かれる。
地図には道の北に白髪岩、南に白髪岩山だが、道は北にある。
んー、興味をひかれる。水に心配なければどこにでも泊まれるのだが…目的地まで沢はありそうもない。ここらはずっとカヤトと雑木林。水気はない。
地図の杖立峠、ヨウクラ峠などの表示はない。
1430八倉ヨウクラ峠。本で馴染みの古い峠だ、下仁田から神流町にぬける。
ここでスーパー林道は通行止めものものしいバリケード。
侵入者は通報します。とまで書かれている。
構わず入る。森林公園事務所の人が行けるといったのだ。抗弁できる。
途中道が分かれている。左は重機がうるさい新しい道を通しているらしい。
右の古い道を行く。どうせ路肩が半分無いくらいだろう…
しばらく行くと、何と道が完全に空中に消え、先が霧の中に見えなくなっている。
これはヒドイ。はじめて見る。
先がわからず、高巻く勇気もない。
もしかしたら下仁田撤退で明日は荒船でも行くかなともどる。
途中、だめもとで工事中の道を進むと工事のおにいさんがサボってメールをしていた。
聞くと、気をつけて通っていいとのこと。
徒歩でミカボから来た闖入者に気を抜かれたようだ。道は八分出来ていた。
ダンプの運転手神業だ。バックで路肩まで三十センチもない急勾配のぬかるみを上っていく。
現場を抜けたところのオジさんにもどこに行くか聞かれた。
塩沢峠の先までと答えると驚いていたので、三時間もあれば着くか聞いたら、
そこまでかからないだろうとのこと…実際は俺の足で三時間半。一般の人なら四時間では着くまい。(注記;アップダウン無いから走れば一時間程度か？)
まぁ、普通の人が通るとも思えんが。
だんだん薄暗くなって、疲労も溜まり、心細くなる。
水さえあれば泊まりたい。スペースはどこにでもある。
道は日陰山を避け南に大きく巻いている、その南端を過ぎれば上野村に入る。
1530少し過ぎ上野村。
と、その先に何と人家！？
作業小屋ではなさそうだ、道楽者の別荘だろうか？焼き物だの造園途中の庭だのがとっちらかっている。
人がいると言うことは水がある。
声をかけたが留守なので、庭？にまわる。
隣の枯れ沢のパイプから水が出ている。
ありがたい。
たっぷり水を詰め、一服してカフェオレウイスキーを飲む。
予定の国民宿舎の風呂は諦める。
地図にはないが1930まで無休でやってるらしい。
時間はともかく、もう登り返しはごめんだ。
傘丸山経由上野村に降りる道をこし、トンネルでヘッドライトを付け、抜けると1640。
あと少しで塩沢峠。
そこまで行けば駐車スペースがある。場合によっては泊まれる。
10時間を越しかなり足が痛い。
塩沢峠に着くと例の国民宿舎まで6キロとある。
泊まる予定の天狗岩登山口まで一時間。
完全に夜道になった。
とにかく座って何かを口にしたい。
ウイスキーをちびちびやりながらひたすら歩く。
一台の車にも、人にも会わない。
半分寝ながら歩く。
下の方に灯りが見えた、宿だ。
携帯を出すと何とつながる。沢音がする。
目的地天狗岩入口駐車場だ。前にジムニーで来た。
ここは繋がらない。
広くきれいで、トイレまである。
簡易トイレだがきれいで予備のペーパーがビニールに包まれているおいてある。
何という心配り。
立派な観光看板。
ん？少し先に避難小屋！
地図にはない。そもそもこのコースはガイドも無い。
(注記;現在の地図には詳細に表記ある。地図監修者の著書『藪岩魂』にはコース案内もある。)
天狗岩表記もない。なんとなく冷淡だ。
どちらにしても闇の中、山道はありえない。
看板前にメスナーテントを張る。
18時をかなり過ぎている。ほぼ半日歩きづめ。明日登れるのだろうか？
枯れ木があまりないので、持参の炭をメインで使う。
10数年前の家族団欒の名残の炭捨てないで良かった。まだたんまりある。ケッ
捨てていいのは思いでだけ。
結局トランギアは使わなかった。
百均固形燃料と炭だけで良さそう。
あまり食料がなく似たような食事。酒は余裕。二日でウイスキーと焼酎各５00
でかい何とか坊主…蜘蛛のできそこないみたいの、が多い。
シュラフの中でウクレレを弾きながら寝てしまった。体が痛い。
林道は、結局最後まで公園と工事の人を除き一台の車にも人にも会わなかった。
上野村の夜は深い。
続く
